若かった頃は、この映画の音楽やダンス、ファッション(ジーンズやコットンパンツ、バスケットシューズ等など)などに興味が集中していた様に思う。しかし、後年繰り返し観ているうちに、スティーブン・ソンドハイムのリリック(歌詞)の素晴らしさに気付くようになった。英語が理解できるようになったからであろう。字幕の和訳では、歌詞の良さ、素晴らしさはなかなか伝わり難い。ソンドハイムの歌詞には、ユーモアやシニシズムもピリッと効いていて、聴く者の胸を打つ、考えさせられる。ソンドハイムの詞は「オフィサー・クラプキ」とか「アメリカ!」、「Somewhere」等どれもこれもいいが、私が一番胸を打たれたのはアニータが唄う「A Boy like That !」とマリアが唄う「I have a love」だ。マリアの恋人トニーがアニータの恋人ベルナルドをナイフで刺殺するという悲劇が起こった後、アニータがマリアを訪れ、悲しみと憤怒を爆発させるようにマリアに向かって"A boy like that will give you sorrow -- You'll meet another boy tomorrow! One of your own kind, Stick to your own kind !" と歌い上げると、マリアがアニータの気持を汲みながらも、愛の強さを"Oh no, Anita, no ... It isn't true not for me, It's true for you, not for me.....I have a love, and it's all that I have. right or wrong, what else can I do ?"と歌い上げると、アニーととマリアが手を取りながらデュエットで"When love comes so strong, There is no right or wrong, Your love is your life !"と愛の不条理を切々と歌う。このアニータとマリアの二重唱のシーンを見る度に聴く度に、感動してしまう。