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いつか映画にしたい「野球物語」コミュの野球物語3

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○ 阪神甲子園球場

バックを抱えて球場を後にする沖田
球団職員がキョロキョロ
職員「あっ!沖田さん!待って!」
沖田、立ち止まる
職員、沖田に駆け寄る
沖田「何か?」
職員「監督が呼んで来いって言ってまして。」
沖田「えっ!?それじゃあ!!」
職員「バッティングピッチャーとして働かないかって。」
沖田「あっ・・・・なんだ・・・・」
職員「どうです?」
沖田、球場を見る
沖田「・・・・僕、甲子園で投げるの初めてだったんです。
   今度は試合で投げたいんで・・・」
職員「・・・・そうですか・・・・」
沖田「監督によろしくお伝え下さい。」
頭を下げて立ち去る

○ お好み焼屋

ソースが焼ける音
沖田と久美が食事している
沖田「甲子園大きかったよぉ!
   満員のお客さんの前で投げられたら凄いだろなぁ。」
久美「もし投げるとしたら、お客さんはアッちゃんに大ブーイングだね。」
沖田「うわぁ・・・セリーグのテスト受けるのやめようかなぁ(笑)」
沖田、お好み焼を切って久美のお皿に
久美「あっ、もういい。」
沖田「ダメだよ、食べなきゃ。」
久美「もうお腹いっぱい。」
沖田「・・・・具合が悪い?」
久美「すまぬ。アッちゃんがテスト中・・・・買い食いした。」
怪訝そうな沖田
久美「本当だって。」
沖田「・・・・約束してくれないか?」
久美「何を」
沖田「12球団、全部回るんだろ?
   だから・・・・具合が悪いときは隠さないって約束して。」
久美「隠してないよぉ。」
沖田「嘘だ。」
久美「・・・・・」

○ 神戸市内

夜の街を走るタウンエース
車内からイルミネーションを見ている久美



○ 神戸の公園 駐車場

沖田と久美、車内で横になっている
久美「アッちゃん、起きてる?」
沖田「あぁ。」
久美「何考えてるの?」
沖田「・・・・別に。」
久美「・・・・・」
沈黙
沖田「・・・・右で投げてみようと思ってる。」
久美「どうして?」
沖田「あれから三年たってるんだ。
   数球投げたぐらいじゃ肩はつぶれないだろ?」
久美「ダメだよ!本当にもう野球できなくなっちゃうよ!!」
沖田「右なら最速142キロ・・・・合格するかもしれない。」
久美「絶対にダメ!!次ぎ壊したらもう一生直らないって先生に言われたんでしょ?」
沖田「・・・・・久美さんと一緒だよ。」
久美「何が?」
沖田「僕に気を使って痛いのを我慢する。
   だったら、僕だって痛いのを我慢するよ」
久美「・・・・わかったチャンとこれからは痛かったら言う。」
沖田、久美を腕枕
沖田「・・・・今日、僕、甲子園で凄かったんだよ。
   内角低め一杯にズドンって!」
久美「・・・・・惜しかったねぇ」
沖田「運がないよ・・・昔、悪いことばっかりやったからかな。」
久美「アッちゃんが悪いこと?どんな?」
沖田「僕、施設にいただろ?おもちゃなんか買ってもらえないじゃん?」
久美「うん。」
沖田「野球するまで上手なことは・・・・万引き」
久美「あぁ、それはアッちゃん運は無いね。
   天国にもいけないよ。地獄行きだね。」
沖田「まいったなぁ(笑)」
久美「私は死んだら天国に行けるね。
   ファーストクラスで天国に行く。」
沖田「そこまで、善人かぁ?」
久美「だから、アッちゃん・・・私が死んでも泣かないでね。」
沖田「・・・・・」
久美「天国は良いよぉ・・・酒は旨いし良い男が一杯いるんだよ。」
沖田「僕は地獄かぁ。死んでも久美さんに会えないなぁ。
これからどうすれば天国にいける?」
久美「色んな人に、ありがとうって一杯言ってもらうの。」
沖田「そんなんでいいの?」
久美「意外と難しいのだぞ。」
久美、沖田に抱きついて眠る

