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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード7〜 第9話[乖離]

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第9話[乖離]                              〈作・桐島成実〉
〈現在の状態〉

[グループA]    PDA      状態    総一との関係
 御剣 総一     (2)        健康      
 桜姫 優希     (6)       健康      愛情
 北条 かりん    (?)       健康       良好
 北条 かれん    (Q)       健康      良好
 色条 優希     (4)      健康      普通
 姫萩 咲実     (?)      健康      普通

[グループB]
 矢幡 麗佳     (7)      健康     知らない
 高山 浩太     (5)      健康     知らない
 綺堂 渚      (10)      健康     知らない
 麻生 真奈美    (J)      健康     知らない
 手塚 義光     (?)      健康     知らない

 葉月 克弘     (K)      死亡     知らない

 長沢 勇治     (9)       死亡      普通






苦悶の表情を浮かべたまま絶命した葉月を前に、その場に居合わせた5人は、ただただ呆然としていた。

高山「・・・」

手塚「・・・・・」

誰も何も発しようとしない。そのままどれ位の時がすぎたのだろうか?

ようやくのことで正気を取り戻したのは、手塚だった。

手塚「お、オイ、死んだのか・・・?」

その一言を搾り出すのがやっとだった。

だがそれが引き金となったのか、とたんに真奈美が大声で悲鳴を挙げる。

真奈美「い、いやああああああああっ!!!」

彼女の悲鳴。それはこの場に居る残された者、そして麗佳の気持ちを代弁していた。

高山「・・・なぜだ?」

さすがの高山も顔をしかめる。

渚「な、何か手順を間違えた、とか・・・?」

高山「か、もしくはそもそもルール自体が偽りだったか・・・?」

必死で思考を取り戻そうと、自問自答している時、その場にまるで似つかわしくない笑いが聞こえてきた。

手塚「クックック、もう一つあるんじゃねえか?」

高山「何だと?」

ようやく本来の調子を取り戻した手塚は、かつて葉月だったものを前にして、あざ笑う表情を見せた。

手塚「たしかにこのオッサンはPDAをきちんと5つ差し込んでいた。だからルールやら手順やらがどうこういう問題の可能性は薄い。つてコトはだ」

そしてこの場が一瞬にして凍りつくような一言を発した。

手塚「お前達が渡したPDAの中のJOKERが含まれていたってのはどうだ?」

麗佳「なっ!?」

麗佳にも、今この目の前に居る男の言いたいことが分かった。

手塚「誰かがJOKERを自身のPDAだと偽って、オッサンを騙したのさ。こうなることを予想してな」

その瞬間、麗佳達の間に只ならぬ雰囲気が漂うのを肌で感じた。

麗佳「そんな、まさか・・・」

高山「それがお前だという可能性もあるな」

高山が手塚に向けて名指しするものの、手塚は動じない。

手塚「あのな!今俺はお前らに追い詰められてるって状況は分かってるハズだろ?そんな状況で騙すつもりなら、今までずっとここでボサッと突っ立ってるわけねえだろ」

高山「む・・・」

手塚の言い分の方が一理ある事は明確だった。葉月に気をとられている高山たちに不意打ちを食らわせ、その場を逃げ出す事も恐らくは可能だったからだ。

その時突然、渚が真奈美の手を掴んで、走り出した。

真奈美「な、渚っ!?」

渚「真奈美!逃げるわよっ!」

渚はまるで麗佳達から逃げるかの様にその場を後にした。

それに続いて高山も、ゆっくりとした足取りでその場を後にしようとする。

麗佳「た、高山、さん・・・?」

高山「俺も行かせてもらう。・・・一つ言っておく」

高山は足を止め、一度後ろを振り返る。

高山「JOKERを使って葉月を騙した人物。一番疑わしいのは、矢幡、お前だ」

麗佳「え・・・?」

あまりにも意外な事を聞いた麗佳は、顔を引きつらせる。

高山「なぜなら葉月は、お前を殺さなければ娘は助からない。ならば、逆に『葉月を殺さなければ、自身が殺される』と考えるだろう」

麗佳「・・・!!」

それはかつて麗佳が初めて葉月と出会った時に思った事。その時は葉月の娘の事は知らされておらず、ただ目の前に居る人物が誘拐犯では?という疑いを抱いていたことは紛れもない事実だ。

