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アルバーティスパイソンコミュのアルバーティス分類

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 我らがアルバーティスパイソンって、現在属名はLeipythonが大多数の意見として採用されていますが、未だにLiasis属に含めたがる人や、オーストラリアのちょっとメチャクチャするHoserなんかは矢鱈と亜種を増産したりしていたり、分類学的に良く分らない点が多いヘビですよね。

 現在ではLeiopythonは一属一種ですが、他のどの属と系統的に近い関係があるかは形態形質や遺伝的形質によってマチマチで、例えば形態形質に着目すると、Underwood(1990)ではリングパイソンBothrochilus boaとヒメニシキヘビAntaresia属と姉妹群を形成し、Kluge(1993)などでは単系統としてLiasis,Morelia,Pythonkクレードの外側にくっついてました。

 そして、Lawson(2004)が作成したミトコンドリアDNAを指標とした系統樹では、アルバーティスはモレリアやアンタレシアと姉妹群を作ってました。

 はっきりいってどうなっているのかようわからん、ってのが実情でしたが、去年の5月にパイソン全体の系統関係をシステマティックに扱った論文が発表されたので紹介します。

 論文タイトルは「Python phylogenetics:inference from morphology and mitochondorial DNA」で、Google Scholarなんかでも普通にPDFでダウンロードできるので興味があったら原本で一読下さい。

 さて、論文では系統解析をミトコンドリアDNAというミトコンドリア独自の遺伝子を用いて解析を行なっています。このミトコンドリアDNAというのは母系遺伝(片親からのみ受け継がれるもの)をし、個体の適応度とほとんど関係の無い塩基置換をしますので、生物の系統推定には持って来いの材料です。そして、その中身はミトコンドリアの多くの機能や形質をつかさどる遺伝子の領域で構成され、進化速度はそれぞれの領域によってかなり異なってきます。

 つまり領域を選択する事によって知りたいスケールの系統関係(種間だとか属間だとか)を解析する事ができます。論文中では4つの領域を用いており、それぞれミトコンドリアDNAの中でも進化速度が最も速い領域と遅いを用いているのが特徴です(最もヘビのミトコンドリアDNAで最も変異性の高い領域と推測されているのはND4なのですが、本論分ではD-loopやcytb領域をあげています)。

 そして、系統樹を構築する方法にもイロイロあるのですが、ここでは最節約法とベイズ法という2通りの手法を採用しています。ベイズ法の方は信頼値の評価がシビアな分、その値が高いとかなり信頼できる系統樹を構築できているといえます。

 さて、その2通りの系統樹の結果ですが、アルバーティスパイソンに関してはこれがどちらも同じ結果で、リングパイソンと姉妹群を形成しておりました。僕も全く想像していなかったのですが、形態形質と遺伝的形質が類似しているのは実はモレリアなんかじゃなくリングパイソンだったのですね。実際僕は生のリングパイソンを見たことが無いんですが、じかに接してみると共通する点がいくつか見て取れるのかもしれません。

 そいうえば、以前ここの書き込みで、アルバーティスの幼蛇にバンド状の模様があるという書き込みがあったかと思いますが、この両者が近縁ならリングパイソンも幼蛇の頃はしっかりとしたバンドがありますから、幼蛇の頃に共通の形質を保有していると考えられます。

 最後に、著者は論文中で「この両者を分けている妥当性が無いから、アルバーティスもBothrochilusでいいじゃんYO!」と述べています。まぁしばらくアルバーティスはLeiopythonのままかと思いますが、将来的にはリングパイソンと同属になるかも知れません。

コメント(5)

専門ではないので、難しい内容ではありますけど、こういう謎解きパズルみたいなのって、何だかちょっとわくわくしますウインク

そうか…我らがアルバーティスは、リングパイソンと近いかもしれんのか…

体側の半紋状のマークについて書き込んだのは私ですが、あれから数回の脱皮を経て、現在は殆ど確認できなくなっています。本当に両者の幼体に共通する形質なら面白いですね。

ところで、基本的な疑問なのですが、ヒトのルーツをたどる場合、母系由来のミトコンドリアDNAの他に父系由来のY染色体も手がかりにされるようですが、蛇の場合、父系由来の遺伝的情報ってどうなってるんでしょうね…この場合は関係ないのかな?
 そう、分類って謎解きパズルなのですよ。細かいパーツパーツをあわせていってはじめて全体像が見えてくる。パーツをあわせる作業が地味でめんどくさいんですが。

 父系遺伝子といえば、おっしゃるとおりY染色体上にのった遺伝情報が手がかりとなりますが、系統関係を推測しようとしたら片方を辿っていくほうが、合理的でしょう。蛇の場合、雌は基本的に年に1回の産卵しかしませんが、雄はひたすら色んな雌と交尾しようと努力してますから、雌の系統を辿っていったほうが良いかと思われます。また、ウミヘビの様に海流に乗って分布を広げる様な種だと、遥か遠くの雄がたまたま流れ着いて、交尾を行なうなんてこともありますし。

 ただ、種内の系統や地域間の交雑を調べるには、「アロザイム」と呼ばれるタンパク質由来の遺伝子を使う方法なども知られています。ちょっと古い研究法なのですが、コレは核遺伝子に由来するものなので両性的ですし、直接核DNA
を扱う実験より簡易に行なえます。

 例えば、沖縄のハブの交雑個体なんかのアロザイムを見てやるとハブとサキシマハブの両方で見られる遺伝子が検出する事ができます。ミトコンドリアだと片方だけなのでママしか分りません。

 アロザイムを用いた研究法では交雑の他に、地域個体群を比べたり、隠蔽種を発見する時に役立ちます(近年この手法で新種と分ったミナミヤモリ種群など「ミナミヤモリからオキナワヤモリ、アマミヤモリなどが派生」)
検索してみて、件の論文をみつけたのですが、「全部読みたければ39ドルお出しドル袋」と言われたっぽいので(推定)、すごすご引き返してまいりました。

こういうの、邦訳された論文集とかあったら読んでみたいなー
ま、日本語で読んでみても難しいでしょうがあせあせ
あれ?
僕もさっき検索したらフリーで見られなくなってますね。リンネ学会ケチですね。

論文に興味がおありでしたら送りますよ。Pytho属やLiasis属に関しての分類にも言及してますから、小難しい解析なんかがあんまないIntroductionとDiscassionの項だけみて楽しめますよ。

日本語の論文集だと、読んでくれる人が日本人しかいなくなるので、中々そういうのは出ないでしょうね。日本人で外国のハペを研究してる人も少ないですし。

研究畑の人が一般書や趣味書にもちょくちょく書けたら(ドイツの雑誌みたく)いいんでしょうが、今それを出来ているのがカメの安川さんくらいですからね。
僕も少しは研究分野を趣味分野に繋げれたらと思ってますから、なんかまた面白い情報があれば発信します。
先日アナウンスしたアルバーティスパイソンの新たな分類ですが、文献をまとめてみたので、興味があればごらん下さい。

http://adashinoren.blog95.fc2.com/blog-entry-200.html

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