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METAL WINDコミュの風の彼方に・・・ 第壱話

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プロローグ

『クォーン・・・』
人気の無い朝靄の山中にカン高い音が響く。
2台のバイクが幾重にも続くコーナーを越えて走っていた。

「く、くそぉ、追いつけねぇ・・・」
「こちとら限界で攻めてるのに、コーナーの度に離される」
「何なんだ!?あのバイクは!!」

前を走ってるバイクは CBX400F。
後方から追いかけてるバイクは GSX400S KATANA である。
両車両とも決して最新のバイクではない、しかし最新のバイクを陵駕する
ほどのスピードでテクニックで走っているのである。

「ちくしょう! どうなってるんだぁ!」
カタナのライダーは叫んだ。
持てるテクニックを駆使しても、追いつけないからである。
「自分のホームグラウンドでやられたとあっちゃあ、いい笑いモンだ」
しかし、次の瞬間・・・
「しまった、深いっ!」

『ガッシャーン』
『ズザザーッ』
追いかけてるカタナがハイサイドを起こしてフッ飛んだ。

「アイテテ・・・」
フッ飛ばされたライダーは頭を振りながら起き上がった。
視線の先には煙を吐きながら横たわる愛車があった。
「アッチャー、10万コースかぁ・・・はぁ・・・」
ライダーはヘルメットを脱ぎながらため息をついた。
左肩が少し痛んでいた。

『バウン・・・』
先を走っていたCBXが戻ってきた。
「大丈夫?怪我してない?」
CBXのライダーはヘルメットを脱ぎながら声を掛けた。
掛けられたカタナの方のライダーは驚きを隠せなかった。
「お、女・・・」
その声は紛れもなく女性のそれだったからである。
「その様子では大丈夫みたいね」
その女のライダーは立ち尽くす男を観ながら、
少し長めの髪を掻き上げながら笑った。

「このバイクに付いてこれたのはスゴイと思うけど・・・」
「あんなムチャな走り方では命がいくつあっても足りないわよ」
「このバイクって・・・なにが違うんだ・・・」
って食ってかかる男を遮りながら女は続けた。
「それだけ元気なら大丈夫みたいね」
「チャンスがあったらまた会いましょう」
女性ライダーは笑いながら朝靄の中に消えていった。
カタナのライダーはそれを茫然としたまま見送った。
「女って・・・マジかよ・・・」



☆☆☆ 風の彼方に・・・ ☆☆☆

1.出会い

「イテテ・・・」
痛む左肩をさすりながら携帯電話を取り出してどこかへ電話をかけた。
「あっ、オヤっさん? 比呂だけど・・・」
「朝っぱらからスマね、ちょっとコケちゃってさぁ・・・迎えに来てくんね?」
「あははは・・・いやぁ、マイッタ・・・そう、いつもの峠・・・」
「そそ、真中ぐらいんとこ・・・じゃあ、よろしくぅ」
電話を切ると、脇に力なく立ってる自分の相棒に目を向けた。

男の名前は結城比呂、職業は小さなバイク部品メーカーで営業の仕事をしている。
ホームグラウンドにしているこの峠を一まわりしてから出勤するのを日課にしていた。
「イテテ・・・折れてはなさそうだけど・・・」
「今日は仕事パスだな、会社にも連絡しとくか」
「はぁ、それにしても今日は最悪だな・・・」
「まいった・・・」

ことは今からわずか30分前にさかのぼる。
いつものように出勤前の早朝ライディングとシャレ込んでいた。
「今朝も絶好調だぜっ!」
「とってもイイ感じ!!」
とヘルメットの中で叫びながら(チョットアブナイ(笑))。
気持ち良く走ってると自分以外のバイクの音が重なって聞こえてきた。
ふとバックミラーを見ると後方に迫って来るバイクが見えた。
結構速い、というかアッという間に後ろに付かれた。
「なんだ? このバイクは??」
そう思ってる刹那、高速コーナーであっさり追い抜かれた。
「へっ? なんで??」
「なにが起ったんだ?」
とは思っても、そのバイクは前を走っている。
「ほーっ、そういうことすると後悔する事になるよぉ」
そういうと、比呂はアクセルを開けた。
しかし結果は・・・

閑話休題

「オヤっさん、遅いなぁ・・・」
比呂は流れる雲を見上げながらポツリとつぶやいた。
『プップー!!』
そこへ1台のトラックが現れた。
「すまん、すまん、下界は道が込んでてなぁ」
「待ったぁ!?」と
とても明るく登場したのである。
「人が落ち込んでるときに、なんだよそのムダな明るさわぁ!?」
「イテテテ・・・」
「ん?どこかケガしたか?」
「ちょっと肩打った、バイクはあーだけど・・・」
と力なく立つ我が相棒を指差す。
「あらまぁ、派手にやったなぁこりゃ・・・」
「とにかく、サッサと積んでしまおう」
『バタン』
2人はトラックに乗り車の多くなった峠を下って行った。

