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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード6〜 第12話[再来]

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第12話[再来]                              〈作・桐島成実〉

【残りの生存者数・・・9/13人】

〈現在の状態〉

             PDA      状態    手塚との関係
[グループA]
 手塚 義光     (10)       健康         
 御剣 総一     (A)        健康       良好
 姫萩 咲実     (Q)      足を負傷     普通
 綺堂 渚       (J)       健康       不穏
 葉月 克己     (4)      肩を負傷     良好
 
 高山 浩太     (?)       ??       普通

 長沢 勇治     (?)       ??       敵対

 矢幡 麗佳     (?)       健康       敵対
  
 郷田 真弓     (5)        ??       敵対

 色条 優希     (?)       死亡       敵対

 漆山 権造     (7)        死亡       敵対

 陸島 文香     (?)       死亡       敵対

 北条 かりん    (?)        死亡      知らない






手塚達5人は、5階へと上がる階段の、ホールの手前の通路までたどり着いていた。

総一「どうです?」

総一は、ホールを覗き込んでいる手塚に小声で問いかける。

手塚「どうだろうな?少なくともホールには、居ねえことはたしかだが・・・」

手塚も小声で返事をする。

居るか否かというのは、もちろん麗佳の事である。

総一「と、すると、やっぱり前に来た時と同様、階段を少し上がった所に居るんですかね?」

手塚「そりゃ分からんが、かえって好都合なんじゃねえか」

総一「そうですね」

ホールのすぐ手前に居るのは、手塚と総一の2人だけである。

他の3人は、少し後ろの方で後方の警戒をしてもらっている。

今回の奇襲は、人数は少なくても問題はないのだ。

総一「じゃあ、さっそく・・・」

総一は自身のPDAを操作した。

そして、一通り操作が終わると、2人は揃ってホールへと飛び出した。

麗佳「!来た!?複数、かしら?」

階段の少し上の方で、ホールから大きな足音が木霊するのを聞いた麗佳は、階段を下りつつ、手に持っていたライフル銃のトリガーに指を掛け、いつでも発射できる様に構えを取った。

その時だった。

ガラガラガラ・・・

足音をかき消すほどの、狭い間隔の階段に、轟音とも言えるほど大きな音が、麗佳の耳に入ってきた。

麗佳「!なっ!?」

その音は、麗佳のすぐ近くから聞こえていた為だ。

階段上の天井から一番下の段に向けて、何かが勢いよく降りてきた。

ガシャーン!!

