"(前略) the effect of IFN-beta1b treatment in patients with Japanese classic MS [13] was underestimated and that in Japanese patients with OSMS [13] was overestimated."
この註[13]という論文は、斎田たちがまとめたかの日本人ではOSMSでも(統計的有意ではないが)IFNbetaが有効とした論文(2005年2月22日号 Neurology誌 621〜630ページ 「インターフェロンベータ1bは日本人の再発寛解型MS患者において有効である:ランダム化された多施設研究」T. Saida, K. Tashiro, Y. Itoyama, T. Sato, Y. Ohashi, Z. Zhao and the Interferon Beta-1b Multiple Sclerosis Study Group of Japan)
今回の研究対象となった母集団は、「IFNbetaを投与した」CMS or NMOという縛りの中でのこと。デザイン上「憎悪する」という結論を導きにくいようになっている。「憎悪する」という結論をも導きうるためには、「IFNbetaを投与したNMO」と「IFNbetaを投与しなかったNMO」との間で比較する必要があるからだ。
論文中には、"Both patient groups showed increased EDSS scores after the treatment; however, the NMO patients showed more pronounced worsening (p<0.0001) than the RRMS patients (p<0.0008) as determined by McNemar’s test."という記載があり、IFNbetaの治療をしていても、CMS・NMO共にEDSS(障害度)は悪化し、その中で「IFNbetaを投与した」CMSと「IFNbetaを投与した」NMOを比べると、後者の方が障害度は悪化したと結論している。
症例報告レベルでは、私の家内もお世話になっている女子医大の清水先生が2008年初頭のJournal of Neurology誌に日本人NMO患者2名が、IFNbeta開始後2カ月以内に明らかに症状が悪化したと報告し警鐘を鳴らしている。この「2名」に私の家内が入っているかどうかは別にして、こういった貴重な報告も存在してはいる。