ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

師匠 シリーズ コミュの先生後編2

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「先生。怒ったふり、すっごく上手かった」

本当だった。
近付いてきた時、絶対叩かれると思ったのだから。
それを聞いて先生は、あはっと笑った。
とても嬉しそうに。

「ありがとう。驚かせてゴメンね。でも迫真の演技じゃないと意味なかったから。錆付いてると思ってたんだけどな。私これでも役者を目指し・・・」

きゅっ、と口が閉じられた。
顔が一瞬強張り、そしてこくんと喉が動いた後、先生は目を伏せたまま声もなく笑った。
風が吹き渡るどこまでも高い空の下で、ほんのひと時僕の前に覗いた先生の夢はゆっくりと閉じられていった。
それはどうしようもなく繊細で、綺麗だったけれど、きっといつまでも見続けてはいけないものだったのだろう。
コン、コン。
咳が聞こえた。
どこか遠くから聞こえた気がした。
でも目の前で先生が口を押さえている。
とても落ち着いた顔をしていた。

「私も」

ただの咳払いではなかった。
少しおいて、先生はまたコン、コン、と咳をした。
そしてゆっくりと顔を上げる。

「ゴメン。私も風邪を引いたみたい。うつるといけないから、明日からお休みにしましょう」

そんな。そんなのはいやだ。
風邪なんかへっちゃらだ。
だから休みなんて言わないで。
そんなことを口走る僕を押しとどめ、先生は目を細めて言う。

「駄目。悪い風邪なのよ。治ったら、きっと世界史の続きを教えてあげるから」

だだをこねる僕に先生は諭すように肩に手を置く。

「今日はあなたも顔色が悪いわ。あなたも少し休んだ方がいいみたい」

そんなことない、そう言って飛び跳ねようとして、グラッと膝が落ちる。
だめだ。
やっぱり朝から調子悪い。
風邪なんかじゃないのに。
悔しかった。
もう二度と先生と会えないような気がした。
顔を背け、またコンコンと言ってから先生は僕の目を見る。

「あなたが始めに洞窟に入った時、不思議な幻を見たわね。赤い着物がヒラヒラしてるのを」

終わってしまったはずの事件のことを急に言われて戸惑ったけれど、なんとか頷く。

「怖い怖いと思う心が生んだはずの幻なのに、まったく関係がない赤い着物の幻なんてどうして見たんだろうと、あなたは思った」

そうだった。
どうして赤い着物なんだろうと。
でも、結局洞窟の奥には隠れられる場所もなく、誰もいなかったのだから、ただの幻には違いない。
そんな僕に、先生はゆっくりと首を振る。

「この村ではね、若くして死んだ女の子には白い経帷子ではなくて、赤い着物を着せて弔うのよ。その子の嫁入りのために貯めていたお金で、残された親が最後のお祝いをしてあげるの。晴れのない袈なんて、あんまり可哀相だもの。もっとも今はもうしていない、大昔の風習だけれど。そしてあの洞窟のある山は死者の魂が惑う場所として恐れられていた所なの。即身仏になったお坊さんはそれを鎮めるために入山したと伝えられているそうよ」

