ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

合作小説「灰」コミュの第 19 章〜2〜  復 活

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
■ 桃 色 の 道 ■







女の子は 歩いていました 。
雪に 包まれた道は 何処までも続くような 一面の 白 。
大好きな 甘い 甘い 砂糖のようです 。

誕生日に食べたケーキを思い出して居ると
目の前に 大きな 赤いリンゴが 落ちて居ました 。

冬は 寒いけれど こんな偶然も 有るんだなと 嬉しくなりました 。
拾って食べたい気分でしたが 誰が 落としたものか 心配になりました 。

周りを見渡しても 林檎の樹など 有りません 。
余りにも 綺麗な 形と 色だったので 本物では 無い気もします 。

丁度 お腹も空いているし 誰も 近くに 居ません 。
悩みながら 近付いて 良く 眺めて居ました 。




近くに寄って見ると キラキラ と 輝きの音が 聞こえました 。
不思議に思いながらも 何処か ワクワク します !

もしかしたら 魔法の林檎なのかも 知れない !
女の子は 何だか 楽しく なりました 。

冬は 寒いけど  こんな 偶然が 有ったなんて !
本当に凍えそうな足先さえ ポカポカと 暖かくなりそうです 。

穴の開いたブーツが悲しくて 泣いていた昨日も 忘れました 。
母親と 喧嘩した事も !

そおっと 手に取ると  ふわっとした感覚がして 驚きました 。
しかも 雪の上のリンゴは 何故か 温かかったのです !

やっぱり マホウだ !
女の子は 本気で 思いました 。




:・°★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°★,。・:



「お前って。。。昔から思ってたけど。。。 案外ロマンチストだよな。。。」
途中まで読んだ徹也が口を挟む。

「チョッと! その 『案外』 って 何よぉ! ちゃんと 最後まで 読んでよ!
 今日は 最終章を この子に読んで 聞かせるんだから!」

「んなコト言ったって。。。理解できんのか?」
「馬鹿にしないで♪ うちの子 『あ・ん・が・い!』 お利口さんなんだから!」

「・・・ったく 親ばかだよな。。。」
やはり 徹也も 著者と同じ発想の様である・・・(笑)


「どれどれ! 続きを 読んで『やる』とするか!」
「。。ったく 何処迄もムカつく モノ言いね!」

しかし この二人にとっては この 『毒舌』 が 『常』 であり
普通の会話と言うものは 何時の頃からか 存在しなくなってしまったらしいxxx






:・°★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°★,。・:






ドキドキ しながら かじろうか 迷いましたが 止めました 。
昔 読んだ 怖い 毒リンゴの お話しを 思い出してしまったのです !

少し 寂しい気分になって 腰が引けた 瞬間 !
突風が 女の子を 襲いました !

ビュ〜ウ 、 ビュウ !

断末魔の 響きのような 音に ビクッ として 震え上がって
リンゴを 落としてしまいました !

思わず 下を向いた 瞳の中に 映ったのは ・ ・ ・
何と !

見る見る間に 白い道が 桃色に 染まってゆくでは 有りませんか !
これは どうした 事でしょう !

少しずつ リンゴの赤さは 道と 溶けて 
とうとう 小さくなって 見えなくなって 消えてしまいました 。





今 さっきまで 手中に 居たのに ・ ・ ・
女の子は 生まれて 初めて 後悔しました 。

まるで 生きて居るように 体温を 持った風に 感じてたのに !
言葉が無くても 解り和える 友達に 成りたかった ・ ・ ・

世界一の 哀しい 気分です 。
でも 立ち止まって居る訳には 行きません !

おつかいだけは きちんと 済ませないと !

心を 奮い立たせるように 
身震いの罠から溶けた身体を 太陽に 預けます 。

大丈夫 !    平気だヨ !

言い聞かせる様に 首を 横に 振りながら 
又 前へ 前へと 歩き出しました 。

少し 楽しい色をした  その道を ・ ・ ・





:・°★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°★,。・:





「う〜ん。。。 良く 解るような 解らんような。。。」
「相変わらず 徹也は 飲み込みが 遅いんだから!」

「。。。ちゅうか、お前の発想に 問題が有るんと ちゃうん? 
 それで、・・・その 『桃色の道』 ってのは 何なんだよ?」

「それを言っちゃあ オシマイよ! 
 それが これから紡ぐ 『この子達の』 そして 『私達の』 「未来」 なんじゃない☆」

とほほ。。。
徹也の心境を理解出来る読者は 是非 賛同して欲しいもので有る。。。




●・・・女・・・●


「・・・いくつになったんだっけ?」
夢の中で 彼の声が 聴こえる。

「ん。。。。 ハタチと八十四ヶ月。。。」
ふぅん。。。。    ん?

