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「セユ」コミュのEpisode26:ミヲ05

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 あたしがナヲキと住み始めたのはいつだったっけ?思い出せないわね。でも三ヶ月くらいね。生理が三回来たから。あたしはすっごく正確なのよ。人間時計?カレンダー?人間ムーンフェーズね。大体いつも満月の日に来るから。あたしの首に巻いてある時計にはムーンフェーズがついてるの。ナヲヤはそのムーンフェーズが妙に気に入っててよく眺めてる。何時間も馬鹿みたいに。
 ナヲキはすごく馬鹿なんだけど、一応このあたしでも聞いたことのあるような私立の大学に行ってて、オイシャサマをしている田舎のパパからの仕送りで生計を立ててるの。大学にはろくにいかずにすごくいかれたバンドのライブ見に行ってばっかり。オレはあのバンドの記録係になるとか言っていつもカメラ抱えていくんだけど、そのライブハウスは撮影禁止だからいつも袋叩きにされてるみたいでよく顔にたくさんアザを作って帰ってくるのよ。でも全然懲りないで、またすぐにライブに行くの。おかげさまであたしは定期的にバンソーコーとかホータイを買いにいくんだけど、あんまりあたしがちょくちょく買いに行くもんだからヤッキョクのオバサンがあたしがナヲキに虐待されてるんじゃないかって気にしててあたしがいつも長袖の服を着ているのが何でかって尋ねたがってるの。直接口に出すことはないんだけど、あたしはそのオバサンがきっとそう考えてるんだなってことが分かるの。サイノウってやつね。
 そりゃあたしの体には何箇所かアザがあるわ。ナヲキが馬鹿だからあたしとするたびにどっかにキスマーク付けるんだもん。あたしはこの綺麗な体にそんなアザをつけるのなんてイヤなんだけど、それするとナヲキはすごく喜ぶの。まぁあたしは家賃払うわけでもなくナヲキの部屋に居候してるんだから、すこしはオンガエシしなくちゃならないとかギリガタイこと考えちゃって、だからナヲキがしたがってる時はさせてあげたわよ。いつだってね。
 叔母さんが家を出てからあたしは何日かホウシンジョウタイだったわ。だって突然一人ぼっちになっちゃったんだもん。誰だってコンランするでしょ?あたしに残されたのはキチジョウジの我が家と、このワケの分からない首時計だけ。まぁコウコウに行く気も失せるわね。あたしは叔母さんのセリフを何度もハンスウして、結局外に出ることにしたの。勿論コウコウに行くって意味じゃなくて、街に出たのよ。「書を捨てよ、町へ出よう」だっけ?どっかのオッサンのセリフ。叔母さんは結構お金を残しててくれたから、あたしは何軒かのクラブに日替わりで通い詰めた。そこでナヲキに出会ったの。
 そのクラブの音楽はサイテーで、ナヲキと一緒に音楽ヒハンしてるうちに意気トウゴウ。あとはベタなパターン。あたしのセカンド・ヴァ-ジンは呆気なく去ってった。それであたしは行くところもすることも無いしその上キチジョウジの部屋に帰る気もなかったから、誰も居ない我が家にキョウミはないものね、だからナヲキのところに住むようになったの。うーん。我ながら素晴らしいヨウヤクだわ。

 ナヲキは今日も窓際に方膝を立てて座って、フィリップ・モリスにダンヒルで火をつけて、肺の奥までたっぷり煙を吸い込んで、しばらくの間、何だかどっかのテツガクシャとかスウガクシャとか、頭の悪いセイジカ見たいに顔にシワよせて、絵に書いたようなシリョブカイ顔ってやつ?をして煙を一直線に吐き出してる。馬鹿みたい。叔母さんの方が100倍くらいかっこよく煙を吐いてた。きっとこの男は大昔にそういう風に男が干からびたサボテンみたいな顔をして煙草を吸ってるエイガかなんかを見てマネしてるのね。
