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愛してるよ、カズコミュのドキュメントの内容です。

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ひこうきぐも様の日記より転載

カズは小学一年生。
 人一倍元気で優しい、人前では調子の良い、でもほんとは少し恥ずかしがり。
 「クレヨンしんちゃん」が大好きな男の子。母の事を『りょうちゃん』と呼ぶほどの、お母さん子だった。


 この時「余命2ヶ月」。


 『小児がん』を患っている。







 主治医も最善を尽くした。
 こうゆう状態での選択肢は2つ。




 「今まで通り(あるいは今まで以上の)治療をこのまま病院で続けるのか、一秒でも長く家族と過ごせる時間を作るか」

 圧倒的な答えは後者。






 無論、カズの家族も病院を後にした。






 家族はカズのために、ありとあらゆる楽しい事をした。
 毎日笑顔で過ごせる様、楽しく遊んだという。





 「余命2ヶ月」をとうに過ぎ、カズも2年生。
  3ヶ月ぶりの学校。
 クラスのみんなもカズの帰りを待っていた。
 「カズ、会いたかったぜぇ〜」


 運動会にも元気いっぱいの様子で参加。
 みんなとは2回しか一緒に練習は出来なかったけど、一人で家で頑張ったダンスも、なんとかみんなについていけている。





 「カズの前では絶対に泣かない。だって母ですもん。」





 そう話していた母の目に光るモノ。



 一生懸命、踊るカズ。
 徒競走も玉入れも、みんなと一緒に頑張る、カズ。

 その笑顔もまた光り輝いていた。






 カズには夢があった。
 「妹が欲しい。」

 大好きな「クレヨンしんちゃん」を見てそう思ったのだという。





 そんな願いを叶えるかの様に、母の体には新しい「命」が宿っていた...。(後に女の子を身篭っている事を知る。)

 






 病魔は小さな体の希望さえも飲み込みながら、少しずつ少しずつ、蝕んでゆく。





 父母は医師に病院へ呼ばれ、血液内の細胞レベルでの病気の進行が進んでいる事を告げられる。



 「宣告後も元気でいれたから....少し夢を見ちゃいました。」









 カズも次第に元気がなくなり、入院。
 自分ひとりの力では血液中の酸素を作り出せなくなり、一日何度も輸血、抗生物質の注射をする毎日。呼吸もままならない。






 2006年12月7日。
 病院内でクリスマスパーティー。
 看護婦さん、看護師さんが病院にいる子供たちの為に開いてくれた。

 みんながひとつの部屋に集まる中、カズはベットから離れる事が出来ない。歩く事さえ出来なくなっていた。

 そこにサンタに扮した先生。
 「○○せんせぇ〜。」
 
 「メリークリスマス、カズ。いい子にしてたか??」


 袋にはカズの欲しかったおもちゃの大きな包み。

 無邪気に包みを破るカズ。
 「ありがとぉ〜。」

 
 父も母も自然と笑顔になっていた。





 「少し早いクリスマス。ほんとのクリスマスの日には、もっと素敵なプレゼントをあげるの。」と母。

 母は臨月を迎えていた。






 「カズ、お母さんのお腹には何がいるんだっけ??」

 「『はな』ちゃん。」



 「生まれてきた子には、『はなこ』と名づけるんだってカズは言うんです。」
  
 





 
 その2日後。2006年12月9日。
 
 事態は急変。
 カズ、危篤状態。




 意識は朦朧としている。
 抱きしめながら必死で呼びかける父と母。

 「カズ! 聞こえるか!!」



「うぅ〜....。あぁ....」



  言葉にもならない、叫び。
  命の淵を彷徨いながら、尚必死に生きようとするカズ。




  カズは無意識にある行動をとる。




  自分の右腕の袖をまくり、何度も何度も前へ出すのだ。



  
  それはしんどくなった時に打つ、抗がん剤の注射を待っている仕草。

 その腕には何度となく打たれた事を示す、いくつもの青黒い「あざ」。


 「カズ、もう注射はいいんだよ。しなくていいんだよ」




 それでもカズは何度も腕を前へ突き出していた。



  

 その目はもう、そこにいる母の姿を捕らえてはいない。遠くを見つめてた....。





 その日の午後、医師から「人工呼吸器」をつける指示が出た。

 これはもうカズの声を聞く事が出来ない事を意味している。

 
 父と母は必死に話しかける。
 「カズ!! カズ!!!!!」



「あ....あぁ...」


  母がカズの耳元に口を近づけ、囁いた。




 「愛してるよ、カズ」





 「あぁ.....オラも」


  カズは最後の力を振り絞るかの様に、か細く小さな声で答えた。







  さらに悪化するカズの小さな体。
  呼吸はもうほとんど出来ていない。
  心拍数は少しずつ落ちている。

  「カズ!!! カズぅ!!!!!!!」


医師の必死の心臓マッサージ。
  手応えはあまりない。

  母はもう溢れる涙をどうする事も出来ない。
  ただ我が子の名を、心の底から呼び続けるだけ。



  
  その時だった。
  母は近くにいた看護婦におもむろに『はさみ』を持たせた。

   

  「自分の髪を切って。」



  カズはお母さんに抱きつくのが好きで、抱っこの時はいつも母の髪を撫でていたのだという。


  「カズに持たせるの。」

  そういうと看護婦に自分の髪を切るよう、指示した。

  戸惑う看護婦。



  「はやくして!!! 間に合わなくなる!!!!!!」


 その無造作に切られた髪をカズに握らせる。




  医師はほんの僅かな可能性がある限り、心臓マッサージを止めなかった。

  家族は名を呼び続ける。




  「抱かせてください。」


  最期の時は自分の腕の中で、と約束をしていたらしい。

  医師は心臓マッサージを止め、カズの体に付いたたくさんのチューブ類をはずし、母の腕の中に委ねた。



  「カズ、カズ....。」



   
  返事はない。


  
 「カズ、愛してる。カズ...。」






  家族の叫ぶ声だけがこだまする。







 「オラもって言ってよ、カズ.....」










  家族に見守られる中、母の腕の中でカズは、その生涯に幕を下ろし
た。


  その手の中にはしっかりと、母の髪が握り締められていた.....。


 






  
  この話はまだ終わる事は出来なかった。


  その2日後、母に突如、陣痛が襲い掛かるのです。


  そして無事女の子を出産するのだ。



  何という運命のいたずらなのだろうか。
  短い期間に『生』と『死』を経験する事になるとは。  


  もちろん名前は『はなこ(花香)』と名づけられました。
  おでこのあたり、カズにそっくり。

  抱っこの時に髪を触るくせまで。

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