東海道本線沿線観光コミュの蒲郡クラシックホテル(不相城跡)

　三河湾国定公園内。
　鉄道省観光局が全国に四つ建設した国際観光ホテルの一つとして昭和９(1934)年に久野節(1882～1962)の設計で竣工。城郭風の外観を持つ。当初は蒲郡ホテルと言ったが、昭和55(1980)年に廃業、昭和62(1987)年に蒲郡プリンスホテルとして再オープンし、経済産業省が近代化産業遺産に指定している。
　平成24(2012)年に現在の名に改称された。
　ヒラドツツジの名所としても知られ、ゴールデンウィークには「つつじまつり」が開かれる。

　ホテル敷地は戦国時代に上ノ郷城城主鵜殿長照の属城たる不相(ﾌｿｳ)城があった場所である。鵜殿氏は西郡(現・蒲郡市)一帯に勢力を張った国人領主で、諸所に一族が蟠踞していた。鵜殿本家は上之郷城を居城とし、分家筋が下之郷城(蒲形城)、柏原城、不相城とそれぞれ城を持って支配地を固めていた。不相鵜殿家は本家の長将の次男長成が三河湾に突き出した標高35ｍの丘陵上に平山城の不相城を築いて設けた分家である。
　駿府の今川義元の勢力が三河に及んで来ると、上之郷城主鵜殿長持は義元に服し、義元の妹を妻として今川家の重臣としての地位を確立した。
　このため、永禄３(1560)年の桶狭間の合戦で義元が敗死し、岡崎城主松平元康(徳川家康)が今川家からの独立を宣言した後も、義元の甥に当たる城主鵜殿長照は今川氏真への忠節を貫き、松平勢に対して徹底抗戦を貫いたが、永禄５(1562)年に上之郷城は落城、長照は戦死した。
　下之郷と柏原の鵜殿氏は松平方に組したため、孤立無援となった不相城の鵜殿平蔵長成は子の藤九郎長景以下一族を率いて城を脱出、今川氏真の武将小原鎮実が守る吉田城に奔り、不相城は廃城となった。ホテル建設のため、城の遺構は全く残っていない。

＊蒲郡温泉
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