プリンス(Prince, 1958年6月7日 - )はアフリカ系アメリカ人のポピュラー音楽のミュージシャン。本名 Prince Rogers Nelson。ミネソタ州のミネアポリス出身。1984年ごろまで1961年生まれということにしていた。
1978年のファーストアルバム以降、ロック、ファンク、ソウル、ブルース、ジャズ、ニュー・ウェーヴ、ヒップ・ホップを自在に取り込んだ唯一無比のスタイルで音楽を創造しつづけ、第一線で活躍しながら多くの信奉者を生んでいる。ミネアポリスサウンドと呼ばれるムーブメントの中心的存在。この先、何十枚でもアルバムを発表できるだけの楽曲のストックがあるといわれ、またどれほど優れた曲であろうともアルバムの流れから外れた曲は表に出さないという主義から、多大な数のブートレグを生んでいる。その特異な才能への敬意と Prince という名にちなみ、日本のファンは彼を「殿下」と呼ぶ。
1978年、プリンスはたった一人でデビューアルバム For you を作り上げ、そのメジャーキャリアをスタートさせる。ビルボードチャートは163位に終わるものの、シングルカットされた Soft And Wet はR&Bチャートをにぎわせた。
1979年、バックバンドを集めるものの、やはりアルバム作成はほぼひとりでやってのけ、セカンドアルバム Prince を発表。キャッチな曲として Why You Wanna Treat Me So Bad、I Wanna Be Your Lover がR&Bチャートでヒットとなった。なおI Wanna Be Your Loverは全米シングルチャートでも最高位11位にランクされる大ヒットとなり、一躍その名を世間に知らしめることとなる。余談ではあるが日本で発売されたアルバムはこれが最初のものとなる。邦題はなぜか『愛のペガサス』と名付けられ失笑を買う。
1980年には Dirty Mind を発表。本来発表するつもりのないデモテープであったが、マネージャーの勧めで発表することになったという。音源はかなり貧弱といわざるを得ない。また、Head と Sister の詞が性的に露骨過ぎるという理由で放送禁止曲になることで話題を集めた。しかし、そのためにセールス的には前作を下回ってしまった。
1981年には Controversy を発表。同名シングルがインターナショナルチャートにランクインする。また同時期にザ・タイムのデビューアルバムをプロデュースする。プリンスはなぜかプロデューサー業をペンネームで行うことが多い。ただし、プロデュースというのは名ばかりで、実際には作詞作曲演奏のすべてを行っている。この他にもヴァニティ6(アポロニア6)、シーラ E.などをプロデュースし、プロデューサーとしてもその非凡さを証明する。また、シーナ・イーストンやバングルスなど他の歌手への楽曲提供も少なくなく、さらにはプリンスの曲をカヴァーするアーティストも多く、ケイト・ブッシュ、チャカ・カーン、トム・ジョーンズ、シンニード・オコナーなどが代表格。日本では白鳥英美子や矢井田瞳が Nothing Compares 2 U をカヴァーしている。 この時期に、なぜかローリングストーンズの前座としてツアーを行っており、おそらくはその全くの音楽性の違いからであろう、公演によっては、物を投げつけられるなどの客からのブーイングを受けた。
1982年に2枚組アルバム 1999 をリリースしたプリンスはついにブレイクを迎える。全米で400万枚を売り上げたこのアルバムからは Little Red Corvette(6位)、1999(12位)、Delirious(8位)がシングルカットされ、全米チャートで初のトップ10入りを遂げた。同時に MTV ではじめてプロモーションビデオが放映された黒人アーティストとして、マイケル・ジャクソンとともに名を連ねることになる。なお、1999 日本盤CDで初期のものは D.M.S.R. が削られているバージョンがあるので気をつけられたい。
1984年、同名映画のサウンドトラックとして Purple Rain が発表され、プリンスのコマーシャル的な価値は頂点に達する。発表初週に100万枚を売り上げたこのアルバムは、ビルボードチャートのトップに実に24週間も居座りつづけた。シングルカットされた When Doves Cry、Let's Go Crazy の2曲がシングルチャートで1位となり、プリンスは全米でのボックスオフィス、アルバムチャート、シングルチャートですべて1位を獲得するという偉業を達成する。なお、本作からは他に Purple Rain(2位)、I Would Die 4 U(8位)、Take Me With U(25位)がシングルカットされている。また、When Doves Cry は年間シングルチャートでも1位を獲得している。
全米で1300万枚、全世界で1500万枚を売り上げた Purple Rain の収益でプリンスは独自レーベルであるペイズリー・パーク・レコードを設立する。1985年にこのレーベルから Around The World In A Day を発表。前作とはがらりと作風を変えてきたこのアルバムも全米チャートで1位を獲得する。
