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マクロ経済学コミュの生産性と持続的経済成長

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経済分析では、供給面からみた経済成長を3つの要因、すなわち、資本設備の伸び、労働力の伸び、生産性の伸びに分けて分析しますが(成長会計分析)、「経済にとって生産性がすべてではないが、長期的には生産性がほとんどすべてである」(Krugman1994)との指摘があるように、持続的経済成長にとって生産性(TFP)はどのような役割があるのでしょうか。以下参考です。






「10 年ほど前、Krugman 教授はアジア諸国の急速な発展に対し、これらの国の経済成長が労働や資本の伸びによって支えられ、生産性がさほど伸びていないことを指摘し、こうした成長は持続的ではないと警鐘を鳴らした。そして「経済にとって生産性がすべてではないが、長期的には生産性がほとんどすべてである」(Krugman1994)と述べ、経済における生産性向上の重要性を力説したのである。」

生産性の経済学 −我々の理解はどこまで進んだか−
www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2006/data/wp06j06.pdf




「需要面の拡大は供給面での対応があって初めて可能になる。家計にせよ、企業にせよ、支出のためには所得が必要である。その際、一時的な所得の改善にとどまらず、将来にわたって持続的な所得増が展望できることが、消費意欲、投資意欲を高め、需要の拡大を図るための条件になる。我が国のように人口が減少する経済では、将来の所得増は、適材適所のための人材配置、新製品の開発、海外での市場の開拓といった広い意味でのイノベーション、それを通じた生産性上昇なしには考えられない。」

内閣府  平成22年度年次経済財政報告
www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je10/10b00000.html




「資本蓄積は経済成長に貢献するが、(均衡成長率を上回るペースで)資本ストックを増やし続けていくと、その限界生産性は逓減する。あるいは、限界的な投資リターンの低下から株主要求利益率を達成できず、設備投資の伸び率は必然的に鈍化すると言い換えても良い。これが、基本的な成長理論において、TFP上昇率(技術進歩率)が均衡成長率の唯一の決定要素となる理由である。
実際、わが国を例に経済成長や労働生産性の内訳をみてみると、TFPだけでなく資本の寄与もかなり長期にわたってプラスとなっている。しかし、このことは上記の理論的な帰結とは矛盾しない。資本蓄積に必要な設備投資行動そのものが、先行きの経済成長率(技術進歩率)に依存するところが大きいからである。事後的な要因分解(成長会計)の結果として経済成長に対する資本の貢献が観察できても、その背後に働いている構造的なメカニズムはまた別である。」


わが国の生産性を巡る論点
www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2009/data/wp09j11.pdf

コメント(5)

一国の1年間の国内総生産(GDP)は、就業者数と、その1年間に産み出された就業者1人当たりの付加価値、つまり付加価値ベースでみた労働生産性の積となります。従って、経済成長率(国内総生産の増加率)は、就業者数の伸び率と労働生産性の伸び率という、2つの要素によって決まります。
また、やや長い目でみた一人当たりGDPの上昇は、労働投入一単位当たりGDP、すなわちマクロ労働生産性の上昇によって達成されます。以下参考です。




「一国の経済における究極的な政策目標が国民の経済的な豊かさの追求にあると考えるならば、それは人口一人当たりの実質付加価値(一人当たりGDP)を高めていくことにほかならない。やや長い目でみた一人当たりGDPの上昇は、労働力率の上昇や構造的失業率の低下といった可能性を別にすれば、労働投入一単位当たりGDP、すなわちマクロ労働生産性の上昇によって達成される。このようにマクロレベルの議論では、労働生産性という指標の重要性を比較的ストレートに導き出すことができる。一方、ミクロの実証研究では、TFPが資源配分の効率性を表す指標としてしばしば利用される。また、ソローモデルのような基本的なマクロ成長理論でも、経済が均斉成長経路(balanced growth path)にある場合、外生的な技術進歩率を表すTFP上昇率が持続的な成長(一人当たり成長)に対する唯一の源泉とされている。」

わが国の生産性を巡る論点
www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2009/data/wp09j11.pdf



