山　都　町コミュの古い水道管、水漏れ深刻　県内の上水道事業体　最低は山都町の６１・５％。

　県内の全２８上水道事業体のうち少なくとも２１事業体で、水道水が有効に使われる割合を示す有効率が９０％を下回っていることが３日、分かった。水道管の老朽化に伴う水漏れなどが原因とみられ、専門家らは「管路の更新が進んでおらず、このままでは手遅れになりかねない」と指摘している。

　日本水道協会が昨年発行した「水道統計」（２０１３年度データ）から明らかになった。上水道事業は計画給水人口が５００１人以上。県内は市営１５、町営１０、村営１、一般事務組合営２の計２８事業体がある。

　有効率の県内最高は益城町の９６・１％で、山鹿市、熊本市が続いた。最低は山都町の６１・５％。次いであさぎり町、芦北町が低かった。有効率は最大３４・６ポイントの開きがあり、人口が少ない自治体ほど低い傾向にあった。

　県は昨年３月、県内の水道事業の将来像を示した「県水道ビジョン」を策定。２３年度目標の有効率を、９０％超の事業体は９５％、その他は９０％にしたが、「水道料金収入が減り、管路の更新を進めるのは難しい」との声もあり、実現は容易ではなさそうだ。

　有効率最低の山都町では昨年３月、老朽管の破裂で一部の集落が２日半にわたり断水。町は給水車を出すなどの対応に追われた。補修に当たる地元業者は「水道管の継ぎ手部分が劣化し、漏水するケースが多い。いつどこで漏れてもおかしくない状態」という。

　熊本市の上下水道事業運営審議会長で、水道事業に詳しい篠原亮太・県立大名誉教授は「高度成長期に整備されたインフラが更新時期を迎え、水道管も例外ではない。将来世代に負担を回さないためにも、各事業体が計画的に更新を進める必要がある」と対応を促している。（臼杵大介）

今日の熊日朝刊より