だが葉月の事を信頼し始めた時から、そのような考えは薄らいでいた。それだけに周りにそう思われていた事にショックを受けた。

高山「もちろん確証がある訳ではない。だが、客観的に見て普通はそう考える。綺堂はイチ早くそれに気づいたのだろう」

そう言い捨て、高山はゆっくりとした足取りでその場を後にする。後ろを向いているが、その動きには隙がない。

麗佳「そ、そんな・・・!」

葉月の突然の死。疑われた自分。そして失われた絆。

言葉では言い表せない絶望が、麗佳を蝕んだ。

手塚「さてと。一通り絶望した所で、俺にちょいと付き合ってくんねえかな?」

通路の角から出てきた手塚の手には、小ぶりの槍が握られていた。



・・・
・・・・・


真奈美「な、渚ぁ〜」

渚に引っ張られる形で腕を引っ張られている真奈美は、その場にまるで似つかわしくない間延びのある口調で、その名を呼んだ。

渚「このままあの連中から離れるわよ!」

渚は後ろを振り返る。だが走っているその足が止まることはなかった。

真奈美「ど、どうして?」

渚「わかってるでしょ!あの連中の誰かが葉月さんを殺した。・・・今までは同じ境遇の人たちが共にいて良かったと思ってたけど、このゲームの特性を考えれば、それは間違いだったってコト!」

渚は真奈美にそう言い聞かせるように、矢継ぎ早にそう説明する。

渚「誰かは分からないけど、あの場に留まっていれば私たちも・・・!」

危険に晒されて命を落とす。そう考えたのだ。

真奈美「・・・誰かが、JOKERを・・・使って・・・」

渚「そうよ!」

途切れ途切れに現実を受け入れようとする真奈美に対し、そう言い切る渚。

真奈美「それは・・・」

その先は口には出来なかった。いや、そう考えている自分を愚かだと思ったのかもしれない。

―――それは、もしかして渚がやったんじゃないの・・・?

渚と真奈美は小学生からの一番の親友だった。だから本来はこんな事は思いつきもしなかっただろう。

しかし真奈美は知っている。渚の家族が今、窮地に陥っている事を。

事業に失敗し、莫大な借金を負ってしまった渚の家族は、今崩壊寸前だった。

なんとか食い止めようと、渚は真奈美と共にバイトの日々を送り、稼いだお金をすべて家族の為に使っていたぐらいだ。

それでも渚は弱音一つ吐かずに、自分に出来ることを精一杯やっている。

その事をよく知っている真奈美だからこそ、そんな疑念が浮かんでしまったのだ。

渚「真奈美?」

真奈美「え!?あ、うん、なあに?」

渚に呼びかけられ、その思考は途切れる。疑念を言葉で綴ったことも忘れ、真奈美は渚の後をついていった。

しかし、真奈美に刺さった小さなトゲは、確かに存在していた。そしてその疑念がどんどん大きくなる事を、本人は気づいていなかった。



・・・
・・・・・


桜姫「やっと4階ね」

重い足取りで最後の段を踏み出した桜姫は、そのまま一息つく。

総一「ああ・・・」

ゲーム開始から既に32時間が経過していた。3階への階段で起こったチンピラ風の男の襲撃があったせいか、警戒しつつもなるべく早い足取りで4階へと進んでいた。

かりん「さ、さすがにしんどいね・・・」

3階に来るまでは何度か休息をとっていたものの、襲撃があってからは一度も休んでいなかった。その影響で体力も気力も限界に近かった。襲撃を行った男と同じ階に居ると考えるだけで、休む気にならなかったのだ。