それは、対火災用の防火シャッターだった。

麗佳の目先に降りてきたそれは、こちらに突っ込んできているであろう人物とホールの情景を、一瞬にして塞いでしまった。

だが、一瞬だけその人物の姿を見ることが出来た。

麗佳「あれは、さっきの・・・」

そのことに気付いた麗佳は、考えるよりも先に、行動へと移していた。

対する手塚と総一は、ホールを横断し、防火シャッターの前まで迫った。

その間、総一はPDAを再び操作していた。

そして手塚の手には、催涙ガス弾が握られていた。

これは、先ほど総一達が休憩していた場所の、隅の方にあった小型の木箱の中に入っていたものだ。

その部屋には、他に武器らしきものが見当たらなかった為、最初に見つけた総一は、それが武器だとは思わずに封を開けたそうだ。

だが、それが催涙ガス弾だと気付いたのは、その横の方に、ご丁寧にも説明書が付いていた為だ。

更には、その隣に防毒マスクが2つ置かれていたのだ。

今手塚達2人は、これをそれぞれ付けている状態だ。

この催涙ガス弾は、殺傷力こそないものの、一時的に相手の動きを封じこめることが出来る。

手塚は、その催涙ガス弾を投げる構えを取り、側にいる総一に問いかける。

手塚「御剣!まだか!」

防毒マスクをかぶっているせいか、その声は少しくぐもっていた。

総一「もう少し、・・・出来ました!」

総一のその言葉が終わった時、目の前にある防火シャッターが再び開き始めた。

手塚「よーしっ!今投げ込めば・・・!」

足元にわずかに出来た隙間から、催涙ガス弾を階段の方へと投げ込む。

シュゥゥゥゥゥ

撒き散らされたガスは、階段全体をあっという間に覆いつくした。

手塚「いけっ!素早く取り押さえるんだ!」

総一「はい!」

総一、手塚の順に、大分開いているシャッターを潜り抜け、階段へと足を踏み入れた。

―――御剣の野郎が金髪の嬢ちゃんを相手にしている所を、俺が背後から拳銃で2人を仕留める。

渚のヤツはここには居ねえし、首輪を作動させれば俺の首輪が外れる。

と、そんな手塚の密かな企みも、すぐに泡となった。

手塚「あん?・・・どうやら、逃げられたようだな」

階段に居るはずの麗佳の姿は、うずくまっているわけでもなく、どこにもない。

総一は、階段を駆け上がり、5階へと足を踏み入れ、周りの様子を探る。

総一「どうやら、そうみたいですね」

やはり、麗佳の姿は影も形もなかった。

手塚「・・・自身の危機を察知して、瞬時に引き上げやがったか。でなきゃ、逃げ切れるとは思えねぇな」

ともあれ、麗佳という障害を取り除いた手塚達は、他の3人を引き連れて5階へと足を踏み入れたのであった。



・・・
・・・・・


5階の通路を歩いていた5人は、先頭を手塚と総一が、その後ろに渚と、渚に支えられている咲実、後方を葉月が、それぞれ警戒していた。

渚「ふぅ・・・」

渚が軽く息をつく。

咲実「あの、すみません、本当に」

渚が持っていた荷物は、今は総一が背負っているものの、女の手で人一人を支えるのは、結構な重労働だった。

渚「いいんですよぉ〜、咲実さん。困ったときは、お互い様って言うでしょ〜」

咲実「それは、そうなんですけど」

これまでは総一がずっと支え続けていたのだが、先ほどの奇襲を行う際に渚と代わってもらったのだ。

その後、総一は再び交代を申し出たのだが、渚は『私も総一君と咲実さんのことが大好きだから』とそのまま支え続けているのだった。

なおも申し訳なさそうな表情の咲実に、葉月も口ぞえをした。

葉月「いいんだよ。本来なら、大人の我々がしっかりしなくてはいけないんだ。それに泣き言を言っていたら、ここまで君を支えてきた総一くんに申し訳がないからね」

葉月はそう言いつつ優しく微笑む。

渚「うぅ〜、私はまだ18ですぅ〜!」

葉月の言う大人に自身が含まれていることに不満だったのか、渚が頬を膨らませて抗議する。

葉月「あぁ、ごめんごめん。そうだった、かな?」

謝っているものの、引っかかった疑問に首を傾げていた。

渚「・・・心は」

渚のボソッと付け加えた台詞に、約1名を除く他の人達が吹きそうになる。

その1名は、先頭を歩きつつも、ずっと背後に居る渚達を警戒していたのだが。

咲実「・・・そう言えば、高山さん、無事なんでしょうか?」

咲実は、これまで色々あって言い出せなかったが、はぐれてしまった高山の事をずっと気にしていた。

高山の総一に対するゲキがあったからこそ、今の総一が、咲実が居るといっても過言ではない。

・・・もちろん、長沢を追い払った文香の功もあるが、その彼女は既にこの世の人ではなくなっていた。

その事があっただけに、余計に気になるのだろう。

渚「う〜ん、私は、その人には会ったことがないんだけどぉ、大丈夫って思った方がずっとマシだよ〜」

渚は不安を吹き飛ばそうと明るく振舞う。

咲実「・・・そうですね」

渚の明るい励ましに、咲実も軽く微笑む。

その様子を、ずっと前を警戒していた手塚が、横目で冷ややかに見ていた。

―――ハッ、お気楽な連中はいいねぇ。何時殺されるかもわかんねぇってのによ。

手塚は最初に総一達と合流してから、総一達を消し去ろうとずっと隙をうかがっていた。

それが実行に移せなかったのは、総一と渚の存在だった。

他の2人は素人同然なのだが、総一のいざという時の行動力には目を見張るものがあるし、渚という女も一見天然ボケを振舞っているが、垣間見せる隙のない動きは、油断ならないものがある。

