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師匠 シリーズ コミュの空き缶で創作

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98 :本当にあった怖い名無し:2007/10/02(火) 15:35:04 ID:vEFKGLUt0
「中身を飲み干した空き缶を素手でベッコリ潰す」
このように日常にありふれた1シーンを、ウニさんみたいにくどく意味ありげにオカルトチックに記述したらどうなるか非常に興味があります。
できればこれで怪談を一篇書いてもらえたらと思います。


101 :本当にあった怖い名無し:2007/10/03(水) 02:52:33 ID:EFf57jCSO
>>98
缶の中身はいつのまにかなくなっていた
中身がなくなった途端にただのゴミとしか思えなくなったこの物体に対し、俺は少なからず寂しい気持ちを覚えた。

ベコッ

不快な音を起てながら、綺麗だった円柱は俺の手の中で見るも無惨な姿に変わっていく。
そんな無駄なことを考えながら俺は、今も何処でオカルトに顔を突っ込んでいるであろう師匠のことを思い出し、心の中で笑った。


105 :本当にあった怖い名無し:2007/10/03(水) 19:55:03 ID:JxZJjGzp0
>>101
やられた…先を越された。
とりあえず即興で書いてみたら贋作っぽくなった。
何とでも言え!

師匠の家に遊びに行ったときの話だ。
来るなり「喉が渇いた。コーラでも買ってこい」と師匠が言うので、俺はしぶしぶ外まで買いに出る。
コーラを飲み干した師匠が言った。

「霊は器に入りたがっている」
「ハァ?」

口の中でシュワシュワと泡がはじける。
師匠は空き缶を指さし「これも器の一つだからね」と、そっけなく語った。

「探しているんだ。自分の入り込める隙間を」

霊は自分の居場所が分かってない奴が多いんだ。
師匠は意味ありげに笑って、空き缶を潰す。
ベコッ、という間の抜けた音がした。

「潰す意味が分かるか?」
「いいえ。師匠の考えることなんて、全部俺の想定外ですから」

俺は首を振る。
すると、師匠が不満そうに首を傾げた。
「僕の言ったことが理解できないのか」とでも言いたげな表情だ。
先程の不気味な笑みを思い出す。
師匠が何を言いたかったのか、分かった。

「入り込めないようにするためですね」
「その通り。あと、地球にも貢献しようか」

師匠は中身のない"器"を放り投げる。
潰された"器"は、くるくると回転しながらゴミ箱に落ちた。

これでお終い。
師匠がまた、不気味に笑う。
この人の考えていることはやっぱり分からない。
俺は師匠に返すように、力なく笑ってみせた。


187 :ドラム缶 1/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:24:12 ID:kKN4rVt90
これは俺の体験の中でもっとも恐ろしかった話だ。

大学1年の秋頃、俺のオカルト道の師匠はスランプに陥っていた。
やる気がないというか、勘が冴えないというか。
俺が「心霊スポットでも連れて行ってくださいよ〜」と言っても上の空で、たまにポケットから1円玉を4枚ほど出したかとおもうと手の甲の上で振って、「駄目。ケが悪い」とかぶつぶつ言っては寝転がる始末だった。
それがある時急に「手相を見せろ」と手を掴んできた。

「こりゃ悪い。悪すぎて僕にはわかんない。気になるよね? ね?」

勝手なことを言えるものだ。

「じゃ、行こう行こう」

無理やりだったが師匠のやる気が出るのは嬉しかった。
どこに行くとは言ってくれなかったが、俺は師匠に付いて電車に乗った。
ついたのは隣の県の中核都市の駅だった。
駅を出て、駅前のアーケード街をずんずん歩いて行った。


188 :ドラム缶 2/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:24:52 ID:kKN4rVt90
商店街の一画に『手相』という手書きの紙を台の上に乗せて座っているおじさんがいた。
師匠は親しげに話しかけ、「僕の親戚」だという。
宗芳と名乗った手相見師は「あれを見に来たな」というと不機嫌そうな顔をしていた。
宗芳さんは地元では名の売れた人で、浅野八郎の系列ということだった。
俺はよくわからないままとりあえず手相を見てもらったが、女難の相が出てること以外は特に悪いことも言われなかった。
金星環という人差し指と中指の間から小指まで伸びる半円が強く出ているといわれたのが嬉しかった。
芸術家の相だそうな。
先輩は見てもらわないんですか?と言うと、宗芳さんは師匠を睨んで

