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荒野に生きるチームコミュの吉良 Change the worlD vol.52

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【第51話】http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=29708041


「私はね、吉良くん。再びのぞみを喪おうとしている」

 奥平の書斎には、由美子も付いてきた。

「発端は、君も儀一郎に聞いて知っているかも知れないが、大人の我が儘だな。永遠の若さ。永遠の命。そんな夢物語だ」

 儀一郎に聞いて?では、こいつは義一郎なのか。

「研究は30年前に遡る。僕もまだ若かった。奥平製薬もまだ親父の代でね、官民合同プロジェクトに参加していた。表向きは、癌の特効薬。インターフェロンを聞いたことは?」

 吉良は頷いた。癌の特効薬ともてはやされたが、いまだに認可が降りない薬だ。

「その裏では、不死化の研究が行われていたのだ。死にたくないという、この国の老害どもの願いを叶えるためにな」

 不死化。前に単衣に聞いていたことだ。

「細胞の不死化はそう難しくない。細胞周期やDNA損傷を監視して細胞老化に導くp53やRbタンパク質を抑制し、さらにテロメラーゼを導入することで不死化させることが可能だ。それによってテロメア長が維持されるわけだ。だが、不死化には問題があった。不死化と癌化はニアイコールなのだ。研究は行き詰まり、新たな方法を模索した」
「‥‥それは」

 由美子が、奥平の執務机の天板を叩いた。

「クローニングね」
「そうだ」
「あなた、何者?奥平先輩は、儀一郎さんはどこ?」

 由美子は義一郎を知らないのか。

「ああ、申し遅れた。吉良くんも、初めましてというべきだな。あの時はカメラ越しだったし、まだこの肉体ではなかった」

 カメラ越しだと?

 吉良は、急に寒気を感じた。この違和感の正体は、一体何だ。

「初めまして。僕が、奥平一郎だ。儀一郎は、もう存在しない。その肉体は、ここに在るがね」

【第53話】http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=29907481

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