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小説を書いて読んで楽しもうッ!コミュの過去からの侍、ソノ名は『 タカ 』!

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街を出て風景を楽しみながら歩く、僕とサラ。
さっき彼女にかけてもらった魔法は思いの他効率が良く、
既にあんなに遠かった山の全貌が見え、
街から1〜2時間歩いた頃には、山の麓に辿り着いてしまう。
すると疲れてない筈のサラから溜息が漏れ、
肩からゆっくり着地すると僕に静止を掛けた。


「ふぃ〜到着ッ!ちょっと待ってるなり。」


お前の何処に溜息をつく要素があるんだ?
嫌味の一つでも言ってやろうかと思ったが、
この先、重力カットの魔法を止められては僕が辛くなるのは必死。
敢えて修羅の道を進む必要は何処にも無いと気付き、僕は言葉を噤んだ【つぐんだ】。
それよりもこんな場所で静止の合図をした方が気になる。


「なぁココに何かあるんか?」


僕の問いに反応したサラは直ぐ様半目になり、呆れた顔でこちらを振りかえる。


「はぁ…まったく何も知らないなりねぇ〜しょうがないから教えてやるなり。
 この山に入ろうとする者を排除する為のトラップを解除するなりよ。
 このまま進んだらサラは兎も角として、お前はまず間違い無く『死ぬ』なりね。」


憎らしい顔で嫌味ったらしく、親指で首を掻っ切るポーズをして見せるサラ…。
…僕はこの世界は初体験だぞ、知ってたら変だろうが。
しかも入ったら死ぬって…一体何があるんだろう?
それにしても物騒すぎる山だ、もしかして徳川埋蔵金でも眠っているのだろうか?
等と考えている僕をサラはそのまま放置し、
入口にある岩の前まで行くと何やら呪文らしきモノを唱え始めた。


「――ちぇぃ!……あれれ?」


そして唱え終わったかと思いきや、首を傾げながら戻ってくる。
だがその表情は何処か釈然としない顔つきだった。


「ふにゅ…なんかおかしいなり…サラ達が来る前に誰か来たみたいなり…。
 手遅れになってなければ良いなりが…。」


「なぁ…この山の罠って、ここいらでは割とメジャーなのか?」


そうでもなければ、今サラが不審に思っている事に合点がいかない。
然もなければ…。
再び思考モードに入った僕に、彼女はいとも簡単に答えてくれる。


「うに、有名も有名なり…そうなりねぇ かへに判りやすく例えれば、
 ソッチの世界でJリーグが人気あるとか、
 作者が巨乳好きって事と同じ位、誰でも皆知ってるなりよ〜。
 こっちの世界で『お爺ちゃん』に黙ってこの山に入る奴は、まず100%居ないなり。
 だから何〜かしっくりこなくて嫌なり…人間でも迷い込んだかな?」


衝撃的な事実に僕は、物凄い動揺を受けた。
サラの話しを直訳すると、この世界に僕と同じ人間が居るって事だ。


「何ッ!?僕の他に人間が居るってーのかッ!?」


「結果的に言えばそーなりね…でも……。」


だがしかし彼女にしては珍しく口篭もり、浮かない顔をする。
それに同調するかのように、僕も鸚鵡返し【おうむがえし】に聞いてしまう。


「でも?」

 
「普通の人間に、おじーちゃんの作ったトラップを回避出来るなんて思えないなりよー…。」


そうか、そんなに凄いのか…ん?待てよ?
さっきから気になっていたが『おじーちゃん』って誰の事を言っているんだ?


「なぁサラ、今なんて言った?おじーちゃんだって?」


当面の疑問を素直に口に出すと、サラは首を傾げながら目をクリクリさせる。


「あれ?言ってなかったなりか、『時の賢者、鉄心』は、サラのおじーちゃんなりよ〜♪」


…まぁ多少なりとは知った仲とは思っていたが、
まさか親族だったとは…何か嫌な予感がするぞ…。


「おじーちゃんは凄〜く物知りで、とーっても優しいなりよ☆」


はい正解、ジャンピング・チャンスで一挙高得点…こりゃぁ孫馬鹿確定だな…。


「ほれ、そんな事はイイからさっさと先に進むなり。」


「へぇへぇ、お姫様…。」


呆れる暇すら与えられず先を急がされる僕…何時から『サラ専用車』になったんだろう?
まぁそんな事はどうでもイイ、僕以外の人間が居るかもしれない…。
そんな淡い期待を抱きながらサラを乗せ、山道を登り始めるのだった。




暫く山道を進むと少し開けた場所に出る。
しかしソコには凄惨極まりない光景が広がっていた…。
真っ二つにされた木のゴーレム『だった』残骸。
既に事切れている、見た事もない生き物。
仕掛け槍、落とし穴、数々のブービートラップ、etc…。
だか肝心な人間の死体はソコには無い…。
するとサラはおでこに手を宛て、
遠くを見るような姿勢で辺りの有様を繁々と眺め、
ここを通った者の心配と言うよりは、寧ろ状況を楽しみだした。


