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いつか映画にしたい「野球物語」コミュの野球物語5

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○ 私鉄駅

坂本が駅を降りる
商店街を抜け、住宅街を歩く
坂本、メモを見ながら目的地を探す
坂本「さくら園・・・・あった。」

○ さくら園

施設職員岡村明子にお茶を出される坂本
坂本「恐縮です。岡村園長はこの施設長いんですか?」
岡村「40年になります。
本当にわざわざスイマセン。私達からお伺いしなくちゃいけないのに。」
坂本「いえ、そんな・・・それで、申請していただいた木村君は・・・」
岡村「もうすぐ帰ってきます。
   本当にいい子なんですよ。」
坂本「そうですか・・・楽しみだな。」
玄関のほうから「ただいま!」という声
岡村「帰ってきました。」
利発そうな少年木村カズオが居間に入ってくる。
坂本「こんにちわ」
木村「いらっしゃい」
頭を下げる
岡村「ホラ、木村君、奨学金の財団の人」
坂本「はじめまして。坂本といいます。」
木村「木村和夫です。」
再び頭を下げる
坂本「座って。」
木村、座る
坂本「書類を読んだよ。高校に行く授業料と高校は・・・あぁ、寮だね。
   その費用か。その他の生活費は?」
木村「バイトをしようと思います。」
坂本「うちの財団に申し込んだのは、岡村園長の勧めかな?」
木村「僕が自分で申し込みました。」
坂本「そう。お父さんとお母さん・・・・」
木村「父は何処にいるかわかりません。
   母は、・・・今は岡村園長です。」
坂本「・・・・嫌な言い方だけど、僕にいいところを見せようとしてる?」
木村「そうとられるなら仕方が無いですが本気でそう思っています。」
坂本「・・・・・」
木村「この施設には僕を入れて12人います。
   園長は高校に行くことを勧めてくれます。
   補助金の中からやりくりすればいいって。
   でも、そのお金があれば、他の子供たちに新しい服も買ってあげられます。」
坂本「・・・・高校に行ったら何をしたい。」
木村「もちろん勉強です。将来、医者になりたいです。
   でも、高校の間・・・・」
木村、口ごもる
坂本「どうした?」
木村「許されるなら・・・・野球部に入って甲子園を目指したいです。」


坂本「・・・・君はここを出て、一人暮らしだろ?
   生活費も稼がなきゃいけない。
   勉強とクラブ活動とバイト。
   三つも出来るわけが無いだろう?」
木村「・・・・はい。だから、野球は諦めます。」
岡村「生活費の援助は私がやります。
   この子、本当に野球が上手くて。
   いくつか私立の高校から誘いもあったんですけど
   勉強がしたいからって・・・それで坂本さんのところの財団に・・・」
坂本「木村君・・・・もう、お金のことは考えなくていい。
   うちの財団が全て面倒みます。」
木村「えっ?それじゃあ!」
坂本「甲子園を目指しなさい。勉強も頑張って。」
木村「ありがとうございます!!」
坂本「僕に言うことじゃない。
   では、手続きは後ほどするとして・・・木村君に少し頼みがあるんだけど」

坂本NA(もう、何人このような子供たちに接してきただろう
     彼らにとって、奇跡のような出来事
     共通していえる事は、彼らは、ただ奇跡を待ち続けたわけではない
     決して運命を呪うことなく歩き続け挑戦してきたからだ。)

○ 北海道 すすきの

沖田の車が走行している
テレビ塔を車窓から見る久美
坂本NA(この二人も、彼らと同じだ。
     一度も自分たちの運命を呪い立ち止まったことが無い。
     日本で一番北にある都市
     寒さが一番厳しい街なのに・・・その年の春は暖かかった)

