山陽本線沿線観光コミュの広島県立美術館

　この美術館の前身は、大正２(1913)年に旧広島藩主浅野長勲(ﾅｶﾞｺﾄ)侯爵が所有していた別宅の泉邸(縮景園)の敷地の一角に浅野家所蔵の古美術品を一般公開する国内初の私立美術館として開館した観古館です。
　当時の建物構成は、入口から正面の位置に事務所棟を置き、それを軸として左右に二階建ての洋風建築の陳列棟を配置、左が第一号館、右が第二号館と呼ばれました。敷地面積1424坪、陳列棟は間口10間・奥行５間でした。展示物は浅野家所蔵の和漢古書・刀剣・茶器類等で、西洋の物はありませんでした。大正時代には月平均3500人来館した記録が残っています。
　昭和14(1939)年、懐古館は浅野長之侯爵から広島県へ寄贈されましたが、大東亜戦争末期に帝國陸軍が接収、第二総軍短波傍受班「特情班」が置かれました。
　そして、昭和20(1945)年８月６日の原子爆弾投下により建物・展示品ともに消滅してしまったのです。
　その後、昭和31(1956)年に広島市を中心とした広島県西部の小学校に於いて美術館建設に向けた「一円募金運動」が始まり、この地には昭和35(1960)年に広島県立図書館が建てられました。
　1960年代に入り美術館建設計画が進展、昭和43(1968)年、中国地方における最初の公立美術館として県立図書館の隣に開館が実現しました。この整備計画には広島県出身の日本画の大家である児玉希望(ｺﾀﾞﾏｷﾎﾞｳ；1898～1871)がアドヴァイザーとして参加しています。
　1980年代に入って施設の改新構想が挙がり、隣の県立図書館の移転が決定した事から、美術館の建て替えと縮景園との景観的な一体化が計画されました。昭和55(1980)年に収蔵庫の拡張が行われ、平成７(1995)年に新館、つまり地上四階地下一階の現在の建物が竣工し、翌年再開館しました。延床面積は19926㎡です。
　広島にゆかりのある画家の作品・アジアの工芸品・1920～30年代の世界の美術作品等をテーマに約4500点を所蔵しています。

　広島駅の西方800ｍ。

＊縮景園
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