なんだか変な気分だ。
僕が見たものはただの幻ではなかったのだろうか。

「いいえ。幻よ。もうこの世にはいない。でも、あなたはそれを見る」

先生の目が、吸い込まれそうに深く沈んだような輝きで僕の目を捉える。

「あなたは、誰にも見えない不思議なものを見るのよ。これからもずっと。それはきっとあなたの人生を惑わせる」

唇がゆっくりと動く。
滑らかに、妖しく。

「それでもどうか目を閉じないで。晴れの着物を見てもらえて嬉しかった。そんなささやかな思いが、救われないはずの魂を救うことがあるのかも知れない」

僕はゴクリと唾を飲んだ。
それから2回頷いた。
何故か涙があふれ出てきた。
先生は

「さようなら」

と言った。
僕も

「さよなら」

と言った。
ふらふらとしながら教室を出て、廊下を抜け、階段を下り、下駄箱で靴を履く。
そして校庭に出て、少し歩いてから振り返る。
2階の教室の窓には先生がいる。
出会った頃のままの笑顔で。
その隣には千羽鶴が揺れている。
千羽にはきっと足りないけれど、たくさん、たくさん揺れている。
先生が手を振る。
僕も手を振る。
そして、出会ってから一度も先生が学校の外に出ていないことを思い出す。
カンカンと太陽は照りつけているのに、校舎の古ぼけた瓦屋根がやけに色褪せて見えた。
坂を下りて行くと、だんだん学校が見えなくなる。
僕は手を下ろし、畦道を通り、森へ向かう。
鎮守の森はいつになく暗く湿っている。
真っ暗で夜そのもののような木のアーチを抜け、黒い土の道を踏みしめる。
頭がぼうっとしてくる。
気分が悪い。
神社の参道の前を通る。
いつもは通り過ぎるだけなのに、何故かふらふらと入ってしまう。
ギャギャギャギャギャと鳥の泣き声がどこからともなく響く。
お賽銭箱にポケットに入っていた十円玉を投げ入れる。
チリンという音がする。
僕は手を合わせる。
先生の風邪がよくなりますように。
みんなの風邪がよくなりますように。
そして参道を戻る。
鳥居の下をくぐる。
そう言えば、前に通った時にはくぐらなかったことを思い出す。
なにかが頭の中を走りぬける。
時間が止まったような気がする。
いや、違う。
止まっていた時間が今動き出したのだ。
ぐるぐる回る頭を抱えて森を抜け、どうやって帰ったのかよく覚えていないけれど、次に気が付いた時はイブキの見える庭に面した部屋の中で、僕は布団に入りびっしょりと汗をかいてウンウン唸っていた。
熱が出て、僕は2日間横になったままだった。
夢と現実の境目がよく分からなかった。
色々なものが嵐のように駆け抜けて行った。
ぬるくなった額の濡れタオルを時々誰かが換えてくれた。
それはおばさんだったような気もするし、ヨッちゃんだったような気もする。
咳はあんまり出なかった。
ただ鼻水がやたらに出た。
鼻紙をそこら中に散らかして僕はふうふう言い続けた。
ようやく熱が引いた3日目の朝、目を覚ました僕の隣にシゲちゃんが座っていた。

「もうほとんど平熱じゃ」

と言って僕からタオルを取り上げる。
横になったまま文句を言う僕と何度か軽口を応酬し、それからすっと黙った。
外は良い天気のようだ。
考えると、この村にいる間、雨なんかほとんど降っていない。
ふと畑の野菜は大丈夫だろうかと思った。
やがてシゲちゃんは決心したように閉じていた口を開く。
そして、あの顔を変えたのは自分だと言った。
僕は知ってたよと言う。
驚いた顔。
すべては先生の推理の通りだった。
失敗にもへこたれないシゲちゃんがあんなにも元気がなかったのは自分のせいで友達に大怪我をさせてしまったからだ。
だけど僕も知らなかったことが1つ。
シゲちゃんは事件の翌日、顔入道の上に貼ったもう1つの顔を剥がした後で、一人で隣町の病院まで歩いて行ったのだそうだ。
タロちゃんへのお見舞いだ。
病室のベッドでぐったりしていたタロちゃんは、もちろんシゲちゃんの仕業だってことをもう分かっていて、それでも怒りもせず変に照れくさそうな顔をして苦笑いを浮かべた。
腰を抜かして逃げ出したなんてこと、恥ずかしいから誰にも言わないでくれと、そう言って頭を掻くのだった。
だからシゲちゃんは大人に何を聞かれても黙って怒られているんだ。
僕はシゲちゃんがもっと怒られるのが怖くて自分の仕業だということを隠しているんだと思っていた。
潔く責任を取ることが親分のあるべき姿だと思って失望をしかけていたのに、シゲちゃんはタロちゃんの心情を考えて最初からすべてを飲み込んでいたのだ。
やっぱりシゲちゃんは立派な親分だった。
イタズラ好きさえなければ、だけど。

