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<小説>ちゃり・つー♪コミュの≪SCENE-4≫音楽室の、ピアノ。

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私の通っている学校には「音楽室」があるのに、ピアノがない。

それを夕子に何気に話してみた所、その時少し言葉を失っていたのを最近になって思い出した。





「夕子さ、前にした音楽室の話、覚えてる?」
「え、え!?」
動揺しているのかそうでないのか、正直よく判らなかったが、とりあえずやっぱり、いつもの夕子ではなかった。

「ピアノがないから不自然じゃない?って話」
「うーん、何でだろうね。学校にお金がなかったのかな?」
昔この学校で何かあったのか。そこまでは考えすぎかもしれないけれど、夕子はその話から話を反らせたいのが何となくの仕草で判った気がした。

「でさ、朝美。明日の、、」
「ゴメンね、夕子。どうしても知りたいんだ。その話のつづき。夕子、何か知ってるんじゃないの?」



そして、夕子は言葉を失った。



「、、この教室の窓からね、河川敷が見えるでしょ?」
「え、あ、、うん」
何処か重い面持ちで、夕子は私にそう続けた。

「昔、好きな人がいてね。その人がピアノやってて、しばらくして、その人が学校からいなくなっちゃってさ。今でもつい、ピアノという言葉を聴く度にその人の事を思い出しちゃうんだ」

「そう、だったんだ」
「あの河川敷には、忘れられない思い出がたくさんあるの。その内の一つ、って感じかな」

夕子の眼差しは、その河川敷を見つめた更に向こうのものにピントが合っているように思えた。
「若き“恋バナ”ってやつよ、ね!」
「そ、そうそう!」



夕子の好きだった人、か。

私にも昔、そう云えば、いたのか、な。





何て、名前だったっけ?

でも、その人には好きな人がいて、私はその人のずっと後ろでよく隠れてたな。

その人が好きな人と、今後うまくいったとしても、
私はメゲずに、頑張って好きでいようとしてたんだっけ。

私、バカだよね。2番目で良い、って強く思ったんだもの。

その人が幸せだったら、私なんて2番目で良いんだ。、、って。





「朝美??」
「え、!?」
私は、物憂げに浸っていた。

「朝美のも聴いちゃった!」
「え!?」
「だって、一人でぼそぼそと喋ってたよ?」
「あ、あれ!ココロの中で呟いてたと思ったんだけど!」
「残念でした☆」

夕子に私の恋バナを聴かれてしまった。
まあ、でも仕方がないと何処かで腹を括っていた。

「2番目の人ってさ、朝美。しんどいだけだよ?」
「判ってるけど、私自信ないしさ」

「そっか、、よし、その人の所に行こう!!」
「え??」
私は夕子に手を引っ張られて、唖然としていた。
「い、今から!?」
「イエス!」





放課後までそんなに時間がないからといえ、夕子の行動力はずば抜けて、けた外れだった。



私の好きな人に、会いに行く。

ただ、それだけの理由で。

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