「見んでもわかる。死相がでとる」

師匠はへへへと笑うだけだった。

夜の店じまいまできっかり待たされて、宗芳さんの家に連れて行ってもらった。
大きな日本家屋だった。
手相見師は道楽らしかった。

189 :ドラム缶 3/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:25:36 ID:kKN4rVt90
晩御飯のご相伴にあずかり、泊まって行けというので俺は風呂を借りた。
風呂からでると、師匠がやってきて「一緒に来い」という。
敷地の裏手にあった土蔵に向うと、宗芳さんが待っていた。

「確かにお前には見る権利があるが、感心せんな」

師匠は硬いことを言うなよ、と土蔵の中へ入って行った。
土蔵の奥に下へ続く梯子のような階段があり、俺たちはそれを降りた。
今回の師匠の目的らしい。
俺はドキドキした。
師匠の目が輝いているからだ。
こういう時はヤバイものに必ず出会う。

思ったより長く、まるまる地下二階くらいまで降りた先には、畳敷きの地下室があった。
黄色いランプ灯が天井に掛かっている。
六畳ぐらいの広さに壁は土が剥き出しで、畳もすぐ下は土のようだった。
もともとは自家製の防空壕だったと、あとで教わった。


190 :ドラム缶 4/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:26:20 ID:kKN4rVt90
部屋の隅に異様なものがあった。
それは巨大な空き缶だった。
俺の胸ほどの高さに、抱えきれない横幅。
しかも見なれた3ピース缶や2ピース缶でなく、継ぎ目がついた圧延された空き缶だ。

「これって、アルミ缶じゃないんスか?」

宗芳さんが首を振った。

「いや、スチール缶だな。セメントを貯蔵するための器だ」

そんなものがなんでここにあるんだ? と当然思った。
師匠は空き缶に近づくとまじまじと眺めはじめた。

「これはあれの祖父がな、戦時中のどさくさでくすねてきたものだ」

宗芳さんは俺でも知っている戦場の名前をあげた。
その時、師匠が口を開いた。

「これがセメントを貯蔵してたって?」

笑ってるようだ。
黄色い灯りの下でさえ、空き缶は生気がないような暗い色をしていた。
宗芳さんが唸った。

「あれの祖父はな、この空き缶は人骨を納めていたという」


191 :ドラム缶 5/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:27:52 ID:kKN4rVt90
「見えると言うんだ。空き缶の口から覗くと、死者の顔が」

俺は震えた。
秋とはいえ、まだ初秋だ。
肌寒さには遠いはずが、寒気に襲われた。

「ときに空き缶から死者が這い上がって来るという。死者は部屋に満ち、土蔵に満ち・・・外から閂をかけると町中に響く声で泣くのだという。」

俺は頭を殴られたような衝撃を受けた。
くらくらする。
頭の中を蝿の群れが飛び回っているようだ。
鼻をつく饐えた匂いが漂い始めた。
まずい。この空き缶はまずい。
霊体験はこれでもかなりしてきた。
その経験がいう。
師匠は空き缶の口を覗き込んでいた。

「来たよ。這いあがって来てる。這いあがれ。這いあがれ」

目が爛々と輝いている。
耳鳴りだ。
蝿の群れのような。
今までにないほどの凄まじい耳鳴りがしている。


192 :ドラム缶 6/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:30:20 ID:kKN4rVt90

見ろよ!
こいつらは60年立ってもまだこの中にいるんだよ!
こいつら人を食ってやがったんだ!
これが僕らの原罪だ!


193 :ドラム缶 7/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:31:40 ID:kKN4rVt90

ここに来い!僕の弟子なら見ろ!覗き込め!この闇を見ろ!
此岸の闇は底無しだ。あの世なんて救いはないのさ!
食人の、共食いの業だ!
僕はこれを見るたびに確信する!
人間はその本質から生きる資格のないクソだと!


194 :ドラム缶 8/9  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:32:45 ID:kKN4rVt90



195 :ドラム缶 ラスト  ◆mU0w/NftCw :2007/10/11(木) 22:34:32 ID:kKN4rVt90
バチンと音がして灯りが消えた。
消える瞬間に青白い燐が空き缶から立つのが確かに見えた。

「いかん、外に出るぞ!!」

宗芳さんが慌てて言った。
宗芳さんは喚く師匠を抱え、俺はめったやたらに梯子を上り、逃げた。
宗芳さんは師匠を引っ張り出し、土蔵を締めると今日はもう寝て明日帰れと言った。
その夜、一晩中強い風が吹き俺は耳を塞いで眠った。
その事件のあと、師匠は元気を、やる気を取り戻したが俺は複雑な気持ちになった。

