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詩を書くのが好きな人コミュの古いレコードを聴いていた

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古いレコードを聴いていた
窓の外 世間じゃもう春だというのに
どこかでは気の早い桜が
もう芽吹きはじめたというのに
チラチラと白いものが降り積ぼんでいる
からっぽの部屋
からっぽのボク



君がいない
君がいない
ポツンとひとり がらんどうの部屋の中
響きわたるジャニスの声



君がとても愛した曲
理由がわからないといって
怒らせたこともあった



あの頃のボクたちは
一体何を見つめて暮らしていたのだろうね
愛というには照れくさすぎて
幸福というにはあまりに幼すぎた
不安でたまらなく淋しくって眠れない夜も 
心細くて頼りなくって泣きたくなる朝も
重なりあえばそれだけで 
どうにかなるような そんな気がしていた



求めていたものはきっと同じだったはずなのに
見ている世界はまるで別々だった
夜が明けるたびにキレイになっていく君だけが
いまよりずっと前に進んでいるように思えて
ひどい言葉を吐けば 君が傷つくのを
ボクはよく知っていた
切り刻んでいたのはボクのほうなのに
イタイイタイと叫ぶのは いつだってボクのほうだった
淋しさを愛とはき違えて育んだつもりでいたはずの幸福は
いともあっさり萎びて枯れてしまった




   君とはじめて出逢ったのはいつの日だったか
   枯葉が静かに舞っていたね
   街灯が灯りはじめた街角の路地裏で 
   その細くて小さな躰を ヒドク震わせながら
   ビルの向こう 遠く見えない空を
   いつまでもいつまでもずっと
   探していたね


   街路樹が風に揺れて孤独を誘う
   いつも君は そんなことを云っていた気がする




3月ももうじき終わりだというのに
都内でも雪がチラチラ降ったとニュース
そういえば 君がボクの前から姿を消したのも
ちょうどこんな 底冷えのする
3月のみぞれの夜だった




君はいまごろ どうしているだろうか
探し続けていた空は 見つかっただろうか
いまでもジャニスは好きなままか
悲しいほどの魂の叫び声は
いまでもジャニスは 君を震わせているだろうか




こんな夜 ひとりではとても堪えられそうもないから
思い出してしまうんだ 左側に君がいたあの頃の日々を
輝いてみえるのは 君の笑顔がなにより優しく見えたから
泣きそうになるのは 君がいないとなにもひとつも
嬉しくも楽しくもつまんないも なんにもない
空っぽなボクを思い知ってしまうから




古いレコードを聴いていた
君がとても愛した曲
わけがわからない というと
君がヒドく怒ってむくれるのが可愛くて
その姿が見たくてボクは
何度も 何度も君をからかっては笑ったんだ
笑っていられると思っていたんだ
あの頃は




窓に映ったボクの顔
はりついたみぞれまじりの雨粒が涙のように
静かに頬につたって






落ちた

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