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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの【茶話】 釣道楽

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m(_ _)m

趣味というのを皆様何かしらお持ちのことと思います。

まぁ一概に趣味と言いましても、屋外でやるものもあれば室内でやるものもありで、誠に多種多様なものがごさいますね。
それぞれに面白さがあるものでこざいますが、それをやらない人には何が面白くてそんなことやってんだか分からない。
逆にやってる人からすると、何でこんなに面白いことをやらないのか分からない。

趣味の合わない人が集まりますと、

「おい!今度ゴルフやらねぇか?」

「ゴルフ?あんなちっこい球打って歩き回って、おまけに腰悪くしてよ。やる意味が分からねぇ。
それよりスノボだよスノーボード。冬んなったら行くぞ。」

「スノボだって?寒いときにわざわざ雪山行って、ただリスみたいにグルグル登って降りて登って降りてして何が楽しいんだ?
それよりも冬は鍋が一番だよ。」

「お前は食いもんのことしか頭にねぇのか!」

「何をぅ!食べ歩きだって立派な趣味じゃねぇか。
趣味って字を見ろ。味を取りに走るって書くんだ。」

なんて意味の無いやり取りが交わされるんですが。

まぁもちろん何が一番かなんてのは誰にも決められないもんでして、またやればやる程奥深く、益々趣がましてくるようですね。

しかし、あんまり面白いからと言ってのめり込み過ぎるとろくなことがないようですな。
特に屋外でやるものなどは自然が相手ですから、やりたい一心で見境が無くなると、とんでもない目に合ったりします。

遊びは程々がよろしいようで。

魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚


「松っちゃん松っちゃん。俺とうとう船買ったんだ。」

「おっ竹!とうとう買ったかい。
やっぱり独り身はやることが違うねぇ。こっちは竿一本自由に買えねぇってのによ。
しかしまぁ、これでいつでも好きなときに釣りに行けるってもんだ。」

「へへっ、そうなんだよ。それで早速なんだが今度の日曜はどうだい?
今鯛がよく釣れてるから。」

「今度の日曜?日曜は…、駄目なんだよなぁ。
いや、かみさんの誕生祝いの約束しててよ、すっぽかしたら大変なことになっちまう。」

「そんな弱気なこと言うなよぅ。
昼には陸上りできるし、でけぇ鯛を土産にして『お前に魚屋じゃ買えない最高の鯛を食べてもらおうと思って捕ってきたんだよ』とか言ってさ、あとは松っちゃん自慢の魚料理だ。
造りに塩焼き煮付に鯛飯あら汁、鯛のフルコース。
それでいいワインでも用意しとけば松っちゃんの株も上がるし、外で飲み食いするより節約にもなって一石二鳥、三鳥ってもんよ。」

「またまた上手いこと言うねぇ。
まぁ確かに、俺が所帯持ってからもしょっちゅう釣りに行けんのは、半分は料理の腕のおかげだけどな。
だけどもし釣れなかったらどうすんだよ。
うちのかみさんの怖さ知ってんだろ?
下手したら俺が海に沈められちまうよ。」

「大丈夫、大丈夫。今はよく釣れてるから、行けば絶対釣れるって。保証するよ。
万が一釣れなかったら、俺が無理に誘ったって一緒に謝ってやるから。」

「う〜ん…そこまで言うんなら…よっしゃ、行ってみるか。
俺もかみさんの相手より釣りの方がよっぽどいいしな。
でもあれだよ。しくじったときは本当に頼むよ。」


と、まぁ上手く乗せられたというか乗ったというか、二人は釣りに行くこととなりました。

時は巡って日曜日、草木も眠る丑三つ時

「お〜い、松っちゃんこっちこっち!」

「おっ!こいつがお前の船か。
ほーっ、GPS付き魚探にソナーにすごい装備だね。
これじゃあ魚も、逃げも隠れも出来ませんってもんだな。」

「へへっ、そうだろ。だから絶対釣れるって。
それよりおかみさんは大丈夫だったかい?」

「大丈夫も何も話せるわけねぇや。寝てっとこ気付かれねぇように抜け出して来たよ。
小遣いはたいてワインも買ったし、もう後へは引けねぇ。
何が何でも釣って帰って、プライスレスのサプライズだ。」