207 :空き缶 0/0  ◆dl.qzEBdn. :2007/10/13(土) 02:45:42 ID:qZNv4Abr0
師匠が空き缶をくれた。

「それは数多の魂を飲み込んだ呪いの缶だ」
「彼岸の闇が封じ込められている。覗いてみろ」

缶の口からドロドロとおぞましく闇が溢れ出てきた気がした。
全身が総毛立ち、目眩と寒気が僕を襲った。
本能が見てはならないと告げている。
師匠は恐怖に凍りついた僕を見て落胆した表情をみせる。

「所詮お前はこの程度か」

僕の手から空き缶を取り上げると無造作に握りつぶした。

『ベコリ』

師匠の手の中から闇が広がる。
僕は闇に飲み込まれ、意識を失った。

「おい、しっかりしろ」

頬を叩かれて目を覚ました。
師匠がつまらなそうな顔で僕を見ている。

「冗談だ。あれは只の空き缶だ」
「お前に覚悟があれば、本物を見せてやったんだがな」

そういって師匠は先の物とは違う空き缶を眺めるのだった。


228 :空き缶:2007/10/15(月) 00:48:03 ID:EHX8hH3wO
ベコリ

鈍い音に顔を上げると師匠が空き缶を潰していた。
そういえばこの人は必ず飲み終わった缶を潰している。

「どうして潰すんですか」

何気ない問いのつもりだが、やはり師匠だった。

「器だからな」
「は?」
「入ってこようとするんだよ」
「…………」

何が、とは聞くまでもない気がした。
代わりに師匠が差し出した潰れた缶を覗き込む。
ブブブウ゛ウ゛、、、
何の音か疑問に思うと同時に、この世で最も見たくない黒い害虫が鼻先をかすめていった。
心臓が跳ね上がり思わず飛びずさった。
背中に冷たい汗が流れていた。
害虫は開け放した窓から夜空に消えた。
視線を戻すとそんな俺を師匠が愉快そうに眺めていた。
抗議の目を向けると肩をすくめ、「入り込むモノが何であれ、意味合いは変わらない」などと言う。
俺は文句をいってやろうと口を開きかけ、潰す直前まで確かに師匠が缶を口に運んでいたことを思い出し、

「もう少し部屋、片付けましょうよ」

結局、それだけを言って師匠の部屋を後にした。
師匠の部屋で食べ物をすすめられても絶対に食べないと心に誓いながら。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
初めてこういった文を書きました。
お・


229 :本当にあった怖い名無し:2007/10/15(月) 00:50:27 ID:EHX8hH3wO
>>228です。
すみません、変に切れてしまいました。
最後は↓

お手柔らかに感想いただければ幸いです。

です。


254 :カニ ◆ug0HcINQ2c :2007/10/16(火) 13:03:18 ID:mm7I+Ldp0
同じく空き缶ネタで創作してみた。

汗がしつこく耳元を通り首筋に落ちている。

「あっつ・・・・・・」

また何度もボタボタと汗が落ちてくる。
大学2回生の初夏、俺は師匠と大学主催の除草作業に参加していた。
俺のオカルト道の師匠が大学主催のイベントに参加しているだけでも大変珍しいのにましてや、「僕らが担う僕らの町を僕らの手で守ろう!」などとエイブラハム=リンカーンの言葉を拝借したようなうたい文句のイベントに師匠が自発的に参加を決めたことが俺にとっては違和感だらけなことだった。
「暑いし嫌ですよ」と嫌がる俺まで参加させてた師匠は「たまには地域に貢献するのも良いものだよ。ホラ、僕たちいつも悪いことしてるでしょ。」とニヤニヤして俺に言い放った。

いつも悪いことしてると思っているのか。
確かに、「そこにあるもの」を「そのまま」にしない俺たちは悪いことをしているのかもしれない。
何故こんな暑い中除草作業なんかしているのかということを暑さでぼーっとする頭で考えながら道端に落ちているゴミを拾い続けている中、師匠に目をやると結構楽しんでいるようだ。

255 :カニ ◆ug0HcINQ2c :2007/10/16(火) 13:04:08 ID:mm7I+Ldp0
「ここにはこんなに煙草の吸殻が固まって落ちている。電柱の側。見えうる窓はあそこ一つ。ベランダにはパステルカラーの洗濯物。」
「片方だけの軍手。ここいらの近くに工事をしていた場所はない。ではこれはどこからやってきたのか。」
「接がされた跡のあるプリクラ。カップル。日付は3ヶ月前。」

