山　都　町コミュの五老ケ滝と聖滝を、県の名勝・天然記念物に指定

絵巻に描かれた２滝が県名勝・天然記念物に 2011年04月12日

今日の熊日朝刊によれば、

　県教育委員会は１２日、県文化財保護審議会の答申に基づき、１８世紀末に熊本藩のお抱え絵師が制作した絵巻「領内名勝図巻［りょうないめいしょうずかん］」（永青文庫蔵）に描かれている山都町の五老ケ滝［ごろうがたき］と聖滝［ひじりだき］を、県の名勝・天然記念物に指定することを了承した。

　近世の絵巻が基になったユニークな指定で、同図巻が作られた２００年前の美しい景観が当時のまま残っていることなどが評価された。今後、“図巻シリーズ”として他の景勝地も指定が検討される可能性がある。

　領内名勝図巻は、第８代熊本藩主細川斉茲［なりしげ］の命を受け、藩御用絵師の矢野良勝［やのよしかつ］と衛藤良行［えとうよしゆき］らが肥後国の名勝地を描いた風景写生図。全１５巻（うち１４巻が現存）に及び、長大な巻物に肥後の風景が精巧に描かれている。

　指定を受ける五老ケ滝は山都町長原［ながはら］・城原［じょうはら］の五老ケ滝川にある。斉茲が滝の迫力と美しさに感動して、同図巻の制作を思い付いたといわれる。高さ（落差）は約５０メートルで、同町矢部地域にある「矢部四十八滝」の中で最大級の規模という。

　聖滝は同町野尻［のじり］・城原［じょうはら］の笹原川にあり、高さは約３１メートル。２筋に分かれた滝が途中で段をなして合流する特異な景観が特徴で、近世から肥後を代表する景観として知られていた。

　二つの滝を名勝として指定する理由は「図巻が描かれた当時の景観を見事に残し、鑑賞上の価値は極めて高い」、天然記念物としても「阿蘇の噴火活動と浸食作用によってできた滝と周辺の地形は、熊本県の地質学的特徴を持ち、学術的にも貴重」と評価された。県教委によると、今回で県の名勝は４カ所（重複指定含む）となる。（浪床敬子）

以上「くまにちコム｝から引用しました。
http://kumanichi.com/news/local/main/20110412007.shtml

　第８代熊本藩主細川斉茲公（細川家当主としては１０代目）は、矢部に何度か来ています。寛政３年（１７９１）に、矢部に狩りに来たときに本陣としたところが、現在の通潤酒造の「御成りの間」です。この「御成りの間」は、後に明治１０年（１８７７）の西南戦争の際に、西郷隆盛が宿泊し軍議を開いた場所としても有名です。

　また斉茲公が文化１４年（１８１７）に矢部に来たときは、中島の原村の原住氏宅に立ち寄りました。その時庭先の桜が満開だったので、斉茲公自らそり桜の枝を切って、床の間にあった竹筒に差し入れました。その花の投げ入れられた姿が実に見事でした。その家の主人の原住桂七は、殿様が茶を飲んでお立ちになった後、写生し庭に挿木しました。原住家では御所桜と名を付けて、玉垣をして大事に育てました。。
六年後にまた斉茲公が来られた時、花が見事に付いていて、そのことを斉茲公に申し上げたところ、非常に喜ばれて「延寿桜」と名を付けられました。斉茲公はその桜を愛でて、そこで飲まれたお茶を桜に注いで熊本にお帰りになりました。
後に斉茲公は、金春流の家元である桜間金太郎に命じて、「延寿桜」のこと題材にした謡曲を作らせられ、延珠桜と共にその謡曲の本が原住家に今も伝えられています。

　そんな矢部にゆかりが多い斉茲公が藩御用絵師に書かせた五老ケ滝と聖滝が、県の名勝・天然記念物に指定されることになりました。