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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの幻肢。 

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痛い。  痛い。
痛みが体中をはしる。
少しづつ意識が・・・・
痛みを感じている・・・死んではないのか・・・
記憶はさだかでない。 痛みだけが、今の私というものの存在を証明してくれている。



うっすらと、そして痛みと共に光りが目を通し意識がもどっていく。
「先生ーーー患者さんーー意識を戻しましたーー」
「浜田さん、浜田さん、意識ありますかーーー」
看護士は大きな声で私の名を繰り返している。
「私が、見えますかーーー」
「先生ーーー早くーー」

うっすらと、白い靄の向こうに人らしき姿が感じられてきた。
と、同時に体中に痛みが蘇る。

「うっ、痛い・・・うわーーー痛い・・・」
私は、痛みに耐えられず・・・体が硬直していく。
「先生ーー痛みが酷いみたいです。」
「浜田さん、浜田さん、もう大丈夫ですよ。ここは病院ですよーーー」
「どこが痛みますか?ーーー何処ですかーー」

「う で・・・み ぎ うで」
私は、声にならない声を。
「う で で す。」
「み ぎ うで」

「はい、わかりましたよーーー」
「今、痛み止め打ちますのでーーー」



薬が効いてきたのだろう。 楽になった

「浜田さん、痛みはいかがですか。」

「楽になりましたか?」

私は、苦笑いでこたえる。

「浜田さん、今日はこのまま楽にしていてくださいね。」
「何かあるようでしたらこのスイッチを、こちらの手に渡しておきますね」

40代の医師は、何か覚悟したような顔をして私の視界から去っていく。

病室に喧噪が響く・・・そして日がおちて、沈黙の夜は機械の音だけが響いている。
そんな日々が何日が過ぎたある日・・・

「浜田さん、痛みはいかがですか?」
「だいぶ、楽になったでしょう?」

確かに、あの日からくらべたら楽にはなった。

「浜田さん、いくつか質問させてくださいね」
「いいですか?」

私の意識はまだ混濁としている。自分に何があったのか? まだ、思い出す事が出来ない。」

「浜田さん、今は何処が特に痛みを感じますか?」

「右腕・・・が特に痛いです。それと、右脚の足首のあたり。」
医師は一瞬戸惑っている。彼の表情で感じとれた。

「浜田さん・・・右足首ね複雑骨折しています。 全治2ヶ月は入院が必要です。」
「そしてね、リハビリも1ヶ月は必要ですね・・・」

沈黙が過ぎていく・・・

「でね、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一瞬言葉が恐怖を突きつける。
 
先生ーーーーーーーーーーーー

ナースセンターから医師を呼ぶ叫び声が響いた。

「浜田さん、また、あとで来ますので」
医師の安堵する表情を私は見逃さなかった。

それにしても、右腕の痛みだけはおさまる事がない。
痛い。 痛すぎる。
その夜も、右手の痛みで眠れない。
私は、たまらず看護士を呼ぶスイッチを押す。

「どうしましたか?」
看護士は、無機質な笑顔で問いかける。
「腕が・・・右腕が痛くて眠れません。」

「解りました。今、痛み止め打ちますね。」

すこしづつ、意識を失い眠りについた。


病室に朝が来たみたいだ。
私は、久しぶりに気分もよく自で体を起こそうとした。

ゆっくり体を起こしてベッドのパイプに右手を差し出した。

瞬間私はベッドから落ち額を切ってしまった。瞬間、大きな叫び声を病室中に響かせていた。
自らの右手の存在を知ってしまったから・・・・・

「浜田さん、浜田さん、落ち着いてください。」
看護士が何人も、私を囲い、様々な言葉を発している・・・
今の私は、叫び、泣き、何も周りの音は感じられない。

唯、私の肘からさきに意識できるものが無かった。




「浜田さん、いかがですか?」
「痛みは」
看護士は日に何度か訪れる。

私は、個室に移されていた。
こんな体を他の患者に見せるのも痛々しいと考えてくれたみたいだ。
そして、私の精神状態を・・・

孤独な、この空間で私は呆然と泣くしかない。

10日ほど無意味な日々が過ぎていく。


「浜田さん、面会ですよ。」
看護士が無機質に伝える。
「どうぞ」

ドアが開き、何故か私は衝撃を受けた。
里実が花を携え立っている。
満面の笑顔で・・・・

「どうしたの、お前が来てくれるなんて・・・」
「なんで、私は、貴方の彼女でしょ・・・」
「やっと、面会謝絶から解放されたのだから・・・」
「すっとんで来たよ。」
「ありがとう」
私は、夢でも見ている感覚に酔ってしまう。

「良かったね。あんな酷い事故で生きていられて」
「ああ~~」
「めっけものだよ。本当に」
そうつぶやきながら、私に笑顔をむけてくれた。

花を飾り、たわいない会話を時間が包んでいく。
「あっ、私帰らなくちゃ・・・」
「そうか、今日はありがとうな。」
「うん。」
彼女は私の首に両手をまわして頬にくちづけをしてくれた。
「また、明日来るね。」
そうつぶやくと、真っ白な廊下に彼女の姿は同化していく。