ひいふうみぃ。。。
両手を使って計算する彼の姿が可笑しくて 笑う。

「そういう 紀は?」
「オレ・・・ぁ。。。 経歴詐称。。。。」

「だって こないだの紗代の話では 釣具店時代から。。。」
ひい・ふぅ・みぃ・・・

今度は昌子が 指折り数える番で有る。
同棲。。。とは言っても 所謂 『期限付』 。

永遠の保障なんて 何処にも存在 しないんだからxxx
いつも 何処かに 。。。心の隅に、 言い聞かせている様で。。。

少し 寂しかった。
クリスマスは とっても素敵で。 新しい年も 迎えられたけれど。

最初は 肝炎の薬だとばかり 思ってた。
佳代に 感染(うつ)されていた。。なんて言うから すっかり信用してたのに。

これで 何時でも 紗代達と 四人・・・と 可愛い子等の 六人で?
一緒に 遊園地まがいの楽しい生活が送れると思って居たのに。。。

今は 一人切りの 此の 部屋。
とっても 寂しくて 。

ややもすれば泣いてしまいそうな瞬間 コールが鳴った。
「オレ。。。 」

誰なのか 名乗らなくても解る 懐かしい声。
「テツヤ。。。 帰って来たんだ。。。」

「ああ。。。 今から 逢えねぇか?」
余りに優しい声に 嗚咽が止まらなくなってしまった。

「どした。。。ああ。。。 解った。 じゃあ そこに向かうわ。」
指定したのは やっぱり 『SEA WIND』 。

私達は 思い出から 離れられないらしいxxx




●・・・男・・・●


「保険屋?!」
そりゃあ 素っ頓狂な声も 挙げたくなるだろう。

何だって そんな?!
一発目は 嫌な記憶が 甦る。

昔 相棒(けーすけ)が言ってたヨ!
保険屋なんて ロクな女は居ないって!

それも 偏見だと思うけどな!
だけど 何だってお前が?

「いや。。。たっくんも やっぱ。。。偏見って 有るんだね。。。」
「有るのは 『偏見』 でなくて 『ノルマ』 だろ?!」

うふふ。。。
浅い笑い。 含みの上に 真っ赤なルージュ。

引き込まれそうになっている俺は かなりヤバイ!!
「これが 紗代ちゃんならば 猛反対って トコロよね?」

「あ・た・り・ま・え・だっっっっっっっ!!!」
つい、息を 荒立たせてしまった。

「・・・なーんて 言える立場じゃ無いよな。。。 オレも。。。」
「なん? どーしたん。。。?」

「しょーこさん。。。聞いてくれる? オレ。。。甘えちゃって いい?」
「い・い・わ・よ。」

魅惑的な紅に オレは 引き込まれてしまいそうになった。。。




●・・・女・・・●


「きっと 麻衣子さんなら こう言うと 思うのよ。。」
淡々と話し出す雅代の唇を 見詰めて居た。

少し 色褪せた茶色のルージュ。
あたしのモノとは 全然 違うな。

どっちかって言えば 元気☆パワフル☆ の ピンク系が あたしは好きだ。
(麻衣子さん。。。どうして 生きてて 呉れなかったんだろう・・・)

ぼんやりと そんな事を 思いながら。
それにしても 昨夜の口論を思い出すと 胸倉を掴んでやりたい位だ。

今も 思い出すだけで ドキドキする。
こんな事って 。。。有るの?

「おかーさんさ。。。 やっぱり世間体ってのは 気にしなきゃ ならない事なの?」
一通りの話を聞き終わった雅代は ゆっくりと お茶をすすりながら応える。

「そうね。。。一概には言え無い事だとは 思うのだけれど。。。
 想像して 御覧なさい? 沙代。。。。 もしも アナタの子供が そんな事 言ったら・・・?」

大きな目がクリクリ動く。
紗代は 何かを考える時 視線をクリクリさせながら 首も振る癖が有る。

「うん。。。確かに そうだけど。。。 でも しょーこ姉さんの幸せを思えば・・・・
 きっと佳代なら こう言うと 思うのよ?」

『幸せって言うのは 愛 ひとつなんだ』 って。
『精一杯 誰かを 愛する為に 出来る事ならば 何でも しなさい』 って。。。

「だけどね。。。紗代。」
言い含めるような雅代の台詞。

「佳代ちゃんは。。。こう言っちゃあ・・・アレだけど。。。
 愛の為に 命を掛けた人なのよ。。。 昌子さんは 『これから』 が 有るんだから。。。」

「でも 雅代ちゃん、 その 『これから』 の 為に 『今の気持ち』 を 犠牲にする必要なんて 有るの?
 誰かが その 『恋路』 を 止める権利なんて 有るの?!」

