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語部夜行 〜カタリベヤコウ〜コミュの懺悔22 コインロッカーウーマン

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冷たい・・・・・・

暗い・・・・

寒い・・・・・・



あの人はどこに行ったの?





―――――――――――――――





ある部屋の一室、光とともに微かに声が漏れていた。


「ええ・・・・はい・・・・・・選挙の際には何とぞ先生のお力添えを・・・・はい・・・・では。」


そう言い、男は電話を切った。
男の電話の相手は、今は現役を退いたがいまだに政界に強い影響力を持つ大物で、次の選挙の軽い打ち合わせをしていたのだ。
男は受話器を置くと時計に目を移す。これから所属する党の幹部たちと料亭で会談する予定があり、そろそろ出る時間になっていた。

家を出るとすでにリムジンが停車していたので、男はリムジンに乗り運転手に行き先を告げた。
このとき男は気付いていなかった、運転手が20代にすら至っていないほど若いことに。もっともそれは当然なのかもしれない、運転手など使い捨ての品物程度にしか思っていないのだから。





―――――――――――――――





今からおよそ30年前、ある一組の男女がいた。
男は駆け出しの貧乏弁護士で、女はそんな男を献身的に支えていた。
貧しさ故に結婚はしていなかったが、生活に余裕ができたら結婚しようと約束をしていた。

だがその約束がかなうことはなかった。

ある日、男の恩師である弁護士から電話がかかってきた。ある大物政治家の親族との縁談の電話である。

男は悩んだ。
大物政治家の親族と結婚すれば将来は安泰だ、しかし今交際している女はどうする?
別れてくれるだろうか?いや、結婚を約束しているから無理だろう。
だが今の生活から抜け出し、更には高い地位へ登りつめるチャンスだ。この縁談を断るわけにはいかない。

悩んだ男は最終的に、
















交際している女を殺した。















寝ている時に心臓に一刺し、それで女の人生は終わった。
男は女の遺体を分割し、深夜にゴミ処理場に忍びこんで廃棄されていたコインロッカーの中に捨てた。

その後、男は大物政治家の親族と結婚し、議員秘書をへて地方議員、そして国会議員となった。





―――――――――――――――





「・・・・・・ん、ついたか?」


リムジンの停止により男は目を覚ます。
リムジンに乗った途端に強烈な睡魔に襲われた男は、いつの間にか眠ってしまっていたことに気付いた。
料亭についたのか、それとも信号につかまったのか。周囲を見て確認しようとして、異変に気付いた。
周囲は街灯が一つもないかのように暗く、運転手も消えている。
いったい何事かと思いリムジンから降りて周囲を見渡すと、遠くに何かがうっすらと見える。
男はその方向に向かって歩を進める。程なくして、それが何なのか見えてきた。
男が向かった先には古いコインロッカー、そしてその上に運転手の服装をした聖が座っていた。


聖「ハロー、人殺し。」


聖のいきなりの暴言に男は腹を立てる。


「貴様、いきなりなんだ!私を誰だと思っている!」


怒声を浴びせる男。だが聖の言葉が男の怒りを奪い、動揺を与えた。


聖「よーく知ってるよ。地位やら名誉やらに目が眩んで将来を約束した相手をブッ殺したクズだろ。」


「な、何を言っているんだ、バカバカしい!」


男は動揺を隠すために虚勢をはるが、聖の次の言葉により男には恐怖が与えられた。


聖「聞いてんだよ、テメェが殺した人からな。」


「な、なにを・・・・言って・・・・・・」


聖「さて、久しぶりに感動のご対面といこうか。」


そう言い聖がコインロッカーを軽くポンポンと叩くと、一カ所だけ扉が開いた。
そこは男が殺した女の頭部を入れた場所だった。
開かれた闇の中から二つの眼球が男を見つけた。


「・・・・見・・・・・・つけ・・・・た・・・・」


女の声がした瞬間、開かれた場所から二本の腕が現れ男を掴んだ。


「や、やめろ!やめてくれ!!離せぇぇぇぇえ!」


「やっ・・・・と、・・・・・・一緒・・・・に・・・・・・なれ・・・・・・た・・・・」


女の腕はコインロッカーの中の闇に男を引きずり込んだ。


聖「さて、それじゃお二人さん、末永くお幸せに。」


そう言い、聖はコインロッカーに鍵をかけて去っていった。

コメント(3)

どうも、らはぶです。都市伝説のコインロッカーベイビーは母親が子供をコインロッカーに捨てたことから発生した話で、それを男女のもつれにしてみたらこんなのができました。
そして今回の聖は黒いです。





あと「聖無免許なのになんでリムジン運転してんの?」というツッコミはスルーさせてもらいます。
結婚の約束した相手を殺して隠して時効まで逃げ切ってたという事は、悪い意味で才能あったんだなぁと思われ。
恨んでる人相当いるだろうに、コインロッカーの中に独り占めできたんだから、彼女はある意味運が良かったのだなぁとも思われ。


脱ぎ魔(偏見)の聖君が、運転手の制服着こんで制帽被って白手袋してるとかおいしゲフンゲフン新鮮でした。
> はぴさん
地位的に偉い人ってのは大なり小なり才能があるんですよ、悪事をしても捕まらないという才能が。
と、偉くもなんともない人間が言ってみたり。


それにしても聖が脱ぎ魔だなんて、なんて偏見!
・・・・偏見?
・・・・・・偏見か?



・・・・・・・・・・ちょくちょく脱いでるな。「まっぱだカーニバル」だの「やらないか」だのと。

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