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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの【薄味?】 あまり怖くないですが。以前の作品をアレンジしてみました

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宝田沙雪が死んだ。あたしはそれからずっと、クモの巣にとらわれているような気がする。

年の明けた一月のさむい日。久しぶりに戻ってきたクラスは、まるでべつの教室みたいだった。クラスメイトたちは、なんだか知らない人のようだ。たんにんの東先生も、少人ずう学級のはずなのに、多くかんじるとわらった。
あたしはちっともわらえなかった。沙雪のいないこんなクラス、ちっとも楽しくない。
沙雪がしんだのは、去年の十月のおわり。三か月にもならない。教室からのてんらくじこだ。
あたしもみんなも、たくさん泣いた。そしてそれから、ぶきみなウワサが校内に立った。
しんだはずの沙雪を、校内でみかけたというのだ。
すぐにわすれるとだれもが思ったけど、そのウワサはいつまでもきえなかった。先生たちの中にも見た人がいるという。
本当かな。本当だったらいい。
だって本当なら、沙雪に会える。あの大好きだった沙雪に。
入学してすぐなかよくなってから、まだ一年くらいしかたってないけど、あたしはあの子が大好きだった。あの子も、あたしを好きでいてくれた。
あの子がしんだとき、どうしてあたしもいっしょに死ななかったんだろう。
会いたい。会いたい。ゆうれいでも、かまわないから。
そんなこわいことを思ってしまうのは、このクラスに友だちがほかにいないからだ。
いつのころからか、クラスメイトたちはあたしをむしするようになった。教室には40人くらい人間がいるのに、だれもあたしをあいてにしない。
沙雪がいれば、こんなクラスでも楽しかったのに。
放課後も、あたしは一人でまどの外を見る。みんなが楽しくあそんでるのを、たった一人で、ながめる。
まどべにおかれた二つの花たばが、となり同士にふざけ合ってるみたいだった。

コメント(8)

