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自分が持っている歌詞中の世界コミュの第16話  12月の魔法

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2004年12月15日

「五十嵐さ〜ん」

潤が僕に報告があると言ってきた。

「僕、おかげさまで、知美ちゃんと付き合えることになりました。
 ありがとうございました。」

「良かったね〜」

そういう僕だったが瑞樹ちゃんとのことがあり
なんだか複雑な気持ちでいた。

「そういえば、あれから高樹さんの様子がおかしいって
 知美ちゃんが言っていたんですけどなんか知りません?」

「おかしいってどんな風に?」

僕は胸をドキドキさせながら聞きなおした。

「いや、あの遊園地に行った日から元気がないというか
 ぼ〜っとすることが多くなったらしいんですよね、
 知美ちゃんもなんとも説明しにくそうでしたけど・・・」

「さあ?」

僕はとぼけて見せた、まさか潤に僕も瑞樹ちゃんもお互いに大切な
存在がいるのにそういう関係になってしまったとは口が裂けても言えなかった。

このことを聞いて、僕は
きっと真面目な瑞樹ちゃんの事だから
自分自身の行動をせめているのだろうと思った。

その気持ちは痛いほどよく分かる。
実際僕も美夢のことが嫌いになったわけではない!!
ただもっと好きな人が出てきてしまった事に戸惑っている状態だ。
美夢には美夢のいいところがあり、それは高校のときからよく知っている
でも今は瑞樹ちゃんと会うことに楽しみを感じてしまっている。
いつでも瑞樹ちゃんのことを考えてしまっている、
この10年、いや生きてきて始めての体験で
どうしていいのか分からなくなっている
でもこのままではいけないことも分かっている。
最近『人は同時に二人を愛する事はいけないことなの?』と思ってしまう
そう色々と考えていても僕は結局、瑞樹ちゃんとあってしまう・・・


2004年12月17日
今日、僕は瑞樹ちゃんと夕方から会う約束をしている。
どこかで張り切っていたのだろう
今朝から車を3度も磨いた
美夢と会うときには無い感覚のドキドキ感がある。

そして僕は自宅の前の通りの終わりにある標識のそばで
ハザードを出して瑞樹ちゃんを待っている。
瑞樹ちゃんと出会って、何回か会ううちに瑞樹ちゃんの癖もいくつか見つけた
まずこの並木道に車が一台しか止まっていなくても必ず僕を確認してから
車に乗り込む事、僕は瑞樹ちゃんが来た事に
気が付けるように窓を少し開けて待っている。

僕は美夢とのデートのときは必ず遅れていたのに
瑞樹ちゃんと会うときには送れず必ず僕のほうが待っていた。

そんな風に小さな幸せを見つけていると瑞樹ちゃんが道路から
車の中の僕を確認しにきた。

僕は少し空けてある窓を全開にしてキスを求めると
周りに誰もいないことを確認しながら僕にキスをしてくれた。
それからすぐに車に乗りこんだ瑞樹ちゃんは照れ隠しなのだろうか
僕の部屋のベランダを見上げて、
僕が家を出てくる前に干したペインターを

「こいのぼりみたいだね」

そう言って下を向いた。
瑞樹ちゃんは僕といる時はみんなといるときと違って
たまに子供っぽくなる事がある
僕だけが知っている瑞樹ちゃん!!
そう思いたいのはやまやまだが、瑞樹ちゃんには彼がいる・・・
きっとその彼も知っているのだろうそう思うと
悔しさと今こうして瑞樹ちゃんを助手席に乗せている事を
きっと彼は知らない、その事に少し罪悪感を持った。
隣にいるだけで満足していた頃にはもう戻れない
瑞樹ちゃんを抱いて僕は欲張りになってしまった・・・

僕は自分の顔が険しくなっている事に気が付き、笑顔を作って

「どこに行きたい?」

と尋ねると

「とても広いところに行きたい!!
 何もかにも忘れられるようなところ」

そういったので僕は車を多摩川まで走らせた。
きっと瑞樹ちゃんも今の僕らの状況に苦しくなる気持ちがあるのだろう
『何もかも忘れたい』
その言葉に僕は共感した。


多摩川に着いたが
瑞樹ちゃんは僕と会っていても白い息を吐きながら
自分の手のひらに息を『ハー』と、
あてて自分の手を温めながら
どこか寂しそうな目をして何かを考えている。