○ 高層ホテルの一室

カーテンを開ける久美
久美「うわぁ!高けぇ!いいの?こんな高級ホテル。」

沖田「200万のお金は僕の小遣いなんだろ?
   好きに使う。」
久美「将来のことも考えましょうね。」
沖田「・・・・嘘。
   ここは、ベイスターズがオープン戦のときに使うホテル。
   田所さんが安く取ってくれた。」
久美「わお!」
沖田「疲れただろ?寝てろよ。
   僕は走ってくる。」
久美「うん」

○ 公園

沖田が、ボールを持ちながら太極拳のようなホームチェック
遊んでいる子供たちが近寄ってくる
少年「何してるの?」
沖田「ん?」
少年「お兄ちゃん、野球選手?」
沖田「・・・・まぁ、一応」
少年「ファイターズの選手?」
沖田「んーーーーまだ。もしかしたら明日そうなるかもしれないけど。」
少年「150キロ投げれる?」
沖田「投げられないけど・・・・」
ベンチのアベックが立ち去る
立ち去り間際、飲んでいたジュース缶をベンチの背もたれに置いていく。
その横にゴミ箱
沖田「あの缶カラ見てて。」
沖田、構えてボールを投げる
ボールは缶の横を弾き宙に舞う
缶はそのままゴミ箱に
少年「すげぇ!!」
沖田「すごいだろう。チャンと横に弾かないとあそこには行かないんだぞ。」
少年「ファイターズに入るんでしょ!?
   お兄ちゃんが入れば優勝だよ!!」
沖田「ハハハ、ファイターズの人に推薦してよ。」

○ ホテル

久美が激痛で悶絶している
久美「お願い・・・もう少し・・・もう少しだから。
   久美、我慢しろ・・・我慢・・・・・」

○ ホテル

次の日
沖田、テストに出かけようとする
しかし、ドア前で止まってしまう
久美「・・・・どうした?」
沖田「・・・・ここに戻ってきたとき・・・僕、どんな顔してるんだろうな?」
久美「・・・・」
沖田「怖いな」
久美「・・・ハイ!質問です!」
沖田「・・・・」
久美「11球団不合格な人間が、最後の最後で合格するなんて
   あなたにそんな強運があるのでしょうか?」
沖田「何だよ・・・それ」
久美「通るわけありません。」
沖田「・・・・」
久美「アッちゃん。ここに来たのはね、
もしアッちゃんがテストを一つでも残したまま諦めると
必ずいつか言い訳しちゃうからだよ。
あの時受けてたら良かったとか、受けてたら受かってたとか。
アッちゃんの人生はまだ続くんだよ。
野球選手がダメでも、生きていかなくちゃいけない。
生きていくのには働いて食べていかなきゃいけない。
次の仕事も野球みたいに頑張んなきゃ人生つまらないよ。
次に頑張るために今日頑張るのよ。」
沖田「・・・・・一つ聞いてもいい?」
久美「何?」
沖田「野球選手じゃない僕でも・・・・嫌じゃない?」
久美「じゃあ、聞くけど病気の私は嫌い?」
沖田「・・・・・」
沖田、微笑む
沖田「行って来る。」
久美「行って来い!!」
沖田、部屋を出る
久美「がんばれ・・・」

○ 監督室

ファイターズ監督井口幸太郎が不機嫌そうに新聞を読んでいる。
球団広報大道健二が入ってくる
大道「あれ?監督早いですね。」
井口「大道、あのなぁ。」
大道「何です?」
井口「お前広報室だろ?」
大道「そうです。」
井口「この、10連勝したら監督が空から降りてくるってのはなんだ?」
大道「あぁ、そういうファンサービスはうちの伝統ですから。」
井口「そんなことより選手の補強を何とかしてくれ。」
大道「それは僕の仕事じゃないですよ(笑)
   さぁテストの時間ですよ」
井口「どうせこの時期のトライアウトに良い選手なんかいないさ。
   もしいたらそれはネッシーとかと一緒。未知の生物だよ」
大道「わかりませんよぉ。
   ネッシー、いるかもしれません。
   僕的にはネッシーじゃなくてもツチノコでもいいから
もしいたら最高なんですけどね。」

