天然記念物コミュの売布神社社叢

　兵庫県宝塚市売布山手町１-１

　1976年03月30日、宝塚市が天然記念物に指定。

　https://www.google.com/maps/@34.8168909,135.357084,18z
　売布(ﾒﾌ)神社〔延喜式内社〕〔郷社〕の祭神は、大国主命(ｵｵｸﾆﾇｼﾉﾐｺﾄ)の娘で、高比売神(ﾀｶﾋﾒﾉｶﾐ)とも呼ばれる下照姫神(ｼﾀﾃﾙﾋﾒﾉｶﾐ)で、彼女の夫の天稚彦神(ｱﾒﾆﾜｶﾋｺﾉｶﾐ)も配祀されています。天稚彦神は、天照大神(ｱﾏﾃﾗｽｵｵﾐｶﾐ)によって、大国主命を撃滅して葦原中国(ｱｼﾊﾗﾉﾅｶﾂｸﾆ)を平定するため高天原(ﾀｶﾏｶﾞﾊﾗ)から遣わされたにも拘わらず、大国主命から娘を宛がわれて篭絡されたため誅された人物です。
　社伝によると、夫の死後、下照姫神は当地の里人が飢えと寒さで困窮しているのを愁い、稲を植え麻を紡ぎ布を織る事を教えたとされています。
　その後、推古天皇18(605)年に至って、豊かになった里人が下照姫神を祀って当社を創建したとされていますが、一帯は物部氏一族の若湯坐連(ﾜｶﾕｴﾉﾑﾗｼﾞ)が拠点としていた地であり、本来の祭神は若湯坐連の祖である意富売布連(ｵｵﾒﾌﾉﾑﾗｼﾞ)だったと推定されています。延喜式神名帳では売布神社の名で記載されていますが、中世以降は貴布禰(ｷﾌﾈ)神社や貴布禰明神と称していました。
　当地は、江戸時代には米谷村と呼ばれていましたが、その名は米種(ﾏｲﾀﾈ)か売布谷(ﾒﾌﾀﾆ)が転訛したと考えられています。
　元文元(1736)年、寺社奉行大岡越前守忠相(ﾀﾀﾞｽｹ)から地誌編纂を命じられた並河誠所(ﾅﾐｶﾜｾｲｼｮ)の調査によって当社が式内・売布神社に比定され、以降は売布神社と称する事になりました。
　社叢は、以前は赤松を中心とする二次林でしたが、今では椎(ｼｲ)を中心とする自然林に近い森になっています。13000㎡の境内全域が環境保全地区に指定されています。