もちろんその男はいずれここにやってくる。いや、もう既に来ているのかもしれない。だが誰もその考えを口にはしなかった。

優希「も、もうダメぇ〜。疲れたよぉ・・・」

優希は両膝を折り、その場にへたれ込む。

総一「いい加減どこかで休まないとな・・・」

とは言うものの、戦闘禁止エリアの存在さえも知らぬ総一たちにとって、休めそうな場所はどこにも存在していなかった。

総一「けど、もう言ってもいられないか、適当な場所を探して休むとしよう」

その言葉で、総一達は4階の部屋をいくつか回ったのだが、

総一「階段近くだと、誰かに遭遇してしまう可能性が高いし・・・あれ?」

最前列を歩いていた総一が、何かに気づいた。

総一「こんな所にシャッターが」

総一達が進んでいた真っ直ぐの通路は、途中でシャッターに阻まれており、その向こう側の様子を知ることが出来なかった。

桜姫「変ね・・・。地図上にはそんな表記はないし」

そう言った所で、一つの記憶が思い起こされた。

咲実「・・・もしかして前に私達がエレベーターで6階に行った時と同じなのではないでしょうか?」

たしかその時もシャッターに阻まれて先には進めなかったのだ。

総一「なるほど。となってくると厄介だな」

周りの壁なども調べるものの、スイッチらしきものは見当たらない。やむを得ず、もと来た道を戻ろうとしたのだが、

桜姫「そんな・・・」

何故か先ほど通った道まで、シャッターによって塞がれていたのだ。

総一「これは一体どういうことだ、何が狙いだ・・・?」

訳が分からず、考え込む総一であったが、その疑問を打ち消すかのように、謎の音楽がPDAから響いてきた。

総一「な、何だ!?」

桜姫「そ、総一!見て!?」

桜姫は自身が見ていたPDAを差し出す。すると地図の画面から、突如謎の怪人の姿が映し出された。

スミス『お楽しみっ!エクストラゲィーム!!』

とてとてと画面の端から中央へと歩んできたカボチャ型の怪人は、くるりと前方を向き、高らかにそう宣言した。

スピーカーから実際に耳障りな高い音声が流れ、画面にも文字が刻まれていく。

優希「な、何これ?」

スミス『やっほーっ!ボクの名前はジャックオーランタンのスミス!』

スミスと名乗った怪人は、ステップを踏みながら軽やかに踊ってみせる。

咲実「ジャック・・・?」

予想外の出来事に、誰しもが驚きの表情を作る。

スミス『そうさっ!ちなみにボクの得意技はなんと!このチェーンソーで切り刻む事、なんだよねぇ〜』

スミスは冗談めかして言うが、誰も笑わない。

スミス『あっ、もちろん画面の中だけの話なんだけどね。実際に切り刻むのは君たちの役目さ!」

恐ろしいことをさらりと口に出すスミス。あまりの展開の仕方に総一は開いた口が塞がらなかった。

スミス『おっと、じゃあ早速本題に入ろっかな。君達専用のエクストラゲームの説明をしてあげるねっ』

スミスが右手をかざすと、とたんに画面が地図に切り替わった。

スミス『実は今、キミ達が居るエリアは封鎖されちゃってるんだ』

かりん「ふ、封鎖!?」

かりんは思わず大声を出すが、スミスは構わず話を続ける。

スミス『キミ達の周辺の4箇所の通路。そこにそれぞれシャッターが降りている。だから出入りする事は不可能なんだ』

確かに地図には、確かにシャッターの表示が各々に示されている。

スミス『けれどもちろん、解除する方法は存在するよ。キミ達の前にあるシャッターを良く見て』

促され、総一たちはPDAから画面を離してシャッターを見る。

するとシャッターの一部分に、鍵穴の付いた謎の機器が据え付けられていた。

スミス『4つのシャッターすべてに同じ機器がついてるんだ。そしてこのエリアにはそれに合致する鍵が4つ存在する』

スミス『それらをすべて見つけ出し、鍵のロックを4箇所同時に回せば鍵は開く!』

スミス『でもね、同時に開けないと開かないんだ。だから各自分担して執り行う必要があるってワケ。分かったかな?』

総一「な、なんなんだ、これは??」

総一にはこんなことをさせる意味が分からなかった。一体何の為に・・・?