○ yahoo球場

ゼッケンをつけた沖田、柔軟体操をしている
「沖田」
背後から声がする
沖田、振り返るとバットを持った中村俊夫が立っている。
沖田「中村先輩!」
中村「田所さんに聞いたよ。お前、本当にテスト受けに全国周ってるのか?」
沖田「先輩こそ、何でここに?」
中村「お前と一緒。一昨日、首になった」
ゼッケンを見せる
沖田「えっ?だって・・・先輩去年はベイスターズの一軍で・・・」
中村「俺ももう35だぜ。
   でもな、あんまり腹が立ったんでテスト受けてやるんだ。」
沖田「・・・・大丈夫ですよ。
   先輩ならまだまだ打てますよ」
中村「あぁ、柵越え連発だよ。」
沖田「見てますよ。」
中村「沖田・・・お前、まだテスト受けるのか?」
沖田「受けますよ。どこか拾ってくれるまで。」
中村「・・・・そうか。」
× × ×
沖田、ピッチングテスト
後ろで審査員二人が話している
審査員A「いいコントロールしてるけどな。」
審査員B「ダメだ。球速が無さ過ぎる。・・・はい!OK!ごくろうさん!」
沖田「あっ、ありがとうございました!」
沖田、バッティングケージを見る
中村が打席に立つ
× × ×
中村、空振り
中村「もういっちょう!!」
ピッチャーが投げる
中村、豪快なスウィング
大きなフライ
中村「よし!いった!!」
球はぐんぐん伸びる
しかし、フェンス際で球は落ちる
中村「・・・・・・もういいです。ありがとうございました。」
中村、バッティングケージを出る

○ 球場駐車場

中村が自家用車のキーを入れる
沖田が追いかける
沖田「先輩!」
中村「・・・・沖田・・・すまんな声もかけないで」
沖田「・・・何で自分から棄権したんです?
   すごい打球だったのに・・・」
中村「だからお前は、ずっと2軍なんだよ。」
沖田「・・・・・」
中村「さっき撃った球は昔ならスタンドに入ってた。
・ ・・・もう俺の力じゃ一軍では通用しない。」
沖田「そんな、失敗したのはたった一球だけじゃないですか!」
中村「プロ選手は一球が全てだ。
   お前ももう腹をくくれ。
   あの球じゃ、プロでは通用しない。」
中村、扉を開けて道具を入れる
中村、ポケットから財布を出し、数万円沖田に渡す
中村「持ってけ。」
沖田「いいです!困ります!」

中村「俺は、お前が幾ら頑張ってもテストは合格しないと思ってる。
   でも、お前は諦めないと言う。応援するしかないだろ?
   これで旨いもの食って頑張れ。」
沖田「先輩・・・・」
中村、車に乗り窓を開ける
中村「どうせ受からん。なら、後悔の無いようにな。
・ ・・・沖田」
沖田「はい?」
中村「・・・・ありがとう。」
沖田「僕は何もしていません・・・お金まで貰っちゃって・・・」
中村「テスト前・・・お前は打てるといってくれた。
   まだやれると言ってくれた。
   本当は・・・もう諦めてた。」
沖田「・・・先輩」
中村「じゃあな。ありがとうな」
中村、車を発進させる
見送る沖田
坂本NA(天国に行くためには久美は他人にありがとうと沢山言われることだと。
     この時、沖田はその言葉をすっかり忘れていた。)

○ 国道

タウンエースが海沿いを走る
坂本NA(二人の旅は東へ進む。
     東への旅は決して楽しいものではなかっただろう)
久美、後部座席で眠っている

○ ナゴヤドーム

沖田、職員に説明を受けている
坂本NA(ドラゴンズでは、投手のテストは無いといわれた。)

× × ×
駐車場にタウンエース
久美がスポーツ新聞を読んでいる
小さな囲み記事
久美「イーグルス、明日トライアウト・・・明日は東北か。
   まだ、寒いかなぁ・・アッちゃん、ジャンパー持ってきたかな?」
かばんを開けてみる久美
久美「無いよ・・・あの馬鹿者・・・」
沖田が乗り込む
久美「早かったね。」
沖田「ピッチャーは要らないって。」
久美「だめねぇ・・・こんなにいい選手がテスト受けてあげるって言ってるのに。
   それよりアッちゃん、明日は東北だよ。
   ジャンパーも何も入ってないぞ。
   東北の寒さをなめちゃだめだっちゃ。」
沖田「・・・関東に戻る・・・」
久美「えー!?」
沖田「明後日、横浜で伊藤先生に見てもらわなきゃ。」
久美「イーグルスはテスト受けないの?」
沖田「うん。テストと久美さんの治療は久美さんが優先です。」
久美「勝手に決めないでよ!
12球団全部受けるんでしょ!?」
沖田「そんなに大きな声出さないでよ!!」
久美「それに、イーグルスなんて弱いチームなんだから
   合格する可能性も高いじゃない!?」
沖田「そんな失礼なこと言うんじゃないよ!!」
久美「病院なんか行かないわよ!!仙台!!」
沖田「駄目だ!」
沖田、車を発進

○ 名古屋市内

タウンエースが走る
気まずい車内
沖田「久美さん、ガムとってよ。」
久美、無視
沖田「・・・何無視してるのよ。」
沖田、自分でガムを取る
沖田「・・・・・」
久美「・・・・・」
沖田、ハンドルを叩く!
沖田「君の体のことだろう!?」
久美「怒鳴らないで!!」
沖田「怒鳴りたくなるさ!!わがままもいい加減にしろ!!」
久美「わがまま!?テストを受けるって言ったのはあなたでしょう!?」
沖田「つき合わせて悪かったな!!」
久美「何よそれ!!」
名古屋駅が見える
久美「・・・・止めて!」
沖田「何だよ!」
久美「いいから止めてよ!!」
沖田、車を止める
久美、車を降りて駅に向かう
沖田「どこ行くんだよ!!」
沖田、追いかけて腕をつかむ
久美「さわるな!!根性なし!意志薄弱!!」
沖田の手を振りほどく
久美「私一人で仙台に行く!!」
沖田「バカなこと言ってないで車に乗れ!」
久美「バカはあんただよ!!」
沖田「勝手にしろよ!!」
久美、涙を堪えながらスタスタと駅に向かう
沖田「馬鹿!死んじゃえ!!」
坂本NA(結婚生活で夫は何度も女房なんか死ねばいいと思う
     しかし、数分後には必ず男が折れることになる。
     それが結婚生活だ)

○ 名古屋駅前 ベンチ

ベンチに久美が座っている
沖田が缶コーヒーを持って横に座る
久美、立ち上がろうとする
沖田「いいから、座れよ。」
久美を引っ張り座らせる
沖田「落ち着いてよ。」
缶コーヒーを渡す
久美「ブラック、嫌い。甘いのがいい。
   もう何年も一緒にいるのにそんな事も知らないんだよね。」
沖田「間違えて買っちゃったんだよ」
久美「何よ!早く横浜に帰りなさいよ!」
沖田「・・・・久美さんどうするんだよ。」
久美「仙台に行く。」
沖田「・・・・お金は?」
久美「あるもん。」
沖田「どこに?」
久美、横を向く
沖田「どこにあるんだよ?」
久美「うるさいわね!横浜に帰ればあるわよ!」
沖田「じゃあ、今無いんじゃない」
久美「・・・・・・」
沖田「馬鹿言ってないで行くよ。」
久美「もう嫌なんだよ・・・・」
沖田「・・・・・」
久美「私は足引っ張ってるだけじゃん・・・」
沖田「・・・引っ張ってるなんて言ってないよ。」
久美「・・・・」
沖田「ほら、行くよ。駐車場代がもったいないから。」
久美「何よそれ!!」
沖田「あのね久美さん。
   夫婦ってさ・・・力あわせるだけじゃないと思うよ。」
久美「・・・・」
沖田「たまには足の引っ張り合いもするさ。」
久美「・・・・」
沖田「お互い様だよ。」。
久美「私は引っ張りたくない。」
沖田「じゃあ、こうしてくれ。
   そのベンチから立ち上がって車に乗ってくれ。
   それで、仙台に行くまで機嫌よく笑ってなさい。」
久美「・・・・仙台に行く?」
沖田「伊藤先生には日にちをずらしてもらった。」
久美「何よ!最初からそうしなさいよ!」
沖田「うるさい。早く行くよ。」
久美、立ち上がる
沖田、抱き寄せて歩き出す
久美「あっ!だめ!ジャンパー買わないと!!」
沖田「いらないよ。もう、春だよ。」
久美「東北の寒さを舐めるでねぇ!」
沖田「馬鹿だなぁ(笑)」

つづく

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