「●人口が減少するなかで一層求められる生産性向上を通じた賃金上昇

 我が国では、2000年代前半には建設業や製造業から医療・福祉を含めたサービス分野への継続的な雇用シフトが生じている。その結果、サービス分野での雇用は、マクロ的には、生活水準から想定される潜在需要にほぼ見合った水準にある。この間のサービス分野の雇用拡大は、女性や高齢者の労働力化で支えられた。ただし、需要シフトは恒常的であり、専門・技術職、サービス職を中心に求人倍率が高いなど、職業間のミスマッチは解消しない。ミスマッチの緩和には賃金の調整機能が発揮されることが重要である。
 過去を振り返ると、一人当たりGDPの成長には労働生産性の上昇が最も寄与してきた。生産性の上昇は、しばしば「人減らし」と捉えられがちである。実際、個々の業種に着目すると、生産性上昇率の高い業種では就業者数の減少も大きい。しかし、マクロ的には、生産年齢人口が減少するなかで、一人当たり労働時間が短縮される一方、「就業率」が高まっている。一般に、マクロ的に生産性上昇率が高い国ほど賃金上昇率も高い傾向にある。ただし、2000年代の我が国では、輸入物価の高騰で生産性上昇による果実の過半が海外に流出した。
 今後、潜在的な労働需要の拡大が見込まれる例として、IT分野や介護分野がある。ITの利活用は多くの業種で生産性向上の鍵ともなる。IT人材の不足感は景気低迷でやや沈静化したが、質の面での不足感は根強い。生産性への貢献度を報酬に適正に反映し、賃金による調整機能を発揮させることが課題である。介護分野も賃金を含めた待遇の改善によるミスマッチの緩和が課題である。保険制度による制約があるものの、この分野でもITの活用等を通じた生産性の向上が鍵となる。」

内閣府  平成22年度年次経済財政報告(経済白書)
www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je10/10b00000.html

生産性は、いわゆる「デフレ問題」とも密接な関連があります。

経済の持続的成長の指標である「潜在成長率(均衡成長率)」は、均衡実質金利の代理変数です。仮に均衡実質金利、すなわち自然利子率がマイナスであれば、金融緩和の効果は減殺してしまいます。つまり、金融政策自体は直接的にTFPを上昇させることはできません。したがって金融政策は構造政策を代替することはできません。以下参考です。



「潜在成長率は、需要量と供給能力の乖離を表わす需給ギャップとも、表裏一体の関係にある。長い目でみれば、一国の成長率は供給能力によって規定されると考えると、「中長期的に持続可能な成長率」である潜在成長率は、供給能力の増加率とほぼ同じ意味だとも言える。一方、実際の経済成長率のうち、景気循環等による短期の変動は、主に需要要因によって規定されると考えられる(有効需要の考え方)。すると、実際の成長率(需要要因)と潜在成長率(供給要因)の乖離が、需給ギャップの変化をもたらすことになる。

今期の需給ギャップ=前期の需給ギャップ+(実際の成長率−潜在成長率)

インフレ率は、景気がよい(需給ギャップがプラス)ときには上昇、景気が悪い(需給ギャップがマイナス)ときには下落する傾向がある(フィリップス曲線)。こうした関係を通じて、潜在成長率は、物価動向を分析するうえでも重要である。潜在成長率は、均衡実質金利もしくは自然利子率(natural rate of interest)の代理変数として、政策金利の水準評価に用いられる場合もある 3 。長い目でみた実物投資のリターンは、中長期的に持続可能な成長率と概ね等しくなると考えられる。したがって、理論的には、実際の実質金利が均衡実質金利を上回れ(下回れ)ば、景気に抑制的(刺激的)に働いて、需給ギャップのマイナス(プラス)方向への動きを促すことになる(IS曲線)。」

潜在成長率の各種推計法と留意点
www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2009/data/rev09j13.pdf


「先述のとおり、ゼロ金利経済に到達する理由は、?自然利子率の低下、?期待インフレ率の低下、あるいは?その両方が考えられる。
図表 15 には、自然利子率の代理変数となりうる潜在成長率推計値を示している 48 。この図から、日本の自然利子率は、1990 年代全般を通じて(1998 年頃まで)ほぼ一貫して下落を続けたことが示唆される。一方、期待インフレ率(静学的な予想を仮定して CPI インフレ率の実績値を図示)は、1990 年代前半に持続的に低下したことが示唆される。これら2つの図から、ゼロ金利近傍への接近は、自然利子率、期待インフレ率、の双方の低下が作用したことが要因であることが分かる。」