私は、彼女の香りの余韻にひたっていた。
すると、病室のドアが開き。
「浜田さん、ごめんね。今日の面会、隣の病室の面会だったみたい。」
「本当に、ごめんなさいね。」

すこし、私は、戸惑ってしまった。
「まあ、偶然だろ。」
彼女の香りはこの空間にのこっているのだから・・・

その次の日から里実は毎日、私の所に通ってくれた。
たわいのない会話、笑顔、笑い声。
私、少しづつだが生きていく希望がわいてきた。


彼女が、面会に来るようになり2ヶ月が過ぎた。
私は、無くした右腕の悲しみも慣れて来た、でも右腕の痛みを感じる・指先の感覚さえも。
毎日、リハビリ日々は続く・・・それは、私に右腕が無くなったと・・・痛烈に感じさせる。



ある日、唐突に刑事が訪れた。

いきなり彼女の写真を目の前に。
「浜田さん、この方をご存知ですよね。」
「はい」

頭が痛い・・・

「貴方がお付き合いしている方ですね」
「はい」

頭が痛い・・

その刑事の視線が、私の苦痛を見逃さなかった。
「彼女の両親から捜索願いが出ていまして・・・」
「貴方、最後にいつお会いしました?」
大きな声が、私の痛みを増幅させてくる。

瞬間ある記憶が混沌とした記憶が蘇ろうとしてきた。

「すいません、刑事さん、具合が悪いのです。」
「今日は、遠慮してもらえますか」
看護士が刑事に何かつぶやいている。

私は、痛みに耐えられず気を失ってしまった。

どのくらい、意識が無かったのか・・・


「どう、具合は・・・」
うっすらとした視覚の先に里実が佇んでいた。

「いや・・・刑事が来て・・・お前を捜しているぞ。」
「何かの、間違いでしょ・・・私ここにいるじゃない。」
「最近、アパートに帰ってないから・・・」
「この病院に近い友達の所に厄介になっているの。」
「貴方に・・・会う為に・・・」
私は、言葉を・・・自ら潰してしまっていた。

彼女は、いつも私が目覚めるといる。
そして、面会時間が終わっても、私に寄り添い言葉を交わしている。
看護士は、彼女の存在無視している・・・
いや、その、存在が・・・・・


ある日、私は・・・

「お前、死んでるよな・・・」
「何の話・・・」

彼女は窓の外を見つめ、私に背を向けている」

「お前、死んでいるよなーーーーーーーーーーー」
私の声が病室に響いた。

「なに、馬鹿な事を・・・」

彼女は、私に背を向けたまま・・・笑う。
くすくすくす・・・

「何馬鹿な事を・・・」
「私は、今ここに存在しているじゃないですか。それとも、貴方の幻・・・」

西日が差し込んでいた病室に、すこしづつ闇が訪れて来ている。
どのくらい、刻が過ぎたのか・・・・

「貴方、覚えているの・・・」

「なんだよ。」
「覚えているの・・・」

「その、体で・・・」

すこしづつ闇が私たちを向かい入れていく・・・

「その、右手で覚えているの・・・」

彼女は、闇深い窓の外を見続けている。

「なんだよーーーー」
「何、何の話だよーーー」

「その、右手が私の首をしめる感覚・・・私忘れないわ・・・」
「私の命が静かにその時を迎えていくときも・・・貴方の右手は・・・」

記憶が突然、津波の様に私の中に蘇っていく・・・・

私は、彼女の首をしめて殺した。

何故・・・

それは、何が理由だかは今では思い出せない・・・

唯、彼女の細く白い首を私の右手でしめた・・・

その、記憶だけは鮮明に蘇って来た。

「思い出したの?」

彼女が振り向いた。

その白く細い首に赤黒いシミが存在している。

「ああ・・・思いだしたよ。悪かったな・・・・でも、お前があの男と・・・」
私は子供のように泣きじゃくり、彼女を抱きしめた。

「もう、終わった事よ・・・いいのよ。貴方は生きてね・・・」

「私という、痛みと共に・・・」
「さようなら・・・」

一瞬、闇に包まれていた病室にまばゆいばかりの光と・・・彼女の香りが・・・


翌朝、

「体温を計りますね。」
「食事はいかがですか。」

相も変わらず、看護士は・・・

「今日も、平熱ですね。リハビリ頑張ってくださいね。」
そういいながら、立ち止まり。

私に問いかけた。

「この、一輪挿し・・・いつ面会の方が来ていたの・・・」


病室のドアを閉め彼女は消えていく・・・

そう・・・私には誰一人面会は来なかった・・・

私の痛みと共に訪れた・・・彼女の他には。





幻肢(げんし、英: phantom limb)
事故や病気が原因で手や足を失ったり、生まれながらにして持たない患者が、存在しない手足が依然そこに存在するかのように感じること。幻影肢(げんえいし)ともいう。

コメント(2)

右手は失っても右手で彼女を殺した感覚だけは残る…

それが一生彼が背負っていかなければならない罰なのでしょうか…

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