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麺同好会コミュ二ティコミュの麺の連続小説:麺遊記No1.1

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 「ワンランク上ののどごし、食感。今までにはない世界を。」
 後方からスピーカ越しに聞こえる音。まだ眠気が頭の中を支配しているにもかかわらず、耳だけはその音を聞き逃さなかった。聴覚器官としてあらゆる音の信号を脳に伝える入り口でしかない僕の耳は、今だけ、それ自体で完結する器官となっていた。人工的なノイズの混じったテレビ独特の音の振動を受け入れ、眠っている脳の代わりに自らで現実の言葉に翻訳し、直接僕に投げつける。そして僕は頭ではなく耳で理解する。そうだ、これは食品のコマーシャルだ、と。
 全世界ヌードル協定が締結して早1年。世界はそれまでに比べ、さまざまな麺製品が出回り、製麺業界はかつてないほどの活気に満ち溢れていた。それは言ってみれば、各国の製麺業者が世界とバイパスを結んだということに等しい。しかし、そうした活気ある世界に乗り込むことができたのもほんの一部の業者だけであった・・。というのも、しばらく前に突然起こった小麦価値の高騰が、それを原料としている者たちを悉く窮地へと追いやり、その大多数を業界からの撤退という選択へと結んでいったからである。このことは、徐々に問題視されていったが、突然爆発したかのように小麦に関連する食品の供給を圧迫しはじめたこと思うと、あっという間に世界の経済を揺さぶり始め、小麦価値の暴騰に対して一刻も早く対策を練らなければ全食品価値の崩壊を招くとまでいわれるようになった。小麦業界は苦渋を強いられ、藁にもすがる思いで麦にはすがれないという状況、それはおそらく歴史的にもはじめての事態だったと思われる。
 一部の信じられないほどの小麦の高騰を、全世界レベルで少しずつ消化するために、それを原料としている食品を世界人類の共通の食とし、今後永年にわたって様々な食文化を共有する―それがこの協定の主な趣旨であった。そして、一ヶ月の首脳対談の末に選ばれた食品が、「麺類」であったのだ。こうして、小麦による食品業界への打撃は緩和し始め、全世界の製麺業界に平等に小麦が供給され、それがもとになって小麦価値は他の食品よりも安定するものになり、小麦食品を製造する各業界にも安定が戻ってきたのだった。時代の波に押しつぶされていった業者も多いなか、それまでの耐乏の苦をしのいだ僅かな食品会社だけが、やっと安息を手に入れた瞬間だった。これがいわゆる、ヌードルショックである。
(つづく)

コメント(2)

これは、ある世界で本当に起こっているよ。

不定期で更新していく予定。

更新するのは、ある世界での出来事の報告です。


こっちの世界に届く電波が途切れない限りは・・・



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