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新書レビューを100冊作ろうコミュの新書紹介トピック

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コメント(10)

自白の心理学 (岩波新書 浜田寿美男)

『捜査記録には「さしもの袴田も、おえつしながら」自供したと記されているのだが、はたしてそれは真犯人の自白であったのだろうか。』p162より

タイトル…極めてオーソドックス

構成…具体的事例のあいだに心理学的見地から被疑者の言動のメカニズム、取り調べ官の行動などを解説

 法心理学の入門書にという動機で選んだのだが、教科書というよりは知的好奇心を満たす読み物という色が強かったように思う。
 第一〜三章の心理学の知識は非常に興味深いものがあったが、後半は単に過去の事件を順を追って説明しているだけで、心理学という形をとらずとも良かったのではないかと思う。
 p101の「いまの苦痛と遠いさきの悲劇」は、まさしく虚偽の自白をしてしまう被疑者の心情を明確に論述している。

満足度は3
国家の品格 (新潮新書 藤原正彦)

『日本人一人一人が美しい情緒と形を身につけ、品格ある国家を保つことは、日本人として生まれた真の意味であり、人類への責務と思うのです。』p191より

タイトル…国家ではなく日本としたほうがより明確なのでは?

構成…前半にて近代合理主義批判、民主主義批判、論理主義批判など。 後半にてそれらに変わるものとして「武士道」を挙げ
さらにその精神を担い手として日本人という民族を賛美。 まとめに日本という視野に限らず「品格ある国家像」を論じている

 私が抱いていた、民主主義に対する疑惑を見事に言い表してもらったことに感謝したい。とくに「第二次大戦は帝国主義対民主主義でなく民主主義対民主主義」というくだりは、私にパラダイムシフトをもたらした。戦後の歴史教育への痛烈な批判と取ることも可能である。
 さらに日本人が持つ(持っていた)美的情緒と武士道についても言及し、日本人に誇りを与えるには十分すぎる内容といっても過言ではない。
 しかし、その美的情緒が他者を思いやることに結びつくまでは良いが、戦争がなくなる、というくだりは荒唐無稽であるという感は否めない。さらに美しい風土と天才発生の原理の結びつきが論的根拠に欠ける。
 この本を読み終わってすべきことは、日本人という立場に優越感を抱くことではなく、武士道を単なるお題目にせぬよう
「実力」をつけるために努力することである。

満足度3
新書365冊 (朝日新書 宮崎哲也)

『数年に一回くらいの確率で、真に本質的なことだけが説かれている書物に出会う。そういう仕事に触れるために、私は本を読み続けているといっても過言ではない。』
p195より

タイトル…365というネーミングが、知識人として読む=生活、というニュアンスをかもしている。
構成…教養・政治・法・科学など多彩なジャンルにBest,Better,More,と新書がランク付けされ、ミヤテツここにありといった小気味の良い書評が添えられている 巻末にはWorstと称された新書も紹介 新書のこれからについてのコラムも収録

 読書する際に何を読んでいいかわからず、なにか足がかりとなるようなものはないかと手にとったのがこの一冊、
 、この本から芋づる式に本を選ぶことができるのは非常にオイシイ
 やや時代遅れになっている新書も紹介されているものの、自身を近代的ナショナリストと称する彼の教養と皮肉に富んだ書評は思わず静かな笑いがこぼれる。
 
 この本はコラム以外は、あくまで書評であるのでこの本の価値を上げるにはやはり紹介されている本を読むしかないのであろう。というわけで星は二つ

満足度2
現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来
(岩波新書 見田 宗介)
『GNPが低いから貧困であるのではない。GNPを必要とするシステムの内に投げ込まれてしまった上で、GNPが低いから貧困なのである。』p107より

 タイトル…現代社会という冠ではなくサブタイトルの情報化・消費化社会をメインに持ってきたほうが普遍性が保たれるのではないだろうか
 構成…一章にて根幹となる消費と情報化に言及、以下影響として環境、貧困とつづき、自由と消費の新たな展開へと言及してゆく

 かなり、骨太の内容であった。
 序章のアメリカ式自由経済が第二次大戦以前にすでに破綻をきたす兆候を見せていたというのは全く納得できる。
 しかし、資源の限界というシステムの欠陥が公害という要素と密接につながっているという根拠が薄い。
 第三章南の貧困/北の貧困は一読に値する、特に「人口問題の構造」は私に新たな視点を与えてくれた。
 発行された時期を考えると、中国に言及していないのも仕方ないとも思えるが、そこを除けば堂々と基本書という冠をかぶる資格がある、と私は思う。

満足度4
バカの壁 (新潮新書 養老孟子)

『一元論にはまれば、強固な壁の中に住むことになります。それは一見、楽なことです。』p204より

タイトル…一元論という単語をタイトルに持ってきても良いように思うが、啓蒙を目的とした新書ではインパクト大!

構成…蓋然性と現代社会のパラドックス、さらに一元論の矛盾を指摘

 蓋然性についてこれほどに理解しやすく書かれた書物があっただろうか、さらに個性という思想と万物流転への氏の鋭い指摘は、現代社会に一筋の啓蒙の鉄槌を振り落としたと私は認識した。p54の「自己の情報化」は現代人必読の名文である。
 しかし話が共同体というテーマになるとワークシェアリングという概念が現れる。そこにも目からウロコの考えが数多く載っているのだが、藤原正彦の言うところのエリート思想がそこにはあるような気がしてならない。
 私の不勉強のせいではあるものの、国家の品格におけるエリート思想には根拠が薄いような気がしたが、氏の文章からもこれといった確証を得ることができなかった。もっともこの本は政治の話としてワークシェアリングをもちだしたのではないので仕方のないことかもしれないが。

満足度4
死の壁 (新潮新書 養老孟司)

『人生のあらゆる行為は取り返しがつかない。
 そのことを死くらい歴然と示しているものはないのです。』p188より

 タイトル…前作を引き継ぐスタンスを取るならば妥当であろう。が内容と多少ずれている感はある。
 構成…死の定義(一元論批判を含む)を述べた後、死と共同体の関係に言及

 本作はバカの壁の中に書かれるべきであったのではないかと思う。よってこれはバカの壁の一元論批判の中に示される、死についての話と捉えるべきである。
 第六章の「脳死と村八分」は特に鋭い分析が披露されている。一読に値する。
 しかし、私はこの本の第八章エリート論の中で「解剖教室の花」で天啓を得た。
私のエリート像がやっと固まることが出来たのだ。
 エリートとは「後ろめたさ」である。
 この答えを得ることが出来たことは非常に大きい、よって満足度は4としておきたい。
超バカの壁 (新潮新書 養老孟司)

『それは、自分がどうだなどと無駄なことを考える暇があったら、他のことでも考えろということです。』p47より

 タイトル…ここまで来ると安直なような気がするが、確かにバカの壁の向こう側である。
 構成…様々な社会問題(若者・子供・戦争責任・・・)について、養老節で論じていく

 全編養老節が炸裂である!
 もはやここまで来ると、一種のショーのようにも感じる。そこには教授としての養老氏ではなく、ひとりの物知りの爺さんとしての養老氏がいる。
 しかし、いずれも答えを提示するのではない、ただ冒頭で書かれている通り考え方を示すだけなのだ。そこがバカの壁から連綿と続く一元論批判であり、「バカの壁」というブランドを用いる所以でもあろう。
 
 こんな先生が身近にいてくれれば楽しいだろうなと、読み終えてふと感じた。
美しい国へ (文藝新書 安倍晋三)

『ひるがえって日本の戦後はどうだったろうか。安全保障を他国にまかせ、経済を優先させることで、わたしたちは物質的には確かに大きなものを得た。だが精神的には失ったものも、大きかったのではないか。』p128より

 タイトル…格調高く、将来を感じる。

 構成…著者の視点から安保や自民党を解説し、社会問題となっている、ナショナリズム、教育、少子化などへ言及、いずれも彼なりの解決策や打開策がマニュフェストのように述べられている。

 この内容を実現することが出来るとするならば、おそらくは美しい国になることができるだろう。第四章の「日米同盟の構図」は今まで、アメリカに批判的な書物ばかり読んでいたわたしにはいい刺激となった。さらに第二章にて言及される「自立する国家」はまさに今後の日本を考える上で、考慮を避けることのできない思想、政治上の問題であると思う。参政権を持つものは一読の価値がある文章である。
 しかし、理想というものは本来高いものだ、低い理想は理想とは言わない、それはただの独り言だ。著者はここに書かれていることをどれだけ実行に移すことができるだろうか。
 実行という観点から見ると、この本は安倍氏の壮大なマニュフェストと捉えることは飛躍しすぎということはないだろう。しかし、例えどんな政策にも表と裏がある、そしてこの本では表の部分しかクローズアップされていないように思えた。
 さらに、第四章の自衛隊の海外派遣について、お金の援助だけでは世界から尊敬されないと述べられているが、個人的にこの記述は誤りだろう。
 血税という言葉の重みをお金の援助の批判をしている方々はわかっているのだろうか?彼らに日本の過労死者数を教えれば黙りこくるのではなかろうか。
 今後著者にはそのことを認識するとともにそれを世界に向けて発信していただきたい

満足度3
上品な人、下品な人
『上品とは自分の欲を抑えることである。』p219より

 タイトル…この本の文章の構成自体が上品な例と下品な例の対比構造をとっている。
 
 構成…場面によってそれぞれ上品と下品の例を挙げて説明

 これは単なるハウツー本である。吸収すべきはあくまでカタのみであり、それを学び終えれば後は用はない、著者の哲学は吸収する必要はない。
 確かに本の構成や文章字体は洗練された美しいものとなっている。しかし、文章は半分を過ぎると慇懃無礼な印象に変化してくるとともに、いくつか疑問点の残る記述もある。
 たとえば男尊女卑は下品と評しておきながら、レディーファーストを奨励するなど矛盾としか言いようがない。男尊女卑を解消するにはレディーファーストそれ自体も男女という理由だけで順序をつける行為だと自覚せねばなるまい。
 さらに、安物ずくめは下品という評しているが、倹約はいけないことだろうか?文章ではパーティーのご馳走すらケチっているという記述だがその点は私も下品といわざるを得ない。しかし、「格を維持するために格好をつけた振る舞いもしなくては・・・品の良い上司であるかどうかの判断基準の一つである。」など、あきらかに下品な批評が紹介されている。

 著者の経歴を見ると、虚勢を張り続ける仕事をしてきたのだろうかと、かんぐりたくもなる。
 彼には、「汝玉をもって宝とす、我貪らざるをもって宝とす。」という格言を改めて送りたい。ビジネスという舞台でしか『品』を語れないというのはいささか浅はかというものだと知って欲しい。
 あとがきにて周囲への感謝の念について言及している点がせめてもの救いか?

満足度2
憲法九条を世界遺産に (集英社新書 太田光 中沢新一)

『ただただ平和憲法を護れと言っている人たちは、日本がなかなか賢いサンチョ・パンサと一緒に歩んできたのだという事実を忘れてはいけないと思います。』p83より

 タイトル…芸人ならではの感性。

 構成…大学教授の中沢新一と漫才師の太田光が平和憲法を題材に対談形式で話を進めていく

 がっかりだ。
 もっと、太田光のハジけた言論に触れることができると思っていたのに、中沢氏の発言にはいはいとうなずいているだけ、時々発言しても論理的でなければ、知識の裏づけがあるわけでもなく、ただただ感性で述べているだけ。中沢氏もなぜここまで太田光氏を持ち上げるのか?と疑いたくなるほど太田光氏を必要以上にヨイショしている感がある。

 一元論批判から二元論へと展開していき、内側に矛盾を抱えた平和憲法こそ人間にふさわしい。実態とかけ離れたルールが存在していても良い。などといった、言論が展開されているが、どれも中沢氏がいちいち理屈を付けているためやっと体をなしている。
 結局 護憲派にありがちな「綺麗だから」憲法を護りましょうということか?

 勝谷誠彦氏が批判するように、「憲法九条を神棚にのせ パンパンと手を打っていれば世界は平和になる」とでも考えているのだろうか?

 護憲派の気骨ある文章を読みたいと思った。
満足度1

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