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ザ・ヨーガ・ライフ・ソサエティコミュのわたしの初めてのインド・13(1977年)

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わたしの初めてのインド・13

ハリオーム! 成瀬です。
カルカッタからマドラスへ。マドラスもまた今日では「チェンナイ」と名前が変わっていますが、この手記では昔のままにマドラスと書くことにします。
マドラスは緑が多く、今まで回ってきたデリーやカルカッタとはまったく違う国のようでした。


●初めての南インド、マドラス
11月18日。
飛行機から降りたマドラスは雨でした。しかも、すでに暗くなっていたこともあり、街の様子が分かりません。今までと同じように、マドラスでもまずツーリスト・オフィスで地図をもらい、バスで市内に。夜なので、とりあえず今日泊まるところを確保しなくてはなりません。最初「ウッドランド・ホテル」というホテルに行きましたが、すべてエアコン付きの高い料金の部屋ばかりなので、比較的安い「アジャンタ・ホテル」というところに。しかし、それが大きな間違いでした。
古くて大きいホテルなのですが、なぜか部屋にはガラスの付いていない窓枠だけの窓がたくさんあり、そこから風や小鳥が入ってきます。一見、風流だと思われるかも知れませんが、窓から入ってくる外の騒音がものすごいのです。シャワー室も同様に窓にはガラスがなく、風がヒューヒュー入ってきてとても寒いのです。

11月19日。
朝、スリランカまでの切符を買いに。150ドル。スリランカはマドラスととても近いとはいえ、一応外国です。なんだかんだと、切符を買うのに午前中いっぱい掛かってしまいました。
お昼ごはんはチャイニーズ・レストランへ。美味しかった。
マドラスの町を散歩すると、緑が多いことに気が付きます。今まで回ってきた北インドとは違い、緑の量が圧倒的に多いのです。南国らしく、いたるところにヤシの樹が生えています。
実は同じインドという一つの国でも、北インドと南インドとでは民族も言語も文化も習慣も異なるのです。
ここで少し、わたしがこのインド旅行で感じた、北インドと南インドの違いをお話したいと思います。

北インドはアーリア系の人たちが多いのですが、マドラスを中心とする南インドではドラヴィダ系の人たちが多く暮らしています。顔立ちも、インド・ヨーロッパ語族の血を引く一般に彫りの深い顔立ちの北インドに対し、南インドの人たちの特徴はドラヴィダ系の比較的色の黒い、平坦な顔立ちです。
しかし、今日のインドの人たちのすべてがアーリア系、ドラヴィダ系とはっきりと二分化されているわけではありません。実際には、これらの人種を中心にしながらも、先住民の血も混ざった混血種の人がたくさんいます。

服装も北インドでは、男性はクルタやパジャマを着ている人が多かったのに、南インドの男の人たちはルンギという腰巻みたいな衣装を着けています。そのルンギの柄の多くに使われているのがあの有名なマドラス・チェックです。このルンギの下半分をまくって腰に挟むと、ミニスカートのようになってしまうのですが、マドラスではリキシャのおじさんも肉体労働者もこのスタイルが多いのです。

また、言語に関しては、北インドでは主にインド・ヨーロッパ語系の言語、中でも話者人工の最も多いヒンディー語が広く使われています。反対に、マドラスはタミル語というドラヴィダ語系の言語です。その違いは書体を見れば一目瞭然です。町で見る看板やバスの行き先が書かれている文字も、北のデーヴァナーガリー文字と違い、豚の尻尾のようなくるくると丸まった書体です。たしか、タイやスリランカなど南インドの国々でも似たような書体を使っていたと思います。
おそらく、北インド人の人たちは、南インドのタミル語の丸まった字をほとんど読めないと思います。
インドでは、インドという一つの国でありながら、まったく言語体系の違う言語が公用語とされているのです。それを最も顕著に表しているのがインドの紙幣です。紙幣にはサンスクリット語やヒンディー語やタミル語など話者人口の多い14〜5種の言語でその紙幣の金額が記されています。ぜひ、インドの紙幣を手にする機会があったら、そこに書かれている文字の違いを観てください。書体がまったく違うことに驚くでしょう。

食事は、北インドの主食が小麦を使ったチャパティやナーンであるのに対し、南インドでは米や米を粉にしたしん粉が多く使われます。しん粉を蒸かしたイディリなどは有名です。カレーも北が脂っこいこってりとした味なのに対し、南のほうがあっさりとしているように思います。
西インドや北インドでは、何種類かのカレーを小さな入れ物に盛ったターリーという大皿(ステンレスの大きなお盆)料理をよく食べますが、南インドではミールスと言い、大きなバナナの葉を四角くカットした上に種々のカレーを盛り付けます。食べ終わったらバナナの葉をくるくる丸めて捨てますが、今度はそれを牛などの動物が食べ、さらにそれが糞になり、燃料として使われるというサイクルになっているようです。
マドラスで食べたインド版クレープのマサラ・ドーサの美味しさは忘れられません。北インドにも南インドのレストランはありますが、やはりマドラスで食べたマサラ・ドーサやイディリ・サンバは格別でした。日本には屋台のクレープ屋さんがありますが、同じようにしてマサラ・ドーサを売ったら、きっと行列ができるような気がするのですが…。
ちなみに、わたし個人の感想ではありますが、日本にあるインドレストランの多くは、どちらかというと北インド系のような気がします。

人柄や人間性に関しては個人々々で違いますので一概には言えませんが、わたしの実感としては南インドの人たちのほうが素朴で穏やかだったような気がします。
しかし、お酒や戒律に関しては南インドのほうがより保守的で、マドラスでは当時、許可書がないとお酒を飲むこともできませんでしたし、食事も菜食が徹底していました。概して北インドよりも南インドのほうがヒンドゥーの戒律に対しては厳格だったように思います。
インドの観光地はどちらかというと北インドのほうに多く、日本からのツアーも北インドが中心になりがちですが、南インドには北インドにはない魅力がたくさんあります。大げさに言うと、北インドと南インドとでは、まるで別な国のようにさえ見えます。
南インドの歴史や文化や習慣については辛島昇氏がたくさんの本を書かれています。ぜひ、参考にしてください。

11月20日。


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