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語部夜行 〜カタリベヤコウ〜コミュの懺悔1 カルテ

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夜子「さあ、今宵は誰から話す?」
 
 
人である者、人ならざるモノ。それらが集い怪奇なる話をつむぐ場所、語部館。
白夜子はいつもの応接間、いつもの面子に尋ねた。その言葉に語り部たちは互いに顔を見合わせ、誰から話すかを決めようとしている。
 
その時、突然応接間の扉がド派手な音とともに開かれた。
 
視線をそちらに向ける一同。
視線の先にいたのは一人の男だった。若く幼さの残る顔立ち。年齢は神威彪や幽寺霊侍と同じくらいだろうか。
その格好はとても特徴的で、長い神父服を着て右手には鉄パイプを持っていた。
 
 
一誠「・・・・何故神父服で鉄パイプ?」
 
 
無意識に出た一言。神宮寺一誠の疑問はもっともである。
皆が疑問の表情で固まっていると、少年が口を開いた。
 
 
「うーっす。誰か懺悔する人いない?」
 
 
・・・・・・ツッコミ所が満載すぎて、もはやどこからつっこめばいいのかわからない。葦谷湊に至っては食べようとしたバナナを口にくわえた状態で固まっている。
 
 
黒崎「ようこそ語部館へ。はじめまして、黒崎です。」
 
 
全員が完全に停止しているなか、黒崎が少年に話しかける。
 
 
聖「あ、どうも。神田 聖(かんだ ひじり)です。主に霊とか、そういった類の存在の懺悔聞いてってます。まあ、生きてる人間の懺悔も聞くけど。つーわけで早速ですけどなんか懺悔ない?」
 
 
黒崎「いえ、特には。」
 
 
聖「そりゃ残念。つーか・・・・・・」
 
 
聖は言葉を止めて周囲を見回した。
 
 
聖「何の集まり?そしてここはどこ?」
 
 
圭一「知らずに来たの!?」
 
 
ずっこけながらも三堂圭一がつっこむ。
 
 
黒崎「ここはですね・・・・・・」
 
 
黒崎が語部館について、そしてこれから怪奇話をしようとしていたことを話す。
 
 
聖「あー・・・・じゃあ邪魔しちゃったわけか・・・・」
 
 
こりゃうっかりだ、といった表情で反省していると、魎国美珠が話しかけてきた。
 
 
美珠「ねぇ、聖さんは何か恐い話知らない?」
 
 
トミノ「邪魔をしたんですから話をしてもらいたいですね、イヒヒ。」
 
 
トミノが不気味な笑い声をあげながら美珠に続く。
 
 
聖「ないわけじゃないけど、面白くないぞ?」
 
 
聖はそう言い、記憶の中から怪奇話を引っ張ってくる。
 
 
聖「これは前に教会に懺悔に来た人の話なんだが・・・・・・・・」
 
 
 
 
 
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ある昼下がり。教会に一人の男性が訪ねてきた。その顔は真っ青になっている。
 
 
「神父様、相談したいことが・・・・」
 
 
誠「はい。どうぞ、こちらに。」
 
 
聖の育ての親である早坂 誠(はやさか まこと)神父は一目で男性の異常を察し、懺悔室へ案内する。
 
 
誠「それで、ご相談とは?」
 
 
「・・・・・・先週仲間と三人で、とある廃病院に行ったんです。そこは『出る』って噂で、本当に出るのか試してみようってなって・・・・・・」
 
 
そこまで言うと男性は言葉を止め、ガクガクと震え出した。
 
 
誠「落ち着いてください。そこで何かあったのですか?」
 
 
「・・・・・・入ってみたんですけど、ただの廃病院って感じで特に変わったところはなかったんですよ。」
 
 
誠の言葉で落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりとだが話を再開した。
 
 
「そのまま中を見て回っていて、診察室に行きました。そしたらそこに三枚の白紙のカルテがあったんです。何かと思って手に取ったとき、突然物音がし出しました・・・・それは少しずつ近づいてきて、恐くなった俺たちは逃げたんです。その三枚の白紙のカルテを持ったまま・・・・・・」
 
 
男性はそこで一旦言葉を止めた。まるでこの先の出来事を話すのを拒むかのように。
 
 
「・・・・その廃病院から出たあとにカルテを持ってきてしまったことに気付いたんですけど、とても戻しにいく気にはなれなくて、そのまま持って帰りました。その日は何事もなく終わりました。でも、次の日・・・・・・」
 
 
男性の言葉に再び恐怖が宿りだす。
 
 
「・・・・・・カルテに一緒に行った仲間の一人の名前が書かれていたんです、前の日は白紙だったのに!そしたらその次の日にソイツは消えて、一昨日はもう一人も消えて!警察に行っても相手にされなくて!」
 
 
男性は恐怖で今にも狂いそうだ。
 
 
誠「・・・・そのカルテは今、どこにありますか?」
 
 
「・・・・・・はい・・・・ここに・・・・・・・・!」
 
 
男性は持っていた鞄からカルテを取り出そうとしたが、その手が止まった。
 
 
「・・・・ウソだ・・・・・・ウソだ・・・・ウソだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
 
懺悔室に響く男性の悲鳴と椅子が倒れる音。
白紙のカルテには男性の名前が書かれていた。
 
 
 
 
 
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聖「・・・・つーのがありました、終了。」
 
 
彪「ちょっ、そこで終わり!?」
 
 
湊「その後どうなったの!?」
 
 
打ち切り的な終わり方に、彪と湊がつっこむ。
 
 
聖「その後のはあんま面白くないですよ。」
 
 
霊侍「しかしそれで終わりというのはどうかと・・・・」
 
 
聖「・・・・・・しゃーない。」
 
 
聖は一度ため息をつき、話を続けた。
 
 
 
 
 
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話が終わり、懺悔室から誠と男性が出てきた。
 
 
誠「では聖、私はこれから・・・・」
 
 
聖「俺が行きます。」
 
 
聖の言葉が誠の言葉を遮る。
 
 
誠「いえ、しかし・・・・」
 
 
聖「早坂さんじゃヤバいのは無理だから。戦場でピクニックやるのより危険だから。」
 
 
誠「ですが・・・・」
 
 
聖「いやもう、頼むから行かないでください。つーかこの前ドえらい目にあったの忘れたんですか?」
 
 
その後、なんとか誠の説得に成功した聖は、鉄パイプ片手に男性と一緒に廃病院へ向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
聖「・・・・なるほどね。」
 
 
廃病院へとたどり着いた聖は呟く。廃病院に漂う淀んだ空気、確かにここは『出る』ようだ。しかもかなり悪いのが。
男性の案内で聖は診察室にたどり着く。
ゆっくりと錆びた音をたてて開く診察室の扉。埃にまみれた診察室には、なんと医者がいた。
いや、『医者』というのは正確な表現ではない。いたのは医者の霊だった。
 
 
「お待ちしておりましたよ。さあ、カルテをこちらに。」
 
 
医者の霊は男性に微笑みかける。男性はその微笑みに底知れぬ恐怖を感じた。
 
 
「あ、あの二人はどこに行った!?」
 
 
「彼らですか?彼らなら・・・・・・」
 
 
聖「バラバラに切り刻んだ、だろ?」
 
 
医者の霊の言葉の続きを聖が言う。聖は見た瞬間に、この医者の霊が悪霊であることを見抜いた。
 
 
「失礼ですね。もしかしたら悪い部分があるかもしれない、そう思い私は彼らの体を隅々まで調べたのですよ。まあ、調べる過程でバラバラに切り刻みましたが。」
 
 
聖「悪い部分がないか調べるだぁ?嘘つけ、キサマは人を切り刻むのが好きなだけだろ。」
 
 
聖の指摘に医者の霊は口角をつり上げて答える。
 
 
「ふふ、確かに好きですよ。体にメスを入れる感触、痛みでもれる悲鳴、流れ出る血、どれも最高じゃないですか!は、ははは・・・・ヒャーッハッハッハッハッハァ!」
 
 
狂った笑い声をあげる医者の霊。聖はそれを心底つまらないモノを見るかのような目で見ていた。
 
 
聖「くっだらねぇ。オマケにキサマらみたいなのは同じようなことばっか言いやがる。ま、なんにせよ・・・・」
 
 
一旦言葉を止めると、聖は下品な笑いをしている医者の霊の顔面に鉄パイプによる一撃を叩き込んだ。
 
 
「があぁぁぁ!」
 
 
痛みでのたうちまわる医者の霊に対し、聖は言い放つ。
 
 
聖「キサマの懺悔は聞かねぇ、冥府に堕ちな。」
 
 
聖は医者の霊を強引に起こすと、顔面に頭突きを放ち、腹部に膝蹴りを入れる。
膝蹴りにより前のめりに倒れそうになる医者の霊。聖はさらに踵落としを後頭部に叩き込んだ。
地面に叩きつけられる医者の霊。
強烈な痛みの中、医者の霊は悟った。この男は今まで切り刻んできた奴らとは違う、この男を相手にしたら殺される、と。
 
 
「ひ、ひぃぃぃ!」
 
 
必死で逃げようとする医者の霊。その時、どこからともなく一匹の蠅が現れ、医者の霊の周りを飛び始めた。
すると蠅が飛び回っている場所に闇が発生した。不自然に、飛び回っている場所にだけ。
そして次の瞬間、闇の中から無数の黒い腕が現れて医者の霊を掴んだ。そして闇の中へ引きずりこもうとしている。
 
 
「な、なんだこの腕は!?」
 
 
聖「わからないか?キサマが切り刻んだ人たちの腕だろ。」
 
 
黒い腕は死者の腕。ならばそれが出てきた闇は・・・・
 
 
聖「その先は冥府、死者の行く場所だ。」
 
 
「や、やめろ!離せ!た、頼む、助けてくれ!懺悔でも何でもする!だから・・・・・・助けてくれぇぇぇ!」
 
 
悲鳴とともに闇に沈んだ医者の霊。それを見届け、蠅も闇の中に入っていく。
蠅が闇の中に入ると闇は消え、普通の空間に戻った。
聖は男性のカルテを破きながら呟く。
 
 
聖「先に言ったろ?キサマの懺悔は聞かねぇ、って。」
 
 
 
 
 
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聖の話が終わると、辺りは沈黙に包まれた。
 
 
湊「・・・・・・殺人医師、ねぇ・・・・」
 
 
一誠「そして冥府へ誘う蠅・・・・さながら『蠅の王』の使いと言ったところかな。」
 
 
湊が沈黙を破り、神宮寺がそれに続く。そして・・・・
 
 
圭一「それ以上に幽霊を殴り飛ばすってのが凄いような・・・・」
 
 
一同「確かに。」
 
 
全員の声が見事にハモった。

コメント(7)

初投下、そして長すぎました。あと語り部キャラ全員を喋らせようと頑張ったために雑談部分が多いです。そのため後半駆け足気味に・・・・・・
いや、書く前は4000文字オーバーになるとは思っていなかったんですが・・・・
皆さんの語り部キャラ、ちょい役ですが使わせていただきました。イメージと違ってたらすいません。ゆちさんの語り部キャラがいないのは、ここでのゆちさんの作品がないため、勝手に先に書いてしまうのはどうかと思ったからです。
今回は力技での解決でしたが、次は違う解決の仕方をしようと思ってます。
 
最後にですが、読んでいただいた方々に感謝です。
> キート⇔ゼトワールさん
はじめましてのこんばんは、そして読んでいただきありがとうございます。
他の人の語り部キャラに負けないように頑張りました。ちなみに聖は六人目です。つまり考えてたキャラが五人ボツに!
 
よければ次回も読んでください。
長ラン(違)に鉄パイプ……なんか凄いのキター!
超自然的な存在に殴る蹴るどつくのバイオレンスっぷりが素敵です。

盗んだバイクで走ったり校舎の窓ガラス割ったり、暴走族の霊に『ドコ中だオメー?』とか言われないかちょっと心配です。
> はぴさん
読んでいただきありがとうございます。
聖が幽霊を殴るのは、らはぶの『幽霊が人間に干渉できるなら、人間だって幽霊に干渉できるはず』という理屈からきています。
 
ちなみに聖が暴走族の霊に『ナニ中だテメー』と言われたら、きっと『うぜぇ』と言って鉄パイプでぶん殴ります。なんてバイオレンス!
読ませていただきました!
そして語部の専用ブックマークページの編集今してきました!
遅くなってすいません。

幽霊を蹴る神父さん!
・・・また特徴的なキャラが増えて嬉しい限りです。
しかし濃いなぁ語部メンツ!
次回も楽しみにしております。

> 司狼雪月さん
読んでいただきありがとうございます。
 
他の語部キャラに負けないようにしたらこんなキャラになってしまいました。けど聖に至るまでにボツになった五人のうち、三人は聖以上にぶっ飛んでいるキャラです・・・・・・

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