その為、ふんぎりがつかないのであった。

もし、4人共素人同然だったならば、手塚は迷いなくその牙をむいていたことだろう。

2人の存在が、手塚をより慎重な行動へと抑制していたのである。

手塚「オイ、お前ら!おしゃべりしてねえで、ちったぁ―」

振り向いた手塚は、4人の後ろで素早く動く『何か』が目線を横切った。

それは手塚達が居る少し後ろの、横に曲がる通路から飛び出してきた。

??「動くな!」

そして、その人物は、手に持っている銃を、最後尾に居る葉月の身体へと密着させる。

葉月「なっ―!?」

葉月は後ろを警戒していたものの、その俊敏な動きに、後手に回る結果となってしまった。

渚「あ、あなたは・・・」

すぐ後ろに居た渚も、咲実を支えている為、身動き出来なかった。

咲実「高山さん!」

噂をすればなんとやらか。その出で立ちは、間違いなく高山本人だった。

だが咲実達に喜びの感情は沸き起こらなかった。先ほど高山が発した低く鋭い言葉。そして総一達に向けている銃。

明らかに総一達を警戒していた。

総一「高山さん!なんで・・・」

総一の率直に口にした疑問は、高山の鋭い言葉に掻き消える。

高山「どうしてお前がここに居る。手塚」

高山が警戒していたのは、銃を突きつけている対象の葉月でも、総一でもなく、その向こうに居る手塚だった。

手塚「居ちゃ悪いかい?」

対する手塚はたじろぐ素振りも見せず、余裕の表情だった。

咲実「高山さんっ!私達は争う気はありません!だから銃を下ろしてくださいっ!」

咲実の必死の呼びかけにも、高山は動じない。

高山「確かにお前達はそうだろうな。しかし・・・」

高山自身、ここに手塚が居ることは想定していなかった。

高山は首輪の探知の機能を使い、ここまでやってきた。当初の予想では、これが総一達である可能性が高いと踏んでいた。

そして通路からその5人の様子を伺っていた所、緊張感に欠ける笑い声が聞こえ、それに誘われる形で姿を表した。

だが、その集団に隠れて見えなかったが、先頭に手塚が居ることに気付いたのは、通路に飛び出した瞬間だった。

手塚と高山が顔を合わせたのは、ゲームが始まった時のみだが、高山はその時、この男から発する危険極まりないニオイを嗅ぎ取っていた。

その男と総一達が共に居る。それは高山の想定範囲外だった。

高山「・・・まぁいい。一つ尋ねたいのだが」

咲実「な、なんでしょう?」

不安そうな顔を向けつつ、咲実はそう返事をする。

高山はひとまず手塚の存在は置いて、交渉に入った。

高山にとっても、手塚にとっても、すぐには攻撃出来ない位置に居た。

なぜなら、その間に総一達が居るから。

この瞬間、総一達はこの2人の実質上のバリケードと化していたのだった。

高山「単刀直入に言おう。JOKERを俺に渡してもらいたい」

高山は今も銃を葉月に向けたまま、微動だにしない。

当の葉月は、間近にある銃の為に身動き一つできない状態だった。

そこに、手塚が割り込んでくる。

手塚「オイオイ、大将。その言い方だと、まるで俺達がJOKERを持っている、って口ぶりだな」

手塚は大げさに片手を軽く上に挙げる。

高山「お前達が持っているのだろう?」

その声はさらに鋭く、目も射抜くような目線を手塚達に向ける。

手塚を除く総一達は、お互いに顔を見合わせる。

だが、手塚はそれを待たずに、高山のその目線を受け流した。

手塚「いんや、知らないねぇ」

手塚は即答する。今自身がJOKERを持っていることを、総一達に知られたくはなかったからだ。

妙な女1人でも大変だというのに、他の連中にも今まで黙っていたことを不審に思われてしまう。警戒されるだけならまだしも、全員が一斉に銃で狙ってくる事態にでもなれば、手塚に避ける術はない。