。。。ごめん。。。雅代ちゃん。。。これじゃあ すっかり 『八つ当たり』 だよねxxx




●・・・男・・・●


「それで 『雅代ちゃん』 は 結局 反対だった 訳だな?」
「うん。。。 勿論 そう言われた。」

二人は 無言で コーヒーを飲んでいた。
いつもは 紗代が入れて呉れる ドリップコーヒー。

この味を この人と 向かい合って飲んでいるなんて 何だか不思議な感覚がする。
「しょーこさん さぁ。。。 ちょっと 見せてくれる?」

一枚の 紙切れ。
ざっと目通しした徹也。

「あのね、こないだ 紗代と会ったでしょ? あの時は 未だ 紗代は 知らなかったの。」
「うんうん。」

紙切れから目を話さずに 何処か遠くを見ながらの 相槌。
「それで、たっくんにも 一度 相談をして。。。それで その夜 紗代達は 口ケンカしたみたいで。。。」

「それは。。。『申し訳無い事した』 って 思ってんのか?」
昔のような ギラギラした瞳の徹也。

「お前。。。もしかして こんな事 思ってんじゃ ねぇのか?」
『他人の幸せが 今は 妬ましい。。。』

無言になる昌子。
『うん』 とも 『すん』 とも 言わない。

「まぁ。。。笑えよ!」
カラ笑いの徹也の声も 何処迄 届いて居る事だろう。

「だけど。。。救急車を呼んだのは 正解だったと 思うぞ?
 それで 紀さんも 我に返ったんだろう?」

「うん。。。きっと そうなんだと思う。私も 信じられなかったしね。。。
 そんな。。。 まさか インターネットって 怖いよね。。。」

「全くだな。。。 しかし 二錠で二時間の致死剤ってのは ホンマに存在するのか・・・?
 オレも・・・未だ。。。勉強不足だな。。。 良く 解んねぇや。。。 すまん。。。」

「ううん、いいの。 私も 相談する相手。。。徹也しか居なくて。。。
 ごめんね。。帰って来て 未だ疲れも癒えてないってのに。。。」

「良いって事よ! あの 秋田で出会った 俺等の運命だろう?」
「。・・・ん?」

何だか解らないけど 今は 笑って居た方が良い様な気がする。。。
保険屋の勧誘は 相変わらずにシツコイけれど。

今は 仕事よりも 考えなきゃ ならない事が 山積みなんだ。。。
とりあえずは 貯金で凌いで 何とか しなきゃね。。。




●・・・女・・・●


「何ですって?!」
紗代の怒号が飛ぶ。

ホント、先日は昌子と密会をしてたって言うから
てっきり しょーこさんの悩み話だけ 聞いていたと思ったら!!

「辞めるですって?!」
ほんと どうするのよ! 私達の生活は!!!

「もう。。。オレ。。。駄目なんだよ。。。精神的に。。。」
クタクタの旦那の顔なんて もう 見たく無い。

全てが上手く回ってこそ 夫婦なの?
何か有った時に 支え合える関係を誓って 指輪の交換をするものが 夫婦なの?

心の何処かでは そんな事も 考えながら。。。
「いや。。。だから。。。最初は しょーこさんの悩みを聞いてたんだよ。。。」

「そうよ? 『保険屋』 の おばちゃんに 『一緒に働かないか?』 って 勧誘されたって 話でしょ?」
「いや。。。もう一つ有るんだけど・・・」

「ちゃんと 筋道立てて説明してちょーだい!!」
隣の部屋では アキがワンワン泣いてるけど 知ったこっちゃない!

「お・・まぇ。。。 先ず アキ。。。どうにかしろよ!」
「何よっ! アンタだって 『親』 なんだから アンタが どーにか しなさいよっ!!!」

「あ。。んた。。って。。。。」
「何よ! アンタだって いつも 『おまえ、おまえ』 って 言う癖に! こういうの男尊女卑って言うんだわっ!!」

(おい ちょっと それは違うだろう。。。)
ヒステリックになった女ほど 止められないものは無いと 達也は実感した。

「先ず・・・ 頼む。。。落ち着いて呉れ。。。オレの話も聞いてくれよっ!!」
立ち上がる達也に 紗代の投げた座布団が飛ぶ!

「もう! 何なのよっ!!」
ばたんっ バタンっ!!