『バタン』
「さて、サッサと降ろしてはじめるか・・・」
【立花モータース】
オヤっさんと呼ばれた男の店である。
要は街のバイク屋なんだが、近県からわざわざ客がやって来るほどの
知る人ぞ知る名メカニックなのだ。
比呂のバイクも彼のカスタムチューンで、そこいらの最新バイクなぞ敵ではなかった。
「それにしても、フレームまでは逝ってないみたいだが・・・」
「フロントフォークは全取っ替えだなぁ・・・」
「あちゃー、コレもダメ、コッチもダメか・・・」
「いったいどんなコケ方したんだよ??」
「買い直した方が早いが、イヤだよな?」
笑いながら振り返る。
「訊くなよ・・・わかってるんだろ?」
比呂は力なく答えた。
「おや、比呂くんそんなにショックかい?」
「美人だったんだろう??」
立花は笑いながら続ける。
「オヤっさんはくやしくないのかよっ!」
「自分が手を掛けたヤツだろっ!!」
比呂は食ってかかるが・・・
「ぜ〜んぜん、どうせお前しか乗りこなせないセッティングだからな」
「お前が死ななくてよかったと思ってるよ」
と一笑に伏した。
「だって、CBXだぞっ!」
「どう考えたって、アノ走りはありえないよ・・・」
それを聞いた立花は・・・
「CBXだとっ!? 色は黒って言ったよな??」
と驚愕の声を上げた。
「なんだよ?知ってるのかよ?」
比呂が聞き返す。
「いや、なんでもない・・・そんなはずはないんだ・・・」
立花はその後押し黙ったままだった。
その雰囲気に比呂もその先を訊けなかった。

しばらくの沈黙の後立花が明るく訊ねた。
「ところで比呂、代わりの単車なんだが・・・ギア付と無しどっちがいい?」
「足要るだろ?」
と、店の奥を示した。
「そーだなぁ・・・スクーター苦手だから・・・ギア付だな」
「で、なに貸してくれるの?」
比呂は目を輝かせて訊く。
「そこの青いカバーをとってみろ」
カバーを外すとそこには・・・「ちゃ、チャッピー!?」
比呂は驚きの声を上げる。
そこには、かなり前に一時代を築いた YAMAHA の チャッピーがちんまりと佇んでいた。
世間の奥様たちを助けたカワイイバイクである。
「変な声を出すなっ! これでも俺のスペシャルなチューンがされてるんだぞ!」
「このチャンバーはな・・・」
「わかった、わかったから・・・」説明をしようとする立花を比呂が制しながら
「オヤっさんの RZ 貸してくれよ」
と懇願したが、
「あぁ、アレは今エンジン下ろしてるからダメだ、走れんよ」
そういうと大声で笑った。

「はぁ・・・ツいてねぇ・・・」
チャッピーに信号待ちをしながら大きなため息をつく。
「こんなとこ知り合いに見られたらいい笑いもんだ」
そこへ反対の歩道からてを振りながら走り寄って来る大柄の男がいた。
「やべぇ、幸三郎だっ!」
逃げようとする比呂、しかし全然前に進まない。
振り返ると、荷台を掴んで笑う男の顔があった。

「ほら飲めよ」
コーヒーを差し出したのは、さっきの大男である。
彼は山本幸三郎・・・比呂の幼なじみである。
比呂はぶっきらぼうにそのコーヒーを啜った。
「な〜にプンスカしてるんだ??」
ここは幸三郎が亡き父から受け継いだ喫茶店、その名を「アミーゴ」といった。
「別にぃ・・・」
「つうか、走り出すバイクを掴んで停めるか?普通・・・」
相変わらず、プンスカな比呂である。
『カラ〜ン』
そこへ扉の開く音・・・
「おう、おかえり」
振り返った先には大きな買い物袋抱えた女の子が立っていた。
「ただいま」
彼女の名前は未来、先の大男幸三郎の双子の妹である。
信じられないことだが大柄な幸三郎と似ても似つかぬ、
小柄な可愛らしい女の子であった。
「ごめん、遅くなった」
「あっ、比呂来てたんだ」
声をかけられても、相変わらずプンスカな比呂である。
「どうしたの?」
幸三郎に耳打ちする、未来。
「バイクでコケたらしい・・・」
2人で顔を見合わせながら、比呂の方を振り返った。
しかし、2人の視線は比呂の後ろ入り口の辺りに立つ黒髪の美女に移った。
「そうそう彼女、高校の時の同級生なんだ」
「そこでバッタリ逢っちゃって、連れてきちゃった」
「名前は由佳ちゃん」
未来は両手をあげて紹介した。
「こんにちわ」
由佳と紹介された女の子は、にこやかに会釈した。
それを何気に振り返った比呂は、由佳を指差しながら椅子から飛び上がった。
「あ〜っ!」
目の前には朝出会った、そう比呂を負かした女が立っていたのである。


つづく・・・

コメント(4)

で、どうでした?

って言ってもまだ壱話だけど。(^▽^;)
いやいや・・・

ご意見どうも。(^▽^;
どうしても口語主体になっちゃうですよね。(^▽^;

元々、マンガとかのプロット書いてたもんで
どうしても、シナリオみたいになっちゃいます。(^▽^;

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