「うっわぁー派手にやったなりねぇ〜。」


感嘆の声を挙げるサラ、しかし意味審な言葉も出てくるのを僕は聞き逃さない。


「でもまぁ次のトラップはかわせないなりね〜☆」


「ん?次は何が出てくるんだ?『超巨乳美人ねーちゃん爆弾』か?
 それとも『裸エプロン新婚若奥様フェロモン爆弾』だろ?」


「……そんなのに引っかかるのはオマエ位なり…。」


むぅ…身も蓋も無い事を言ってくれるな…。
当たっているだけに非常に悔しいぞ…。
そんな他愛のない話をしながら歩いていると、
数体の笠地蔵が並ぶ、少し寂しい場所に出た。
そこは童話の『かさじぞう』思い出させる雰囲気があり、
どことなくひっそりとしている。
すると何を思ったか彼女は地蔵に近づくと一体一体 調べていき、
まるで何かを探すように注意深く見つめていた。


「うにゅー…えーっと…あッ!やっぱり引っかかってたなり♪」


ふとサラの指差す方向を見てみると、一体だけおかしな地蔵がある事に気がつく。
その地蔵は普通とは違って立っておらず『よっこらせ』とでも言わんばかりに、
デンッ!と台座に座っているのだ。
しかし腑に落ちない…取り敢えず聞いてみた方が早そうだな。


「なんだこりゃ?コイツが僕の他に来た人間だって言うのか?」


「んーまぁ、『だった』って言った方が早いなりね 。
 ちょっと待ってるなり、今から石化解除の魔法を唱えるなり。」


サラが何やら呪文らしきモノをブツブツ唱えると、
地蔵の血色がみるみる内に人間の如く蘇ってくる。
…やがて石化の魔法が解けると、
風貌からして浪人と思われる男は緩やかに首を廻し、
周囲を見渡すがその時 不意に僕と目が合い、
彼はそのまま立ち上がると声をかけてきた。


「ん……おや?……お主らは?」


声の質からして僕と歳は大差無さそうに思えるが、
しかしど〜もその口調が気になる。
時代錯誤甚だしい言葉使いで喋ってきた若者…一体何者なんだ?
だがサラはそんな事などまるで意に介さず、僕を押し退けその男の前に歩み出た。


「えっへん!石に変えられてた所を戻してあげた、
 偉大な魔法使い兼、時の番人サラなりよ!」


…駄目だこりゃ、腕を組んで偉いんだぞモードに確変突入しやがった。
コレに入るとあの時みたく、いつまでも笑い続けるからなぁ…。
仕方ないこのままでは埒が飽かないし、僕が聞いた方が早そうだ。
ま、無難に自己紹介から入るか…嫌だなぁアノ名前で言うの…。


「あの、ちょっとすいません僕は成り行き上……はぁ……。
 かへおれって言います、貴方は?」


自分で言っておいて何だが…かなり情けないなコレって…。
でも彼の方はあんまり気にして無いみたいだし、良いか別に。


「む、これは忝い【かたじけない】『火屁俺』殿と申すのか?
 拙者の名は、たか…ん?…はて…自分の名前が思い出せんとは面妖な…是如何に?」


…チョット待ってくれ、僕の名前って何時からそんな暴走族みたいな名前になったんだ?
しかもなんか嫌な漢字を使われた気配がプンプンするぞ…。
そんな僕を余所に、タカ(仮)は納得がいかないのか頻りに首を捻っている。
一方サラの方は馬鹿笑いを止めると、彼を見上げ心底感心していた。


「ほぇ〜ちょっとでも自分の名前を覚えているなりか〜。
 大した精神力なりね〜、どっかの誰かさんとは大違いなり…むぷぷぷ♪」


悪かったな軟弱者で…どうせヘタレ凡人だよ僕は… 。
しかし改めて、タカ(?)の格好を見る。
箕笠、着物、二対の刀、わらじ、どぶろく…。
どっから見ても昔の人か…若しくは頭がバシッィ!って見事にキマっちゃった人だな…。
ここはいっちょカマ掛けてみるか、そうすれば判るかもしれないしな。


「あの…タカさん?今って何時代でしたっけ?」


「ん?おかしな事を聞く御仁だな、やっと江戸幕府が開いたばっかりだと言うのに、はっはっは。」


ほっ…良かった、どうやら本当に昔の人らしい。
もし後者だったら同じ人間でもチョット遠慮したいしね…。
しかしタカ…でイイやもぅ、は何かを探す様にキョロキョロしている…トイレか?


