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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード5〜 第8話[襲撃]

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第8話[襲撃]                              〈作・桐島成実〉

【残りの生存者数・・・11/13人】


〈現在の状態〉

[グループA]    PDA      状態    総一との関係
 御剣 総一     (A)       健康      
 陸島 文香     (6)      健康      良好
 北条 かりん    (?)     肩を負傷     普通
 色条 優希     (9)      健康      普通

[グループB]
 綺堂 渚       (?〉      健康      普通
 葉月 克己     (?〉     腕を負傷      普通
 姫萩 咲実     (?〉      健康      普通

 長沢 勇治     (?)      ??      険悪

 矢幡 麗佳     (?)      ??      疎遠

 郷田 真弓     (?)      ??     未接触

 漆山 権造     (?)      死亡     知らない






食事を終えた総一達4人は、休息もそこそこに、上の階へ上るべく通路を歩いていた。

先の食事の際、かりんのPDAは『K(キング)』、優希のPDAは『9』であることが当人の口から語られた。

かりんの首輪の解除条件は[PDAを5個収集する事]である為、総一達のPDAを借りて、なおかつ葉月達のPDAを借りることが出来れば解除は出来るが、問題は総一と優希である。

解除条件どおりに事を進めてしまうと、総一と優希の首輪が外れないことが分かった今、総一達は今後どのように行動していくかを決める必要があった。

文香「とりあえず、おじ様達との合流が最優先、かしらね」

文香は顎に手をあてながら、総一達に同意を求める。

総一「あとは、文香さんの首輪を外す為に、JOKERを見つける必要がありますね」

総一達4人はJOKERを持っていなかった。葉月達が持っているかどうかは確認してない為、やはり葉月達3人と合流する必要があった。

文香「問題は、総一君と優希ちゃんよね・・・」

文香は辛辣な表情で、後ろを歩くかりんと優希を見ていた。

かりん「・・・・・」

かりんは先ほどのショックがまだ抜けきれていないのか元気がなかった。優希もどうしていいか分からない為、2人とも無言のままだった。

こればっかりは、今の所どうしようもないのはみんな分かっていたので、3階へ上がる階段の所で、待ち伏せすることにした。

ただ、2階へ上がる際に少年に襲われた事もある為、武器を集める目的で、階段への進路上にある部屋をざっと見渡しながら、先を目指していた。

総一「なかなか見つからないものですね・・・」

総一は今までの経緯から、使えるものは真新しいダンボールや木箱に入っていると考え、部屋の中にあるそれらを見比べることで、新たな手がかりを得ようと考えていた。

その方がすべての箱をいちいち確かめるより、ずっと効率的だったからだ。

文香「そうね、PDA用のソフトなんかが見つかるかと期待したけど、あったのといえば、これくらいね」

文香はそう言いつつ自分の腰の部分にぶら下がっているナイフを見た。

結局この階を探索して見つかったのは、大型のコンバットナイフが2本と食料と救急箱だけだった。

他にも大きなハンマーなんかがあったが、持ち運びには適してないと考え、部屋の奥に隠してそのまま置いてきたのである。

そうやっていくつかの部屋を見て周りながら、3階への階段が間近に迫った時、突然総一のPDAからアラームが流れ始めた。

総一「な、なんだ!?」

アラームが鳴ったということは、何かが起こったという合図だけに、総一は思わず身構えた。

よく聞いてみると、鳴っているのは総一のPDAだけで、他の3人のPDAは鳴っていなかった。

総一はPDAを地図として見ていたが、突然画面が変わり、経過時間等が書かれたトップの画面に切り替わった。

トップの画面を見た総一は、一部分が変化していることに気がついた。

総一「文香さん!?」

総一はそう言ってPDAを文香達に見える様に前へ差し出す。

文香「えっ!?」

文香も目を剥いた。変わっていたのはさきほどインストールした残りの生存者の数だった。

11人だった数が、10人に減ったということだった。

優希「どうしたの?お兄ちゃん」

優希と、少し遅れてかりんも総一の持つPDAに目線を向ける。

文香「誰かが、亡くなった・・・」

かりん「えっ!?」

側に寄ってきたかりんと優希も、文香の一言で表情を曇らせる。

総一「一体誰なんでしょう?」

総一は神妙な面持ちで文香に尋ねた。

文香「それはわからないけど・・・、急いだほうが良さそうね」

文香は唇をギュッと噛み締めると、再び階段のある方の通路に目を向ける。

総一達もうなずき、先頭を行く文香の後に続く。



・・・
・・・・・


階段のホールの前まで来た総一は、待ち伏せがないかどうかを確かめる為、ホールを覗きこんだ。

幸いそこには人はおらず、隠れるスペースなどもない事を確認した後、安堵の息を漏らす。

総一「急ぎましょう」

総一達は、そう言って階段の前まで一気に駆け抜ける。

そして、階段を上ろうとした総一だが、

文香「ちょっと待って、総一君」

文香が呼び止めた。

総一「なんです?」

総一は階段の一番最初の段に足を乗せた状態で振り返った。

文香「階段上のホールの方で待ち伏せされている可能性もあるわ」

総一「あ、そうですね」

総一はそう言って頭を掻く。

文香「私が先に行って様子を見てくるわ」

文香はそう言って総一を追い抜こうとする。

総一「あ、危険ですよ。俺が―」

総一がそう言いかけたが、文香が遮った。

文香「総一君は、かりんちゃん達を守ってあげて」

文香はそう言って総一にウィンクする。

文香の言う守ってとは、背後から襲われることを警戒して、という意味だけではない。

元気のないかりん達を支えてあげて、という意味もあるのだろう。

それを悟った総一は反論はしなかった。

総一「わかりました」

とは言っても、ほんのしばらくの間だけの話だが。しかし油断するわけにはいかない。

優希「文香お姉ちゃん・・・」

総一は心配するかりん達の事を気にしつつ、背後のホールに注意した。

やがて、階段から降りてきた文香は、無言でうなずき、総一達を手招きする。

危険はない。そういう事だろう。

こうして、総一達は何事もなく3階へたどり着いたのであった。



・・・
・・・・・


ここから先は先ほどやってきた事と同じである。部屋の中を調べつつ、4階への階段を目指すべく、総一達はやや急ぎ足で通路を歩いていた。

そして、最初に見つけた部屋に入るべく、総一がドアノブに手をかけた。

カチリ

その時、硬い金属が接触したような音が通路の奥から聞こえてきた。

文香「!?」

最初に反応したのは文香だった。

バン!

そして何かが軽く破裂するような音が続いた。

文香はとっさに総一の身体を掴み、床に押し倒す。

ヒュッ

総一がいた位置の空気を切り裂く、そして、

ガキューン

背後の壁に何かがぶつかった。

総一「なっ!い、今のは?」

突然の状況に戸惑う総一だが、文香が叫んだ。

文香「みんな逃げて!」

文香はそう言い、恐らく飛んできたであろう方向を睨み付けた。

総一も、その目線を追う。

総一「な、そんな、まさか・・・」

総一はその視線の先に映る人物を見て唖然とした。

その人物は総一にも見覚えがあった。

総一「麗佳さん!?」

名を呼ばれた麗佳は、険しい表情を変えずに、右手に持つものを総一達に向けていた。

黒い塊のようなもの、あれは―――銃!?

総一がそう考える前に、先に起き上がった文香に手を引っ張られ、慌てて立ち上がる。

文香「ここにいては狙い撃ちにされるわ、急いで逃げるのよ!」

文香は叫ぶが、総一はいまだに信じられなかった。

総一「麗佳さん!何故ですか!?俺達が戦う理由なんて、どこにもないでしょう!?」

総一は麗佳に対して必死に訴えかけた。

よく見ると、麗佳の白いワンピースの腰の辺りの部分が赤く染まっていた。

怪我をしてるのか!?それとも誰かの―

カチッ

その時、麗佳の持つ銃に弾が装填される音が聞こえ、考えを中断した。

総一「いや、今は考えてる時じゃない!」

総一は、そう言って麗佳からかりん達に視線を移した。

総一「逃げよう!」

かりん「う、うん」

かりん達もうなずきつつ、一斉に元来た道を引き返した。

麗佳「!?待ちなさいっ!」

バン!

その時、麗佳の持つ銃から、2発目が放たれた。

銃弾は走り出したかりんの真横を通り過ぎる。

かりん「わっっ!?」

かりんは銃弾の恐怖に一瞬身を硬くするが、すぐに走り出した。

走り続ける総一達を追いかけつつ再三銃を撃つ麗佳だったが、銃の扱いに慣れていない上に、走りながら、なおかつ動き続ける総一達をなかなか捉えられず、銃弾はすべて外していた。

しかも、つい先ほど長沢に騙し討ちを受けた際に負った傷の、今も感じる鈍い痛みに顔をしかめていた。

それでもなおかつ総一達を狙ったのは、襲われて必死で逃げ延びてから幾分しか時が経ってないこと、おかげで緊張もピークになり、考えるより先に銃を構えたのだった。

―――やらなければ、やられる。

麗佳の頭はそのことで一杯だった。

何度が銃撃を受けながら、それでも追いかけてくる麗佳に対し、必死で逃げていた。

だが、負傷しているとはいえ、大人である麗佳に対し、総一達は優希がいる。

優希1人を置いていくわけにもいかないので、当然走る速度は総一達の方が遅い。

そのせいか、度々差を縮められては、銃撃を受けていた。

優希「あっ!!」

その時、優希が足をもつらせ、床に前のめりに転倒する。

かりん「優希!」

総一「くそっ!」

他の3人も、慌てて優希の元に駆け寄る。

麗佳はそれをチャンスと思い、優希に的を絞る。

総一「くっ!」

総一はとっさにそれに気づき、優希の前に身を投げ出す。

麗佳「逃がしはしないわ!」

バン!

距離が近くなったこともあり、麗佳の射撃は正確だった。

総一「ぐっ、ぐあぁっ!」

銃弾はとっさに庇った総一の腕を貫いた。

そのせいで、血が勢いよく噴出す。

優希「!!?」

優希はあまりのショックに顔をこわばらせる。

文香「総一君!?」

文香は慌てて総一の元に駆け寄ると、腰にぶら下げていたコンバットナイフを手に持った。

そして、それを麗佳に投げつける。

ヒュッ

射撃に集中していた麗佳は、ナイフを投げつけられたことに反応出来ず、身動き一つしなかった。

カシィン

しかし、ナイフは麗佳の真横を通り過ぎ、長いツインテールの髪を少し切り裂いただけで、壁にぶつかった。

わざと外したのか、それとも手投げ式でない大型のナイフのせいなのか、この時は判別がつかなかった。

かりん「優希!早く!」

かりんは優希の手を取り、今だ固まっている優希を立ち上がらせる。

だが、優希の足に力が入らず、崩れ落ちそうになった所をかりんに支えられる。

総一「ぐっ!!」

総一のそのうめき声で、優希は気を取り戻した。

優希「お、お兄ちゃん!」

そして、状況を飲み込んだ優希は怯えを感じつつもそう叫んだ。

文香は瞬時に横目で総一達がまだ走れる事を悟り、再び麗佳に目を向けた。

ナイフが顔の近くを通った恐怖に、麗佳は今も顔を強張らせていた。

文香「みんな、いいから早く逃げて!」

文香はそう言い、すぐ側にいる総一の腰に手を持っていき、そこにあるナイフを鞘から抜いた。

総一「っく、早く逃げよう!」

総一は怪我をした腕には気にも留めず、優希を半ば抱えるようにして、再び走り出した。

―――考えている場合じゃない

それはとっさの判断だった。

かりんもそれに続く。

最後に文香が後ろに振り向く際、ナイフを再び麗佳に投げつけた。

麗佳「!」

麗佳はとっさにナイフを避けた。その際銃の引き金に掛かっていた指に力が入り、再び銃から弾が発射される。

バン!

しかし、狙いの定まっていない銃撃は、あさっての方角に飛んでいった。

文香はすぐにきびすを返して総一達の後を追った。

麗佳「くっ・・・!」

麗佳は再び銃を向けようとしたが、さっきナイフを避けようと身体を捻った際、腰の負傷が悲鳴をあげた。

その痛みに耐え切れず、その場にうずくまる。

そうしている間に、総一達は麗佳の視界から姿を消していた。



・・・
・・・・・


命からがら逃げ延びた総一達は、総一の負傷した腕を手当てするべく、近くの2つ以上ドアがある部屋に逃げ込んでいた。

こうすれば、いざ追いつかれてももう一方のドアから逃げることが出来る。

文香はドアのすぐ脇にある家具をドアの前に置き、すぐには入れないようにした。

―――あの時と逆の立場になるとはね・・・。

あの時とは、最初に出会った頃、総一と文香が逃げる麗佳を追いかけていた時のことだった。

あの時は麗佳がドアの前に家具を置いて、そのまま逃げ去った。

そう考えると何とも皮肉な話だった。

一方、負傷した総一をかりんが必死で手当てをしていた。

幸い動脈を傷つけられたわけでなく、弾も貫通したので、出血は思ったほどなかったが、やはり痛みはずっと続いていた。

優希「お兄ちゃん、ごめんなさい、私のせいでっ・・・」

優希はそんな総一を見てずっと泣いてすがっていた。

総一はそっと優希の頭に手を置いた。

総一「いいんだ、優希が無事だったんだし」

総一は痛みを表情に出さず、無理にでも笑顔を作った。

だが、優希はそれが心配かけまいとする総一の思いやりだということに気づいていた。だからなおさら自分の無力さにあふれんばかりの悲しみとやるせなさを感じていた。

優希「でもっ、でもっ・・」

優希は言葉に詰まりつつも、なおも声をかけようとする。

総一「優希はまだ子供なんだ。だから俺達に甘えてもいいんだぞ?」

優希「けど、うっ、ごめんなさい・・・」

なおも謝り続ける優希に対し、頭に乗せた手を動かし、わしゃわしゃと頭を撫でた。

総一「俺としては、優希が笑顔でいてくれる方が嬉しいな」

許しを請う優希を見ていると、悲しみを感じてしまう。

優希「ひっく、お兄ちゃん」

優希は必死で泣くのをやめようとしていた。

かりん「優希・・・」

その健気さに、かりんは思わず手当ての手を止め、優希に暖かみとも悲しみともとれるような、そんな複雑な目線を向けていた。

文香「優しいのね、総一君は」

文香はそんなやりとりをする総一に微笑んだ。

総一「・・・そんなんじゃ、ありませんよ」

総一はその時だけ悲しみの表情を作った。しかし、それもつかの間で、再び優希の頭を撫でていた。

―――あいつとの、約束だからな・・・。

総一はこの時だけ、視線を遠くの方に向けていた。

文香「それでも、優しいことに変わりはないわ」

そんな総一に、文香は優しく見つめていた。



・・・
・・・・・


敵になってしまった麗佳、負傷した総一。だが、その分総一達4人の絆はますます強くなっていくのでした。
しかし、この特殊なゲームは絆を生むこともあれば、絆を失うこともあるのです。

次回は第9話[暗転]徐々に物語の全容が明らかになっていきます。次回をお楽しみに♪

コメント(9)

ツンデレらんらららんらん麗佳さんは敵に回っちゃいましたか・・・
こちら側に戻ってくる展開だと信じて、次回楽しみにしてますね!
う・・・(汗)

ここまで展開しておいて、後に味方になるのはとっても難しいような・・・。

同人ゲームの咲実編みたいな展開に持っていけば不可能ではないとは思うですが、う〜ん・・・困りましたですねぇ(あせあせ)

麗佳さんは敵に、これで彼女の生存確率が一気に下がりましたね。
一人減ったのは可能性が高いのは長沢か、それともBグループの誰かですね。
これから一体どうなるのか想像もできません。
死亡ったの誰だろー(長音記号2)exclamation & question我が嫁咲美ちゃんじゃなければOKわーい(嬉しい顔)ハート達(複数ハート)てか1週間経つの早いなぁがく〜(落胆した顔)バッド(下向き矢印)
Duvalさん、毎度どうもです(ペコッ)死んだのが長沢だとした場合、どのように死んだかが重要となってきますね。JOKERの在り処はいまだはっきりしてないですねぇ。

リョウさん、こんにちわです(ペコリッ)誰が死んでしまったのかは、次回明らかになります。一体何が総一達を待ち受けているのでしょうね。

パピ子@LB延期ksne-Yさん。ご愛読ありがとうなのです(ペコペコ)周りの仲間との連携が見所の一つではありますからねぇ。

もりへいさん、こんにちわ〜なのです。えーとぉ、たしか以前は渚さんが嫁だとかおっしゃっていたような?不倫はいけませんよぉ。




今回もハラハラドキドキしながら読ませていただきました。
麗佳さんは敵になってしまった様子ですね…
それにしても死んだのは誰なんでしょう?なんとなく文面から長沢は生きてそうな気がします。
となると葉月グループの誰かだと思うのですが…
あと予想ですが、ゲームの構想を考えるとジョーカーは葉月か咲美さんが持ってそうな気がします。
次回の更新も楽しみにしていますね〜☆
茶ソバダディさん、毎度どうもありがとうなのです☆

ハラハラドキドキしてもらえて、とても嬉しいです♪今後も頑張って書こうという気持ちにさせられるです♪

ふーむ、みなさん色々と予想を立てているですか、果たして正解はあるのでしょうか?

あ、言い忘れてたですが、次回の更新なのですけれど、こちら側の都合でちょっとだけ早めに更新するです。といってもほんの2時間程度、つまり土曜日の10時ぐらいですけれど。

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