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技術士(応用理学)コミュの窒素汚染の謎

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環境部門の技術士をしております。水圏環境さんのご厚意で、コミュニティにお誘い頂きました。よろしくお願い致します。ところで、参加してすぐトピたてはあつかましいとは思うのですが、皆さんの知恵をお貸し頂けないでしょうか?

業務上の守秘義務がありますので場所を明示できませんが、九州における山麓部としておきます。そこで通常よりも高い濃度の窒素が沢水で検出されています。人為汚濁の可能性は極めて低い地域ですが、その濃度も年々高まっているように思われます。状況より可能性としては以下の2点の可能性があるかと思われますが、地質についてはまったくの素人です。皆さん如何思われるでしょうか?

■窒素が高く、年々上昇している要因
1)未分解有機物を多く含む地層に何らかの要因で地下水が浸透しはじめ、年々酸化分解が進んで、比較的高めの濃度の窒素が地下水や湧水中に滲出している可能性。(風倒木の影響も考えとしてはあるが、同じ状況の他の地域では窒素濃度の上昇は観測されていないようである)。

2)大陸の環境対策が低いレベルの急速な工業発展によって酸性雨や酸性降下物が九州北部に到達し、地形的にある部分の山麓に集中している可能性。

因みに、渓流部の総窒素濃度は人為汚濁がなければ高くとも0.5mg/l前後ですが、その山麓部渓流では2〜3倍の濃度が検出されています。酸性雨の過去の状況を見ると時折NO3-N濃度として5mg/l以上の雨水が観測されているようですので酸性雨の影響説もありかなとは思いますが・・・

コメント(20)

ころころ犬さん

面白いですねo(^-^)o
面白いって言ってはまずいのかな(;^_^A?

ある森林動態学の先生にも、こっそり一般論としてどうかを聞いてみますね。

ちなみにその窒素測定はT-NもしくはNO3-Nですか?(・_・?)
水圏環境さん

窒素測定は両方でやっていますが、NO3-Nがほとんどです。
 山麓部ということなので森林動態学から考えてみましたo(^-^)o

・自然由来であれば窒素供給源は微生物による大気窒素固定か降水

『窒素固定菌の寄与』

 共生の窒素固定菌は森林遷移初期に大きな窒素固定寄与。初期以外は非共生の固定菌が寄与。固定速度は数〜30kg/ha/year。

『降雨による無機態窒素寄与』

 林外雨(降雨のこと):3.6〜6.9kg/ha/year
 林内雨(森の中の降雨):3.8〜25.1kg/ha/year
 樹幹流(木を伝わる流れ):0.3〜1.7kg/ha/year

『森林から河川への窒素濃度変化』

 林内雨>地表流>地中流>林外雨>渓流
 降雨から森林の中で濃度は低下していく。

『森林伐採と硝酸態窒素の関係』

 森林が伐採された後は森林内の窒素が植物に吸収されず、森林外に流出する。
 伐採後0〜1年:硝酸態窒素が増加する。
 伐採後1〜2年:最大値をとる。
 伐採後3〜6年:通常値に戻る。

『地質と硝酸態窒素の関係』

 ・天然林内では土壌や岩屑の堆積状況によって水質が異なる
 ・ヒノキの人工林内からの湧水水質は表層地質によって異なるが硝酸態窒素については明確な特徴が見られない。

『斜面と硝酸態窒素の関係』
 
 ・雨天時の硝酸態窒素流出量と流域の崩壊面積は正の関係
 ・渓流の平均勾配と硝酸態窒素濃度にも相関がある。勾配が緩いほど濃度が低い。

『汚染大気と硝酸態窒素との関係』

・汚染大気の進路と硝酸態窒素の濃度が高い渓流水が関東平野では一致する。

などがあるようですね。

『ななめ読みした本』
・堤利夫 「森林の物質循環」
・河田弘 「森林土壌学概論」

 