僕はそんな瑞樹ちゃんを見て君を守ってあげる!!
という言葉を投げかけたかったが、いい文句も見つからないので
僕の連れて行きたい場所へ瑞樹ちゃんを連れて行こうと思った
それが多摩川だ・・・
多摩川は僕の仕事場からの帰り道で
何かつらい事や仕事の悩みなどがあるときは、
ここに来て一人で夕日を見つめている
そうすると心がきれいになり素直になれる気がするからだ。

しばらく僕らは土手に座り夕日を見つめていた。

知美ちゃんの話だと瑞樹ちゃんは彼と最近めっきり会っていない
それでも、彼の悪口を言わず『しょうがないよ』と言うだけらしい
僕の前でも弱音を吐かずに彼の話をしようとはしない!!
たしかに浮気相手にそんなこと話す人はいないのかもしれないけど
瑞樹ちゃんは本当に弱音を吐かない!!
そんな大人の瑞樹ちゃんといると本当に落ち着く、そう思っていたが

「寒いから冬は嫌いだな」

瑞樹ちゃんがそう突然つぶやいた
僕はその言葉が『寂しい』と言っている様に聞こえた。
無い知恵と恥ずかしさを振り絞って

「僕がいるだろ?」

と言うと

「どういう意味?」

と聞き返してきた。
そんなやり取りをしていて僕は一つの事に気が付いた
『大人の瑞樹ちゃん』は、瑞樹ちゃんの中で作り上げた
キャラクターで本当は誰かに寄りかかって弱音を吐きたいのに
自分の作り上げてきてしまったキャラクターのせいで
みんなが自分を頼り、強い女性と思われてしまい、
いつでも完璧な女性を
演じていないといけなくなってしまったのだろうと思う。
それは友達や会社の同僚だけではなくきっと彼にもそうなのだろう
みんながみんな、瑞樹ちゃんに甘えているのだろう。
そんな中、疲れているときに僕という瑞樹ちゃんのことをまったく知らない
男と巡り会い、自分で言うのも自信過剰かもしれないが、
僕を心の休憩所にしているのではないかな?そう思った。
そう考えるときっと浮気なんてする人ではないのに
僕と引かれあったという事に納得する。

僕は瑞樹ちゃんにとって休憩所でもいい!!
この人を全力で守りたいそう思ってしまった。

僕らは土手を歩き始め瑞樹ちゃんは僕のセーターの袖を引っ張っている
瑞樹ちゃんの袖を引っ張る強さで歩く速さを決めている!!
この関係を続けていきたいと思った僕は
瑞樹ちゃんに12月の魔法をかけることにした
人から見れば間違っていて、許されない恋だということは分かっている
それでも
『僕は瑞樹ちゃんを守り』、
『瑞樹ちゃんは僕に守られる』
その事を実行させるにはもっともっと
『僕は瑞樹ちゃんを好きになり』
『瑞樹ちゃんは僕を好きになる』必要がある
だから僕は魔法の呪文を瑞樹ちゃんに伝えた

「僕は君を守る」

この魔法の言葉で瑞樹ちゃんに魔法がかかったかは
分からないが呪文を言った後、瑞樹ちゃんを強く抱きしめると
瑞樹ちゃんも僕を強く抱きしめてくれた・・・


2004年12月17日
俺は本気で瑞樹ちゃんを好きになってしまった。
お互いに彼氏彼女がいて割り切った付き合いというのが
俺には出来ない
美夢のことも好きだけど
このままにしておいたら自分の事が嫌いになってしまいそうだ
美夢とは別れないといけない。
11年という月日が俺の決心を鈍らせるが
美夢のことが大切ならば別れるべきだ!!
そう自分に言い聞かせている僕がいる
明日、美夢にちゃんとすべてを話そうと思う


次の日
僕は美夢と別れた

コメント(1)

次回予告

タイトル   THE END OF WORLD

2004年12月24日
(櫂の日記より)

美夢と別れたはずなのに
クリスマスの日櫂が一緒にいるのは美夢!!

別れたはずなのに・・・

そういえば2004年のクリスマスは
悠介と瑞樹は一緒にいた・・・

だからか????

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