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いつか映画にしたい「野球物語」コミュの野球物語6

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○ ファイターズ2軍グラウンド

沖田、ランニングをしている
坂本NA(次の日から、彼はファイターズの2軍選手として練習が始まった。
     背番号は93番。語呂あわせでクミ。
     この背番号は彼の希望通り登録された。
     こんな大きな背番号をつけたがる選手なんかいないからだ。)

○ 札幌病院 病室

入院する久美
坂本NA(久美は、横浜中央病院の伊東医師からの紹介で
札幌の病院に入院することになった。
     沖田が成功したように、久美にも成功の時期がくるかもしれない。
     そう信じるしか二人には無かった。)
沖田がテレビを設置している
衛星放送のチューナー
沖田「これでパリーグの試合も全部見られる
   何時、一軍に行っても大丈夫だな。」
久美「行けそう?」
沖田「・・・・コントロールが左ほど良くないんだ。」
医師の吉田直行(30)と看護士の坂田美千代(40)が入ってくる
坂田「はいはいはい!沖田さん、直に着替えて検診検診!」
ちゃきちゃきとした女性
吉田「沖田さん、これから久美さんの主治医吉田です。
   横浜の伊藤先生に聞いてます。
   一緒に頑張りましょう。」
坂田「がんばんなよ!あんた私より若くて綺麗なんだから
   人生これからだよ!」
久美「よろしくおねがいします。」
坂田、ベットのシーツを取り替えている
坂田「旦那さん、ファイターズの選手なんだって?」
吉田「伊藤先生も喜んでました。」
沖田「はい、何とか間に合いました。久美をよろしくお願いします。」
坂田「あんたに活躍されちゃ困るんだよねぇ・・・」
沖田「えっ?」
坂田「昔から、ベイスターズのファンでね。」
吉田「ハハハ、ベイスターズはセリーグですよ。」
沖田「それに、僕は去年までベイスターズです。一軍は経験ないですけど」
坂田「そうか!じゃあ、応援する。ほらほら久美ちゃん行くよ」
吉田、坂田、退室する
沖田「元気なおばちゃんだ。」
久美「私は馬が合いそうよ。」

○ 2軍グラウンド
衛星放送のスタッフが撮影している
今日は、練習試合
その試合を撮影に来ているクルー達
沖田「今日投げられたら久美さんテレビで見られるな」
張り切る沖田、ブルペンに入ろうとする
コーチ「沖田ぁ!だめだめ!お前は投げるなって上からの指示。」
沖田「えっ?じゃあ、今日の練習試合、出番なしですか?」
コーチ「俺は使いたいんだけどな。
    トレーニング室に行って」
沖田「テレビに出たいんですけど・・・・」
コーチ「10年早いよ」

○ トレーニング室
トレーナーが練習メニューを持ってくる
沖田「あの、投げ込みがメニューに無いんですけど。」
トレーナー「監督からの指示だから。」
沖田、渋々トレーニングを始める

○ 久美病室

坂田に髪をとかしてもらっている久美
坂田「変な娘だねぇ・・・入院してるのに毎日お化粧したいなんて」
久美「ハハハ、病人だし元が悪いんでお化粧しないと旦那に捨てられます。」
坂田「私は旦那に化粧してるところなんか葬式か結婚式くらいしか見せないけどね。」
久美「アイタタタ・・・」
久美、お腹を押さえる
坂田「大丈夫?痛み止め打とうか?」
久美「あれ打つと頭が飛んじゃうんで・・・もう少し我慢します。
   アッちゃん、もうすぐ来るんで・・・」
坂田「我慢するんじゃないよ・・・・」
久美「もう少しですから(笑)」
坂田、やるせなさそうな表情