「松っちゃん。無理に横文字使わなくても…
まぁとにかく、そういうことなら早速出発だな!」


薄らと白む大海原。二人を乗せた船は沖を目指して波を切って進んで行きます。

『ドッパーン』
『ドッパーン』

「海もいい感じで荒れてるね。
凪ぎよりもこんぐれぇ荒れてる日が一番釣れるんだ。」


『ドッパーン』
『ドッパーン』
『ドッパーン』

「おっ、あれは漁から帰って来た船だね。
なんだ?わざわざこっちに手ぇ振って挨拶してやがるよ。
律義な漁師だね。こっちも返しとくか。」

「おーい。大漁ですかーっ?
こっちはこれから行きますよーっ。」

「はははっ、両手を大きく振ってるよ。沢山漁れたんだね。こりゃあ楽しみだ。」

『ドッパーン』
『ザッパーン』
『ドッパーン』
『ザッバーン』

「…なぁ竹。さっきからあっち行ったりこっち行ったりしてるけど、何処のポイントに入るつもりなんだ?」

「何処のポイント…と言われましても…出て来ない。」

「なんだ?出て来ないってのは。
釣り場が向こうから来るわけねぇだろ。
こっちから行くんだよ。そのGPSを使ってな。」

「う〜んGPSね…、GPSは映ってますよ。
映ってるんだけど、ポイントは出て来ない。」

「なに?ちょっと見せてみろ。」

『ピッ、ピッ、ピッ』

「なんだ〜。ポイントが登録されてねぇじゃねぇか。」

「登録?…ああ登録ね。
したした、これでしょ。」

「あん?…これって…お前の家じゃねぇか!
自分の家を登録してどうしようってんだよ!」

「えっ?俺の家も登録してあるって。
そりゃあどうもご丁寧に…っておいっ!
そういう問題じゃねぇだろ。
だいたい船のGPSに家を登録してだな…
あーもういいよいいよ!
このままウロウロしてたらいつまで経っても釣りになんねぇや。
おい、双眼鏡出しな。他に釣りしてる船を探すから。」

「あれぇ、今日はやけに船がいないね。絶好のシーズンだってのに…
あ、一艘いた。」

「おい!あの船見えるか?
あそこにいるってことはあそこがポイントだよ。
あの船の後に回り込むんだ。
あとは俺が腕で釣ってやるから。」


「さて、ようやく釣り開始か。
しかしやっぱりなんだね。こういう個人の船ってのはいいもんだね。他の客に気い使わないで…

おっ、いきなり来たよ!
見たか俺の腕前を。
でもこの引きは小せぇな。
まぁ小さくたって一匹は一匹だ。

さあ上がって来たよ…ってなんでぇ手袋か…」

「ぷぷっ。」

「わ、笑うなっ!まぁこういう事もたまにはあらぁな。
気を取り直して次行くぞ次。」


「おっ竹、来たね。
随分重そうじゃねぇか。
大物だね、ゆっくり慎重に上げなよ。」

「だいぶ上がって来たね。もうすぐ魚影が見えるんじゃねぇか。

ん?なんだかとんでもなくでけぇな!」

「…おい竹。エライもん釣ったな…」

「えっ?エライもん?俺はまだ見えないよ。」

「…見ねぇほうがいいかもしんねぇが、そうもいかねぇか。
…よし、あとは俺が糸持って寄せるから見てみな。」

「ん!?ま、松ちゃん。これって…」

「あぁ、見てのとおり仏さんだ。
この時化で流されてきたんだろうねぇ。」

「ど、どうしよう。」

「どうするも何もこういう場合は収容して、警察に届けねぇとな。」

「えぇ!船に引揚げるのか?
そいつは勘弁してくれよ〜。」

「しょうがねぇだろ。決まりなんだよ。
それに見てみろ。若くてきれいな女の仏さんじゃねぇか。
手厚く弔ってやれば後で竹んとこにお礼に来て、イイ事してくれるかもしんねぇぞ。」

「そ、そんな落語みたいな事あるわけないや!
それにいくらきれいな若い女でも幽霊は御免だ。
それより引揚げたら今日はもう上がらなきゃなんないし、事情聴取だなんだって時間食うし。
ほら、遅くなったら松ちゃんもおかみさんに怒られるだろ?」

「う〜ん、そいつも困るな…。
気が引けるがしょうがねぇか。
竹、糸切って見なかったことにしよう。」

『プチッ』

『ユラ〜 ユラ〜 ス〜 …』

「…よし、もう見えねぇな。心機一転、釣り直しだ。
それにしてもこの場所は縁起が悪いや。余所へ移動しよう。」

「違うポイントに行くのはいいけどさ、何処へ行ったらいいんだい?」

「あぁそうだな、もう一回双眼鏡で探してみなよ。」

「…おや、変だね、誰もいないよ。」

「いねぇ?そういやさっきの漁船もいねぇな。」

「どうしよう。」

「きっと離れた場所でみんなやってんだろうよ。無線で聞いてみっか。」

「もしもーし」

『ザーッ…』

「どなたかいませんかー?」

『ザー…テ…』

「誰にも通じないね。」

「松っちゃん。今、終いのほうに何か言わなかったか?」
「そうかい?何も聞こえなかったよ。」

「もしもーし」

『ザー…タ…テ』

「ほら、やっぱりなんか聞こえた。」

「そうかい?気のせいだろ。
船の無線なんてのは誰か話せばはっきり入るもんだ。」

「誰も出ねぇんじゃしょうがねぇな。
あ、そうだ!俺の行きつけの太平丸の船長んとこに電話して聞いてみっか。」

『ピッ、ポッ、パッ、ピッ、ピッ、ポッ、ピッ、ポッ、パッ、パッ』

『プルルルル…』

「おっ繋がったよ。」

「はい、太平丸。」

「あ、おはようさんです。船長さんですか?どうも松次郎です。」

「おぅ、松っちゃんか。どうした?」

「船長。今日はどの辺りでやってますかね?」

「今日?今日は時化で何処の船も出てねぇよ。」

「えっ?そんなに出せない程時化ちゃいませんがね。
あ、船長んとこは客商売だから大事を見て出てないんすね?」

「バカ言っちゃ行けねぇよ。
お客さん乗せなくたって船が出せれば海の様子見に出るよ。
こっちにも海の様子は逐一入って来るけどな、今日みたいな日に出ようなんてのは命のいらねぇヤツだ。
時化てないだなんてどっからの情報だい?
そういや今朝方に一艘バカな素人が出てってまだ戻らねぇって言ってたが、まさか松ちゃんじゃねぇだろうな。」