スミス『あ、そうそう。一つ言い忘れてたよ。キミ達が居るエリア。ゲーム開始から38時間が過ぎた時点で、細菌が流れる様に仕掛けてあるんだ』

スミス『細菌を吸い込んで体内に入ると、体中の血管を溶かしてしまう、恐ろしい殺人兵器さ!』

桜姫「さ、殺人兵器ですって!ふざけないでっ!?」

あまりに物騒な代物に対し、桜姫は怒りを露わにする。

スミス『だからなるべく急いだ方がいいよ?あ、けど38時までは大丈夫だけどね』

総一はPDAの時計に目をやる。

総一「38時間・・・。あと1時間ちょっとしかないじゃないか!?」

抗議の声をまるで意に介さないまま、スミスは再び画面端に歩んでいく。

スミス『それじゃ【罰ゲームからの脱出!】ゲームスタートォー!』

そんなふざけた言葉を残し、画面から姿を消した。



・・・
・・・・・


スミスに言われたとおり、隠された4つの鍵を探し出した総一たちは、この次にどうするかを話し合っていた。

かりん「残り時間はあと40分。本音を言えば早くこんな所から脱出したいけど」

逸る気持ちに苛まれるかりんに対し、意外にも咲実が制止する。

咲実「焦る気持ちも分かりますけれど、まずはコレが何なのかを調べてみてはいかがですか?」

そう言ってなだめる。

かれん「お姉ちゃん。この閉ざされた空間に居れば、あの怖い人も襲ってこれないと思うの」

かれんの言う怖い人とは、手塚の事を指している。ここに居れば逆に安全だということだ。

かりん「・・・そっか。そう言われればそうだよね」

納得したかりんは、先ほど鍵と共に手に入れたツールボックスを手に取る。

かりん「これって、PDAに差し込んで使うものなのかな?」

桜姫「うん。きっとそうね」

かりん「試してみよっか?」

そう言い、皆に尋ねる。異論は無かった為、さっそく手に持っていたツールボックスを自身のPDAに差し込む。

かりん「これは、ルールの一覧表みたい」

かりんはPDAの画面を覗き込みながらうなずく。

総一「ああそうか。まだルールを知らない人も居るかもしれないしな」

かりんの表情が曇っていたが、総一は気づかなかった。彼女にとって、ルールが偽りだった方が都合がよかったからだ。

優希「残りは3つ。バッテリーを消耗するみたいだから、なるべくバラバラの方が良いのかな?」

総一「そうだな。じゃあ・・・」

残るツールボックスはそれぞれ優希、かれん、咲実の3人にインストールする事にした。

総一は周りを警戒する役目だったので、地図の確認とソフトの使用はすべて彼女達に任せてようと考え、辞退した。

優希「インストール完了っと。・・・うん、これは首輪を感知して地図に表記するソフトみたいね」

かれん「私は、隠された罠の位置を知らせるものみたい」

総一「罠?そんなものまであったのか」

総一たちは幸運にも、今まで一度も罠にかかったことがなかった為、その存在自体知らなかった。

咲実「私のは、地図の拡張機能みたいです」

咲実のPDAに書かれた地図には、部屋ごとに倉庫、戦闘禁止エリア等の表記が追加されていた。

ソフトの詳細を確かめ終えた段階で、残り時間が20分と迫っていた。

あまり悠長にもしていられず、別の脱出方法を探る余裕もなかったので、鍵を開けるメンバーの振り分けをどうするか話し合っていた。

第1のロックには桜姫。

第2のロックには咲実。

第3のロックにはかりん・かれん姉妹、それと優希。

そして第4のロックは総一という結論になった。

ロックを外した後、総一は素早くダッシュしてかりん達と合流。同様に桜姫も咲実と合流する、という手筈だ。

彼女達を一人きりにしたくない。というのが総一の本音ではあったが、他に手立てがない以上、こうせざるを得なかったのだ。

総一「・・・よし、そろそろ時間だ」

各配置についた総一達は、PDAの時間を確認しつつ、ジッと見据える。

この先に何が起こるのか、全く想像がつかない。

事前に優希のPDAにインストールした首輪の探知で、近くに反応がない事は確認したので、ひとまず襲われる心配は無くなったものの、不安は拭い切れていない。

総一「ゲーム開始から37時間44分55秒。56、57・・・」

そして55分に切り替わった瞬間、ロックのキーを回す。

ガチャン!