○ グラウンド

選手たちのテストが続いている
守備テストでエラーするもの
打撃ゲージで空振りするもの
ため息の井口
井口「なぁ、大道。探検するのやめて帰っていいか?」
大道「がまんがまん。」
ピッチングテスト
選手が投げている
選手「フォーク投げます!!」
井口「フォーク?」
選手投げる
ワンバウンド
井口「それは、落ちたからじゃないだろう?」
審査員「OK!もういいよ!」
選手、照れ笑いで退場する
審査員「次!」
井口「もう帰る。」
大道「この選手が最後ですから・」
審査員「沖田君!どうぞ!!球は三球だ!」
沖田、マウンドに立つ
沖田、構えて投げる
パチンというミットの音
大道「綺麗なフォームですねぇ」
井口「コントロールも良さそうだが・・・」
沖田、2球目 パチン
井口「球速が無さ過ぎる。」
井口、チラリと見ると128キロ
沖田、三球目 パチン
井口「帰るよ」
沖田「あの、変化球も見てもらえませんか?」
井口「あぁ、ごめん。後はコーチに任せる。お疲れ様。」
沖田「あの!後、3球!3球で良いんです!!
   ファイターズが最後なんです!!」
井口「・・・・じゃあ、言ってやる。
   この球速じゃ社会人でも無理だ。
   君の事情なんか知らん。
   俺はファイターズの選手、職員、全員を背負ってるんだ。
   そんな球速で君なんか取ったら皆が迷惑だ。」
沖田「・・・・・・」
大道「そんなきつく言わなくても。」
井口「誰かが言わなきゃ彼が可愛そうだろ?帰るよ。」
沖田、マウンドを見ている

坂本NA(男は外を出れば7人の敵がいるという
     もうひとつ付け加えるなら・・・・
     外に出た男は、女房に黙って・・・大きなギャンブルをするときがある)
沖田「実は!僕、右利きなんです!!」
井口「???」
沖田「3年前、肩を壊して、左に転向したんですが
   本当は右利きなんです!!」
井口「ポンコツじゃないか。」
沖田「右でもう一度投げさしてください!!
   1球でいいですから!!
   投げさしてくれるまでマウンドは降りません!」
井口「ずっといなさい。」
沖田「ずっといます!」
沖田、座り込む
大道「おもしろいな。いいじゃないですか一球くらい。」
井口「きりが無いんだよ」
大道「一球投げさしてくれたら、空から降りなくていいですよ。」
井口「そりゃいい。1球だけだぞ。」
大道「世話がやけるなぁ。素直に投げさせてあげればいいのに(笑)」
井口「おい!1球だけだぞ!!投げてみろ!!」
沖田「あ、ありがとうございます!!
・ ・・・あ、あの、誰か右のグローブ貸してくれませんか?」

