「ファット・シティ」★Fat City 1972/ U.S.A./96min 製作●レイ・スターク、ジョン・ヒューストン 監督●ジョン・ヒューストン 原作・脚本●レナード・ガードナー 撮影●コンラッド・L・ホール 編集●ウォルター・トンプソン キャスティング●フレッド・ルース プロダクション・デザイン●リチャード・シルバート セット●モリス・ホフマン 衣装●ドロシー・ジェンキンス 音楽編集●ケン・ホール 主題歌●クリス・クリストファーソン“Help Me Make It Through The Night” 出演●ステイシー・キーチ、ジェフ・ブリッジス、スーザン・ティレル、キャンディ・クラーク ニコラス・コラサント、アート・アラゴン、カーティス・コークス ■60年代の混迷期を脱出し、ニューシネマも振り切った70年代ヒューストンの傑作。しかしながら実際にはまったくヒットしなかった「呪われた映画」だった。 レナード・ガードナーが自分の出身地でもあるアメリカの地方都市ストックトンを舞台にしたうらぶれた二人のボクサーの物語(邦訳「陽の沈む街へ」)の映画化。ガードナー自身が脚本を書いた。ヒューストンは最初マーロン・ブランド主演で考えていたが、フランク・ペリーの「ドク・ホリディ」やロバート・アルトマンの「Bird Shit」でニューシネマのスターになりつつあったステイシー・キーチの舞台を見てキーチ主演に変更、若いボクサーには「ラスト・ショー」で注目されていた若手俳優ジェフ・ブリッジス、そして舞台女優で本作ではアカデミー助演女優賞にノミネートされたスーザン・ティレル、そして翌年ルーカスの「アメリカン・グラフィティ」で注目される新人キャンディ・クラークにテレビの傍役で知られるニコラス・コラサントの他プロボクサーのアート・アラゴン、カーティス・コークス、そしてストックトンの人々が出演した。撮影は70年代アメリカ映画を代表するコンラッド・ホール。音楽は主題歌にクリス・クリストファーソンのヒット曲“Help Me Make It Through The Night”が使用された。興行的には失敗作であるが、プロデューサーのレイ・スタークにとっても自身の最高傑作だと自負しており、72年のカンヌ国際映画祭では高く評価された。まさにファーストシーンの無言の10分、そしてラストシーンの無言の数分は誰もが溜息をつくしかない「絶望感」が充満しているが、もちろんだれも映画館に「絶望」を求めてはこないのであった。