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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの餓鬼(ややグロです。読みづらいかもしれません)

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夢の中では、私は第三者だった。

夢の舞台は、どこにでもありそうなマンションの一部屋。そこに、五人家族が住んでいた。優しそうな両親と、男の子の三兄弟。男の子達は、幼稚園から小学校低学年くらいの年齢に見えたが、異様に顔が 青白い。
家族の部屋には、ベビーベッドがあり、そこには赤ん坊がいた。まだ地上 に現れてまもない命は、大きな瞳を無邪気にあちこちに移動させている。
男の子達がベビーベッドに近づき、赤ん坊の手をつかんだ。赤ん坊は、不思議そうな顔をしている。
「食べて、いいぞ。」
父親が口を開くと同時に血飛沫があがった。
「子供はまだ歯が弱いから、柔らかい肉の方 がいいのよね。 」
母親が呟く。
家族は、居間でくつろぎ、テレビを見始める。子供は、肉を手にもって食べながら画面に見いっていた。
家族の後ろには、小さな骨が散らばっている…。



私は、起き上がり、今しがたみた光景が夢であることに安堵した。
自分は見ていただけとはいえ、あまりにも不快な光景だった。血に染まるベビーベッド …。
頭を振り、ベッドからおりる。そして、私を悪夢から呼び戻してくれた携帯のアラームを切った。
携帯に、メールが来てる。理恵からだ…。
「件名:久しぶり こんにちは。実はちょっと話したいことがあるので、都合がいい時間に連絡下さい 。」
しばらく寝起きの脳が回転し、一つの結論を弾き出した。
このメールには、返信してはいけない。
私が大学進学のため、故郷を離れて五年がたつ。 二年ほど前、理恵からこれと同じようなメールがきた。それほど親しくないはずだが…と思い、放置していたところ、理恵と私の共通の友人からメールがきた。
「カナ、理恵が中絶のためのカンパ集めてるらしいぞ( ̄▽ ̄;)カナのところにも、メール来た? 」
「…理恵、まだ援交してたの?」
「うん、大学入ってもずっとやってたみたい。馬鹿だよね〜早く卒業しろってかんじ( ̄ー ̄)」
理恵が援交をはじめたのは、高校に入ってすぐだった。「高校デビュー 」として 髪を染め、誰とも話す憎めない彼女。「金がほしい 」と繁華街でオヤジに声をかけていた。

そして、今日のメール。また、妊娠したのだろうか。私は、あの夢を思い出した。食べられる赤ん坊。あれは、このことを暗示していたのだろうか。

「…違う… よ… 」
突然、背後から声がした。びっくりして振り向いたが、誰もいない。一人暮らしなのに…空耳だろうか?
「お腹…す、いた… 」
また聞こえた。子供の声?肩がずしり、と重くなった。
「お姉さんの、赤ちゃんちょうだい。」
「お腹空いたの、お姉さんの赤ちゃんちょうだい。」私は反射的にお腹に手をあてた。
「だめ。」
結婚して半月で授かった私の…子供。
「どうして 」
「どうして 」
「僕達のお母さん、いいっていったのに。」
額から、脇の下から、全身から冷たい汗が吹き出る。体が動かない…辛うじて声は出る。
「どういう…こと?」
「僕達のお母さん、理恵っていって 」
「お姉さんのお友達だったんだって 」
「でね、お母さんはもう僕達にご飯あげられないから、お姉さんの所に行きなさい、って。」
肩がずん、と一層重くなり下腹部に鋭い痛みが走った。
餓鬼達の笑い声と共に…私は、意識を失った。












水子の供養を頼んだとき、私は二十歳になっていた。
あの狂った日々を思えば、それまで何もなかったのが不思議なくらいだ。安易に友人の言葉にそそのかされ、援交を繰り返していたのだから。
「理恵、援交、してみない。」
言い出したのは、カナの方だった。
サイトで相手を見つけ、おっかなびっくり待ち合わせ場所に行った。
相手は、複数のおやじだった。
その姿を見た途端、怖じ気づいたカナは逃げた。私は、見捨てられたのだ。

それからは、ひたすら自分を壊す日々だった。大学までは行けたものの、子宮がんが発覚し、休学して入院。そして、今日、これから子宮を摘出する。
… もう、あの子達の声は聞くことは、ない。
父親のわからない三人の子供達。中絶のあとの水子供養は、何の意味もなかった。
彼らは、私が孕んだ胎児を食った。
彼らは飢えていた。どこにも行けず、生まれる前から拒否されていた存在。
私は、彼らのせいで 流産しても何も言わなかった。何もしなかった。せめて彼らの飢えを満たしてやることが、償いだと思ったから。

昨夜、子供達の戯れる声を聞きながら、カナのことを久しぶりに思い出した。
カナは、私を裏切った後はずっと「いい子」でいた。カナは私を見捨てた。私は、子供達に言った。
「今から、カナにメールを送ります。それをカナが無視したら、あなた達は、これからはカナの子供を食べなさい。もしカナが私に返事をくれたら…お母さんを連れていっていいよ。」
カナに、一片でも贖罪の気持ちがあるのなら…私は、母親として人生を終えよう。
子供達は、承諾した。そして、帰ってこない。彼らは、カナに憑いたのだ。
「…ごめんなさい 」
はじめから、私が子供達を産んでいたら、あなたたちは餓鬼にはならなかったのに 。

手術室で老いた母親に右手を握られながら、私は麻酔で眠りについた。

コメント(6)

怖さと切なさを感じました。

皆、本当は産まれてきたかったんだよね涙
しんどい話だなぁ。
もし望まないならば、避妊はキチンと。
ただの薄いゴムを使うかどうかで、人生そのものが変わるし
何より、宿った子供は無原罪だから。
子どもは愛されてなんぼ、母親は愛してなんぼじゃないですかね……

悲しい話ですがく〜(落胆した顔)

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