「い、いや、そんな訳ないじゃねぇっすか。
あっしもベテランですからね、海の怖さは十分心得てますよ。」

「本当かい?
後で風の音と船に波の当たる音がしてるよ。
どうも沖にいるようだけどな。」

「こ、こりゃあ恐れ入りました。
やっぱり船長に嘘はつけねぇや。」

「そんなこったろうと思ったよ。
ん?なんだ、後で『早く上げて、早く上げて』って若い女の声がするじゃねぇか。」

「女?今日は竹と二人だけでさぁ。
女なんか連れちゃいませんよ。」

「ははぁ、訳ありだね。
まぁ、そういうことにしとくよ。
悪い事は言わねえ、怪我しねえうちに帰んなよ。」

「いやっ、本当に女なんか連れてませんって」

「あぁ、分かった分かったよ。
それにしても釣り好きの彼女だね。
さっきっから『上げて、上げて』ってずっと言ってるよ。
そんなに釣りたかったら港に戻って小アジでも釣るんだな。
とにかく今日は沖に出ちゃいけねぇ。すぐ帰んな。」

「松っちゃん。船長どうだって?」

「どうもこうも訳が分からねぇ。
今日は船を出せねぇぐれぇの時化だってぇし、船に女乗せてんだろって…
おっ!なんだこの波は。風もビュービューじゃねぇか!」

「さっき電話で女がどうこうって話してるときにいきなり荒れてきたんだよ。」

「お前、それならそうと早く教えろってんだよ。
おぉぉぉっ!すごい波だね。」

「こ、こ、こ、こんなだから気付いてるるるると思っててててて〜」

「何がなんだか分からねぇがとにかくもう駄目駄目駄目だ!釣りどころじゃねえ!
何事も命あっての物種だよ。
すぐ帰ろうううぉぉぉぉっ!」

「そうだななな〜」

と船を方向転換した刹那、

『ドーン!ザッバーン!!』

一際大きな波が横っ腹を直撃したからたまったもんじゃない。

『ガラガラガラガラ!ギギギギ!ドバーン!』

あっと言う間に船は転覆してしてしまいました。

「グボグボッ ぶはっ!お、おーいっ、松っちゃん大丈夫かー?」

「ゲホッ ゲホッ、ひーっ!
お、おぅ、なんとか大丈夫だ〜。
竹もしっかりそこにつかまってろよー。」

「松ちゃん。俺はこっちだー。」

「えっ?じゃああのスクリューんとこにしがみ付いてんのは?」

「スクリュー…!!!
ありゃさっきの仏さんだ!!」

「あぁ!ゲホッ、どうも船長の話がおかしいと思ったら、ゴホッ、そういうことかっ!」

「やっぱり仏さんを丁寧に扱わないから怒らしちまったんだな。」

「そ、そうみてぇだ、じゃあせめて助けが来るまで船が沈まないように念仏唱えるか。」

「念仏?そんなのちゃんと修行した坊さんじゃなきゃ唱えても効果ねぇだろ?」

「いや、その心配はいらねぇよ。
今日は一匹も釣れてねぇ、二人ともボウズだ。」


m(_ _)m

コメント(17)

怖かったけどオチで和みました〜( ̄▽ ̄;)

なんだか落語みたい電球
落語?

やっぱり“落ち”のある話は最高!

こんな中途半端な駄作を読んでコメントまで下さり誠にありがとうございます。

怖い落語を書くよう依頼を受けたので作ってみましたが、
声色も扇子も使えず、なおかつ短くまとめるにはまだまだ稽古が足りないようです。
前座の戯言と大目に見てやって下せえましm(_ _)m
テンポもすごいよく読み易かったっす。

怖くはなかったがオチまであって楽しかったっすよ指でOK
凄ッッッふらふらふらふらぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

巧過ぎでしょう目がハート目がハート
扇子なくてもセンス有過ぎですよ(オイ)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

今度から師匠と呼びます手(パー)

それからタイトルから、

『絶対ブルへさんだ電球

と、分かったあたしも凄いww
ぶはっ( ゜ω゜):;*.':;
最後の手前まで、ハラハラしながら読んでましたが、最後で和みました揺れるハート
うちの主人が、船持ち釣り好き料理上手の「竹」さんなんで、最後が怖いままじゃなくてホッとしましたダッシュ(走り出す様)
落語みたいですねぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
おもしろかったですウッシッシ

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