○ 診察室

吉田が沖田に経過を説明している。
吉田「沖田さん・・・・遠征とかあるんですよね。」
沖田「いえ、一軍じゃないんでそんなにはありません。」
吉田「一軍に上がれば出入りが激しくなるか・・・」
沖田「・・・・もうダメですか?」
吉田「相当痛いはずですよ。
   でもそんな顔全然見せない。
   あなたの奥さんは、もしかしたらあなたより強い。」
沖田「一軍の話が来たら事情を話して・・・2軍で」
吉田「(遮るように)それはダメです。
   チャンスは必ず摑んで下さい。
   今、彼女を支えてるのはあなたがマウンドに上がることだ。」
沖田「・・・・・でも。」
吉田「ハッキリ言います。
   奥さんが今生きてるのは奇跡です。
   医師から言わせてもらえれば、もう楽にしてあげたいくらいです。」
沖田「・・・・」
吉田「人間の寿命は避けられない。
   奥さんがどうやって助かるかという話はもう出来ません。
   どうやって死んでいくかです。」
沖田「僕が一軍で投げるということは・・・・安楽死と一緒ですか(笑)」
吉田「彼女にとって最高の死に方でしょう。
   恐らく・・・・苦しんで天国には行きません。」





○ 久美病室

病室に沖田が入ってくる
沖田「坂田さんに聞いた。
   ご飯を食べないんだって?」
久美「いやぁ、さすがに死にかけてるからねぇ。」
言葉とは裏腹に衰弱している久美
沖田「・・・・チョコとかアイスクリームとかでもいいぞ。
   買ってくるから。」
久美「いいから・・・側にいてよ。」
沖田、ベットに座る
久美「ご飯ちゃんと食べてる?肉ばかり食べないでよ。野菜もね」
沖田「サラダを食べてるよ。」
久美「生野菜じゃダメよ。焼いたり湯がいたりしないと。」
沖田「毎日クタクタで食欲が無い。
   でも・・・・充実してる。(笑)」
久美「よかった・・・今日テレビみたら試合に出ないからまた補欠かと思って」
沖田「監督が投げさせてくれないんだ。」
久美「補欠だぁ・・・(笑)」
沖田「秘密兵器だよぉ」
久美「はやく出番が来るといいねぇ・・・」
沖田「2軍の試合でも良い?」
久美「ダメ。一回くらい一軍で投げろ。」
沖田「・・・・そうだ。
   今日、電車で席を譲ったんだ。
   そしたらありがとうって言われた。
   えーと、これで28回目・・・・」
久美「何それ(笑)」
沖田「覚えてる?君に酷い事を言った日。」
久美「思い出しても腸が煮えくり返る(笑)」
沖田「久美さん、ありがとう3回言ってチャラにしてくれた。
   一回悪いことをすると3回ありがとうって言われなきゃいけない。
   計算すると・・・僕は今まで少なく見積もって10年悪かった
   10年って365日×10じゃない?」
クスクス笑っている久美

沖田「で、3650日の3回ありがとうで・・・10950回
僕が天国にいけるのは一万回以上ありがとうって言われないと
ダメだと思うんだよ。」
久美、笑い出してしまう
沖田「死ぬまでそんなに言われるもんかね?」
久美「私はファーストクラスで行くけど、アッちゃんは徒歩でいけるんじゃない?」
沖田「ファーストクラスで行きたいなぁ。」
久美「歩いて来い(笑)」
はしゃぐ二人

○ プロ野球開幕

ファイターズが戦っている

○ 病室

沖田と久美、一緒にテレビを見てる
久美は、寝転んだまま・・・虚ろな表情
アナウンサーの声(打ったー!九回、ファイターズ逆転されました!!
         1点を守りきれず開幕サヨナラ負け!!)
坂田「ほら、試合終わった!帰った帰った!!」
沖田「えっ?面会時間まだありますよ・・・」
坂田「一昨日、面会時間越えても帰らなかったからその分だよ。」
久美「アッちゃん、チーム負けたよ。
   秘密兵器なんでしょ?練習に行って・・・」
沖田「・・・・わかった・・・明日また来る。」
沖田、帰って行く
久美「坂田さん、すいません・・・」
坂田「すぐに痛み止め持ってくるよ。」
久美「ありがとう・・・・」

