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〜GREEN〜 mixi版コミュの☆短編小説「回転木馬」

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短編小説「回転木馬」

 回る。
 回る。

 繰り返す。
 繰り返す。

 人間は、反省を知らない馬鹿な動物。
 先に進んだと思っていても、本当はグルリと一周回っただけ。繰り返す過ち。懲りない人間。

 私の名前は、千影。大学二年の普通の女の子。彼氏は居ない。けれど、定期的に会う男の子は何人か居る。大学の同じサークルの人だったり、バイト先の先輩だったり、元彼だったり。
 俗に言う、都合の良い女。もしくは、セフレ。それが、今の私だ。
 何度か恋愛をして、何人かと付き合ったけれど、長続きがしない。
 友達は、三年ぐらい付き合っていたり、出来婚したりしている。
「若いうちは、遊んだ方がいいわよ」
と、五つ年上の姉は言うけれど、男に遊ばれ棄てられても懲りずにまた男を探す姉の言葉に説得力はない。
 真実の愛、そんな物は世の中に存在しない、と何故か齢二十歳で悟ってしまった。これと言ってきっかけはないけれど、そんな姉を見ていると気の毒で仕方なかった。
「独りの時間は寂しい」
と言う訳ではないけれど、
「たまに独りで居るのが寂しくなる」
と言う理由で、男の子達とデートして、肌を重ねる。
(こんな私でも、少しは必要としてくれる人が居るんだ…)
そう思い込んで、自分の存在価値を確認する。

 けれど、私は最初からこんな冷めた人間ではなかった。繰り返す過ち、恋愛の痛みを何度か経験して気が付いた。
 自分から告っても、フラれてばかり。付き合う男は浮気ばかり。イイ男には、可愛い彼女が居て本気になってくれない。
「今度の人は。今度こそは」
そう思っても、繰り返す悪循環。恋愛に期待をしなくなるのは、必然的だと思う。何度も同じ失敗を繰り返す自分が嫌になり、恋愛する事を止める事にした。そうすれば、いつかこの悪循環から抜け出せるのではないだろうか、と思う事にした。
「千影ちゃん、可愛いよ」
そう耳元で囁かれ、一時の恋人を演じる。他人の温もりを感じて、少しの幸せを感じる。

 キツく抱き締めて。
 そっと頭を撫でて。
 優しくキスをして。
 今だけ私を求めて。
 男の子の腕の中で、いつか、この悪循環から抜け出せる様に、と強く願う。

 回る。
 繰り返す。
 人間の歩む道。
 乗り換えても変わらない。
 抜け出す事のない暗い闇の迷路。
 それでも、いつかは出られると信じて、次の男の上に乗る。


終わり。

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