物価変動のコスト――概念整理と計測――
www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2008/data/wp08j02.pdf



「横断面方向の資源配分の歪みは、異時点間方向の資源配分の歪みを誘発し、経済に対するマイナスの効果を増幅させる。この観察事実は、経済がデフレ状況に陥ってしまう主要な要因として、循環的な要因よりも、構造的な要因がより重要であることを示唆している。同時に、循環的要因を相殺しようとする政策手段の積み重ねは効果が薄く、構造的要因そのものを取り除く政策対応がより効果的であることを示している。つまり、金融政策はこのような経済の凋落への万能薬ではあり得ず、供給サイドに存在する構造問題を解決するための政策を代替することはできない。潜在成長率の下方シフトの場合、定常状態における成長率や自然利子率が低下し、経済がデフレやゼロ金利の状態に再び陥ってしまう可能性は高い。」

資産価格変動、構造調整と持続的経済成長
www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2004/kk23-4-5.pdf
日本が従来のマクロ経済政策(財政・金融政策)の限界に直面していると仮定した場合、果たしてその問題解決には何が必要なのでしょうか。以下参考です。




「低金利と巨額の財政支出による総需要拡大政策が限界に直面しており、将来の高い経済成長による税収増が見込めない現状では、財政再建の王道は構造改革である。
わが国の第二次大戦後の封鎖・統制経済でのハイパー・インフレーションの経験を繰返すことは現局面では許されない(香西[1999])。
実際問題として国債引受による財政赤字のファイナンスを実行するには、財政法の日本銀行による国債引受禁止条項を変更しなければならず、法改正の審議の間に政府がハイパー・インフレーションを引き起こそうとしていることが国民にわかってしまい、市場が何も反応しないうちに既成事実として債務削減が達成できるとは到底考えられない。また、終戦直後の戦時債務保証切捨て時のような緊急法令によるデフォルトについても、企業、銀行、預金者に大きな負担を強いるため、選択肢としてあまり有益とは思えない。」

財政赤字とインフレーション
www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2000/kk19-2-2.pdf



「結局のところ、財政政策によって、流動性制約家計が消費を増やしたとしても、それがマクロ的な景気刺激につながると考える理屈は存在しない。財政政策のマクロ的な景気刺激効果を考える上で見落としてはならないのは、財政政策の再分配効果の側面である。例えば、Carlstrom and Fuerst(1998)は、不完全資本市場のもとで、投資機会のない経済主体から投資機会のある経済主体への富の移転はマクロ的な景気刺激効果をもつことを理論的に証明している。こうした見方は、近年、我が国で活発に議論されている構造改革の議論と密接に関連している。つまり、財政政策が、衰退産業や規制によって保護されている非効率な産業から、優れた投資機会を持つ産業への富の移転効果を持つものであれば、そのネットの効果は理論的にはプラス(乗数が 1 を上回る)が期待されるというものである。」

財政政策乗数の日米比較
www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2003/data/iwp03j04.pdf



「本稿の分析により、マクロ経済における広い意味での生産性改善(たとえば企業部門の収益力回復、高付加価値品生産へ向けた構造変革努力、非効率企業の退出・スリム化などによる資源配分の適正化など)は、需給ギャップを拡大・悪化させず、むしろギャップを持続的に縮小・改善する効果を持つという可能性が示された。そうであれば、企業の変革努力や経済の構造転換を後押しする政策(いわゆる「構造政策」)をさらに推し進めることもマクロ政策運営にとって重要となる。」


日本経済の変動要因:生産性ショックの役割
www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2006/data/wp06j01.pdf
企業の資本効率(生産性)の向上は資本市場における信用コストを低下させ、資金調達のアベイラビリティーが改善するため、実質的な金融緩和の度合いが増します。
つまり、ゼロ金利制約下においては企業にとってもマクロ経済にとっても生産性の向上が重要です。以下参考記事です。



企業の「付加価値率」減退は深刻、日本低迷持続の恐れ−京大川北氏

7月7日(ブルームバーグ):京都大学大学院・経営管理研究部の川北英隆教授は、日本経済が長期停滞している背景には、企業が次の成長に向けて創出する「付加価値率」の低下があるとみている。同比率のすう勢は右肩下がりで、多くの企業が改善への努力に取り組まない場合、日本経済の一層の低迷は免れないという。(後略)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=a2n92I6NjSPs

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