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金融士コミュの「証券化と金融危機−ABS CDOのリスク特性とその評価」

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ディスカッションペーパー


米国のサブプライムローン問題から始まった金融市場の大混乱は各国で深刻な景気後退を引き起こしているが、いまだ収束の気配がみえない。この一連の危機で世界の主要な金融機関も大きな打撃を受けているが、金融機関の損失において特徴的なことは、サブプライムなどの住宅ローンを裏付けとする資産担保証券(ABS)を元に作られた債務担保証券(CDO)であるABS CDOの損失率が6〜7割ときわめて高く、次いで住宅ローン担保証券(RMBS)を中心とするABSの劣化が著しいことである。

本稿では、標準的な信用リスクのモデルを用い、シミュレーションを通じて証券化商品のリスク特性、特にABSを担保とするABS CDOのリスク特性を検証し、今回の危機のメカニズムを理解するとともに今後のリスク管理における課題を論じる。証券化という構造には、分散化のメリットと表裏の関係でシステマティック・リスクに対する感応度が高いというリスク特性が内在している。このため、大きなショックが発生した時にはCDO証券などの価値が同時に且つ急激に毀損することがある。すなわち、第1に、証券化によりメザニン以下のトランシェでは元のローンプールよりテイルリスクが増大する。この特徴はABS CDOなどの重複的証券化によって増幅される。第2に、細かいトランシェ分けを行うとトランシェの優先度合いにかかわらず元のプールよりもシステマティック・リスクへの感応度が高くなり、典型的には「クリフ効果」とよばれるような極端な損失率の急上昇がみられる。第3に、こうしたテイルリスクおよびシステマティック・リスクに対するクリフ効果などの事象は、劣後するトランシェほど、また、証券化が重なるほど増幅する形で顕在化する。第4に、個々のローンのデフォルト確率の増大やデフォルト相関の上昇などの変化が生じた場合には、証券化が繰り返されている場合ほど顕著な影響が生じる。なお、相関の上昇は一斉に悪いことが起きる可能性を高めるので、シニアトランシェのリスクをも高める結果となる。

こうしたABS CDOの特徴が住宅市場の悪化や市場環境の変化の中で顕在化し、大規模な証券化商品の価値の下落につながったのではないかと考えられる。

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