「先生ってな誰のことじゃ」

突然シゲちゃんがそう言った。
僕がうわごとで口にしたらしい。
しまった、と思った。
なにを口走ったんだろう。
そう言えば、熱を出してる時に先生に会ったような気がする。
ここにいるはずがないのに。
でもここにいるつもりになって先生に話し掛けてしまったのかも知れない。
ああ。すべてに知恵が回るシゲちゃんのことだ。
へたな言い逃れは余計なやっかいを生むかもしれない。
僕は観念して、鎮守の森の向こうの集落のこと、そして夏休み学校のことを話した。
自分でももう、コソコソするのは潮時のような気がしていた。
話している内に、気分が晴れやかになっていくことに気付いた。
こんなにも先生のことを誰かに話したかったんだ。
自慢したかったんだ。
そう思いながらシゲちゃんの顔を見ると、怪訝そうな表情で首を傾げている。

「まだ熱があるようじゃ」

シゲちゃんは、鎮守の森の向こうにはなにもない、と言った。
そして、寝とれと僕に取り上げていたタオルを投げてよこし、部屋から出て行った。
僕は狐につままれたような気になり、どうしてシゲちゃんはまだ嘘をつくんだろうとイライラしながらまた眠りについた。
どれくらい眠っただろうか。
誰かが部屋に入ってくる気配がして、僕は目を覚ます。
襖を閉めて布団のそばにやってきたのはじいちゃんだった。

「鎮守の森の向こうに行ったのか」

とじいちゃんは聞いてきた。
シゲちゃんから聞いたようだ。
そうだ、と僕が口を尖らすと、いつになく難しい顔をして腕組みのまま胡坐を掻いた。
そして僕の耳は信じられないことを聞いた。
あの集落は、じいちゃんが子供の頃に恐ろしい病気が流行ってみんなバタバタと死んでしまい、残った人々も集落を捨てて散り散りになり、今では誰もいない集落の跡だけが打ち捨てられているのだという。
そんなわけはない。
だって僕は現にその集落に行ったのだし。
現に先生に会ったのだし。
現に・・・
ハッとする。
僕はその時、あの森の向こうの空間にはのどかな山間の集落が確かに存在したけれど、先生以外の人間に出会っていないことに今更のように気付いた。
校舎の隣の家にいるという先生のお母さんも、僕の他に4人いるという夏休み学校の生徒も、結局誰一人として見ていない。
でも本当にそんな捨てられた集落だというのなら、どうして先生はあんなところに一人でいたのだろう。
そして、どうして嘘をついていたのだろう。
分からない。
考えていると、また熱がぶりかえしてきそうだ。

「その病気って、なに?」

ようやくそれだけを言った僕に、じいちゃんはムスッとしたまま答えた。

「結核じゃ」

結核。
テレビで見たことがある。
昔のドラマで、療養所に入っている女性が咳をしていたのが思い浮かぶ。

「肺結核でな。診ることのできる医者がおらんかった」

風邪が流行っているのよ。
風邪が流行って。
咳だ。咳。
先生も咳をしていた。
どういうことなんだ。
わけが分からず、僕はその言葉を何度も頭の中で繰り返す。
じいちゃんはそんな僕から視線を逸らして立ち上がり、部屋から出て行こうと襖に手をかけてから、思い出したように言った。

「わしらが顔入道さんの怒った顔を見たのもその頃じゃ」

もう行くでない。
ピシリ。
襖が閉まる。
わけが分からない。
いや、僕の頭のどこか隅の方では分かっている。
ただ、分かりたくないのだった。
僕自身が。
頭を抱えていると、少ししてまた襖が開かれ、今度はおかゆをお盆に乗せてばあちゃんが入ってきた。
僕はばあちゃんにすがるように訴える。