○ ホテル

久美、痛みを堪えてベットに横になっている

○ グラウンド

グローブの感触を確かめている沖田
審査員「いいか?」
沖田「はい!お願いします!!」
沖田、マウンドの土をならす
沖田、キャッチャーを見る
殺気ある表情

坂本NA(稼いだお金をギャンブルに使うのはあまりよくない
     しかし、人生には2度ギャンブルしなくてはいけないときがある
     それは、結婚と・・・・人生を決める仕事が目の前に来たときだ)
沖田、振りかぶる!
大きなフォーム!渾身のストレート!!  
バコーーーン!!という爆音がミットに収まる!!
しかし、完全なボール球
井口、大道、目をむく
沖田「・・・・ハハハ・・・ダメか・・・
   ありがとうございました!」
帽子を脱いで一礼し、マウンドを降りる
井口「おい!!」
沖田「??」
井口「もう一球だ。もう一球投げろ。」
沖田、いぶしがりながらマウンドに戻る
沖田、振りかぶってもう一度投げる
ドコーーーン!!また、爆発音
しかし、ボール球
井口「・・・・お前、去年まで何処にいたんだ?」
沖田「ベイスターズです。」
井口「ドラフトは?」
沖田「ドラフトは9位でした。」
井口「どうしてこの球を投げられるのに首になったんだ?」
沖田「肩を壊して左に転向したんですが球速が伸びなくて・・・」
井口「それはさっき聞いた。肩を壊す前は何キロ出てたんだ?」
沖田「141キロです。」
井口「おまえ・・・うそつくな。」
井口、マウンドに行く
大道、審査員に聞く
大道「何キロ?」
審査員「最速141キロなんて嘘だ。
    一球目が149キロ
    2球目が151キロ出てる。」
大道「嘘ぉ!壊れてない?」
審査員「壊れてたとしてもあの球は打てないよ。
    ストライクだったらね。」
沖田の前に行く井口
井口「ゆっくりしたシャドーしてみろ。」
沖田、シャドーを始める
井口、沖田の右腕と下半身をいじる
井口「この形で、もう一度だ。」
沖田、もう一度投げる
ドゴーーン!!そして、ど真ん中ストライク!!
大道「何キロ!?」
審査員「嘘だろ・・・156キロ」
井口「・・・・肩は痛くないか?」
沖田「はい。大丈夫です。」
井口「大道!こいつを医者に連れて行け!肩の検査だ!!」
沖田「あの、何キロ出てましたか?」
井口「うるさい!直に医者に行け!
   いいか、肩が壊れたピッチャーなんか採用したら俺の野球人生は終わりだ
   でもな、150キロ投げるピッチャーを採用にしなかったら
   笑いもので野球人生が終わるんだよ。」
沖田「あの・・・・それって・・・・」
井口「条件付だ・・・肩に異常が無かったらだ。」
大道「行こう!!ネッシー!!」
沖田「ネッシー?」

○ ホテル 夜

痛みをこらえている久美
ゆっくり起き上がり薬を飲む
久美「遅いな・・・まぁ、今日くらいやけ酒もありかな(笑)」
部屋の扉が開く
沖田が入ってくる
久美「お帰り!遅かったね。・・・どうだった。」
沈痛な顔の沖田
沖田「君に謝らなきゃいけない・・・・」
久美「何?」
沖田「右で投げた・・・」
久美「アッちゃん・・・」

沖田「監督が医者に行けって・・・
   肩に異常が無ければ採用するって・・・」
久美「・・・・・」
沖田「・・・・それで直に連れて行かれた。
   全部検査してもらった・・・・」
沈黙
久美「・・・・ダメだったんだ」
沖田「・・・・ごめん・・・・食欲が無い。
   今日は一人で食べて・・・・」
久美「・・・・・」
沖田「・・・・球団の大道さんって人と、こんな分厚いステーキ食べちゃった。」
久美「・・・・・」
沖田「付き合いだよ。しょうがなかったんだ・・・・北海道初めてだし、色々聞かなきゃ
   君が入院する病院探しとか。」
久美「えっ!」
沖田「肩は治ってた!!
   メジャーリーグでも症例があったんだ!
   3年間、一度も肩を使わなかったのが良かったんだって!!
   毎日、20球くらいなら全力で投げてもいいって!!
逆に鍛えられてた!!信じられない!!150キロ出たんだ!
明日から、日本ハムファイターズの選手だよ!!」
久美「アッちゃん!!」
抱きつく久美
大騒ぎの二人・・・・
坂本NA(これは奇跡なのか?
     いや、神様は何もしていないはずだ
     長い間耐えた人間に結果が出ないなんて嘘だ
     結果が出ないのはまだ成功の時期じゃないだけだ
     彼らの成功が3年目だっただけなのだ)


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