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■Patrick Blanc■コミュの今更ながらPen No.248

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観るものを圧倒する、壁面緑化の魔術師。

2006年、セーヌ川ブランリー河岸に落成したケ・ブランリー美術館。設計者のジャン・ヌーヴェルの依頼を受け、パトリック・ブランがつくり出したのは800?もの壮大な“垂直の緑の壁”。アジア、オセアニア、アフリカ、南米などの文明や文化をテーマにしたこの美術館に呼応させ、さまざな色や形の約150種類もの植物を選び、タペストリーのように植え込んだ。
観る者を圧倒するこの作品によって、ブランの“緑の壁”が世界的に認知されたことは間違いない。

コメント(6)

幼少時代の実験で培った、植物ね知識と順応性。

07年に手がけたマドリードのカイシャ・フォーラム美術館の壁面は、夏と冬の気温差が激しい土地の気候を考慮し、およそ300種類の地中海の植物を使っている。その地域の特性を念頭に、ブランは壁面緑化を考える。
「マックス・ジュヴェナル橋は、下が車道のため“スピード”をテーマに図案を制作しました」。斜めに走る緑のグラデーションの帯が、スピード感のあるデザインを見事に表現している。
ブランは熱帯性植物を専門とする植物学者であり、国立科学研究センターの研究者でもある。パリのデザインホテル「パーシングホール」の壁面を手がけた際、都市に緑をもたらす新しい手法が、エコロジーへのユニークな取り組みとして大きな関心を集め、活躍の場も広がっていったのである。
ブランは幼少の頃、熱帯魚に魅了されていた。水槽に、植物の根を入れると水が浄化されると知り、フィルターに取り付けたら絶大な効果があった。大学時代には念願だったタイとマレーシアへの旅を実現し、切り立った岩を覆うシダやコケなどの光景に心を奪われる。帰国後、家の植物をその光景をまねて垂直に生やしてみた。給水の試行錯誤も繰り返し、ついに緑の壁が完成。彼の仕事は、幼少からの自然への希求の延長線上にあったのだ。
世界中で都市の自然破壊に対して警鐘が鳴らされているなか、植物の生態を知ることが大切だとブランは言う。「人工のものと自然の共存は可能です。熱帯性植物はパリで栽培すると、原産地での姿を変貌させ、驚くほど環境に適応していきます。人の手を介し、新しい自然環境をつくれば、生態系を守っていくことができるのです」
生来パリに住む都会っ子だが、自然を愛するブラン。最近、家で飼う熱帯魚や鳥の数が増えてしまい、引っ越しを余儀なくされた。いまは、背が4mの巨大な植物を育てる環境を考えている。
どこまでも広がっていくブランのアイデア。次はどんな緑で我々を驚かせてくれるのだろうか。ペン
1953年パリ生まれ。理学国家博士号取得。CNRS(国立科学研究センター)研究員で植物の適応性を研究。88年パリ科学産業博物館で初の“緑の壁”を制作。日本の金沢21世紀美術館などの壁面も手がける。
ケ・ブランリー美術館

ジャン・ヌーヴェルの設計で2006年6月にオープン。パトリック・ブランの壁面緑化は、この美術館で一躍有名に。800?を覆うグリーンが、エキゾティックな雰囲気を醸し出している。
カフェ・トラサルディ

2008年に“トラサルディ”のブティックに併設されたカフェ。ガラス張りのテラスの上部を、外観だけでなく内部もグリーンが覆う。天井からは採光が緑に射し込み、都会の中の憩いの場としてイタリアで話題に。
カイシャ・フォーラム美術館
Caixa Forum Museum

古いレンガを再利用した橙色の壁と幾何学的な緑のコントラストの壁が印象的。夏と冬の差が激しい気候を考慮し、600?の壁を地中海の植物、およそ300種で覆った。2007年。
マックス・ジュヴェナル橋
Pont-Route Max Juvenal

エクス・アン・プロヴァンス市新興地区のプロヴァンス大劇場とオフィス街をつなぐ橋。650?の緑は、高架下を走る車の速度を感じさせるような流れるデザインが特徴的。2008年。

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