「時に火屁俺殿よ、ここは何処なのだ?拙者、尾張の辺りを歩いていたのだが…。」


残念ながらここは東海道には属してません、況してや近畿地方なんて持っての外ッス。
それと、お願いだからその言い方は勘弁してくれ…涙で前が見えないよ…。


「えーっとですねぇ…。」


すると僕が言うよりも早く、ずーっと暇そうにしてた サラが口を開いた。
なんか『その言葉を待ってました!』って見えるのは僕の気のせいだろうか?


「にふふ、ん〜とねココは時の迷宮なりよ〜♪」


「キュッピピー♪」


あらら、いつのまにかプレリまで出てきちゃったし。
だがタカの方はいかせん納得した顔をしていない、まぁ当然といえば当然だな。


「時の迷宮とな?それは一体…?」


流石にいきなり核心を突いても理解出来る訳がなく、
サラがこの世界の説明する事になった。
あの様子を見る限りじゃ、どうやら少し時間がかかるっぽいな。


「しょーがないなりね…かへ〜、サラはタカにココの説明するから良い子で待ってるなりよ〜。」


…僕は買い物に連れて来られた子供か…仕方がない、アッチで一休みでもすっかな。
その前に一言声を掛けてから行こう、黙って居なくなったら後で五月蝿そうだしね。


「お〜ぃ、そこの木陰で休んでるからな〜終わったら教えてくれ〜。」


「あいあーい、一服でも何服でもしてるなりよ〜。」


煙突じゃないんだからそんなに吸えるかッ!
僕は適当な場所を探し大きな樹の根元に腰を下ろすと、愛用のキャメルに火をつけた。


カキンッ…シュボッ…ジジ…


緑の多い所で一服吸うと、心なしか煙草が旨く感じられ、気分もゆったりとしてくる。
…暫く紫煙を燻らせ【くゆらせ】ながら和やかに森林浴をしていると、
何処からか音楽が聞こえてきた。


「ふ〜旨いなぁ…ん?なんだこの曲は?」


耳を澄ますと向こうの世界で聞き慣れた、『アノ曲』だと言う事が判る。


「こっちの方から聞こえてくるな…。」


音が聞こえてくる方に歩いていく、すると一軒の小さな家が見えてきた。
どうやらこの曲は疑う余地無く、あの家から流れているようだ。
僕は何故だか知らないがちょっと泥棒気分になり、そっーとゆっくりと近づく… 。
そして扉の前まで来ると、いざノックをする寸前で突如 中から声が聞こえてきた。


「ノックなんぞ要らんから、入ってきても良いぞ。」


驚いた…なんで見てもいないのに、そこまで判るんだろう…?
監視カメラはついてないよな…?
僕は狐にでもつままれた気分で木製のドアを開ける。
すると中では派手なアロハを着た小柄な爺ぃさんが、
リズム良くDDRで踊っているではないか。
待てぃッ!何処の世界に『みくみくにしてあげる♪ロングヴァージョン』を
息切れ一つしないで、踊る爺ぃさんが居るんだッ!?


「よッ!ほッ!てぃてぃッ!でりゃッ!」


スタッスタタッスタタンッスタンッッ!


おおおーッ!年齢を感じさせないステップに思わず拍手をしてしまう。
画面には『パーフェクト』の文字が嫌味を通り越して、
尊敬に値する位、表示されている。
そして見事に踊りきった爺ぃさんは、満足そうに頷くとこちらに近づいて来た。
程無くして目の前で立ち止まり、僕の事を天辺からつま先までじろじろ見ると、
いきなり確信をついてくる。


「ほぅ、お主が『現世』の若造だな?…ふむふむ…。
 ったく、抜けた顔をしてるのぉ〜シャンとせんかいッ!」


放っておいてくれ…生まれつきこの顔なんだ…。
それにしても何で僕が『現世』から来たって事を知っているんだろう?
そもそも現世とは一体何を指して言っているんだ?
するとソコに背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。


「そんな突っ込み所がありすぎて、何処から手ぇ〜つけたらいいのか
 判らない様な言い方は止めるなりよ〜おじーちゃん…。」


僕が振り返ると、サラが呆れた顔で立っており、額に手を当てて嘆いてた。
暫く様子を見ていると、どうやら二人は久しぶりの再会らしく互いに笑顔で喜びあっている。


「いやーこの若造が、どんなリアクションをするか楽しみぢゃったが…ちと、残念だったのぅ。」


「もぅ〜相変わらずなりね〜おじーちゃん☆」


「それはそーと、良く来たのぉーサラ、ゆっくりしていきなさい…ふぉっふぉっふぉっ。」


「うにうに☆勿論そのつもりなりよ〜♪」


「キュッピッピピー♪」


「おぉプレリも一緒ぢゃったな、今夜は賑やかになるのぅ。」


二人と一匹の感動的再会に、すっかり蚊帳の外になった僕とタカ…。
しかもタカ…今回、台詞なんてこれっぽっちしか無いし…哀れよのぅ…。

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