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虹色文庫コミュの合作「善人村」

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原作:Ciel
執筆:じろう





*************






あなたは自分の選択を信じますか?

あなたの進む方向は間違ってませんか?

人の人生は少し間違っただけですぐに違う方向に進んでしまいます。

あのときの俺のように…




皆様初めまして。

俺の名前は幸治(こうじ)、今年の春に高校に入学した高校1年生です。


これからお話しするのは、去年つまり中学校生活最後の年に起こった出来事です…




それは中3の8月のことだった。

俺は同じ中学校で小学校からの親友である充(みつる)と2人で毎日、日々迫る受験に向けて勉強していた。

俺達が2人で勉強する場所は、塾に設置されている自習室か、近所にあるマクドナルド、そしてお互いの家しかなかった。

けど俺達は、親や塾の先生に隠れていつもマクドナルドで100円マックを片手に勉強している振りをしながらこっそりと、ある計画の話をしていたのだ。

その計画とは、【俺達の家の近くには○○山というかなり大きな山があり、その山奥に『善人村』という村がひっそりと存在しているらしい】という噂を耳にした俺達が、中学校最後の思い出に2人で1泊2日かけてそこに冒険に行ってみようというものだった。

その計画もいよいよ最終段階に移り、俺達は押さえ切れない期待に胸を踊らせながら話を詰めていった。

出発する時間は7時にするとか、荷物は最初かなり軽かったのだが、登山する可能性があったのでかなりの重装備になったりとか…着々と話は進んでいき、毎日かなり遅くまで話をしていた。

