あさのますみコミュのあらすじ・受賞の言葉・選評

ちいさなボタン、プッチ」あさの　ますみ（東京都）
ストーリー：
　「プッチはお花のかたちのちいさなボタン。まあるい花びらが五まいに、糸をとおす穴がふたつ。色はほんのりももいろです。『ねえねえぼくたち、これから何になるのかな』ボタ
ン屋さんのひきだしの中、今日もボタンたちは、ひそひそおしゃべりに花をさかせます…。」引き出しのむこうに出られる日を心待ちにしていたプッチは、かわいいエリちゃんの、すてきなスカートのボタンになります。プッチとエリちゃんはいつも一緒。楽しい毎日を過ごすうちに春がきて夏がきて…。スカートはとうとう、エリちゃんにはきゅうくつに！

受賞のことば
　子供の時代から今まで、好みや価値観や、私自身の姿かたちは様々に変化してきましたが、「本が好き」という気持ちだけは、一度も揺らいだことはありませんでした。あの頃、文章も絵もすっかり暗記してしまうほど、繰り返し読んだ絵本たちは、私にとって今も、何物にも変えがたいとても特別な存在です。そんな、読者の一生の親友になれるような作品を、これから私も、生み出していけたらと思います。このたびは素晴らしい賞をありがとうございました

○審査員選評
・角野栄子先生
ボタンという着眼点がよく、バランスの取れた読みやすい作品。
ただ、最後にぷっちが生まれ変わるまでの間を、
もう少していねいに描いてほしかった。

・寮美千子先生
ボタンと子どもの描写がとてもあたたかく、愛があふれるすばらしい物語。
読み聞かせにぴったりの旋律で、日常感やワクワク感も上手に表現できている。

・有賀忍先生
愛らしい作品で交換を持ったが、話が少し平板。
ボタン屋で一緒だった他のボタンとの再会エピソードがあれば、
より感動する作品になっただろう。

・新井良二先生
全体としてはとてもかわいらしい話になっている。
絵との呼吸もきちんと考えながら描いているのだろうが、
まだまだ余分なところがあると思う。

・編集部
とてもよくまとまっていて、好感の持てる「おひさま」向きの作品。
もう少しここを描いてほしかったと思うところも多く見受けられた。
ボタン屋さんで一緒だったボタンたちの話など、
これからいろいろは話がふくらんでいきそうで楽しみ。