東海道本線沿線観光コミュの長岡天満宮

　長岡京駅の西方１㎞。
　祭神は右大臣菅原道真(845～903)で、旧社格は府社です。
　この地は延暦３(784)年から延暦13(794)年の間、人皇第50代桓武天皇が都とした長岡京の故地ですが、貞観年間(859～877)には菅原氏の所領となっていたとされ、文章博士(ﾓﾝｼﾞｮｳﾊｶｾ)時代の道真が右近衛権中将在原業平(825～880)らと共に、しばしば遊んで詩歌管弦を楽しんだ地だとされています。
　道真は大宰府へ左遷される時、長岡に立ち寄り、「我が魂長くこの地にとどまるべし」と名残を惜しんだとされます。そして、道真に摂津国高槻まで付き従っていた菅原氏の一族とされる中小路宗則は、帰り際に道真から道真自作の木像と念持仏を託され持ち帰り、道真の死後に、その木像を長岡の地に祀ったのが当社の起源とされているのです。
　また一説によれば、中小路宗則は大宰府まで道真に随行しており、道真の死後に、東小路祐房と共に、道真自作の像と念持仏を持ち帰り、祠を建てて安置したともされています。
　爾来、皇室の崇敬が篤く、度々の寄進造営を受けており、寛永15(1638)年には八条宮智仁(ﾄｼﾋﾄ)親王(1579～1629)によって灌漑用の溜め池である八条ヶ池が築造されました。そして、池を二分する中堤が表参道となり、中堤中央には加賀前田候寄進の石造太鼓橋も設けられました。
　江戸時代の社地は10万余坪に亘っていましたが、明治維新に際して上地したため、現在は２万余坪となっています。平成25(2013)年の年間参拝者数は694000人でした。
　現在の八条ヶ池は外周約１㎞・貯水量約35000ｔで、北端部は府道79号線で池の本体と分断され、京都府長岡京記念文化会館の庭園の一部となっています。中堤の表参道には霧島躑躅(ｷﾘｼﾏﾂﾂｼﾞ)群落〔長岡京市指定天然記念物〕があります。池の北部には水上橋が設けられていて六角堂等が結ばれています。
　現在の社殿には平安神宮から移築された物が含まれます。
　拝殿は、平成10(1998)年に｢菅公御神忌1100年大萬燈祭」を奉賛して、既存の素木の拝殿を朱塗りにし増改築したものです。
　本殿〔京都府指定文化財〕・正面透塀(ｽｶｼﾍﾞｲ)〔長岡京市指定文化財〕・祝詞舎(ﾉﾘﾄｼｬ)〔長岡京市指定文化財〕は何れも明治28(1895)年に平安神宮〔官幣大社〕社殿として造営された物が昭和16(1941)年に移築されました。本殿は三間社流造(ｻﾝｹﾞﾝｼｬﾅｶﾞﾚﾂﾞｸﾘ)です。
　手水舎(ﾁｮｳｽﾞｼｬ)〔長岡京市指定文化財〕は大正２(1913)年に祝詞舎として建立され、昭和16(1941)年に現在地に移築されました。
　社務所〔長岡京市指定文化財〕は大正３(1914)年の建築で、連歌所としても用いられます。
　神饌所(ｼﾝｾﾝｼｮ)〔長岡京市指定文化財〕は昭和５(1930)年、側面透塀(ｽｶｼﾍﾞｲ)〔長岡京市指定文化財〕・築地塀〔長岡京市指定文化財〕は昭和16(1941)年の建築です。
　経津主命(ﾌﾂﾇｼﾉﾐｺﾄ)・天児屋根命(ｱﾒﾉｺﾔﾈﾉﾐｺﾄ)・比売神(ﾋﾒﾉｶﾐ)を祭る春日大明神〔長岡京市指定文化財〕と応神天皇を祭る八幡宮〔長岡京市指定文化財〕の両末社は、江戸時代の建築です。
　倉稲魂神(ｳｶﾉﾐﾀﾏﾉｶﾐ)・猿田彦命(ｻﾙﾀﾋｺﾉﾐｺﾄ)・大宮女神(ｵｵﾐﾔﾉﾒﾉｶﾐ)を祭る摂社長岡稲荷は、明治33(1900)年の建立です。
　境内にある弁天池周辺は平成19(2007)年に「紅葉庭園　錦景園」として整備されました。狭いながら、風情のある池泉回遊式庭園です。
　霧島躑躅の咲く４月下旬は「春の観光まつり」の会場となります。

・長岡天満宮のキリシマツツジ
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