激しい音が二回した。
1度目は 部屋の扉。 そして 二度目は 玄関の・・・

厳寒の夜に去って行く 紗代の後ろ姿を
呆然と見詰める達也の耳に まとわり付く アキの泣き声。

「ああ! もう。。。 どうすりゃ良いんだよ・・・!!」
半狂乱のまま ウイスキーロックを がぶ飲みするしか 方法は無かった。

「オレだって。。。オレだって。。。お前等の生活を支える義務は感じてるんだよ!
 だけど。。。だけどxxx 精神的に 追い詰められるトキだって 有るじゃないか!!」

達也の言葉を受け止めるのは 目の前でチリヂリになった 
クッションの綿のみで有った―――





●・・・男・・・●


ええっと。。。 
ゆっくりと 紙を見ながら 分析を始める徹也。

「私も 一応は 薬の本で 調べては見たんだけど・・・」
「うんうん。。 今 整理してる。」

エクセグラン・セレネース・ベンザリンにセルシン・テグレトール・・・っと。。。
これって 抗けいれん剤と・・あとは 少しブチロフェノン系の精神安定系のも入ってるみたいだな。。

「あのね。。。」
昌子が口を開きかけた瞬間だった。

ドタバタ・ガッタン!!
物凄い音と共に 物凄い形相の・・・     紗代が居た。

「あああああああああああああっ!!!!!」
大声で叫びながら 息を切らす 紗代。

あんた達 何時の間に?!
「ああ。。。もう こんな時間か。。。」

辺りは すっかり 真っ暗く なって居た。
徹也と昌子は 昼間っから語り尽くして居た計算になる。

現在 SEA WIND は 表扉と 裏扉が 新しく増設されて居た。
紗代達 家族が 何時でもサボテンに水をやれるように。。。

そして シェーンやアンディー。そして綾子を忍べるように作られたスペースと
家族の為に 新しく作られた 少し間遠の建物へ通じる扉と。

裏扉から 表に回るまで 沙代は SEA WIND の 灯りにも
気付かないくらい 興奮して居たのだろう。

「あんたの責任(セイ)よっ!!」
いきなり 昌子に 掴みかからん勢いの紗代の肩を 徹也がガッチリと制する。

「・・・落ち着けよ。。。」
「徹也(アンタ)まで達也(アイツ)と同じ台詞 吐かんでよ!!」

すっかり興奮状態の紗代。
もう誰にも 止められないらしい。。。




●・・・女・・・●



「・・・落ち着いた?」
今日コーヒーを入れるのは 二度目だな。

一杯目は 徹也の為に。
そして 二杯目は 目の前の 可愛い紗代の為に。

二人のコーヒーは 昼間からの時間の経過で すっかり冷たくなってしまっていた。
半分程しか減っていない状態から 話の混乱さが伝わって来る感じも受ける。

紗代は 涙を 流して居た。
「そんな辛い事実(コト)が 有ったなんて。。。」

ホント、女ってのは 『今 泣いた鴉が 云々。。』 って ヤツだよな。。。
ほころびかけたコートの裾を合わせながら 徹也は思う。

まぁ。。。鴉ってのは 失礼かな?
でも 紗代(コイツ)は 黒い鴉は 綺麗だ、なんて 感性の持ち主なんだっけ。

そんなコトを考えて居る間に 二人の女の話は 進行して居る様子だ。
今は口を挟まない方が 良いのだろう

徹也は ゆっくりと 木製椅子を 音を立てないように立ち上がると
海風を浴びに 外に出た。

(思い出すな。。。 あの日 の・・・)
そう。。。 皆で燃やしたよな。。。 シェーンの思い出と 共に。。。

何処から こんがらかって しまったんだろう。。。
今は 誰も 責めるコトなんか 出来やしない。

唯だ 一つ 言えるのは。
こんな不況の世の中、 人間は 皆 『心』 が 『愛』 が 病んで 生るんだ。。。

それでも 生きるんだろうな。。。
魂が 煌き続ける 其の限りに。。。




●・・・男・・・●


オレだって・・・どうしようも 無かったんだよ。。。
解って呉れよ。。。

そんな叫びが 蝋燭と共に 揺らめいて居る。
目の前には 彼女の写真と ダブルベッド。

これも オレ一人じゃ 淋し過ぎるよ。。。
回転木馬のジグソーパズルは オレ一人っ切りで 創り上げた。

ほんの 二週間だけ 戯れた 二人だけの部屋。
今 こんなに 『思い出』 として 囚われてしまうだなんて

出逢った頃は―― 想像も しなかったよな。
こんなに彼女を 愛するだなんて。

そして オレの秘密を 彼女は 受け止めて呉れたから。。。
腕を見る度に 嫌ぁな思いが甦る。

オレが悪だった時代。