 ナヲキはあたしがナヲキを見てることに気づく。そして微笑む。もしも、もっと品格のあるオーラを放ってて可愛い目をしててジンセイケイケンをつんだ男がこういうタイミングで微笑めば、きっとその男の周りの空気は水浸しにした白い画用紙の上にミドリの絵の具を一滴垂らしたみたいにぽっと爽やかで深いフンイキになるのにな。
あたしはナヲキの部屋にいるときは大抵ラフな格好をしてる。あたしはびっくりするくらいのスレンダーだから、下着姿もセクシーっていうよりは綺麗なのよ。肉欲なんて言葉があるみたいに、どうやら男って女の肉に欲情するみたいだから。結局はボセイってやつを求めてるみたいね。あたしの17年のジンセイケイケインから言わせて貰うと。男って結局すごく怖がりで、寂しがり。ん?違うか。男ってやつは兎に角コンプレックスのカタマリなんだ。その上それを認める度量もないし、フトコロも狭いからそれを気づかれたくないみたい。だから自分はスゴいんだって周りに常にアピールしてないと身が持たないのね。その証拠に男って妙に大きいもの好きよね。大昔に沈んだゴウカキャクセンだとか、あちこちに立ったコウソウビルとか。あれって結局自分が小さいことわかっててその裏返しなのよね。やっぱり。おちんちんの大きさに妙にこだわるし。あ、これナヲキの話ね。あはは。
 何の話だっけ。そうそう。あたしがスレンダーだって話。そう。あたしはすごくスレンダー。えっへん。背は低いけど、手足は長いの。しかもすごく白い肌をしてて、本当に力をこめたら折れちゃうんじゃないかってくらい細い。おっぱいもすごく小さい。まるでショウネンみたいだなってナヲヤは笑ってた。ちゃんとあそこに毛は生えてるけど、すごく薄いの。ワキの毛もね。自分で言うのもなんだけど、すごく絵になるタイケイしてると思うわ。残念ながらモデルになるには背が低すぎるけど。
 ナヲキは身長が180センチくらいあって、ぐしゃぐしゃの黒髪で顔の半分が見えないような男で、あたしのビテキカンカクから言わせて貰うとかなりのブサイク。好きなブランドはなんか日本人デザイナーの名前をそのまんま付けた名前だったわね。でもああいうときってなんで日本人でも名前を先に言うのかしら。あたしの習った英語のキョウカショだとミョ−ジを先に言って名前は後だったのに。中学に入ってすぐの頃に英語の授業で教室のいろんな生徒と自己紹介しあったわね。「My name is Oyama Mio. What’s your name?」懐かしい。そうだ。ナヲキの話だったっけ。それで自分の顔が悪いことを知ってるけど、ネット上の日記、ヒトムカシ前に流行したブログってやつかしら?にはよく自分のシャシンをアップしてる。あたしが撮ってあげてるシャシンよ。ナヲキを格好良くというか、それなりに撮るのって結構タイヘンなのよ。まぁあたしの努力のかいあって、たまにナヲキのブログには女の子のコウイテキな書き込みがあって、ナヲキはそれ見て嬉しそうにあたしに見せるの。
「見ろよ、ミヲ。俺ってやっぱり結構イケるんじゃないかな」
 本当に馬鹿みたい。そうそう。あたしをミヲって呼ぶのよ。キモチ悪い。そもそもナヲキって自分が名乗ってるのもキモチ悪いけどね。本名狩野直樹。昔どっかのキチガイのフリしたアヴァンギャルドを自称してるインディーズのロックバンドのボーカルが、自分の名前をそんな風に変えてるの見てエイキョウ受けたみたいね。まぁあたしもナヲキに本名呼ばれるのイヤだったから、ミヲでいいことにしたわ。なんかさ、自分の名前を呼ばれるのってすごく特別なコウイの気がしない?まるで自分のことぜんぶ相手に知られてるみたいな、さ。よっぽどシンミツでなきゃ下の名前で呼ばないニッポンの伝統?文化?って多分そういうこと。きっとゲンジナってそういう風にできたのね。