○ ファイターズの試合

アナウンサー「ファイターズ、また1点を守れず逆転負けです。」


○ 新聞の見出し

「ファイターズ、5連敗、逆転負け3試合」

○ ファイターズ試合

スコアーボード、乱打戦 8対8
ベンチの井口、厳しい表情
快音!相手チームの2塁打!
井口、ベンチを蹴っ飛ばす
× × ×
広報室の大道、天を仰ぐ
大道「このまま負けてくれたら・・・それはそれで話題になるなぁ・・・」

○ ファイターズ2軍トレーニング室

沖田、投げる瞬間のまま静止している
トレーナー「下半身が安定してきた。」
沖田「・・・・もう今日は帰ります。」
トレーナー「えっ?練習メニューまだ残ってるよ。」
沖田「・・・・・」
沖田、扉を乱暴に閉める

○ 球場外

沖田が、帰っていく
沖田を追いかける大道
大道「沖田ぁ!」
沖田「大道さん・・・どうしたんです?2軍なんかに・・・」
大道「ファンクラブ向けの取材だよ。気になる2軍選手。
   今月は沖田にしようと思ったらもう帰ったって。」
沖田「・・・・毎日トレーニングばかりで・・・疲れました」
大道「・・・・不満?」
沖田「拾ってもらったことは本当に感謝してます。
   逆に拾ってもらったのに・・・何も恩返ししてないし・・・
   それに、時間が無い・・・」
大道「・・・お前、いい奴だな。」
沖田「やめてください。」
沖田、歩き出す
沖田の背中に声をかける
大道「ベイスターズの田所さんと話したよ。
   沖田、お前が成功しないと世の中嘘だって。
   腐るなよ。チャンスは一度じゃなくて何度も来るんだから!」
背中を向けたまま、手を上げる沖田

○ 病院 夜

沖田、ユニフォームのままナースコールを隠れて横切る

○ 久美病室

そっと病室に入る沖田
久美は眠っている
沖田「(小声で)久美さん・・・久美さん・・・」
沖田、久美の顔を見ると久美、半目を開けて昏睡状態
沖田「久美さん!!」
坂田「大きな声出さない!」
いつの間にか背後にいた坂田
沖田「坂田さん!久美が!!」
吉田が入ってくる
吉田「どうした?」
沖田「先生!久美が!」
吉田「心配しないで・・・痛み止めの薬で昏睡状態になってるだけです。」
沖田「痛み止め?」
坂田「毎日、あなたが来る前にお化粧して・・・薬を飲んだら頭が飛んじゃうから・・・
   ずっと我慢してるんだよ・・・・」
沖田「・・・・ずっと?いつから?」
吉田「・・・・沖田さん、今ここでどんな大声を出しても久美さんには聞えません。
   行きましょう・・」
坂田「沖田さん・・・何とか一軍に上がれないのかい?」
沖田、病室を走り出す

吉田「プロの勝負事です。
   簡単なものじゃないですよ。」
坂田「わかってますけど・・・・」
久美の頭を撫ぜてやる坂田

○ 2軍トレーニング室
深夜
泣きながら筋トレをやっている沖田
坂本NA(成功することの条件で一番必要なものはなんだろう?
     どんなにお金があっても失敗するときがある)

○ 札幌ドーム

ファイターズ試合
スコアーボード 0対0 10回表
相手チームがホームラン!!
坂本NA(溢れるような才能があろうが、血の滲む努力をしようが
     失敗するときは失敗するのだ
     成功する事に一番必要なもの・・・・それは、タイミングだ)
帽子を深く被る井口

○ 札幌ドーム ダグアウト廊下

記者に囲まれながら歩く井口
井口の横に大道
記者「監督、これで9連敗です!」
井口「全敗するわけじゃなかろう?」
記者「辞任されることは?」
大道「その質問はやめてください!」
記者「抑えの選手がいません。
   トレードとか補強は?」
井口「いまさら、チームを立て直せるような選手がトレードで取れるかよ。
   そんな未知の生物いるわけがないだろ・・・・」
井口、立ち止まる
大道「はい!今日はここまでです!!
   ありがとうございました!!また明日!!」
記者達、解散する
井口「大道、お前に良いネタをやるよ。」
大道「10連敗したらバンジージャンプするとか?」
井口「・・・・あぁ、それもいいな。」

つづく

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