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語部夜行 〜カタリベヤコウ〜コミュの下水道の怪物

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聖「・・・・・・一つ、聞いていいですか?」


星司「どうした?」


聖「何故にキャバクラ!?」


現在聖は知人で元刑事の仁科源蔵とそのかつての部下、雨宮 康太(あまみや こうた)とともに極道の皇星司がオーナーのキャバクラのVIPルームにいた。


星司「極道がサツを組の事務所に呼んで打ち合わせをすると思うか?」


聖「あー、たしかに・・・・って、別にキャバクラじゃなくてもいいんでない?料亭とかでいいんでない?」


源蔵「まあキャバでもいいじゃないか。わしは若い女は好きだし。」


聖「黙らっしゃい不良ジジイ!」


源蔵「なんじゃと、このヤンキーが!」


康太「ちょっ、二人とも落ち着いて!」


星司「・・・・・・話、始めるぞ。」


ケンカしだす聖と源蔵、そんな二人を止めようとする康太。三人を見て、星司は半ば呆れながら話を始めた。


星司「最近、ある川沿いで野生動物による傷害事件が多発してるのは知ってるか?」


聖「ああ、たしか夜に野良犬かなんかに噛まれて負傷者続出のあの事件?」


星司「それだ。だが実はこの事件の犯人、野生動物じゃなくて人間らしい。」


康太「ちょっ、ちょっと待ってください。」


星司の話に康太が口を挟む。


康太「人間って、被害者に付けられた歯型は調査の結果、犬のものと一致しましたよ。」


星司「・・・・実は二日前、うちの組の奴が被害にあってな。その時そいつとそいつの女が犯人を見たんだよ。暗くて詳しくはわからなかったようだが、どうやら黒い毛皮を着た人間だったようだ。初めはそいつも犬かと思ったようだが、どうも犯人は四つん這いで動いているらしい。」


聖「四つん這いで動く人間・・・・人面犬だったりして。」


星司「だったら見せ物にでもするか。」


聖「むしろ海外の珍品コレクターに高値で売った方がいいんじゃないですか?」


星司「それもいいな。じゃあ早速捕まえてきてくれ。」


聖「・・・・」


星司「・・・・・・」


聖「・・・・・・・・今回の依頼って、これ?」


星司「ああ。どうやら相手はやたら素早いらしいし、下水道に逃げ込んだって話だ。下の奴ら、不気味な相手と暗い場所でやり合いたくないようだし、怪我人が出るのも困る。その点おまえならどんな相手でも大丈夫だろ?」


聖「・・・・まあ、ゲテモノ相手は慣れてますけど。」


星司「あとサツに恩を売っておこうと思ってな。」


康太「それでボクが呼ばれたわけですか・・・・」


星司「そういうことだ。さて、話はまとまったことだし、事件が多発している時間帯までまだ時間はあるから軽く飲むか。」


そういうと酒とつまみを持ったボーイとキャバ嬢が入ってきた。


聖「未成年なんで酒以外の飲み物で。あとキャバ嬢は遠慮します。」


そう言いつまみを黙々と食べる聖。一方康太は隣に座ったキャバ嬢を見て、顔を赤く染めていた。


「葵です、はじめまして。」


康太「あ・・・・ど、どうも。」


清純な感じのする、どこか素人っぽいキャバ嬢の葵に惚れたようだ。


星司「ところで仁科さん。」


源蔵「なんじゃ?」


星司「アンタ、何しにきたんだ?」


源蔵「タダ酒飲みに。」


星司「・・・・ちゃんと金、払えよ。」





―――――――――――――――





「組長、つきました。」


星司「おう、ご苦労。」


軽く飲んだ後、一同は星司の部下の運転で事件現場にやってきた。


聖「はあ、面倒だな。」


康太「まあまあ、そんなこと言わずに。」


胴長とゴム長靴を着た聖と康太は車から降り、犯人が逃げ込んだ下水道に足を進める。
下水道の排水口まで行くと、聖は足を止めた。


聖「こりゃマズいな。」


暗くてわかりにくいが、そこには血痕があった。どうやら新たな犠牲者が出たようだ。


康太「は、早く行かないと!」


聖「ああ。」


そう言い、二人は下水道の中に入っていく。
下水道の中は暗く、酷い悪臭だった。二人は手に持ったライトの明かりを頼りに進んでいく。
所々別れ道があるが、聖は迷わずどんどん進んでいった。


康太「聖くん、道あってるの?」


聖「たぶん大丈夫。」


康太「たぶんって・・・・」


聖「ここじゃ鼻が利かねぇから感に頼るしか・・・・」


聖は話している途中で自らの口に指をあてて黙るように促す。
康太が何事かと疑問に思うと、聖は先の曲がり角を指差した。
曲がり角の先を見ると、そこには大型犬らしきものが人間を食していた。


康太「ひっ・・・・!」


康太の微かな悲鳴に気付いたそれがこちらを見る。ライトの明かりに照らされて明らかになる全貌。
そこにいたのは顎から上の頭部は人間の人面犬だった。
振り向いた人面犬は康太に向かって走り出す。それと同時に聖も人面犬に向かって駆け出していた。
胴長にゴム長靴であるにも関わらず、聖の速度は獲物を狙う肉食獣のように速い。
互いに攻撃の間合いに入り、人面犬が聖に噛みつこうとした瞬間、