「?」
その時、だれかが教室に入ってきた。
ふり返ってみると、そこにはクラスメイトの一人、綿貫裕也が立っていた。手にはじょうろをもっている。
目が合った。
あたしは少し、裕也が苦手だった。この子もやっぱり、クラスに友だちがいない。
だれもいない方を向いてしゃべったりする、へんな子だからだ。
でも二人きりだと、しゃべらない方がぎゃくにへんだから、かるくあいさつをする。
思えば、クラス中のだれとも話さなくなってたから、学校で口をきいたのは、久しぶりかもしれない。
裕也が二つの花びんに水をやるのを何となくながめながら、ふと思いついてきいてみた。
「裕也は、沙雪を見たことある?」
「あるよ」
「どこに行ったら、会えるかな。沙雪に、会いたい」
裕也はかおを上げて、あたしを見た。
見てる。あたしを、見てる。
「それでいつまでも残ってるの?」
あたしはうなずいた。すると裕也はじょうろを置いた。
とたんに、あたりがしずまりかえった。
「?」
しずかすぎて、耳なりがする…。
「やめろ渡会。呼ぶな」
裕也がきゅうに、あたしの手をつかんだ。おどろくほど、強い力だった。
声がする。ざわざわと、話し声が。教室には、あたしと裕也しかいないのに。
足音がする。ばたばたと、ろうかをおおぜいが走り抜けていくような。夕ぐれのうす暗いろうかには、だれもいないのに。
いすが、机が、まどガラスが音を立てる。そうじ用具入れがたおれ、カベにはってあるみんなの習字がぜんぶはがれおちた。
教室中の座席から、うす青く光る人かげがたちのぼった。
「渡会明日香!」
「!」
裕也があたしの名前を大声でよんだ。びっくりして裕也の顔を見たしゅんかん、さわがしい音もかげも、消えていた。
あたしはびっしょり汗をかきながら、なんとか声をしぼりだした。
「なに…いまの」
「君の呼び声に、反応してる」
裕也はあたしの手をつかんだまま、こわい顔をしていた。
「渡会、宝田の事を考えるのは止めるんだ。そんなものを呼び集めてたら、宝田だって怖くて近寄って来れないよ」
裕也はときどき、むずかしいことを言う。いまも、あたしは裕也のことばのいみがよくわからなかった。
裕也はあたしの手をはなすと、きょうたくの上に置いてあった、めいぼを、手にとった。
「おかしいと思ってた。今までだって、1体か2体、まぎれ込んでくることはあったけど、放っとけばそのうち、いなくなってたのに。この数カ月は、まぎれ込むんじゃなくて集まってきたまま、いつまでも溜まり込んでたから。呼び寄せてたのは、君だったんだね。理由は、宝田を呼ぶため?」
「裕也? いみがわからないんだけど」
すると裕也は、めいぼをひらいて、中をあたしの方に向けてきた。そしてとうとつに、わだいをかえた。
「渡会明日香。君、出席番号は何番だった?」
「え?」
とっぴょうしもないしつもんに、あたしはすぐには答えられなかった。すると裕也は、かくにんするように、ゆっくり言った。
「18番。そうだよね? 俺が綿貫で17、君が一番最後だ。このクラスはもともと、18人学級なんだよ」
きゅうにあしもとが冷たくなる。あたしはこおりついて、息もできなくなっていた。
「このクラスに、席が42あること、気付いてた?」
「!」
まわりを見わたす。列は、6かける7だった。
どうして。どうしてだ。
いつ? いつからだ?
たしかに、あたしは18番。もちろん、クラスのぜんいんの名前もおぼえてる。
でも、あの席にすわるのはだれ? こっちの席は?
どうして、思い出せない?
別のクラスのようだと、思った。
人ずうが多くかんじると、東先生も言った。
それは、かんちがいじゃなかったのか。
うまく、いきをすえない。のどが、からからだ。
見てる。裕也があたしを見てる。
めいぼをきょうたくに置いて、裕也がいっぽいっぽ近づいてきた。
あたしは裕也に近づきたくなくて、同じだけあとすざりする。
けど、すぐに行き止まりになった。
そこは、教室の一番うしろのまどだった。
沙雪のおちた、まどだった。
「心の中で宝田を呼ぶ君の声は、宝田じゃなくて全然別のものを呼び寄せちゃったんだ」
「ちがう…だって、あたし、そんな、まほうつかいじゃ、ない…」
「しかも本人は無自覚だから、俺もだいぶ長いこと分からないまま、膨れ上がっちゃったけど」
「ちがう…」
「ようやく、原因がわかった」
すると、裕也はまどべの二つの花びんをとった。
一つを沙雪の席に置く。
そしてもう一つは、あたしの席に置いたのだった。
「あの日も君は、そこにそうやって座っていたの、覚えてる?」
あの日? あの、さいごの日?
沙雪や他のクラスメイトと、ふざけ合ってた。
そしてあたしは沙雪と並んでまどにこしかけて、そうしておちたのか。
沙雪といっしょに。
ちがう。うそだ。うそだ。
ふらりとバランスがくずれた。
でも、あたしの体はおちることなく、ちゅうにういた。
「見てごらん」
うながされてとなりを見ると、いつのまにか、沙雪がそこにいた。
なつかしい、えがおだった。
思わずあたしは、沙雪の体にしがみついた。
裕也はまどの外を指さす。空は、もう夕やみにつつまれていた。
「一緒に行きなよ。沙雪はずっと、君を待ってたんだから」
「まってた?」
「君がいつまでも動かないから、変なものばかり呼び集めてるから、心配してたんだよ」
沙雪と手をにぎり合って、あたしはそれでも迷っていた。
行きたくない。しにたくない…。
すると裕也は、低い声で、言った。
「あの悲しい事故は、すごく残念だったと思う。俺たち、みんな君たち二人の葬式で泣いたよ。でも、時間は戻せない。宝田、渡会、君たちはもう、ここにはいられない」
だれからも見えなくなったあたしたちは、もうだれとも話せない。あそべない。
いやだ。こんなの、いやだ…。
けしきが、ゆれる。めのおくが、あつい…。沙雪も、泣いてた。
「でも、次に生まれてくる時は、きっと二人とも、幸せになれるよ」
あたしは裕也を見た。ずっと、うすきみわるいと思ってた男の子は、やさしい顔をして、わらってた。
沙雪があたしをひっぱる。あたしもうなずいた。
「ありがと…ばいばい、裕也」
「さよなら」
あたしがよびあつめてしまったという名前のないクラスメイトたちが、つぎつぎと夕やけの方へ向かっていく。
あたしと沙雪も、ゆっくり登っていった。
まどから見える裕也が、少しずつとおくなる。
もっと、なかよくしておけばよかったな。沙雪も、さびしそうにうなずいた。
裕也がどんどん小さくなり、学校がどんどん小さくなり、あたしたちのまちが小さくなり、やがて何も、見えなくなった。
今更気づきました。
シックスセンスのパクリじゃんか…(誓って無自覚でした!)

うぅっ…
そのうちホラーの描写もシックスセンス並みに恐怖心を掻き立てられるぐらいになってやる…
いやいや、面白かったですよ!

次も期待しております!
おもしろかったですよわーい(嬉しい顔)電球
ありがとうございますぴかぴか(新しい)
ガリマグネットチュウ様、せつ様。
読んでくださった上、励ましのお言葉、ありがとうございます!

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