米英二国に対する宣戦の大詔コミュの米英二国に対する宣戦の大詔

日本が外敵の来襲を受けたのは、元寇の役と先きの大東亜戦争との二回だけである。大東亜戦争は伐暴弔民の聖業にして、その目標とする所は肇国の大理想を恢弘し、東亜百年の長計を確立して、共存共栄の実を挙ぐると共に、世界の和平を促進して、光明赫灼たる王道楽土を建設せんとするに在ったこと、宣戦の大詔の昭示し給う所である。

昭和十六年十二月八日、米英二国に対する宣戦の大詔を拝し、未だ旬日を出でずして太平洋に於ける敵軍の主力艦隊は、大半覆滅し、東洋に於けるその根拠地として難攻不落を誇れる各要衝も皇軍の威力下に続々崩壊しつつあった。
殊に独伊両国は直ちに米国に対して開戦の議を決し、我国との盟約を強化して敵国の徹底打倒に邁進することになった。
これと同時に満華両国、泰国、仏印等も一致団結して世界の新秩序建設に協力することとなったのは、我が聖戦の目的が正義に立脚し、有史以来未だ曾て見ざる崇高荘厳なる大業たりしことを示すもので、世界二十一億の民衆をして驚魂駭魄、一辞を賛する能わざらしめた。

この崇高荘厳なる大業の目的は已に日独伊三国同盟の詔書にも昭示せられ、

　大義ヲ八紘ニ宣揚シ坤輿ヲシテ一宇タラシムルハ実ニ皇祖皇宗ノ大訓ニシテ朕カ夙夜眷々措カサル所ナリ

と仰せられているが、更に昭和十六年十二月煥発の宣戦詔書中には、

　東亜ノ安定ヲ確保シ以テ世界ノ平和ニ寄与スルハ丕顕ナル皇祖考丕承ナル皇考ノ作述セル遠猷ニシテ朕カ拳々措カサル所而シテ列国トノ交誼ヲ篤クシ万邦共栄ノ楽ヲ偕ニスルハ之亦帝国カ常ニ国交ノ要義ト為ス所ナリ

と宣い、万邦をして各々其の所を得しめ、兆民をして悉く其の堵に安ぜしめんとする宏大深遠なる皇謨を明々白々地に宣旨し給うているのである。是れ実に天地の公道に則り、正義に立脚して世界の平和を確立し、人類の福祉を増進せんとする御趣旨であって、上下三千年を一貫したる肇国の大精神である。我が国が神の国であり道の国であり正義の国である所以は全くここに在る。

この大精神に共鳴する国家あれば、その如何なる国たるを問わず、これと提携して兄弟の国、同盟和親の国として飽くまでも事を共にしたのであるが、若しこれに反対する国家ありとすれば、そは取りも直さず正義に反対し天地の公道に反対するものであるから、起ってこれを征伐するは当然である。日支事変は固より対米英宣戦、広き意味に於ける大東亜戦争は全く此の趣旨に外ならぬ。