水圏環境さん

貴重な情報ありがとうございます。さすが後輩を気遣う技術士さんです。フットワークが軽いですね。僕も見習いたいです。

上記の文献から考えると、植物による窒素固定速度は、降雨速度に対して無視できないオーダーであると思われますが、その幅があるため、その差引が正となるか負となるかが微妙ですね。現地山麓は杉栽培林がほとんどであるためところどころで伐採面が存在しますが経年的に濃度が上昇するという根拠にするには困難さがあるように思えます。降雨量と降雨中の窒素濃度との相関は当然のことのように低くマクロ的な解析には利用できても、局地的な現象を説明することにはやはり地質的な手助けが必要かと考えております。でもそれら森林表土を使った窒素溶出試験では下流沢で窒素濃度が低い区域の対照表土と比べて特に差が見られません。従って、表土の地質の違いはどうも原因ではないようです。日本全国で同様の現象が観測されている地域は無いのでしょうか?
 硝酸態窒素の供給源として「硝酸塩鉱物」というのも無くはないですが、日本ではめったに出ない鉱物、硝石(KNO3)の可能性は低いと思います。

 質問があるのですが、対象の湧水の酸化還元電位、DOはどれくらいでしょうか?
 高い硝酸濃度なので、酸化還元電位もDOも高いが、O-Nがほとんど無さそうなので、ある程度の深度の(地盤下5〜10m?)帯水層を通過した、被圧地下水なのでは?と推測されます。

 しかも脱窒が起こらないスピード、涵養域から湧出域までの距離が短く、しかも地形勾配が大きく、透水性の高い地層中を通ってきた地下水だと思われます。

 たとえば部分的に「阿蘇火砕流堆積物」のような透水性の高い地層が地盤下数mに存在していて、森林帯で涵養した硝酸態窒素に富んだ地下水が、そのような部分的に存在している透水層を通過し、湧出しているのかもしれません。

 しかもその距離が短いか、動水勾配が大きいことで、硝酸態窒素が脱窒作用が不十分のまま、湧出しているという感じです。


水圏環境さん

お返事が遅れました。
DOは測定していません。採水した試料は表流水なので恐らく飽和DO付近です。当然酸化還元電位は高いでしょう。O-Nはあっても20%程度です。今回の現象でもうひとつ目を引く点は標高が高いほど窒素濃度が高くなる傾向が一部見られる点です。標高が高ければ、その分流量は低下しています。およそ標高500mまででの現象です。ということは標高が低い地層から湧出する水の窒素濃度が低く標高低下とともに希釈作用が働いている可能性が多少考えられる点です。頭がこんがらかってきますexclamation & question
 その湧水の出口は皆、同じ堆積物(火成岩とか砂岩泥岩互層とか)なんでしょうか?
 地質調査はされてないようですが、地質図から透水層の分布は押さえられると思いますよ。
山麓だけあってボーリング調査範囲に入っていないため、肝心な部分の地質資料がありません。下の方の調査資料から類推することはできるかもしれませんが、どこかに国土をくまなくメッシュ状に調査したような基礎地質調査資料ってあるものなんでしょうか? それに、僕ももう一度高校地学の勉強から始めないといけないようですね(^^;) 理学の世界は広いですね。一生かかってもほんの一部しか制覇できないだろうな〜。人生の折り返しを過ぎた年齢で、残り時間が少し気になり始めました。 ま〜、できなかった宿題は次の世でやろうと思っているからいいけれど・・・??
こういうサイトもあるので是非活用してくださいo(^-^)o

http://riodb02.ibase.aist.go.jp/db084/Kyushuzoom.html

わたしはボーリングデータより山を一生懸命に歩くのが好きです。社会人になってからは地質調査はやってなくて偉そうなことはいえませんが、現場をこなした数だけモノがみえてくるのがこの仕事だと信じています。

近くだったら是非行ってみたいですね。
お弁当もっていけば、楽しいそうですo(^-^)o
ころころ犬様
はじめまして。
流域内の土地利用で農業とかしていたら、↓肥料の可能性もあるかもしれませんね。家畜の糞尿なんかも、影響するかもしれませんし。

http://www.agri.pref.kanagawa.jp/nosoken/KANKYO/2002Topics/200205/HOZEN/Hozen.htm

福さん

はじめまして、コメントありがとうございます。渓流の上流にとんでもない大畜産団地があったりする水域も知っていますが、今回の調査地域については杉林以外には何もなく、流域には家畜はほとんど飼われておりません。茶畑が若干散在する区域もありますが、窒素が高い区域の上流には存在しておりません。しかも標高が高いほど窒素濃度が少し高くなるなど謎はますます深まるばかりです。



