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月影を映す水面コミュのセカンド・オピニオン

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先日の夜、子供を一部連れて、今は亡き妻の実家へ行ってきた。
里帰りではない。お見舞いというやつだ。

私は詳しいことは知らなかったが、父は半年前から体調不良だったようだ。先々週から治療の為入院していたのだ。


電話で事前に聞いた話によると、「胃の腫瘍」ということらしい。
正月に年始の挨拶に行った時に、「レントゲンで肺に沢山影が有る」と言われたと聞いたので、「それは良くないから」と、早く病院に行くようにと少し脅かしておいたのだが、忙しくて行けなかったらしい。どうしょうもなくて病院にかかった時には既に遅く、即入院となったようだ。

その話を聞いてから、私はずっと考えてた。娘を病で亡くし、今また自分も病に倒れ、どんな気持ちでいるのだろう。70代半ば。悪性のものは間違いないとして、告知は済んでいるのだろうか?
私はすぐにでも行って様子をみたかったのだが、仕事の加減で先々週は身動きが取れず、ようやく落ち着いた先週は自分の体調不良のため行けなかった。まさか風邪を置き土産に持って行くわけにもいかないだろう。

週末、自身の体調が小康状態になったので、ようやく会いに行けたのだが、行きの車を運転しながらも私は考え続けていた。状況はどうなんだ?ステージは?治療方針はどうなっている?胃の腫瘍と、前回のX線の陰影との関連は?入院した病院とドクターは信頼出来るのか?


土曜日だったため、外泊の許可を得て父は自宅に戻っていた。
到着すると、出迎えてくれた父は、かなりやつれた様に私の目に映った。

…こんなに変わってしまったのに同居の家族は気が付かなかったのか?
毎日顔を合わせていると解らないものなのか・・・


挨拶もそこそこに話を聞く。父は入院してから先週と先々週に点滴で既に2度の抗癌剤治療を受けていた。本人が言うのだから、告知は済んでいるようだ。
それから、片方の腎臓が良くないらしい。尿管が狭窄を起こしていて、尿路を確保するために手術でゴムのホースを入れて貰ったと言う事だ。
下(しも)の方からと言っていたので、手術と言ったがカテーテルだと思われる。

「思いつく事、心配事、わからない事があったら何でも言って下さい、私の経験で解る範囲は説明します。」

そう伝えると、こぶし大の腫瘍があること、極端ではないにせよ副作用が辛く、食事が取れないこと、ドクターが若い女医で、あまり相談が出来ないこと、田舎の病院で治すことが出来るのか不安だという事を父は訴えた。私は病院とうまくコミュニケーションが取れていないことを感じた。

それから、レントゲンで指摘された肺のほうは、状況が変わってないという。
また、「抗癌剤で腫瘍を小さくしてから手術をする」とも、「しばらくしたら、外来に切り替わる」とも、ドクターの説明があったらしいが、意味が解らないという。


私は少しだけほっとした。今は手術の適応でないにせよ、ドクターが抗癌剤の効果に自信を持っていると推測出来るのと、このまま入院で一生を終える状況ではないことにわずかではあるが、安堵を覚えた。

「大きいまま手術をすれば、大手術になるから、小さくなってから切った方がいいでしょうね」

「抗癌剤で小さくなる見込みがあるから言ってるんだと思いますよ」

「外来でと言うことは、タイミングはわかりませんが、ずっと入院してろっていうのではなく、家に帰ってもいいという事ですよ。外来でも、日帰り入院と言って、昼間に点滴で抗癌剤治療を受けて、夜には家に居ることが出来ると思います。もちろん、飲む抗癌剤だってありますし。落ち着けば、病院で寝たきりじゃなくても良いということでしょう。」

嘘を言うつもりはない。私の希望を言っているのだ。


「治るとええんやがなぁ、けどご飯も食べれんともどしてまうのに、外来でとはなぁ・・・。」

「それはさっきも言いましたけど、ドクターが今回の退院後の『将来』を見据えて言ってることですよ。前向きに受け止めましょう。」

「それと、完治に拘る必要も無いと思いますよ。腫瘍があとかたも無く消えるのは理想ですけど、そうでなくても小さくなったりこれ以上大きくならなければ、お父さんの勝ち、です。一生うまく付き合っていければ良いとは思えませんか?」