聖「おせぇよ。」


聖の左の打ち下ろしが人面犬の頭部に叩き込まれる。その一撃は非常に強力で、人面犬の頭部は陥没した。
ピクピクと体を痙攣させながら倒れる人面犬。すると突然聖は頭を抱え込む。


聖「やっべー、やっちまった・・・・捕獲しなきゃいけないのにうっかりブッ壊しちまったよ・・・・・・」


落ち込む聖、それに対してどう言葉をかければいいのかわからない康太は何の気なしに人面犬がいる場所の奥に目を向けると、数匹の人面犬がこちらへ向かってきた。


康太「ひ、聖くん!」


聖「よっしゃ、まだいた!これで星司さんにどやされずにすむ!」


そう言い聖は人面犬の群れに突っ込むと、その数を瞬く間に減らしていく。その圧倒的な戦闘力に康太はドン引きしている。
人面犬が残り一匹になると聖はそれを捕まえて、


聖「穫ったどぉーーー!」


と雄叫びをあげるも突然、


聖「・・・・あ、ヤバい。」


と言い、放り投げた。
何故?康太がそう尋ねようとした瞬間、人面犬たちの頭部が一斉に爆発した。


康太「い、いったいなにが!?」


聖「あ、言っときますけど北斗○拳とか使ってませんから。」


ふざけた調子で言い、言葉を続ける。


聖「ま、おおかた証拠隠滅ってとこでしょうよ。とりあえず出ますか、さすがに臭いんで。」


そう言い聖は康太とともに道を引き返す。
途中、一度だけ振り返り、聖は呟いた。


聖「塵は塵に、灰は灰に・・・・闇は闇に、ってか。ハッ、面白いじゃねぇか。」





―――――――――――――――





星司「・・・・・・なるほどな。」


戻ってきた聖の報告を聞く星司。
ちなみに源蔵と康太は先に帰した。


聖「人面犬の頭部が一斉に爆発したのを考えると、たぶん頭には小型の爆弾と発信機かなんかが付いてたと考えられますね。で、全部の発信機からの信号がなくなったから証拠隠滅のために遠隔操作で爆弾を爆発させたと思いますよ。」


星司「人面犬なんてもんを複数造り、そんなもんを仕込んだってなると・・・・・・」


聖「ええ、デカい企業・・・・もしくは国がやっているんでしょうね。」


それを聞き、星司は溜め息を漏らす。


星司「やれやれ、企業はいいが国は厄介だな。」


聖「国だったとしても、おそらくは『裏』の一部の人間だと思いますけどね。まあ大丈夫ですよ、俺の知り合いにうってつけの人がいるんで。」


星司「うってつけの人?」


聖「・・・・『ゼロ』って知ってます?『サクラ』『チヨダ』でもいいですよ。」


聖の言葉を聞き、星司に緊張が走る。


星司「・・・・・・マジか。てっきり都市伝説かと思っていたが、実在するとはな。」


聖「その人から以前オカルト関係の話を聞いてて、もしかするとその人が追ってる奴らと関係があるかもしれません。」


星司「そうか。じゃあ後はオマエに任せる。これ以上はかなりヤバそうだからな。」


聖「はいよー。」


聖は軽いノリで応え、帰路についた。


コメント(3)

こんばんは、らはぶです。
今回の『下水道の怪物』は『名前のない駅』とつながりのある話ですが、今回はその辺は書いておりません。次の話でつながりが明らかに!



・・・・・・書き忘れたわけじゃないよ。



それではおまけを。



―――――――――――――――


おまけ


祈「・・・・・・聖、すごい悪臭だぞ。」


聖「・・・・やっぱり?」


下水道に入っていったため、聖からとんでもない悪臭がするのは無理もないことだ。


祈「はやく風呂でその悪臭を落とした方がいいぞ。」


聖「そうだな、風呂入るか・・・・・・って、なんでついてくる?」


祈「聖の体を隅々まで洗ってキャッキャウフフな泡プレイをするために決まっているだろう!!」


聖「力説すんな!」


祈「当然洗う時は胸で、こう・・・・」


聖「なっ・・・・・・」


果たして聖は祈の誘惑に勝利することができるのか!?

軍用人面犬。
生物ならぬ妖物兵器だから、アレやコレやの条約に引っかからない、第三次世界大戦はこれできまりっ……なんて未来予想図嫌だなぁ
狙撃兵がスコープごしに拠点防衛用くねくね見てSAN値直葬したりして。


聖君がゴッドエロスなのは通常運転として、祈ちゃん……その知識とスキルはどこで習得したの?
知りたいような知りたくないような
>>はぴさん
妖物兵器・・・・ぐふぅ、今後の展開が読まれたか?

まあ「名前のない駅」でその辺匂わせといたからのう。
「名前のない駅」から続いている話も残り二話。なんとか仕上げたいと思います。というか仕上げないと他のネタにいけない・・・・・・


ちなみに祈の知識は子どもは見ちゃダメな本やDVDやゲームなどから仕入れてます。なので安心!(なにが!?)

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