水圏環境さん

面白いサイトご紹介頂きありがとうございます。活用してみようと思います。僕も現場歩いてなんぼとは思います。沢水調査では問題の沢の下から上まで山中をかき分け、滝を登りもう体力の限界を感じました。鎌をふるった腕は今でも間接の痛みが治りません。やっぱ年かな〜。
しばらく、ノーコメントですいません。なんとかいろいろなデータから微かな光が見えてきたような・・・錯覚かもしれませんが。

結論として、酸性雨、植生と地質のコラボレーションかと。

酸性雨は九州北部にほぼ万遍なく降り注ぐ。従って、特定の水域だけ窒素が経年的に増加傾向を示す理由にはならない。

ある特定の地質構造域に酸性雨が降ることで、地質からの溶脱が刺激される可能性(あくまで仮説)

降雨中のアンモニウム態窒素が土壌吸着を受けにくい地質構造。知っているかとは思いますが、一般的に降雨中の窒素形態は硝酸態窒素よりアンモニウム態窒素が多いのです。ところが、このアンモニウムイオンは陽イオンであるため土壌に吸着されやすい。そのため、降雨が河川に注ぐ時にはごく短時間で硝酸態窒素がメインに変化している。

地質的にも当該地域は特異的な結晶片岩地帯。何かあるか?

こんなそんなでなんとなく・・・  多少の光が ・・・ 天秤座   
 ころころ犬さん

 結晶片岩であれば、岩石の「割れ目」を地下水が通過する裂か水なのかもしれませんね。涵養した地下水があっという間に湧出するので脱窒作用が不十分なのかもしれませんね。
水圏環境さん

脱窒が不十分なために硝酸態窒素が涵養前とほとんど変わらずに流出するということだけでは比較的高い濃度の窒素の流出は説明ができません。そのため、表層土壌からの窒素溶脱の促進、雨水中のアンモニウム態窒素の吸着阻害等のプラス現象の確認が欲しいところなのですが、今のところ決め手がみつかりません。またそれを加速するトリガー因子として、酸性雨の深刻化等の傾向が見られればと思ったのですが、数年前までの資料しかないのですが以外と変化がないので当てがはずれています。
 絵を書いて確認したいところですが、結晶片岩はどのような広がりがみられるのでしょうか?となりの山と地層が繋がっていることもあります。

 数mg/Lの硝酸濃度は山地湧水で見られるみたいですよ。
水圏環境さん

そのような山地湧水を僕は知りません。どの地方で見られますか?またその濃度は硝酸濃度でしょうか、それとも硝酸態窒素濃度でしょうか?結晶片岩層域は3つの尾根をまたがって分布するほど広いものです。
 塚本良則(1992)森林水文学.文永同出版によると
 北関東で1.4mg/Lの硝酸態窒素がみられたとありますね〜

 米国では最高で5mg/Lがみられたりしているようですね。

 ところですみません。初歩的な事を伺いますが
 硝酸濃度と硝酸性(態)窒素濃度って分けて使われるのですか?(;^_^A
 
うーん。

詳しいことはわからないけど、やっぱり酸性雨の影響じゃないのかな・・・
他の山で、似たような植生があるのに、全然違う濃度なのですよね。

もっとも、どこの流域でも酸性雨は降っているだろうと言われると弱いのですが・・・
水圏環境さん

通常、酸性雨等の観測ではイオンバランスを測定値の精度確認に用いますので、イオン濃度つまり硝酸イオンであればNO3として取り扱うことが多いです。それに対して、富栄養化問題を取り扱う場合には窒素やリンの量に着目するので硝酸態窒素や燐酸態リンなどを用います。こちらはNO3-N、PO4-Pと表記し、硝酸イオンの中の窒素だけ、燐酸イオンの中のリンだけの濃度となります。結合酸素の分だけ濃度が違うわけです。

おりゅうさん

そうなんですね。どこでも酸性雨は降っている。なのにどうしてここらへんだけ高くなるわけ・・・? です。酸性雨が効く地質と効かない地質ということぐらいしか考えられない感じです。

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