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世界の大衆食堂コミュのテルアビブの大衆食堂

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「よし、今日はテルアビブの庶民の味を食べさせてあげましょう」。

知り合いのイスラエル人の車で悪路をガタゴト揺られて30分。

この町につきものの渋滞を抜けて、到着したのは、ある商店街の居酒屋。

映画のポスターやコカコーラの宣伝が壁にべたべた貼られており、渋谷や新宿にもあってもおかしくない、ほんとうに庶民的な雰囲気である。

イスラエルの食事では、まず前菜として、小皿に盛られた様々な料理がテーブルをびっしり埋め尽くすのが普通だ。

カリフラワーの唐揚げ、魚卵のペースト、レバーのペースト、ナスの炒め物、ごまの味のするペースト、キュウリとトマトを細かく切ったサラダ、コリアンダーの味のする辛いペースト。

ちょうどスペインのタパスに似ているが、ほとんどが野菜である。

ペーストは、中東風のピタ・ブレッドという平たく丸いパンにつけて食べる。

イスラエルは欧州や米国の影響も受けているが、場所が中東であることには変わりなく、食生活にはアラブ文化の香りが漂っているのだ。

「ここは、いろいろな階層が来る店でね。この間もどこかで見た人が近くのテーブルに座っていると思ったら、スキャンダルのために軍から除隊になった将軍だった」。

知人はレバーのペーストをこってりパンに塗りつけながら、言った。

さてメイン・ディッシュを何にするか。

「テルアビブの地元料理を頼もう。私に任せなさい」

彼の注文で出てきたのは、牛の目玉と尻尾の煮込み。

ドロドロに溶けているのでさいわい目玉には見えないが、やたらと骨の部分が多く、食べる所は少ない。

ちょっと豚足の煮込みに似ているが、その五倍は脂っこい。

ジョルジュ・バタイユの「眼球譚」をちらっと思い出した。

全く食べないのは失礼なので、二個だけ取って、骨の周りの肉をチョコチョコとナイフで削ぎ落とし、辛いペーストをつけて食べやすくして、ビールで無理やり喉の奥に流し込む。

私の皿の上には二個の大きな骨が並び、いちおう食べたような体裁を繕うことができた。

他の同席者もあまり食べたがらないようだ。

「みなさん、あまり召し上がらないようですね・・・・・。私はこれが出てくるとやめられないのです。片付けますよ」と言いながら、イスラエル人は大皿に残った脂の塊を、自分の皿に取り、うまそうにたいらげた。

「よし、デザートも庶民の味を頼もう」

出てきたのは、ババロアの上に、蛍光塗料のような真っ赤なシロップと粉砂糖がかかった、トルコ風のデザート。

確かに珍しいものだが、食べると、まるでトイレの防臭剤のような、化学的な芳香が口いっぱいに広がった。

ギリシャやトルコなど、地中海に面した国々では、甘さが頭の芯まで突き刺さるようなデザートがあるが、私の前に出てきた人口着色料と人口甘味料の固まりも、その類だった。

イスラエル庶民の味を心ゆくまで味わった会食であった。

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