総一「・・・俺達も持ってません」

総一は、誰も持っているとは言わなかった為、代表してそう答える。

高山「そうか、残念だ」

高山は鋭い視線を向けたまま、密着していた銃口を葉月から放す。

葉月「!」

その事に気付いた葉月だったが、その銃口はいまだ総一達に向けられていた。

そして、少しずつ後退していく。

総一「ま、待ってください!高山さん。一体どうしたって言うんです!?」

高山は通路の角の前まで後退した後、その目線が総一の方に向けられる。

高山「一つ忠告しておく。その男とはすぐ縁を切った方がいい」

総一「え・・・?」

総一の疑問をよそに、高山は通路の角に身を隠し、そのまま立ち去ってしまった。

手塚「やれやれ」

その言葉の意味する所を理解していたのは、この場に居る中では皮肉にも手塚本人だけだった。

渚「・・・・・」

実際の所は、もう一人居たのだが・・・。


・・・
・・・・・


高山との対立。郷田、長沢、麗佳、そして高山。

果たして手塚は、この者達とどのような命の削りあいをすることになるのでしょうか?

次回は第13話[渚の決意]ここまで影の薄かった渚ですが、彼女もまた、何かを企んで行動を起こすのでした。乞うご期待★


コメント(7)

高山さんが助言したり総一達と行動すると最後は…



なんて思いたくないけど、頑張れ手(パー)



なんか一週間が早いですねあせあせ(飛び散る汗)気がついたら来週になってそうあせあせ次週から渚さんのターンか手(グー)ぴかぴか(新しい)楽しみだー(長音記号2)るんるん
もりへいさん、こんな遅くにようこそなのです♪

手塚くんがJOKERを渡す気がない以上、高山さんと手塚くんの対立は確定的ですね。渚さんも含めると、周りは敵だらけですねぇ。

今回までで生存者は9名。エンディングを除いてあと13,14、15、16話の4話ですね。この間に生存者が一気に減っていくことになるでしょう。必然的に今まで牙を潜めてきた手塚くんも本性を現していくことになります。

それにしても、もりへいさんの言うとおり1週間もあっという間ですねぇ。早く続きを書かなきゃ・・・(汗)

高山さんがインストールしたのがPDAの探知機能じゃなくて良かったですねw
それでも本性を隠すのはそろそろ限界みたいですね^^;

この後の展開が全く読めないのですごく楽しみです><
Duvalさん、いらっしゃいませなのです♪

実は一度手塚くんと渚さんが別れた際に、総一くん達が手塚くんと再び合流する事にそれとなく反対したのです。ただ、その際に自身の正体を明かさず、結果として再び合流することになりました。

本編のエピソードでも、自身から積極的に正体を明かすことはしてません。総一くんに、自身が人殺しだと言う事を知られて嫌われたくない、という乙女心があるから、ですねぇ。

今回もそれが反映されるんですけれど、それが裏目に出てしまう結果に・・・。


ザキさん、ようこそ〜なのです☆

少なくとも高山さんは、手塚くんと総一くんとの間に信頼関係があるとは見ていないようです。すなわち手塚くんが何かを企んでいるのだと。

総一くん達はまだ手塚くんがそう考えているとは気付いていないですけれど、それも時間の問題。と、すると手塚くんが何かを仕掛けるのももうすぐ、と言えるでしょう。

次回から終盤戦。次に脱落してしまうプレイヤーは果たして・・・?
なるみさん、どうもです〜♪

渚さんや総一を警戒し続ける手塚さんでしたが、果たして高山さんの一言が彼をどう動かすのか?

一度撤退した麗佳さんや高山さん。下の階落ちてしまった長沢の逆襲。
そして決戦を前にしての、ゲームマスター郷田さんの動きも気になるところですね。
レッドさん、どうもです〜♪♪♪

今回は(も?)PDAのソフトが戦局を左右します。

現状を整理しますと、まず手塚くん一行は生存者数のカウント、ドアのコントローラー、通信機能と地図の拡張機能の4つ。

高山さんは首輪とJOKERの探知、あと進入禁止エリアのカウントダウンの3つのソフトを持っていて、麗佳さんと長沢くんは不明。郷田さんは元々全部持っているでしょうし。

本編にて、ソフトの扱いが旨いといえるのは手塚くんと郷田さんあたりですかねぇ。高山さんは戦闘経験が豊富ですけれど、この面で多少遅れをとっている感がありますし。

以上、私なりの実況でした^^

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