 ナヲキはあたしよりも5つ年上で、色んなヘンタイ的なことをあたしにしてきた。あたしはナヲキの前で脚を開いてオシッコさせられたし、テジョウや目隠しをされながら入れられたこともあったわ。オモチャが大好きで、色んな大きさと形のディルドも入れられた。あそこの毛を剃られたこともあったし、色んな服を着せられた。ナヲキはオーラルセックスも好きで、あたしのあそこを犬みたいに嘗め回したし、あたしにおちんちんを舐めさせた。ナヲキのおちんちんは小さくて、しかもホウケイでナヲキはそれをすごく気にしてた。だから色んなことを考えてあたしに対して優位に立とうとしてたのね。別にあたしはおちんちんが大きかろうが小さかろうが、どっちにしたってセックスで気持ちよくなることなんてないからどうでもよかったけど、ナヲキのおちんちんはすごく臭かった。ホウケイだと臭くなるって本当ね。ああ、気持ち悪い。
 さっきも言ったけどナヲキはセックスの時兎に角自分が優位に立つことばっかり考えてるみたい。オレはサディストだとか言って、なんだか汚い言葉をあたしに浴びせたこともあったわ。でも、結局全部がコンプレックスの裏返しなんだから、哀れなものね。あたしはセックスで気持ちよくなることないし、濡れることもほとんどないの。ナヲキは随分女遊びをしたことがあって、そのケイケン人数をジマンに思ってるタイプだからそれが悔しくて、でもあたしを濡らすことなんかできなくてそれでもあたしに入れたくて仕方ないからローションとか買ってきて、でも実はナヲキのおちんちんは小さいから別にそんなの必要ないって分かった時のアイツの顔すごく面白かった。奥さんの10年来の浮気をモクゲキしたシュンカンのお金持ちみたいだった。
 あたしはナヲキの部屋に住み始めてからもコウコウには通わなくって、一ヶ月目くらいにはやめちゃった。だからナヲキの部屋でぼんやりしてる時間があたしの生活のほとんどになった。でもあたしはナヲキを愛してなんかいなかった。そもそも愛って何?
 だからあたしは次第に部屋を出て外で遊ぶようになったの。クラブで男ひっかけたり、バーでお酒飲むフリして、あたしお酒弱いのよ、時間つぶしながらバーテンとお話したりしてた。でもほら、あたしやっぱり可愛いからいろんな男があたしを部屋とかホテルに連れ込もうとするの。あたしは遊ぶのはともかくセックスは大嫌いだったからそのたびに男達をひっぱたいて帰ったけど、ある日ケッコウカッコいい男に会ったの。そいつも大学生。なんかイデンシコウガクの勉強してるとか言ってた。あたしはケッコウ面食いだから、その男の顔はとりあえずあたしがジッサイに会った中じゃ一番マトモな顔だったのもあって、そいつがあたしを部屋に連れ込むのを拒否しなかった。ナヲキの30倍くらいいい男だったわね。ごく控えめに言っても。そいつは清潔な体をしてて、生活感の無い部屋に住んでた。そしておちんちんも大きくて、あたしにヘンタイ的なことはしなかった。ただやたらと長い時間キスをする男だった。でも結局あたしは濡れなくて、ローション一本まるまる使ったけど、トウトウそいつのおちんちんは入らなかった。でもあたしって多分男の体が欲しくないのね。別に残念だとも思わなかった。まぁその男は比較的紳士だったから、或いはそう見せたがってたから、別に気にした様子も見せずに、朝まであたしを抱きしめててくれた。
 昼ごろに部屋に戻るとナヲキが真っ青な顔であたしの方を見てた。こいつ寝てないわねってあたしにはすぐ分かった。
「ミヲ、昨夜はどこに泊まったんだ?」
 ナヲキって自分じゃ女遊びしてるらしいけどあたしが無断でガイハクするといつもこれ。コンプレックスってやつは人格形成というか、人格を捻じ曲げるのにすごく重要みたいね。
「喫茶店よ。電車逃しちゃったの。」
 あたしはナヲキに嘘をつくことにザイアクカンなんてこれっぽっちも感じないし、ばれてもどうって事無いって思ってるから、すごく嘘がうまいの。嘘発見器にかけてもばれない自信があるわよ。脈拍とか発汗とかそんな表面的な生理現象なんて全部コントロールできるんだから。
「じゃあ何で首にキスマークなんかつけてるんだよ。」
 あらま。あの紳士君も嫉妬深いのね。キスマークは所有のしるしみたいな古臭い考え。
「ああこれ。クラブで酔っ払った男に付けられたの。抵抗したんだけど、あたし非力だからさ。」
 次の瞬間にあたしの視界真っ暗になって平衡カンカクというか上下カンカクはなくなった。それで頭に痛みが走った。少したってから理解したけど、ナヲキが手元にあったでっかいデジカメをあたしに投げつけて、見事に頭に命中したのね。それはでっかいレンズとストロボのついた本格的なやつだったから、華奢なあたしはひっくり返ったってわけ。ナヲキがあたしに暴力振るうのって初めて。いわゆる革命ってやつかしら?とか考えてあたしは微笑んだ。段々頭の痛みが引いてって、ナヲキの顔が見えた。真っ青な顔。ブサイクな顔をますますブサイクにしてる。アオスジはしらせて、黄色く淀んだ目を思いっきり開いてる。
「そんな顔しないでよ。大丈夫よ。ヤってないから。」
 あたしはそういいながら笑いをこらえられなかった。
「あはははははははは、だって、あんたみたいに、あははは、小さなおちんちんじゃなきゃ、はははは、入らないんだもん、うふふふ。あたしさ、ふふ、全然、ふふふ、濡れないし、あはははは。」
 ナヲキはますます真っ青な顔になってく。ああ、おかしい。
「やっぱりてめぇ浮気したんだな。」
 ナヲキはカメラの三脚をたたんでそれを握り締めて、ゆっくりあたしの方に近づいてくる。
「あははは、浮気だなんて、そんな、あははははは、バカなこと、うふふふ、言わないでよ、ふふふ、だってさ、あはは、あたしは、あはははは、あんたの、彼女とかじゃ、ははは、ないんだから。あははは。」
 ナヲキは眼から涙を流してる。あはは。この男、すっごいコンプレックス持ってたんだね。自分がある程度ヒトから愛されてるとか、そういう類のことでなんとか自分を保ってたんだ。馬鹿みたい。
「あははは、ほら、ナヲキ、泣くんじゃないよ、うふふ、いい子だから、あはははははははははあ。」
 ナヲキは立ちすくんで、手から三脚を取り落とした。
「ミヲ、オレはお前を好きだったのに。」
 泣いてる泣いてる。せいぜい浸ってればいいわ。浸ってる限りジンルイはみんなきっとあんたにドウジョウするから。でもね、あたしはきっとジンルイじゃないのよ。笑いが止まらないわ。
「あははははははははは、ねぇ、ナヲキ、実は最初から聞きたかったんだけどさ、あはは、あたしの首時計の時刻読み上げてくんない?あはは。」
 ナヲキは真っ青な顔して、涙をぬぐって、しゃくりあげながらあたしに近づいて時計を見た。
「4時、4時半。でもこれ止まってるよ。」
 ああ、そうか。最近ねじ巻いてなかったからな。あはははは。
「ありがと。もういいわ。」
 ナヲキはあたしのそのセリフを聞くと、また泣きだして、今度はトイレに走ってってげーげー吐いてた。嘔吐の音。なんだか懐かしい。そしてナヲキはトイレから出てくると、胃液臭い口臭を撒き散らしながらあたしの横を素通りして外に出てった。ドアは開けっ放し。おいおい、ナヲキ君、育ちが悪いのがばれるよ。あはは。
 あたしはしばらくその場で笑い続けた。なんだか何もかも面白くってしょうがなかった。そのうちに開けっ放しのドアから、車のクラクションとブレーキの音が聞こえて、ぐしゃっとかぐちゃっとかそんな音がした。それを聞いたあたしはますます大きな声で笑い続けた。
 バイバイ。ナヲキ。あのセンパイ以外で初めてあたしを抱いた男。そんで、初めてあたしの時計を読んだ男。そして、初めてあたしが殺した男。
 あたしが新宿で街に立って、歌舞伎蝶とか呼ばれながら大量虐殺を始めたのはそれから一年後。あたしはその間に五人の男と暮らして、その全員を殺したわ。あはは。ハラショー!!

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