ロックが外れる重い音と共に、けたたましくシャッターの開く音がした。それに合わせて目の前のシャッターが開く。

総一「開いた・・・」

手筈どおり反転してダッシュしようとする総一だったが、振り向いた先から大きな音が響くのが耳に入った。

総一「なにっ!?」

総一が走り抜けようとした通路を、別のシャッターがそれを遮る。

総一「し、しまった!」

この瞬間、この一連の狙いが分かった。

総一達を分断させる為に用意された罠だったのだ。

??「きゃああっ!!」

するとシャッターの向こう側から響く誰かの悲鳴。

総一「悲鳴!?くそっ!」

総一はPDAを素早く取り出し、地図の画面を呼び出す。

総一「分断が目的なら、きっと他の皆もシャッターで塞がれているはず。なら一体どうすべきだ!」

各々が分断されているとなれば、たとえ迂回して他のメンバーの所に行っても、そこに居るメンバーとしか合流出来ないということだ。

総一「まず誰と合流する、悲鳴を挙げたのは!?くっ・・・」

悩んでいる暇はない。恐らく一番早く合流出来るであろう、かりん達の元へと走っていったのだった。



・・・
・・・・・


麗佳「はぁはぁはぁ・・・、ぐっ!いつっ」

手塚の追撃から辛うじて逃げることに成功した麗佳ではあったものの、その代償は大きかった。

彼女の左頬には一筋の傷があった。手塚の槍での一撃をかわし切れずについた傷だった。

血は止まったものの、あとほんの少し避けるのが遅れていたら、その顔は原型を留めていなかったかもしれない。

他にも右肩を同様に槍で突かれ、両膝は擦りむいていた。

いずれも軽傷ではあるものの、心に負った傷はそれ以上だった。

麗佳「どうして、こんなことに・・・」

心労の連続で、麗佳の心は押しつぶされそうだった。

そんな時に、PDAから異様な音楽が流れ、スミスの顔が画面上に映し出される。

麗佳「これ、は・・・」

疲れきった表情の麗佳をよそに、スミスはいつもの場を無視した声で挨拶をする」

それが誘拐犯からのメツセージだと気づいた麗佳は、とたんに眉をつり上げる。

麗佳「あなたが、あなたのせいで葉月さんは!!」

スミス「まぁまぁ、葉月さんの事は残念だったよ。それよりも・・・」

麗佳「残念だった、ですって・・・!!」

怒りに火がつき、その口から怒声が発せられようとしたが、スミスはそれを気にせず、ペラペラとしゃべり続ける。

スミス「葉月さんの娘さん。助けたくはない?」

麗佳「なっ!!?」

スミスの質問に、大きく開こうとしていた口が止まる。

スミス「どうなんだい?葉月さんの代わりに娘さん、助けたくはないかな?」

まるで詰問しているかのように同じ質問を繰り返す。人質をとられている以上、麗佳に選択肢がない事は明らかだった。

―――葉月さんは、助けられなかった。・・・約束したもの、葉月さんと。

娘を助けようって。その想いが、怒りで狂いそうな心に、辛うじて歯止めがかかった。

麗佳「・・・何をすればいいの・・・?」

この先、悪い事を聞く事になるのだろう。何を求められるのか?人殺し?それとも・・・。

スミス「なあに、簡単なコトさ!君を含めて総勢5人、このゲームを無事に乗り切って生存出来たら、娘さんは解放してあげるよっ」

スミスは快活にそう告げる。

麗佳「5人・・・?」

スミス「そっ。今11人のプレイヤーが存在してるんだけど、その内の5人がゲーム終了時に生き残っていたらゲームクリア♪ってわけ」

思っていた事と間逆の内容に、麗佳は思わず問い返す。

麗佳「本当?嘘はない!?」

スミス「本当だってば。ボクは嘘をつかない事で有名なんだよ?」

麗佳としては、今すぐにでも罵りたい相手だった。しかしその感情をグッと堪え、それを承諾した。

麗佳「わかったわ。私と、あと他の4人が生き残ればいいのね・・・」