何やらぶつぶつと落ちているゴミをいちいち分析している。
こんな暑い中、ゴミの理由をいちいち考えていたら頭がおかしくなりそうだ。

「ワトソン君、これは何だと思う?」

ゴミに夢中になっていた師匠が俺に言った。

「空き缶ですよ」

正直早く終わらせたかった。
なのに、ゴミは一向に減る気配がない。

「では空き缶とは何かね?」

この人は暑さで頭がおかしくなったか。
空き缶が空き缶以外であるわけがない。

「そうだね。空き缶は空き缶でしかない。飲み物が入っている容器。飲み物が飲み干されてしまうと空き缶になる。空き缶は新しい空間を内側に作る。空間は外の空間から全く新しい空間を作る。」

捨てられた空き缶の中を覗き込みながら師匠が続ける。

「空き缶の中は暗闇。空き缶の中に存在するものは、外へ移動することができる。当然、空き缶の外から中の暗闇へも。」

暑くてぼーっとしている俺には少々イライラさせる物言いだったので「じゃー空き缶は何だと言うんですか」ときくと「通路」とだけ師匠は言った。
さっきまでギラギラしていた太陽に少し雲がかかったようだ。
目を細めずに師匠の顔を直視できる。
この人は底に穴をあけて蟻のトンネルにでもするつもりか。

空き缶を通路として使うなんて子どもはしませんよ。
子どもは空き缶の底をはずせるような道具も使えませんし、こんな硬いものはずそうとも思わないでしょ。
かといって大人が空き缶の底をはずして通路に使うような遊びもしないんじゃないですか。」

俺なりの皮肉を言ったつもりだった。


256 :カニ ◆ug0HcINQ2c :2007/10/16(火) 13:06:33 ID:mm7I+Ldp0
「どちらも不正解」

そう言われた後、また雲が濃くなった。
辺りが一段と暗くなっていることにも気づいた。

「だったら、何が通路として使うんですか」
「物質が物質であることが関係ないもの」

さっきまであんなに明るかった場所がこんなに暗くなると大学生になった今でも不安になる。

「霊ですか。」

この中を覗いてごらん、と師匠が空き缶一つを差し出した。

「その中は真っ暗だよね。その真っ暗な底には一体何がある?真っ暗な底の先には?」

いくら覗いたって俺には少し水分の残った底しか見えない。

「底のもっと奥。奥のもっと奥。もっと奥を覗こうとしてごらんよ。」

じっと、空き缶の底を見つめる。
やっぱり何も見えないしわからないと思ったその時、一瞬目が合ったような気がした。
しかし一体誰とだと言うんだ?

「缶は中身があるうちは通路にはならない。
でも中身がなくなればそれは通路になる。
通路は道になり、中と外の世界を繋げる道になりうる。
もし、生まれた時からそこに存在して、そこで暮らしている人は世界の外なんて考えたこともないよね。
二次元で生まれた存在は三次元なんて考えもつかない。
そんな時、ふいに通路が現れたらどうだろうか。
君なら覗いて行ってみたいと思わないか?
君は今自分が存在している世界が全く開かれた空間だと思っているのかい?」

この人は何を言っているんだ?
俺たちが生活している世界が内側だと?
だったら、俺たちの外には何かあるというのか?
いや、俺たちは外側で、内側から何かがやってくるというのか?

ともかく、こんな空き缶を覗くのはもう真っ平だった。
考えが纏まらなく、うわっと空き缶を放り投げてしまった。


257 :カニ ◆ug0HcINQ2c :2007/10/16(火) 13:07:59 ID:mm7I+Ldp0
師匠はゴミを拾いに来たのに捨てちゃ駄目でしょ。
といいながら俺が捨てた缶を拾った。

「通路は潰せばいいんだよ」

そういって、拾った空き缶をベコリと師匠が踏み潰した。
その瞬間稲光が走ったことに俺は驚いて、不覚にも頭を抱えて座り込んでしまった。
師匠は「一雨来るなぁ。ホラ、帰るよ」と潰した空き缶をゴミ袋に入れて集合場所へ向かった。
「待ってくださいよ」というのが精一杯な俺に「僕たち、今日はいいことしたね」と嬉しそうな後姿の師匠がそこにいた。

「・・・でもまだまだ空き缶はたくさん落ちてるなぁ。日本中にね。一人で拾いきる自信はないな」

それ以来、道端に何気なく落ちてる空き缶を見つけると踏み潰してゴミ箱に捨てる癖がつき、友人たちには少々感心されたが、俺は愛想笑いで返すことしかできなくなった。


以上!駄文スマソ

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