「でも、先生は知ってた。大きなイブキの庭のある家って言っただけで、シゲちゃんって」

ばあちゃんは、はいはい、と子供をあやすように僕の手を掻い潜ってお盆を枕元に置き、なんでも知っているという顔でむにゃむにゃと呟いた。
じいちゃんは子供の時分、音に聞こえた大変なイタズラ小僧で、近隣の集落のものならば誰でも知っていたというほど悪名を轟かせていたのだという。
名前は茂春。
孫のシゲちゃんはその一文字をもらったのだそうだ。
じいちゃんが子供の頃からこの家の庭のイブキの木は、大きな枝を家の屋根まで伸ばしていたのだと言う。

「やっぱり憑かれちょったな。あやうい。あやうい。取り殺されんで良かった。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

ぶつぶつと言うと

「エッヘ」

と腰を上げじいちゃんと同じように部屋から出て行った。
取り憑かれていた?僕が?
色々なことが頭を駆け回りすぎて、ガタガタと身体が震えた。
そして知らないあいだに涙が流れていた。
僕の風邪はただの風邪だった。
感染性の恐ろしい病気などではなかった。
すっかり身体が良くなっても僕はあまり外には出なかった。
家にこもって宿題をやり、全部片付けてしまうと今度は公民館にある図書室で本を借りて読んだ。
シゲちゃんや病院から戻ったタロちゃんなんかが遊びに誘ってきても、あんまり気が乗らなかった。
それでもダンボールで作ったスーパーカーに乗り込んで遊ぶ仲間達を見ていると、みんなあんまり出来が悪いので居ても立ってもいられなくなり、カッコいいフェラーリを作成して参戦した。
ただぶつけて遊ぶだけなのだが、フェラーリの輝くボディに恐れをなしたやつらが逃げ回るのは気持ちが良かった。
最後はシゲちゃんと一騎打ちになってとうとう負けてしまった。
シゲちゃんのボディには、ダンボルギーニ・カウンタックとマジックインキで書いてあった。
やっぱりかなわない。
そんな風に僕は少しずつ元気になっていったけれど、鎮守の森には近付かなかった。
もう行くでないとじいちゃんに言われたこと、そして先生自身に来てはいけないと言われたことを、自分への言い訳にしていたのかも知れない。
考えないようにしても夏は終わる。
僕にも帰るべき本当の家があり、学校がある。
このまま目を閉じ、耳を塞いだままには出来なかった。
ケジメだと思ったのだ。
案外律儀な子供だったらしい。