先ほど仲違いをした高山達3人。襲い掛かってきたチンビラ風の男。麗佳がいまだ出会っていないのは残り6人にもなる。

そうなると、まだやりようはいくらでもある。そんな気がしたからだ。

スミス「そうそう。健闘を祈ってるよぉ。あー、でも先にキミの傷を手当するのが先かな?近くに救急箱があるはずだから。それじゃね、バイバイ」

そう言ってスミスは画面から姿を消す。

麗佳「私が、助けなきゃ・・・」

麗佳は決意を新たにし、前へと踏み出すのであった。



・・・
・・・・・

ゲームに飲み込まれていくプレイヤー達。そしてそれは、更なる展開が待ち受けているのでありました。

次回は第10話[ジョーカー始動]必死で抗おうとする彼らに対し、いよいよ究極の殺人マスターが舞い降りたのでした。乞うご期待♪


コメント(7)

やっぱり総一たちは分断されましたね。

残り少ない時間で総一はどんな決断をするのか、期待してます。
グライアイさん、こんにちわ♪

絆を失い、他人に対し疑心暗鬼に捕われている麗佳たち一行が、分断された総一たち一行と接触すれば一体どうなるか?一連の流れはそれが目的なのでしょう。

あ、ちなみに細菌攻撃に関しては、総一たちはシャッターの外側に逃げることが出来たので、もう吸い込む心配はありません。その代わり誰かが悲鳴を挙げる自体に陥っているわけなんですけれど・・・。
なるみさん、こんにちはるんるん今週も内容がアツかったです。さて、スミスが5人生き残させることで、どうしようとしてるのか?それにジョーカーの持ち主、手塚パパのこれからの行動(笑)、バラバラになった総一達の運命など見所がありすぎですあせあせ(飛び散る汗)


そして来週は誰が餌食になるんだろ(´・ω・`)楽しみです手(パー)
もりへいさん、こんばんわ♪

麗佳さんに課されたスミスの狙いは、ズバリ!ジョーカーに対抗する存在を作ることです。プレイヤー同士が疑心暗鬼に陥りつつも、必死で抗うシーンを演出する為なのですねぇ〜。

今回の手塚さん、エピソード『6』の時と違ってかなり大胆に戦いを仕掛けているんですよねぇ。なにせ生存している他のプレイヤー10人全員と敵対している状態(厳密に言えば高山さん、渚さんと真奈美さんとは牙を交えていない)ですから。

中盤に差し掛かっている状態ですけれど、次回あたりから脱落者が続発することになります。麗佳さんは果たして5人生き残らせることが出来るのか?
[1]
なるみさん、どうもです〜♪

過去のコメントに載っていましたが、今回は手塚さんが積極的すぎるくらいに動いてると思います。前エピソードでは慎重に行動してた分、余計にそう感じるのかも?
それだけに未だに一人も仕留めていない事実が気になりました。本来の手塚さんだったら、未覚醒な咲実さんを6階で仕留めるのは簡単だよな…と今さらながら思いました。それともやっぱり組織側の人間で、郷田さんのように煽ってるだけなのか?

次回は殺人マスターの登場ですね。一体誰なのか気になるところです♪

ちなみに今回の渚さんは真奈美さんを救えるのか?
…も気になります♪
レッドさん、こんにちわぁ〜♪

白状しますと、今回の手塚くんのポジション。シナリオ構成当初は実は長沢くんだったりします。長沢くんが麗佳さん達と行動を共にして、JOKERで首輪を・・・という流れで。

なのでやや長沢くんの行動に似てる面があったりします(汗)最も今回は、攻撃的なプレイヤーが少ない事も大いに影響はしてますけれども。郷田さんも長沢くんも居ませんし。

大人数のグループが分割された今、手塚くんと出くわしてしまう不幸なプレイヤーは一体・・・?そして渚&真奈美さんの友情の結末は・・・?

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