そして 刻まれた この ラクガキ。。。

体中に 刻まれて 消せやしない。。。
昌子は 紗代に頼んで 雅代ちゃんの意見を聞いたと言って居た。

そりゃあ 何処の親だって 反対するよな。。。
刺青入れた男だなんて。。。

しかも。
オレの腕には 昔の女の名前が 彫られて居る。

それに。。。
又 発作に 襲われそうになった。

最近は 胸が煽ぐ様な感覚を受ける。
初めて彼女を抱いた瞬間を 思い出して居た。

あれは。。。そうだ、シェーンと昌子が未だ。。。
シェーンがデイケアに一泊した あの日だったな。。。

時が経ったようで。 未だ そんなに時流は。。。
結局 外国(アッチ)での離婚も 病(こいつ)が原因だったんだ。。。

これさえ 無ければ。。。 何度も思った。
ライターで あぶってみたって 消えるもんじゃない。

やっぱ、レーザーでも掛けんコトには 駄目なんかな・・・
紀の一人言が 昌子の居ない 孤独な部屋に響いて居た。




●・・・女・・・●


「そっか。。。」
やっと 落ち着いた紗代と昌子は 向き合って居る。

何時の間にか 徹也は外に出て行ったらしい。
SEA WIND の テーブルには 三つのコーヒーカップ。

それを挟むのは あたしと。。。しょーこさん。。
「こないだね、たっくんに 相談したのよ。」

「ああ。。。 聞いたよ、 ・・・で、 やるの? 保険屋?」
「うーん。。。未だ 迷ってるんだけど 何だか 健康診断みたいなの受けさせられてさ。。。」

「それって無理矢理じゃない? あーゆーのって怖いよねぇ・・・」
「でも あたしも このままじゃ 駄目だと思うのよ、 何つーか 外に出るって言うの・・・?」

「必要なんじゃ無いか。。。って?」
「うん。。。そう 思うんだよね。」

「そっか。。。 まぁ あたしは 止めないよ。」
「そうそう 達也さんも 悩んでたよ。」

「そうそう 実は アタシ さっき 聞かされたんだ。 まさか しょーこさんに先に相談させてるとは
 思わなかったモンだから あたしも エキサイティングしちゃってさ。。。」

「違うのよ!」
「うん。 今では全て理解したよ。 こんな重い話って。。。無いよ。。」

紗代の目頭に涙が浮かび上がりそうになった瞬間
昌子が強い口調で 其れを制した。

「そんな事は 無いのよ? だって 私は紀のコト 愛して居るもの! 
 いくら 誰に何を 言われたって。。。ネ☆」

嗚呼。。。しょーこさん 何時の間に強くなったんだろう。。。
あたしも 人を思いやる心ってのを 忘れてしまって居たんだな。。。




●・・・男・・・●


「お帰り。」
いつもの達也だ。

あたしのヒステリックを やっぱ理解してくれる 最愛の人☆
紗代は すりすりと 擦り寄った。

おっと!
哺乳瓶を落としそうになる達也。

うふふ。。。 ごめんね。。。
心の中で 呟いてみる。

「話は ついたか?」
「うん。。。 丁度 あの二人が居てね。。。」

「そうなのか?」
「全て。。。聞いたよ。。。」

「そっか。。。 オレ 一応 しょーこさんに 口止めされてたし。。。
 徹也の野郎が薬学は専門だしな。」

「うん。。。そだね。。。アタシてっきり 刺青の方の話だけだと思ってたから。。。」
「まぁ どっちにしても同じだったろう?」

紀は病のコトを 昌子に隠していたらしい。。。と言うよりも 佳代が悪者になっていたらしい。
てっきり信じて居た。。。と言う気持ちも時には裏切られるものだ。

「整理すると。。。紀さんは 交通事故が原因で全身けいれんするってことだな? ・・・で現在31歳。。。と。」
「そうみたい。。。あとは 刺繍。。。じゃなくて。。。」

「ああ。そう。。。」
「でも。。。あたし もしも たっくんが紀と同じでも やっぱり好きになるの 止められないと思うな。」

「オレも・・・お前がどうなったって 面倒見てやるよ!」
「ならば 先ずは仕事のカタ つけないとね!」

「ああ。。。オレ 考え直したケド・・・ もうちょっとだけ 頑張ってみようと思うんだ。」
「ほんとにぃ?」

「うん。」
またまた 幸せなキスが 二人の間に甦った。


コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

合作小説「灰」 更新情報

合作小説「灰」のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング