ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

handy libraryコミュの『メリークリスマス』

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
12月25日AM1:00


明日は、いや今日は彼女と2回目のクリスマス。

時計を見ながら頬がじわじわと上がってくるのがわかる。
2回目なんだからいい加減落ち着いたらいいのに……。
まぁこれもわかりやすい愛の印なんだろうと自己完結。


1度目のクリスマスは俺がプランを考えたから今年は彼女がプランを立ててくれるらしい。
どこに行くんだろうと考えるとちょっと緊張してきてしまった。
まぁこれもわかりやすい恋心なんだろうと自己解釈。




色々考えていたら部屋の窓をトントンとノックする音が聞こえた。

俺の部屋はマンションの一階。ノックできないこともないけど…

ていうかこんな時間に?


もしかすると彼女かもしれない!
今日デートするっていうのに待ちきれなくなったんだな、かわいいやつめ。と思いながらカーテンを開けた。








そこにいたのは案の定彼女。





ではなく赤い服に身を包んだ白いおひげが立派なおじいさん。

俺は鍵を開けてベランダの窓を開いた。

「あの…どちら様でしょうか?」

「私はサンタクロースと申します。夜分遅くに申し訳ない…」


ワァーオ…

「これは何かのいたずらですか…?」

「いえ違います!困ったことが起きたのです…急に失礼だとは思ったのですが…」

これは新手の詐欺なのか?
このサンタさんは何者なんだろう…


「困ったことって?」

「実は…」

そう言うと自称サンタさんは何かを手招きしておいでと言った。
すると蹄の音と共にやってきたのは真っ赤なお鼻のトナカイさん。


ワァーオワァーオ…

でもなんだろう…様子が少しおかしい。
「実はうちのトナカイが飛べなくなってしまって…」


サンタさんの連れてきたトナカイをよく見てみると鼻の赤みがくすんでいる。
なんだか元気もないようだ。

この現状を誰かに見られても面倒だと思い、トナカイとソリを近所にある大きな公園に隠してサンタさんにはうちに入ってもらった。


サンタさんは申し訳なさそうに玄関から家に入り、ソファーに座ってもらった。

俺も向かいに座り、飲み込みきれない状況を整理するために話を切り出した。

「とりあえずあなたがサンタさんだってのは信じます。トナカイはなんで飛べなくなったんですか?ていうかトナカイってほんとに飛べるんですか!?」

「他のトナカイはわからないですが私のトナカイは飛んでくれます。なんで私のトナカイが飛べると思いますか?」

今までアニメや絵本で当たり前のように空を駆けていたものだから理由なんて考えたことなんてなかった。

「なんででしょう…」

「サンタクロースのトナカイはいつもみんなの人気者です。そしてトナカイも子ども達が大好きです。子ども達の私やトナカイを信じる気持ちが空を駆けさせてくれて、暗い夜道もピカピカの鼻で照らしてくれます」

「本当に信じる気持ちなんかで…?」

俺は本当に信じる気持ちなんかで空が飛べるようになるのか信じれなかった。

「気持ちというものは計り切れません。だからこそ気持ちに限界なんてないのです。子ども達の心から信じる気持ち、いや、子どもに限らずともそれは無垢なとても大きな力があります。私を信じてくれるのは私のトナカイを信じてくれるのと同じこと。その信じる気持ちが一年に一度、一匹のトナカイに集められたのなら、一晩くらいトナカイだって空を駆けることだってできると思いませんか?」

「まぁそう言われると…じゃあ飛べなくなったというのは?」

「最近、私とトナカイを信じている子どもが少ないのです…私とトナカイはプレゼントを配り終え、帰るところでした。ですが子ども達の信じる気持ちが足りず、トナカイは飛ぶことができませんでした。そして鼻の色もくすんで元気もなくしてしまって…」

そういうことだったのか…たしかに今心からサンタさんを信じている子どもは少ないのだろう。

「サンタさんを信じる子どもがいなくなったらサンタさんはどうするんですか…?」

「そうなればトナカイも飛べませんし、私達は消えていくのでしょうね。私達は
子ども達の夢の化身のようなものですから。でも信じている子ども達がいなくなるのならば私達は必要ではなくなるのですから、それでいいのです」

それでいいと言うサンタさんの顔は寂しげに見えた。

「俺はいなくなったら嫌です!街には偽物がたくさんいます、でも本物あっての偽物なんです!それに子ども達だって親の偽物サンタより本物のあなたからプレゼントをもらいたいに決まってる!」

言い終わるとサンタは優しい笑顔になった。でも笑っているけれど威厳のある声でこう言われてしまった。

「君は優しい人だ、でも今のは取り消しなさい」

「えっ?なんでですか!?」

「私は両親からプレゼントをもらえる子どもにはプレゼントは渡しません。なぜなら両親の邪魔になるからです。」

「なんで邪魔なんですか?」

「親がプレゼントをサンタさんからだよと子どもの枕元に置くのは、見返りや、好かれたいありがとうと言ってもらいたいからではありません。ただただ子どもの喜ぶ顔が見たい、その気持ちだけで渡すんです。それは無償の愛というもの。例え、最終的に子ども達にサンタは父親でサンタなんていなかったんだと思われても誰かが余計なことをしていいものなんかじゃないのですよ。
君も思い出してごらん、25日、朝起きて枕元のプレゼントを見つけて嬉しかった日を。それは高価なものだろうが、お金がかかっていなかろうがそれには両親の愛がつまっていたのだよ」

そんなこと考えたことなかった…
そういえば俺も小さい頃はサンタさんを信じていた。でも小学校高学年になりサンタさんは親父だと気づいた。
でもがっかりはしなかった。プレゼントを貰えることには変わりはなかったから。でも両親の愛がつまっていたんだな…

「君を責めているのではありませんよ?」

落ち込んだ様子の俺を気遣ってくれたのか、サンタさんの笑顔は優しかった。

「うん、わかったありがとう。さっきのこと取り消すよ」

黙ったままサンタさんは頷いてくれた。
俺はこの優しいサンタさんとトナカイをどうやったら帰らせて上げれるか考えた。



考えているとチャイムが鳴った。

「開いてるから入っておいで」

ガチャンと音をたてて入ってきたのは俺の彼女。

さっき公園にトナカイとそりを隠しに行く途中で電話をして来て欲しいと頼んでおいた。
彼女は玄関で実物のサンタさんを見て言葉を失っている。

「サンタさん紹介します。この子がさっき言ってた俺の彼女です」

「初めまして、こんばんは」

サンタさんはにっこりと彼女に挨拶をしてくれた。

「あっ、は、初めまして…」

そりゃビックリするよな…

「電話で簡単に説明した通りなんだけど、またちゃんと説明するから今は信じてくれないか?」

「うん…わかった…」

彼女はそう言い、俺の隣に座った。

「ねぇ、私で役に立てるのかなぁ?私だけじゃなくて他にも声をかけたの?」

「いや、かけてないよ?ごめんね、夜中に呼び出しちゃって…俺一人でどうすることもできなさそうだったからさ…
他にもか、考えてなかったな…そうか他にもか…」


まぁやらないよりできることをやった方がいいよな。

「サンタさん、ここで待っててもらっていい?ちょっとひらめいたんだ」

「あぁ構わないよ。色々とありがとう」

「いいってば、いつもお世話になってるんだし」

サンタさんはまた申し訳なさそうにしているので笑顔で気にすんなよっと肩を叩いて俺と彼女は家を出た。



____________________________________
40分後



「サンタさんお待たせっ!準備できたから今から一緒に来てっ!」

俺はサンタさんを連れてトナカイとそりを隠してある公園に向かった。



公園に着くと夜中で辺りが静かなせいか遠くにいるはずの明るい無邪気な声がかすかに聞こえる。
静かにするように言っておいたのに…


サンタさんはその声を聞いて、隣で不思議そうに俺の顔を覗いている。
俺はまぁまぁと言うように頷き、サンタさんとトナカイの所へと先を急いだ。





「わぁー!すごーい!角固ーい!」
「でっかーい!」
「あたしもトナカイさんに乗りたいっ!」

トナカイと嬉しそうに楽しそうにじゃれているのはパジャマにジャンパーを着た10人位の子ども達。ニットの帽子や耳当てをした子もいる。
トナカイは嫌がってないだろうかと思ったが、子ども達が上に乗れるようにしゃがんだり、角を触れる高さに持って来たりと喜んで子ども達と遊んでいる様子だった。

そうだ忘れてた、トナカイも子ども達が大好きだったんだ。
サンタさんに手招きされてやって来た時よりも元気になった気がする。
鼻の赤みも戻ってきたようだ。

「あの、これはどういうことなのでしょうか?」
サンタさんも俺と一緒にトナカイと子ども達を微笑ましく見ていて当たり前の疑問を忘れていたようだ。


「これはさっき彼女に電話した時のように小さい弟、妹のいる友達に片っ端から電話したんです。サンタさんが困ってるから下の兄弟を連れてこの公園まで来てくれってね。
初めは何の冗談だって言われたけど、必死にお願いしたらみんな来てくれたんだ。着た時は寝てるのを起こして連れてくるのは大変だったとか、親にバレたらどうなることか、とか言われたけどトナカイを見たらみんな信じて、協力してくれるってさ」

「なんという…本当にありがとう…」

「俺にお礼はいいですから子ども達に顔を見せてあげて下さい」

「そうですね」

少し離れたところで眺めていたので、子ども達の近くに行こうと再び歩き出した。
子ども達はサンタさんに気付くとキラキラした目をしてサンタさんの方へ走ってきた。

「サンタさんだぁー!」
「ひげ白ーい!」

サンタさんは子ども達に囲まれて身動きが取れないようだ。
でも嬉しそうな顔で寒いだろうにありがとうねと言い、子ども達の頭を撫でている。そして、なんとかトナカイの所へ行くと、トナカイの頭に手を置いた。

サンタさんとトナカイは見つめ合っているだけだが、俺はサンタさんの微笑みがよかったねと言っているように感じる。


「そういえば、この子達のお兄さん達はどこに行かれたのですか?それにそりも」

「この公園には小さな丘というか山というか、少し小高くなった場所があるんです。そこへとそりを運んでいます」

「ねぇー!準備できたよぉー!」

サンタさんに説明し終えるとちょうど彼女が呼びにやってきた。



「よーしみんなっ!今からサンタさんとトナカイさんのお手伝いだっ!」






____________________________________


「作戦はこうです。今そりが置いてあるここからあの丘の上まで登って、坂のてっぺんに着くと同時にトナカイに空へと駆け出してもらう。
本調子じゃないトナカイの負担を少なくするためにみんなでそりを全力で押すんで大丈夫です!平らな面で飛び立つより、上に向かって進んでいく方が飛び立ちやすいと思う!

俺達も頑張るからトナカイもがんばってくれよ」

俺は隣にいるトナカイの背中に手を置いた。

「本当にありがとう。実は私、子ども達の寝顔はよく見るのだけれど、遊ぶ機会がほとんどなかったので、さっきは子ども達と触れ合えてとても楽しかった」

「いえいえ。よしっ!それじゃあ行きますか!」








打ち合わせ通りにそれぞれ配置に着いた。

俺達男はそりを押すためにそりの後ろに、男が7人もいればなんとかなるだろう。

子ども達と彼女や女友達は丘のてっぺんに向かって、そりが進んでいくであろう道の両サイドでトナカイや俺達にエールを送ってくれている。







「よしっ!行くぞっ!」

初めはずっしりと重たかったが段々加速も着いてきた。



「この調子でがんばるんだ!」

平地が終わり坂を上り始めた時、一緒に押すために子ども達も手伝いに来てくれた。





「がんばれー!トナカイさんがんばれー!」
「ちゃんとお家に帰るんだよ!」




坂も終盤、てっぺんが見えてきた。

「あと少しだ!」






「行けぇーー!!」

みんなで自然と一斉にトナカイに向かって、声を出し、力いっぱい押し出した。







「すげぇー!!飛んだぁー!!」




トナカイはちゃんと空を駆け出せた。
みんなで空を見上げてお別れを言った。

「バイバァーイ!サンタさぁーん!トナカイさぁーん!」





無事飛び立ったサンタさんとトナカイは俺達の方へと顔を向ける。










「みんな!本当にありがとう!





メリー!クリスマース!」

コメント(9)

あとがき

クリスマスに間に合わなかった…
気づけばもう年末ですね…
どうか怒らないで下さい(ノ_・。)



皆さんは素敵なクリスマスを過ごしましたか?
人それぞれ色んなクリスマスがあったと思います。
ならこの話のようなクリスマスがどこかにあったのかも知れへん!と思い書きました。


実は、この話ともう一つ、サンタクロースのコメディチックなお話と同時に載せようと考えていました。
両A面シングルリリース!みたいな(笑)
でも間に合いませんでした…
本当に申し訳ない…

まだ若干でもクリスマス気分の残っている方がいることを願います。
今日になってようやく録画してあった23日のM-1を見てました。
クリスマス向けのCMが入っていたので今さら結構クリスマス気分ですわーい(嬉しい顔)わーい(嬉しい顔)

このお話はバィトに行く途中の電車内で読んでいたのですが,すっごくほっこりしました。
サンタさん,トナカィさん,良かったですね!!!

涙と鼻水をこらえつつ,バィトに向かいますーぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

素敵なお話ありがとうござぃましたほっとした顔芽
わぁいぴかぴか(新しい)

素敵なお話ありがとうほっとした顔

今年のクリスマスプレゼントだねるんるん

あたしはまだまだXmas気分だよぴかぴか(新しい)

ツリークリスマスまだ出してるし(笑)

茶助も素敵なクリスマスが過ごせたかな?

これからも茶助のお話楽しみにしてるよウッシッシクラッカー
今年の締めに、素敵なお話るんるんるんるん
うちの子供たちが小さい頃、サンタさんの代わりに枕元に(気付かれないよう)プレゼントプレゼント置いたのを懐かしく思い出しましたぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
幸せ気分で大掃除に突入しまするんるんるんるんるんるん
゚+。(*′∇`)。+゚
来年も楽しみにしていまするんるんるんるんよいお年をるんるんるんるん
すごく温かい優しい気持ちになりましたぴかぴか(新しい)
『気持ち』の大切さを改めて実感しました。

いつもプレゼントを配るサンタさんとトナカイさんにもたまにはこんな素敵なプレゼントがあってもいいですよね♪

素敵なお話、素敵なプレゼントをありがとうございました☆
プレゼントに込められた無償の愛。そんなふうに考えたことなかったです。プレゼントってそうですよね。送る相手の喜ぶ顔が見たいから選ぶのも楽しい。今年最後に素敵なお話ありがとうございました。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

handy library 更新情報

handy libraryのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。