明日にもお世話になったシゲちゃんの家からおいとまするという日。
僕は鎮守の森へ一人で入っていった。
あいかわらず耳の痛くなるような蝉時雨の中、薄暗い葉陰の下を黙々と歩く。
神社の参道を横目に、道の奥へと足を進める。
雨がほとんど降らないので、柔らかい土についた足跡が汚らしく残っているのが目に付く。
みんな僕の足跡のようだった。
僕はそれを見ながら思い出す。
あの日、初めてこの森を抜けた時、神社より向こうには誰の足跡もついていなかったことを。
よく考えるとおかしい。
先生が言っていたように、僕らの村と森の向こうの集落との間にはこの鎮守の森を抜ける他に道がないのであれば、人の足跡がたくさんついているはずなのだ。
役場だって郵便局だって森のこっち側にしかないのだから。
そんな綻びを見つけられないまま、僕は知らず知らずのうちにこの世の裏側に足を踏み入れていたのだろうか。
俯き加減で黙々と歩き続け、暗い木のアーチを抜けると青空が頭上に広がった。
同じだ。
緑の畦道、畑、蛙の鳴き声、空を横切るツバメの羽の軌跡。
目の前の光景に一瞬目を細めて、そしてやがて気付く。
畦道に雑草が生い茂っていること。
畑にも雑草が生い茂っていること。
蛙の鳴き声はずっと小さいこと。
山の中腹に見える民家は、屋根に穴が開き、とても人が住んでいるようには見えないこと。
そして同じことが1つ。
電信柱も電線も、どこにも見えない。
僕はふらふらと畦道を歩く。
絡まる草を踏みつけながら、坂道の前に着いた。
なだらかに続き、見上げるとその向こうには古ぼけた瓦屋根がある。
汗を振り払いながら僕は坂を登る。
途中で振り返り、集落を見下ろす。
誰もいない。
動くものの影と言えばツバメばかりだ。
所々に白い花が咲いている。
僕は広場に着く。
校庭と呼ばれて初めてそうであると気付いたはずの場所は、今はそう言われても分からない。
朽ちた木片が散乱する荒れ果てた広場だった。
そしてその向こう。
僕が毎日見上げていた校舎は黒く変色して酷く歪んでいる。
壁にはいたる所に穴が開き、ささくれ立った木片がギザギザに突き出ている。
向かって左下、小さな母屋があった場所には焦げたような跡と、瓦礫の残骸があるだけだった。
僕は目の前の光景が意味するもののことを考える余裕もなく、ふらふらと夢遊病のように玄関口に吸い込まれていった。
中はさらに酷い有様で、煤と穴と木切れの山だった。
下駄箱の残骸の横を通り抜け、靴のまま校舎の廊下に上がる。
蜘蛛の巣を払い除けながら階段に足をかけると、バキッと音がして底が抜けそうになった。
すぐに足を引っ込め、大丈夫そうな場所を何度も体重をかけて確かめながら一段一段上っていった。
ボロボロの壁に手をついて、手の平を真っ黒にしながらようやく2階に辿り着くと、僕は首をめぐらせる。
6年生と書いてある白い板はどこにも見あたらない。
ただ朽ち果てた木の床と壁が作り出す灰色の廊下が伸びていた。
僕はゆっくりと歩き、いつか先生が手を振って迎えてくれた教室へ足を踏み入れる。
その瞬間、クラクラと頭が揺れた。
5つあり、先生がもう1つ運んできてくれたので全部で6つになったはずの机は、1つもなかった。
ただ木の残骸が教室の隅に無造作に折り重ねられているだけだった。
教壇には大きな穴が開き、黒板があった場所には煤けた壁だけがある。
なんだろうこれは。
なんだろう。いったいなんだろう。これは。
そうだ。ハリボテなのだ。
本物の上に被せられたハリボテ。
よく出来ている。
これならみんな騙せる。
じいちゃんだって、シゲちゃんだって。
僕だって。
そしてこれからそれは勝手にすり替わるのだ。
本物の教室には先生がいて、僕の知らない遠い国の物語を話して聞かせてくれるのだ。
・・・なにも起きなかった。
僕はずっと待っていた。
それでもなにも起きなかった。
ふと、窓の方を見た。
折り紙の鶴でいっぱいだった窓にはもうなにもぶらさがってはいない。
足を引きずるようにそちらに近付く。
先生がいつも頬杖をついていた窓際に僕も立った。
窓枠は腐ったように抉れていて、とても肘をつけそうにない。
僕は先生がいつもふいに遠くなったように感じたことを思い出す。
そんな時、先生はいつもぼんやりと窓の外を見ていた。
思えば初めて会った時だってそうだ。
何度も先生を呼び、ようやく気付いてくれた時、ぱちんという感じに世界が弾けた。
その瞬間に、僕と先生の世界がつながったのだ。
先生はいつも白い花柄の服を着ていた。
清潔なイメージにそぐわない、同じ服だったような気がする。
捨てられた校舎の中で、学校の先生の時間は止まったままだったのだろうか。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

師匠 シリーズ  更新情報

師匠 シリーズ のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング