中島みゆき・夜会への招待状コミュの紅白のみゆきさん

第６５回ＮＨＫ紅白歌合戦の出場歌手で最後から二番目に「中島みゆき」が登場した、
うれしそうなエリー、朗々と語り聞かせるように「麦の歌」を歌い始めた、エリーの横顔が挿入される。

そうだ、この曲はエリー本人、たった一人のために歌っているのだと強く感じた。

いわゆる演歌歌手とロック歌手の違いは歌い聞かせる対象にある。
ロック歌手は聴衆全員に「乗ってるかぁーい！」と呼びかけてすべての観客と一体化を目指すのに対して、日本の演歌歌手は観客の一人一人に訴えるようにしみじみと歌う。
ある大物演歌歌手（島倉千代子？）の談話を思い出した。
・・・その日の公演で、私はお客さんの前に立って一人一人を見回した時に決めるのよ、今日はあそこに座っているあの一人のお客さんのために歌おう、ってね・・・

紅白のみゆきは、エリー一人のために心を込めて歌ったに違いない。しかも感動が万人の胸を打った。

日本語もわからない米国の舞台俳優が、はるばる日本へやってきて悪戦苦闘しながら連続テレビドラマの主演を務める苦労は並大抵のことではない。深夜まで英語と日本語に混じった脚本を読んでは覚え、日本語の意味を考え、発音を練習し、演技動作を繰り返し繰り返してようやく翌日の撮影に臨む、
収録が無事に終わればすぐに又、翌日の練習が始まる。来る日も来る日も追われ、追われる毎日、緊張の連続、ママが恋しくてホームシックにおちいり泣きたい夜もあるだろう。投げ出したい衝動も起こるはず。
でもねエリー、一人じゃないのだよ、スコットランドからやってきた主人公も文化が違う異国の地で同じような辛い日々があったはず。はげましてくれる人間はどの世界にもちゃーんといるもんね。だからね、エリー、一人じゃないんだよ、私たちはみんな助け合って少しずつ前に進むんだよ。

こんなメッセージをしっかりと受け止めて、曲の途中でエリーの表情は次第に涙顔になってしまった。

さすが俳優である、最後にみゆきが近づき並んでポーズをとる時にはすっかり晴れやかな笑顔に戻っているではないか。そして二人の会話が聞こえてくるようだった。

エリーさん、いいえシャーロット、あなたの応援歌を歌ったのよ、
そうね、心に伝わったわ、元気になった、うれしい、ありがとう

http://birthofblues.livedoor.biz/archives/51567744.html