翌1986年には監督をも努めた映画 Under The Cherry Moon のサウンドトラックとして Parade を発表。映画自体は興業的に失敗するものの、アルバムは全米で3位となり、シングルカットされた Kiss は全米1位を獲得する。このときのチャート2位が バングルス の Manic Monday であったが、この曲はプリンスが Christopher というペンネームで提供した曲である。また、この年 Parade tour で初の来日公演を果たしている。バックバンドレヴォリューションはこのツアーを最後に解散する。
このUnder The Cherry Moonは1987年のゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で最低作品賞、最低監督賞、最低主演男優賞、最低助演男優賞(ジェローム・ベントン)、最低主題歌賞を受賞するほどであった。ちなみに「ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀」も同時に最低作品賞を受賞しているが、最低作品賞が複数選ばれたのはラジー賞の歴史上この年が唯一である。
1987年には多くのファンが最高傑作として挙げることの多い、2枚組アルバム Sign "?" the Times を発表する。本来は3枚組の Crystal Ball として発表されるはずだったこのアルバムは、ワーナー・ブラザーズとのコマーシャル的ないざこざから削られ、このサイズに落ち着いたという。なお、ツアーのライブビデオをベースに作成された同名の映像作品が発売されている。プリンス関連の映像作品としての評価はもっとも高い。
同年、The Black Album がレコーディングされるが、発売直前になって発売が中止される。歌詞があまりにも攻撃的だったということが理由とされているが、やはりここでもワーナー・ブラザーズとの確執があったためとも言われる。この音源はブートレグとして世界最高の売上であろうと思われる500万枚以上が販売された。同アルバムは最終的に1994年にワーナー・ブラザーズから発売されている。
1988年には The Black Album のアンサーアルバムとなる Lovesexy をわずか4ヶ月の制作期間を経て発表するが、そのジャケットが物議をかもし、CDでの曲間ジャンプが出来ないようにアルバム全体が1曲扱いになっているという仕様(ただし発売国によっては異なる)のアルバムはセールス的には全米11位、売上50万枚と低迷した。同様に全米ツアーも低迷したが、その低迷分をヨーロッパと日本へのツアーで補うことができたという。
その際にプリンスはその名を捨てる。前作アルバムのタイトルであるシンボル画像:Prince_symbol.svgを自らの名とした。このシンボル画像:Prince_symbol.svgは、男性(♂)と女性(♀)を融合させたもので、錬金術の記号にルーツを持つという。しかしプリンスはこのシンボルに対しての読み方を特に決めなかったため、彼の名前を音声で伝えることが不可能になった。結局ラジオDJなどは画像:Prince_symbol.svgを指して、「元プリンス」(the Artist Formerly Known As Prince=かつてプリンスと呼ばれたアーティスト、かつてプリンスとして知られたアーティスト)と呼んだ。さらに略して単に「アーティスト」(The Artist)とも呼んた。
2001年、プリンス名義としては9年ぶりのオリジナルアルバム The Rainbow Children を発表。賛否両論を呼んだターニングポイントの作品。
ワーナー・ブラザーズを離れてからは主にオフィシャルサイト NPG Music Club を中心に活動していたが、2004年2月に第46回グラミー賞のオープニング・アクトをビヨンセと共演。3月にはロックの殿堂入りを果たし、4月にコロムビアと配給合意しアルバム Musicology を発表。コンサートツアーが全米で年間最高の観客動員数と収益を記録し、第47回グラミー賞でも2部門を受賞。米音楽シーンの中心に返り咲いた。
2005年2月、人種差別問題や社会問題などについての認知度を高めたという功績が認められ NAACP Vanguard Award を受賞する。また、ハリケーン・カトリーナの被害救済に一早くチャリティ曲 S.S.T. をネット配信した。12月、ユニバーサルと配給合意し、ニューアルバム 3121 からの先行シングル Te Amo Corazon をネット配信。
* フォー・ユー - For You(1978年) * 愛のペガサス - Prince(1979年) * ダーティ・マインド - Dirty Mind(1980年) * 戦慄の貴公子 - Controversy(1981年) * 1999 - 1999(1982年) * パープル・レイン - Purple Rain(1984年 - with The Revolution - サウンドトラック) * アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ - Around The World In A Day(1985年 - with The Revolution) * パレード - Parade(1986年 - with The Revolution - サウンドトラック) * サイン・オブ・ザ・タイムズ - Sign "?" The Times(1987年) * LOVESEXY - Lovesexy(1988年) * バットマン - Batman(1989年 - サウンドトラック) * グラフィティ・ブリッジ - Graffiti Bridge(1990年 - サウンドトラック) * ダイアモンズ・アンド・パールズ - Diamonds And Pearls(1991年 - with New Power Generation) * ラヴ・シンボル - Image:Prince_symbol.svg a.k.a. Love Symbol(1992年 - with New Power Generation) * ザ・ヒッツ & Bサイド・コレクション - The Hits/The B-Sides(1993年 - ベスト盤) * ザ・ヒッツ1 - The Hits 1(1993年 - ベスト盤) * ザ・ヒッツ2 - The Hits 2(1993年 - ベスト盤) * Goldnigga(1993年 - as New Power Generation) * ビューティフル・エクスペリエンス - The Beautiful Experience(1994年- as Image:Prince_symbol.svg) * 1?800-NEW?FUNK - 1-800 NEW FUNK(1994年 - コンピレーション) * COME - Come(1994年) * ブラック・アルバム - The Black Album(1987年録音、1994年発売) * ゴールド・エクスペリエンス - The Gold Experience(1995年 - as Image:Prince_symbol.svg) * Exodus(1995年 - as New Power Generation) * ガール6 - Girl 6(1996年 - サウンドトラック) * カオス・アンド・ディスオーダー - Chaos And Disorder(1996年 - as Image:Prince_symbol.svg) * イマンシペイション - Emancipation(1996年 - as Image:Prince_symbol.svg) * クリスタル・ボール - Crystal Ball(1997年 - 未発表曲集) * The Truth(1997年 - as Image:Prince_symbol.svg) * Kamasutra(1997年 - as NPG Orchestra) * ニュー・パワー・ソウル - Newpower Soul(1998年 - as New Power Generation) * 1999: The New Master(1999年 - with The Revolution) * ザ・ヴォルト〜オールド・フレンズ・フォー・セール - The Vault: Old Friends 4 Sale(1999年 - 未発表曲集) * レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック - Rave Un2 The Joy Fantastic(1999年 - as Image:Prince_symbol.svg) * Rave In2 The Joy Fantastic(2000年 - as Image:Prince_symbol.svg) * ヴェリー・ベスト・オブ・プリンス - The Very Best Of Prince(2001年 - ベスト盤) * レインボウ・チルドレン - The Rainbow Children(2001年) * One Nite Alone(2002年) * One Nite Alone... Live!(2002年 - ライブ盤) * Xpectation(2003年) * N・E・W・S - N.E.W.S(2003年) * ミュージコロジー - Musicology(2004年) * The Chocolate Invasion(2004年) * The Slaughterhouse(2004年) * C-Note(2004年 - ライブ盤) * 3121 - 3121(2006年) * アルティメイト・ベスト - Ultimate(2006年 - ベスト盤) * プラネット・アース - Planet Earth(2007年)
* Housequake.com Unauthorized, unofficial, independent Discussion fansite.
* prince.org Independent and unofficial Prince fan community site.
* Princefams.com Prince News and Pictures.
* UPTOWN The independent, unofficial and uncensored source exploring the musical world of Prince
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9_(%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3)