もちろん、親にも「友達の家にとまりに行く」といって了解はとってある。




そして、とうとう出発の朝になった。

俺達は、倒れそうになりそうなぐらい重い荷物を背負ってのそのそと駅へと向かった。

俺達は事前に調べた通りの電車に乗り、ややこしい乗り継ぎを何とかこなして、ようやく目的の駅にたどり着いた。

目的の駅である『天翔道(あまかけみち)』という駅についた俺達は、初めて来る土地に辺りを見回した。

『天翔道』は改札と券売機しか存在していない、いわゆる無人駅というものだった。

いまだにこんな無人駅が存在していることを知った俺達は『善人村』にいくという目的も忘れてしまって珍しい光景に見とれていた。

はっと気がついた俺達は急いで『善人村』を目指して山に向かって歩き出したのである。

しかし、俺達が持っている地図はかなり古く道もはっきりとしておらず定かではなかったので俺達はあたりをキョロキョロしながら進んでいった。

15分程歩いたところであろうか、俺達は小さなロープウェイの駅を見つけたのだ。

しかも、そこには『善人村行き』という看板までかかっていたのだ。

幸治「なんや、ロープウェイあるやんか。」

充「ほんまや。こんな荷物いらんかったな。」

俺達2人は笑いながら券売機で切符を買い、ロープウェイに乗り込んだ。

このロープウェイでは

切符を券売機で購入する

改札を通り

停車しているロープウェイに乗り込み扉を閉める

人数と行き先が書いてあるボタンを押して

発車ボタンを押す

という一風変わったロープウェイだった。

俺達は、もうすぐ着く『善人村』にワクワクしながらロープウェイに乗っていた。

10分ぐらいがっただろうか、ロープウェイが駅に到着し、ようやく目的地に着いた俺達は期待を胸にロープウェイから降りた。

するとそこには、村人らしき人間が俺達を待ち構えていたのである。

村人「こんなところに客なんて珍しいな」

50ぐらいのおじさんが、びっくりした顔でいった。

俺達もびっくりしていたのだが何とか勇気を振り絞って聞いてみる。

充「おじさん、ここが善人村なんですか?」

村人「あぁ、そんな名前でも呼ばれてるなぁ」

幸治「呼ばれてる?」

村人「あぁ、ここの本当の名前は『典克村(てんこくむら)』という名前なんだ」

俺達は初めて知るこの村の名前などあまり興味が無く、ついにゴールもたどり着いたことがとても嬉しかった。

しかし、ここからが大事なことだった。

俺達は、今日の寝床を確保するためにおじさんに交渉を始めた。

幸治「すいません、いきなりなんですが今日どなたかの家に泊めていただけませんか?」

村人「あぁ、たぶんかまわんが親御さんはだいじょうぶなんか?」

充「えぇ、了解は得ています」

俺達は嘘をついて楽々と寝床を手に入れることができた。

そのままおじさんに村へ案内された俺達は、今日の寝る場所へ案内された。

家があまり広くないらしく、別々の家に案内されたのだが、お互いの話を照らし合わせたところ、両方ともおばあさんと若い女性が住んでいる家に案内されたようだった。

荷物を家に投げるように置き、俺達はさっそく村の探検に出かけた。

これがこの計画一番の目的なのである。

しかし、村のどこを探しても、隠された財宝などは見つからず、俺達の想像していたものとは少し違っていた。

それ以外にも何も無く、村人達の住んでいる民家以外には、

個人商店

居酒屋

本屋

八百屋

肉屋

ラーメン屋

ぐらいしかなかった。

聞いたところ、学校などは街まで降りなければないらしい。

あまりにも拍子抜けした俺達は、そのうちのラーメン屋に入って昼食にすることにしたのだ。

ラーメンを食べた後もいろいろと探検したのだが、結局の発見は、ラーメン屋のラーメンがかなりうまかったということだ。

しかも、店の主人は会計はいらないといってお金を受け取ってくれなかった。

最初2人は儲けたと思って喜んでいたのだが、俺は何かが引っかかっているように感じた。

そんなこんなやってるうちに日が暮れ、俺達はそれぞれの宿泊先に帰ることにしたのだ。

俺の泊まる家では夕食の準備が出来ており、腹が減っていた俺は用意された夕食をかきこむように食べた。

そんな俺をみて、おばあさんも若い女性もわらっていたので俺は何だか恥ずかしくなりうつむいてしまった。

するとまた2人とも笑い、とても和やかな食卓だった。

その後俺は、お風呂に入らせてもらった。

意外と広い風呂で、俺が1日の疲れと汚れをとっていると、そこにあの若い女性が入ってきたのだ。

女「お背中流しますね」

女性の突然の行動に俺はとても恥ずかしかったのだが、なんだか嬉しかったので

幸治「はい、お願いします」

といって、顔を真っ赤にしながら体を洗ってもらった。

顔を真っ赤にして風呂から上がるとそこにはもう布団が用意されており、疲れからか俺はすぐに眠りについてしまった。




深夜2時ごろだろうか…

俺は何かが動く物音で目が覚めてしまった。

どうやら、部屋の隅でなにかが動いているみたいだった。

俺は、何をしているのかと目を凝らして部屋の隅を見る…

するとそこには、猫のような小動物が20匹近く集まっており、俺の方を向いて目を光らせていたのだ。

何十個もの目が俺を見つめる…

俺は、悲鳴を上げそうになったが、何故か声が出ない…

何かで口を押さえられているみたいだった…

「ガッ…ウグッ…」

俺は必死に声を出そうとするが、こもったような声になり、周りには聞こえない。

俺は、得たいの知れない恐怖にそのまま意識を失った…







トントントントン…


翌朝、俺が目を覚ますと、そこにはおばあさんが台所で朝食を作っていた。

しかし、そこにあの女性の姿がなく、その女性の居場所と夜の出来事について聞くと、おばあさんに聞いてもそんな女は知らないし、昨晩は静かな夜だったと言う。

あまりのことに意味がわからなかった俺は、急いで充の泊まっている家に行き昨晩起きた出来事を話した。

しかし、充はその話を全く信じていないようだった。

充「幸治、何言ってんだよ」

幸治「本当だって」

充「どうせなんかの見間違いだろ。ていうか、ここかなり居心地いいし家の人ももう1泊していけって言うしさ、もう1泊していかねぇか?」

幸治「何言ってんだよ。親にはなんていうんだよ?」

充「まぁ何とかなるだろ」

まるで誰かに操られてここに残るように言わされているような充に恐怖を感じた俺は、充の泊まっている家を飛び出し、村の中を見て回ったのである。

すると、あるおかしなことに気がついた。


この村には、一人も若者がいないのだ…

むしろ、昨日よりも人口が確実に減っているのだ。

そして、この村の民家には全て狐が一匹いたのだ。

俺は言い知れない恐怖に襲われ、荷物を持ち、挨拶もせず急いで家から出た。

そのまま俺は嫌がる充を無理やりロープウェイに乗せ、そして何とか家に着いたのだ。

この村のことについては誰にも何も話さないと充に誓わせて…


後日、俺は『典克村』について色々と調べてみた。

するととても意外なことがわかっってしまったのだ…

まず、この日本に『典克村』、『善人村』などという名前の村も町も存在していないこと。

そして、日本のある地方では死んだ人々は天国に行く前に『典克』という場所に行き、『人としての考え方』、『旅人としての心』を学び、よく理解することで天国にいけるという言い伝えがあること。

しかも、その地方での神の使いが狐であること。


そして、極めつけはこれだった。

俺達が乗ったロープウェイは存在せず、『典克村』だと思っていた場所はただの墓地だったのである。



では、俺達はあの日どこに行ったのであろうか…

あの夜の光る目をした生き物は俺達をどのようにしようと思ったのか…

もしあのときに急いで帰らなければ今俺達はどうなっていたのだろうか…

今でも思い出すと身震いがする。

コメント(9)

世にも奇妙な物語みたいで、そそられました。

これって、話のピースをシェル氏が提供して、

ジローさんが組み立てる。

そんな感じでやってるんですか?
頭が中々作品においつかなくて休みまで筆記を延ばしてるシエルです泣き顔
風邪治ったら速攻やのに…

懐かしい作品ですねわーい(嬉しい顔)

これは僕の中でも5本に入る合作だと思っていますほっとした顔

納得の出来るネタを更に上回るじろうさんのアレンジには一目もニ目も置いてしまいました(笑)

善人村はゲームに為ってもおもろい気が(笑)

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