「僕は沢山のがん患者とお会いしました。中には『こんなもん!こんなもん!消してやる!治してやる!』っていう人も居ましたし、『私の体の一部だから』ってありのままを受け止めてる人も居ました。どちらも正しいと思います。」

「会社に勤めながら夜に病院で抗癌剤の点滴を受けてる人も居ると聞きます。家内のときの稀な悪性腫瘍とは違いますから、胃がんなんかナンボでもあります。治療の実績だっていくらでもありますから、外す心配なんかしない方がいいです。効かない薬なんか見込み違いで使ったりなんかしませんから。現に副作用だってあるわけだから、それは薬が効いてる証拠と思いましょう。」


「あかん、あかんと思いながらも、病院によう行かんかったでな、もうちょっと早うに病院に行きゃぁ良かったな。」

「けど、悪いって言われるのが怖かったんや。」

父は悔しそうに言った。


私は衝撃を感じた。これが本音なのだ。以前にもどこかで書いたが、皆こうして、根治的治療のチャンスを逃してしまうのだ。
そして生きることへの執着、、、

私が病院を勧めた半年前なら?、どうにかなったかも知れない・・・

だが、私はそういう表現はしないほうが良いと思った。

「早く行ったほうが良かったですね。少なくとも半年間心配しながら暮らす必要は無かったでしょうからねぇ。それは損ですよ。」

打ち解けた本音の話であるからこそ、私は勤めて明るくそう言った。


「今聴いた話だけで情報が足りませんが、今の印象を言えば、病院の治療方針は間違ってないと思いますし、ドクターが若くて頼りなく感じたとしても、医者というのは本当に賢い人なんですよ、若くても大丈夫です。」

「なまじっか年季が入ってて、沢山患者を死なせてきた経験からある程度悟りを開いたみたいな先生と、若くても希望と使命感に燃えている先生だったら、どっちがいいです?」

「そりゃぁ、若い先生のほうがいいなぁ」

「でしょう?それよりも、先生の回診の時間に私が同席するようにします。今心配に思うこと、疑問などあったら、かわりに質問してみますね」

息子という立場でならドクターと話はできるだろう、と私は思った。

「セカンド・オピニオンという言葉があります。患者は治療を選択出来る権利があります。今の病院が悪いとは思えませんが、不安があったり、必要なら他の病院のドクターにかかることは可能です。治療する上でのデメリットはありません。主治医に紹介状を書いてもらうだけです。その気であれば無くても何とかなります。ただ、病院の心象を害すると入院生活する上でのデメリットはあるかも知れませんから、そうしたいのなら、それも私がうまく言いますので、ご自身では言わないようにして下さい。」

決めるのは本人だが、段取りまでは考えさせなくても良いだろうと私は思った。病院ジプシーだけは避けさせなくては。ドクターに嫌われるのはうるさい嫁婿殿だけで結構だ。


来週の早朝に病院に行ってみよう。回診の時間に先生に会えるように。


コメント(2)

お疲れ様でした。

ご心配ですね。

センムさんの仰る通り、治せるものだと私も信じております。

お父様が、病を克服する気持ちを持ち続けてくださる事をお祈りいたします。
俺来さん>
コメントありがとうございます。

そうですね、治って欲しいですね。ですが、状況はかなり深刻です。

一番大切なのは本人の気構えなのでしょう。

ただ、我々の気持ち、それが押し付けになって、心の負担になってもいけないのでしょうし、自分の体の辛さは自分にしかわからないことですから、本人の気持ちをわかったようなつもりになってはいけないな、と感じました。

ただ、そうはいっても、やはりじっとはして居られない、そんな焦りが私の中にあって、どうして良いのか迷いがあります。

心の問題は難しい、と感じます。

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